ゆるい感じで。

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傘(4人組)

2010-05-15 01:28:02 | スレイヤーズ二次創作
過去作品より。

アニメ風味です。

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今日は朝から雨だ。
しかしこちとら旅の一行。傘など装備にありはしない。
...それはすなわち、濡れて歩く事を意味する。

「ああ~もう、びしょ濡れで気持ち悪いわ」
街道を歩く中、あたしは雨に打たれつつ不平を漏らした。
「しょーがないですよ、皆傘持ってないんですから」
アメリアが横でため息をつく。
「文句言ってないで早く歩け。このままじゃ風邪引くだろう」
ゼルガディスはいささか不機嫌そうに後ろから声をあげた。
「分かってるわよ」
振り向きながら言い返す。
ちらりとガウリイを見ると、こっちは特に気にした風もなく黙々と歩いていた。
「...どうした?」
あたしの視線に気付いたのか、問いかけてくる。
「んにゃ、なんでもないわ」
「そーか」

しばらくそのまま濡れて歩いた。
このままじゃ本当に風邪を引きそうだ。
周りを見渡しても、雨宿り出来そうな店も宿も見当たらない。

その時、ガウリイが突然声をあげた。
「...あっ、あれ。もしかして傘じゃないか?」
「え?」
ガウリイが指差した方向には、特には何も見えないが...。

しばらくそのまま進むと、確かにそれはあった。
道端に棄てられた一本の傘。
...よくこんなの見付けたな~。

「...でも一本しかないわね」
広げてみると思っていたより少し大きかった。しかし4人が入るのはさすがに無理だろう。
「リナとアメリアで入れよ。女の子は身体冷やしちゃ駄目だしな」
ガウリイがさらりと言った。
ゼルガディスは黙っているが、これはガウリイに同意したという事だろう。
「...それじゃお言葉に甘えて..」
「ええええ!?そんなの正義じゃないですよ~!」
あたしが快くその申し出を受けようと言った言葉を遮ったのは、熱血正義のお姫様であった。
「そんな事言ったって、傘一本しかないし、2人で丁度良いじゃないの」
「そしたらガウリイさんとゼルガディスさんが濡れちゃうじゃないですか~」
「どっちにしろもう全員びしょ濡れだから、今さら濡れようが関係ないだろう」
ゼルガディスの正論にちょっと詰まるアメリア。
「...で、でも正義に反しますっ」
「正義って...」
「そうだっ!」
アメリアは突然ぱっと目を輝かせた。

「ガウリイさん!リナさんをおんぶして下さい」
「はぁ?」
間の抜けた声をあげるガウリイ。
いや、私も多分今間の抜けた顔してると思う。
「良いから良いからっ」
アメリアに強引に促されて、渋々あたしはガウリイの背中におぶさった。
一体何をする気だ?
「ガウリイさん、そのまま傘さして下さい。...それから」
アメリアは少し赤くなってゼルガディスに声をかけた。
「あの...わたしをおぶってくれませんか?」
「......」
しばらく黙っていたゼルガディスだが、仕方がないとばかりにため息をついて了承した。
「...何がしたいんだ一体..」
アメリアを背負って、少し顔を赤くするゼルガディス君である。

「...ほら!」
「え?」
「今、傘の中に4人入ってますよ」
「...あ」
確かに、よく見ればあたしたちは全員傘の中に入っていた。
無理矢理だからところどころ傘からはみ出ているが。

「ね!」
アメリアは得意そうに笑った。
「そうだな、たまにはこういうのも良いかもしれん」
ガウリイの言葉がガウリイの背中を伝わって聞こえてくる。
雨に濡れているのに、少し温かい。
「...まぁ、とりあえず早く行きましょ」
「...やれやれ」
あたしとゼルガディスの言葉は、呆れたように、でもどこか嬉しそうに響いたのだった。


終わり

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仲良し4人組大好きです(´ω`)
この話をアニメ風にしたのは、原作アメリアは絶対こんな提案しないでリナと二人で傘入るだろうと思ったからでふ。



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