ガウリナSS更新です。
診断メーカーお題「二人で辿り着いた未来 」
戦いの後で。
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――満身創痍。言葉にすればそれが一番相応しいかもしれない。今の状態には。
「リナ……だい、じょうぶか?」
「んん、ちょっと……自身満々には、言えないわね……まあ、生きてるわよ。いちおう。――そっちは?」
「まあ、オレも似たような感じか……な」
ハアハアと荒い息を吐きながら、互いに無事を確かめ合って。掠れて途切れ途切れの声でも、思ったよりはしっかりした声が聞こえてくる事に、あたしは内心でホッとした。
焦げた臭いがする。草木が、建物が、そしてそれ以外のモノが焼けた臭い。鈍く重い痛みが身体を鉛のように地面に縫い留める。呼吸をするたびに肺の辺りが痛い。それでも吸い込む空気は甘くて、倒れ込んだ地面から見上げる空は綺麗に晴れ渡っていた。
――終わったのだ。
全てが上手く行ったわけでは無くて。二人とも文字通りの満身創痍で。魔族のせいで街は酷い有様で、人々は沢山の被害を受けて。
それでも、それでもあたしたちは『今』に辿り着いた。二人でしか辿り着けなかった、明日へと続く『今』に。
「今回ばかりは、死ぬかと思ったわ……」
ぼんやりとそう呟いたら、隣で横たわる相棒の苦笑したような気配があった。
「ほんとにな」
「でも、終わったわね」
「そうだなあ……」
倒れ込んだまましばらく二人して黙りこむ。
――今回は、魔王と戦った時と同じくらいしんどかったかもしれないなあ。
不意に思い出した記憶に目を伏せながら、あたしはゆっくりと身を起こす。擦り傷、切り傷だらけの身体はじくじくと動くたびに痛い。けれど、動かせないことは無い。我ながらしぶとい。
あたたかな日差しを浴びて、その太陽の光が優しく感じる。その光を受けてきらりと光ったのは相棒の長い金髪だった。寝転がったままの彼を見下ろして、あたしは微笑む。
「起きれそう?」
「おう、大丈夫だ」
ガウリイはにっと歯を見せて笑って見せて、それからあたしと同じようにゆっくりと身を起こした。その拍子にちらりと顔を顰めた彼の、両腕の傷はあたしのよりも深いかもしれない。あとでちゃんと見せてもらわなければ。
「――腹減った」
ため息交じりにそう告げた彼の声と、同時にあたしのお腹もきゅうと音を立てる。
「あはは、あたしも」
「……じゃ、そろそろいくか」
頷いて、あたしたちは立ちあがった。両足に力を込めて、靴底に硬い地面の感触を確かめる。――大丈夫、あたしはまだ立っていられる。歩き出す事だって出来る。
「そうね。行きましょ、ガウリイ」
あたしたちは、これからも歩いていくのだ。どんなに険しい道のりだって、辛い道行きだって。
辿り着くはずの、いつかの未来を目指して。
「リナ……だい、じょうぶか?」
「んん、ちょっと……自身満々には、言えないわね……まあ、生きてるわよ。いちおう。――そっちは?」
「まあ、オレも似たような感じか……な」
ハアハアと荒い息を吐きながら、互いに無事を確かめ合って。掠れて途切れ途切れの声でも、思ったよりはしっかりした声が聞こえてくる事に、あたしは内心でホッとした。
焦げた臭いがする。草木が、建物が、そしてそれ以外のモノが焼けた臭い。鈍く重い痛みが身体を鉛のように地面に縫い留める。呼吸をするたびに肺の辺りが痛い。それでも吸い込む空気は甘くて、倒れ込んだ地面から見上げる空は綺麗に晴れ渡っていた。
――終わったのだ。
全てが上手く行ったわけでは無くて。二人とも文字通りの満身創痍で。魔族のせいで街は酷い有様で、人々は沢山の被害を受けて。
それでも、それでもあたしたちは『今』に辿り着いた。二人でしか辿り着けなかった、明日へと続く『今』に。
「今回ばかりは、死ぬかと思ったわ……」
ぼんやりとそう呟いたら、隣で横たわる相棒の苦笑したような気配があった。
「ほんとにな」
「でも、終わったわね」
「そうだなあ……」
倒れ込んだまましばらく二人して黙りこむ。
――今回は、魔王と戦った時と同じくらいしんどかったかもしれないなあ。
不意に思い出した記憶に目を伏せながら、あたしはゆっくりと身を起こす。擦り傷、切り傷だらけの身体はじくじくと動くたびに痛い。けれど、動かせないことは無い。我ながらしぶとい。
あたたかな日差しを浴びて、その太陽の光が優しく感じる。その光を受けてきらりと光ったのは相棒の長い金髪だった。寝転がったままの彼を見下ろして、あたしは微笑む。
「起きれそう?」
「おう、大丈夫だ」
ガウリイはにっと歯を見せて笑って見せて、それからあたしと同じようにゆっくりと身を起こした。その拍子にちらりと顔を顰めた彼の、両腕の傷はあたしのよりも深いかもしれない。あとでちゃんと見せてもらわなければ。
「――腹減った」
ため息交じりにそう告げた彼の声と、同時にあたしのお腹もきゅうと音を立てる。
「あはは、あたしも」
「……じゃ、そろそろいくか」
頷いて、あたしたちは立ちあがった。両足に力を込めて、靴底に硬い地面の感触を確かめる。――大丈夫、あたしはまだ立っていられる。歩き出す事だって出来る。
「そうね。行きましょ、ガウリイ」
あたしたちは、これからも歩いていくのだ。どんなに険しい道のりだって、辛い道行きだって。
辿り着くはずの、いつかの未来を目指して。
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