猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

君子蘭の葉の色は。

2013年03月27日 14時14分26秒 | つぶやき


Nさん、ありがとう!


子供の頃。

爺さんの家の庭は陰気で暗く、
だから、明るい花が欲しかった。

『陰気で暗かった』のは、
もしかして、家族の状況や、
もちろん、頭のおかしい爺さんの言動・行動にも原因はあるのだろうけれど、
考えてみれば、
あの頃の木造平屋建て住宅の庭は、
どこもそんなもの、だったようにも思う。

 

M君夫妻、Kちゃん、みんな、ありがとう!



物置を抜けた先の庭。

…柿の木、沈丁花、
花の咲かないキンモクセイ。

黒みがかった光沢の、
硬い緑の葉を持つ樹木。

夏には、湿った地表一面に、フキがびっしりその葉を広げ、
その陰には茗荷。

今になればそれは、
やはりそれぞれに美しくはあったのだろうけれど、
その頃私は、それが好きではなかった。

だから、明るい色の花が欲しかった。

花屋の、店先で目をひいた君子蘭。

名前がかすかに、何かを期待させる、福寿草。

大人の頭で考えれば、やはりそれはどう見ても、
明るい花どころか、
あの暗い庭にぴったりの部類のものなのであるが、
今ほど多くは園芸種が売られていない時代のことである。

あの暗い庭が育てた
私の目のせいもあるかもしれないが。

とにかく、君子蘭は無事、私のものとなった。

小さな、小さな福寿草も。

今は好きではない、それらの花たち。

そういえばあの庭には、唯一、
例外として、明るい花があったな。

薄いピンクの、雨にひときわ輝く薔薇。

蔓をあちこちに伸ばしては、
数えきれない花をつける。

…まだ、フリージアやポピーや、
スイートピーすら目新しい時代。

君子蘭のオレンジは、それは明るく輝いて見えた。

 

弟妻よ、ありがとう♪


…好きな花。

好きな花は、きっと、
思い出と結びついている。


とても小さな頃。

狭いアパートの前庭には、
母が大事に育てた、
白い牡丹やスズランが、
見事な花を咲かせていたが。

今、私が好きな花は…

これからも、それは、変わってゆくのだろう。