久々、この方が主役です。
その男の名は『バーボンソーダ』。
真冬のNY。
アムステルダムAveと、
81stがクロスする交差点から、
その名は由来する。
一角にあるBARの、
片隅の席で、彼が何度も頼んだ飲み物。
それが…
バーボンソーダだったのだ。
「バーボンソーダをくれ」
注文をとりにきた店員が、
真冬のNY。
アムステルダムAveと、
81stがクロスする交差点から、
その名は由来する。
一角にあるBARの、
片隅の席で、彼が何度も頼んだ飲み物。
それが…
バーボンソーダだったのだ。
「バーボンソーダをくれ」
注文をとりにきた店員が、
どこか、胡散臭げに彼の目を覗きこもうとしたのは。
…どんな理由からかはわからない。
ただ、そこで出てきたバーボンソーダは、奇妙に薄く、
瓶に詰められていたのも風変わりだったと、
彼は、遠い目をして語る。
「あれは…そう。俺がよく眺めた、
あの子の身体によくフィットした、
赤と白のドレスのデザインに似ていたな」
と。
「俺はただ、
バーボンソーダが飲みたかっただけなんだがな。
…普通の、ただ、ごく普通の」
~~~~~~~~
「バーボンソーダをくれ」
6度目の注文をして、
彼はそれを諦める。
なぜ、望んだものが出てこず、
バドワイザーばかりが出されたのか…。
「その理由は、後で知ったさ」
英語では、それはバーボンソーダではなく、
『バーボン&ソーダ』と、注文すべきだったと。
あのふざけた店員が俺の目を怪訝そうに覗き込んだのは…
その発音が、聞き取れなかっただけだったのだと。
「俺は途中で諦めたね」
皮肉な笑いを鼻から漏らし、彼は言う。
…あの冬。
あの真冬のNY。
アムステルダムAveと81stが交わる角のBARで、
6本目のバドワイザーを飲み干したのち、
俺は雑踏の中にその身を隠した。
「…ポンポン冷えちゃう!」
…どんな理由からかはわからない。
ただ、そこで出てきたバーボンソーダは、奇妙に薄く、
瓶に詰められていたのも風変わりだったと、
彼は、遠い目をして語る。
「あれは…そう。俺がよく眺めた、
あの子の身体によくフィットした、
赤と白のドレスのデザインに似ていたな」
と。
「俺はただ、
バーボンソーダが飲みたかっただけなんだがな。
…普通の、ただ、ごく普通の」
~~~~~~~~
「バーボンソーダをくれ」
6度目の注文をして、
彼はそれを諦める。
なぜ、望んだものが出てこず、
バドワイザーばかりが出されたのか…。
「その理由は、後で知ったさ」
英語では、それはバーボンソーダではなく、
『バーボン&ソーダ』と、注文すべきだったと。
あのふざけた店員が俺の目を怪訝そうに覗き込んだのは…
その発音が、聞き取れなかっただけだったのだと。
「俺は途中で諦めたね」
皮肉な笑いを鼻から漏らし、彼は言う。
…あの冬。
あの真冬のNY。
アムステルダムAveと81stが交わる角のBARで、
6本目のバドワイザーを飲み干したのち、
俺は雑踏の中にその身を隠した。
「…ポンポン冷えちゃう!」
その男の名は『バーボンソーダ』
そう。
バーボンソーダを注文して、
けれどそれを聞き取って貰えず…
6度、バドワイザーを飲んだ男。
そう。
バーボンソーダを注文して、
けれどそれを聞き取って貰えず…
6度、バドワイザーを飲んだ男。