ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

甘いな。(ガウリナ+α)

2011-02-12 19:06:09 | スレイヤーズ二次創作
ノリと勢いで書いてしまいました!
バレンタイン小説です><

設定は、ガウリナ幼なじみ同級生というありがちな感じで(^^;
...私は今年は自分にチョコレート買うくらいしかする予定はありません(笑)

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あたしは小さく深呼吸をした。
馬鹿みたいに心臓が跳ねている。
...なんで、なんでこんなに緊張するのだろう。

「..が、ガウリっ!」

...噛んだ。
名前、呼ぶだけなのに。
悔しいのと情けないのと、あたしは何故か泣きそうになった。

でも、彼は振り向いた。
「...リナじゃないか。どーしたんだ?」
彼、もとい幼なじみのガウリイは、腹立たしい程いつもと同じだった。
すらっとした長身に、学生服を気崩して、長い金髪を一つにまとめて...一見ただのクールなハンサム。
でも、なーんにも考えてないような無邪気な笑顔で、あたしに笑いかける。

その右手には大きな紙袋と、そこから溢れそうなチョコレートを持って。

「おはよー」
「おはよう?もう放課後だぞ」
あたしの適当な挨拶に彼は笑う。
「いーのよ、他に言いやすい挨拶ないんだから」
「うーむ...」
あたしの屁理屈にガウリイは頭を掻いた。

放課後の教室。あたしとガウリイの他には誰もいない。
当然である、誰にもこんなところは見られたくないのだから。

「今年も沢山貰ったじゃない」
「へ?」
ぽかん、とした表情のガウリイに、あたしはちょっと腹が立った。
「今日はバレンタインなんだから、チョコに決まってんでしょーがっ!」
「ああ、そーだな。有り難い有り難い」
彼は素直に喜んでみせた。
...まあ、大食いなコイツの事だから、全部ちゃんと食べるんだろう。
それがまたちょっと悔しい。

彼は袋を置いて適当な席に腰掛けた。つられてあたしも座り込む。
「..リナは、今年も誰にもチョコ渡さないのか?」
「えっ...あ、うん」
思わず頷いてから、しまった、と思った。
でももう遅い。
「...あたしは、毎年チョコレート会社の陰謀に振り回される気はないのっ」
いつも通りの強がり。
...ポケットの中の、今まさに渡そうとしたチョコレートが泣いている。

あたしはポケットに手を突っ込み、渡せないチョコレートを弄ぶ。
──...ああ、手作りなんて性に合わないことするんじゃなかった。
しかも、アメリアの奴、ラッピングは任せろとか言って、おもいっきりピンクの可愛い小袋。
今ここにいない友人をちょっぴり恨みつつ、目の前のガウリイに八つ当たりすることにする。
「あんたなんか、そのチョコ全部食べて太っちゃえば良いのよ」
「残念だな、オレはいつも剣道でハードな練習してるから、そんな簡単には太らん!」
えへん、と胸を反らすガウリイ。
剣道部期待のエースガウリイ君。これもコイツがモテる一つの要因。

...それにしても。
「あんた、いつもいっぱい本命チョコ貰う癖に、その中から彼女作らないわよね」
なんで?と言外に問うてみる。
...いや別に、ただ気になるだけだし!いわゆる素朴な疑問だし!チョコあげるのだって、アメリアから日頃の礼に渡した方が良いとか言われたから...って、誰に弁解してんだあたし。

その時、ガウリイはちょっとあたしから視線を逸らした。
...おっ?

