大阪府教育委員会は、「総合的判断」と「C評価」で再任用を拒否できる制度を7月より実施することを決めました。狙いが教員管理、特に「不起立」教員の排除にあることは言うまでもありません。政治による教育支配はますます実態化しています。「君が代」不起立は憲法で保障された思想・良心、信教の自由、表現の自由の問題です。教育の場における憲法の蹂躙化を許すならば、「改憲」さえいともたやすいことになりかねません。私たちは、府教委の横暴な遣り方を問題にしあくまで闘っていきます。
府教委と組合との交渉過程をなかまユニオン山田光一さんより投稿いただきました。
評価Cの再任用拒否との府教委提案について
(なかまユニオン大阪府教職員支部:山田光一)
3月に府教委は「再任用希望者のうち、当該年度の評価結果において、Cの評価を受けた者は、再任用(任期更新)しない」と各組合に提案、4月1日実施としていた。しかし3月26日の閣議で、年金支給年齢引き上げを前にして、人事院意見や高齢者の雇用安定等に関する法律などの基本理念に則り、「国家公務員の雇用と年金を確実に接続する」こと。「国家公務員法・・・の規定に基づく欠格事由又は分限免職事由に該当する場合」以外は希望する者は再任用すること。そして「地方公務員の雇用と年金の接続については、各地方公共団体において、本決定の趣旨を踏まえ、能力・実績に基づく人事管理を推進しつつ、地方の実情に応じて必要な措置を講ずるよう要請する」と決定された。そのため府教委はこの提案について4月1日実施はできないとし、「国の動向を見極めたうえで再提案」としていた。
ところが府教委は6月に全く同じ提案を7月2日実施として示し、その根拠として、「地方公務員法は改正されていない」「閣議決定でも『地方の実情に応じて』とされており、大阪では職員基本条例第14条第2項(人事評価の結果は、任用又は給与に適正に反映しなければならない。)と規定されている」こと。そして総務省や文科省に問い合わせて、違法ではないという回答を得ているとしている。
これに対して6/26の交渉では、①公務員では、再任用は年金支給年齢引き上げに見合う給与保障として制度化されているもの。②閣議決定の趣旨は、年金支給年齢引き上げの中で定年延長の議論もある中で、そして民間企業でも「高齢者雇用安定法」の改正により65歳までの雇用を保障すべきとの流れの中で、公務員についても「雇用と年金を確実に接続する」べきというもの。③「地方の実情に応じて」とは、予算面での過不足などをさすもの。④評価cを、給与(勤勉手当)減額、再雇用打ち切りの理由とすることは二重罰にあたる。⑤したがってこの提案は閣議決定の趣旨に全く逆行するものであり、断じて認められない等との怒りの声がぶつけられた。
しかし府教委はこうした追求に対して、「任用についてはあくまでも府教委の判断による」「これまでも再任用については必ずしも希望者全員採用ではなく、総合的判断によっておこなってきた」「今回の提案はこれを明文化しただけ」と言い逃れようとしたが、「これまでは『総合評価とは単に人事評価や不起立などの一点のみを理由として不合格としていない』と説明していたことと明らかに矛盾する」「『総合評価』という極めて不透明・不当な排除方式に加えて、その当該年度でのC評価ということでの排除方式を設けるもので、雇用と年金の不接続というしかない提案だ」との批判が集中し、明確な回答のないまま交渉は平行線のまま終了となった。
今回の府教委提案は、定年を迎えた当該年度の人事評価Cという提案で、今のところ自己申告不提出等による「評価なし」の者は含まれないとしているが、今後はさらにそれも標的にいれてくることが予想される。また不起立者への再任用拒否の攻撃とも、当然、連動して、府教委に異を唱える者は徹底して排除しようとすることに拍車をかけようとするものである。またこうした大阪の動きが容認されるなら、東京や全国にも波及する可能性が大きいと言わざるを得ない。
そうした意味でも、これまでの維新による政治の教育への介入がすすめられてきた動きのうえにたつ攻撃として、そして、今、一方でその維新への支持が揺らいでいる局面の中で、しかしながら自民党がこの維新の動きをうまく利用して、憲法破壊・教育支配の方向が意図されている状況のもとで、これに反対する教職員・市民・保護者等の幅広い運動との連携がますます必要とされていると思う。