~ 今は昔、
竹取の翁といふ者ありけり。
野山にまじりて竹を取りつつ、
よろづのことに使ひけり ~
『小机城址公園』で開かれる【竹灯籠まつり】は、
美しい竹林の保全と竹文化の普及・継承を図る、
地域と密着したお祭り。
その活動はボランティアの人々によって支えられています。
竹は、永らく日本人の暮らしと共にある。
竹林の多くが失われても、
縁起物や、風習の中に姿を残し。
夜ともなれば、普段は闇に包まれる山の。
斜面と言う斜面、竹林という竹林が、5000の灯籠で埋め尽くされて。
その若い幹は、『たけのこ』として、
大変人気ある食材となって。
また、材木、素材としての利用は多方面にわたり、
もうこれは私などが言うまでもなく......
保全のために、適度な間伐が必要な竹林の、
その伐採した竹を利用して。
昔ながらの定規、耳かき、
楊枝に菜箸、うちわの骨......
竹馬、竹とんぼ。
子供の頃の思い出にも、それは多く姿を見せるのだ。
『協力費』としての500円が、
例えば5000円でも、また訪れたいと思うほど。
丈夫さと軽さ、その柔軟性。
そういえば子供のころには、父が細い竹で紙鉄砲を作ってくれ、
学校の工作にも、しばしば竹ひごを使ったものだが......。
今となっては、放置され、荒れていく竹林の多い中で、
それでも、あの青々した、まっすぐな姿を、愛する人も多いと思う。
揺れるろうそくは、竹の中に満たされた水に浮かび.....
人の手で、ひとつひとつ灯されたもの。
その準備のご苦労は、いかばかりであったろうかと思われるほど。
前夜の大雨で、水を満たす作業だけは、本来より楽になったと聞くけれど。
中途には、こんなコーナーもあり。
尺八の音色、地元の子供らが絵のように組んだ灯籠も。
青い竹は火に強い。
冒頭にあげた、【竹取物語】は、『日本最古の物語』だそうだが、
その『日本最古』に登場するということは、
我々の竹との付き合いも、相当古いということだろう。
道のどちら側を見ても、
また、前を見ても後を見ても、温かくさざめく光の海。
だからこそ、
高度経済成長や手軽なプラスティックが、彼らを隅に追いやろうとも、
我々はいつも、無意識なほど自然に、竹を愛するのだ。
そして、温められた、かっぽ酒(笑)
そう、上で直に炭火にかけられていたのはこれ。
切り口がハートみたいな竹を選び、
なみなみついでもらえば。
その風情と香りに酔いもまた格別。
(器ももちろん、持ち帰り可能)
今、日本の竹林は危機を迎え、
その管理と利用は、進むべき道を模索中だという。
竹灯籠祭もそのひとつ。
やきそばや笹団子を売る屋台の骨組みも竹。
そのやきそばを盛る皿も竹。
飲食コーナーのテーブルにも、竹の花入れがさりげなく、設えられていて。
あ、そうそう!
帰り道にはこんなかわいい子とお友達になりましたが.....
「もしかすると、この山はあんたの縄張り?」
(かわいいカラーをつけていたので、ご近所の子かな)
もしかすれば、
竹取の翁は現代にも生きて......
彼の愛した竹林のゆくえを、見守っているのかもしれない。
この美しい光景。
かぐや姫は月で、どう見ているかな。
「ああ、地球に残っておくんだった」
そう思ってるかも(笑)