「うーん...欲しいチョコ持ってる奴が、いつもくれないから」
「ふ~ん...」
あたしはちょっと驚いた。
──コイツにも本命、いるんだ。
...なんでだろ、なんかヤダな。

彼はそんなあたしの様子を見ながら、頭を掻いた。
「あ~と...だから」
「ん?」
ガウリイはちょっと顔を赤くして、でも人の悪い笑顔をする。
「リナのそのポケットに入ってる奴、欲しいんだが」
「!!!」

あたしは瞬間頭が真っ白になった。
「な、なんで知って...!」
ガウリイは頬をぽりぽり掻いた。
「いや、その..ポケットさっきから怪しいなと。ずっと手突っ込んでるし...さっきからバレンタインの話題やめないし」
「うっ...」
ガウリイの癖に鋭いっ

「..で、くれないのか?それ」
「...っ」
顔が熱い。きっと赤くなってるにちがいない。
...ああもう!こうなりゃヤケよっ

あたしはポケットからチョコレートを取り出して、ガウリイにつき出した。
視線を逸らして、でもガウリイの反応が見たくてまた視線を戻す。
「サンキュっ」
彼は満面の笑みでそれを受け取った。
...わ、嬉しそう。
「ど、どーいたしましてっ!」
...チョコ一つ渡すのになんでこんなに苦労しなきゃならんのだ。

「リナ」
名前を呼ばれて我に返る。
「な、なによ?」
「今これ食べて良い?」
きらきらした目で尋ねられて、あたしはちょっと狼狽する。...だって恥ずかしいじゃないの!
「まあ、別にいいけど..」
「やった!」
彼はこっちが恥ずかしくなるくらい嬉しそうに袋を開けて、あたしの手作りトリュフをひとつその口に放り込んだ。

「...美味い!」
その言葉と表情にほっとした。...まあ、昨日味見ちゃんとしたけど。
喜んで貰えたなら、まあ、嬉しい。うん。
「ほんと?」
「ああ」
ガウリイは笑ってあたしの口にもうひとつを放り込んだ。
「!ってあんたね..」
ほろ苦いトリュフの味が口の中に広がる。
「美味いだろ?」
「....まあね」

ぷい、と顔を背けたあたしに、また言葉が降ってくる。
今度はちょっと真面目な口調。
「なあ、もうひとつ聞くぞ?」
「なによ」
「...これ、本命だと思って良いか?」
「...」
振り返ると、剣道の試合の時みたいな顔をして、ガウリイがあたしを見つめていた。

不覚にもどきりとして、でもそれに気付かれたくなくて、あたしはわざと冗談みたいに笑った。
「そーゆう事にしといてあげる」

彼は少し黙った後、クスリと笑った。
「じゃあそう思っとくぞ、リナ。今更義理とか言うなよ?」
「い、言わないわよっ!」
思わず叫ぶと、引き寄せられた。
「ぎゃっ!」
「やった、すげえ嬉しい...っ」
声があたしのすぐ隣から響いてきて、胸が小さくきゅう、と締まる。
「....ばあか」
それから、あたしは一時なんだか分からない恥ずかしさを我慢しなければならなかった。


その頃、そんな二人を物陰から覗くふたつの影。
「...なんか、出ていきづらい状況ですね。ゼルガディスさん」
「そーだな」
忘れ物を取りに戻って来たのは良いが、なんだかんだ教室に入れなくなってしまった。
「アメリア、どうする?」
アメリアと呼ばれた少女は、クラスメイトの少年に微笑みかけた。
「あんな甘い雰囲気じゃ、入って行けませんよ」
「...ああ、甘いな」
二人はそのままゆっくりと立ち上がって、その場を後にしたのだった。


終わり

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いやあ、なんだかちょっと長くなってしまいました(^^;
でも書いてて楽しかったです。
ではでは皆様、ハッピーバレンタイン!

私もガウリイにチョコあげたいよう...


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1 コメント

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Unknown (セイラ)
2012-05-03 09:02:01
チョコレート会社の陰謀^^;;わたしも そう おもいます;;;もちろん。。高過ぎたチョコレートだけないなら良いと思うが
欲しいチョコ持ってる奴が、いつもくれないから。。わっ!! ガウリイ。。!! でも。。リナ。。バカ;;ガウリイが チョコレートを受けたらお前の物しかないんじゃないの!
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