東京や大阪、神奈川で、実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」の採択への前代未聞ともいえる教育委員会の介入が続いています。まるで自民党壊憲草案を先取りするかのようです。子どもたちに「日の丸」敬わせ、「君が代」を歌わせるためには、「日の丸」「君が代」への批判は一切許さぬ、いやそれどころかそういう事実があったことさえなかったことにしようとしてます。
子どもたちに「戦争を肯定する教科書」を渡さない市民の会(名古屋)事務局の小野政美さんから名古屋の状況を伝えるメールが届きました。以下掲載します。
東京都に始まり、大阪、神奈川などで教科書採択への政治介入が拡散していますが、名古屋市関係の最新情報を送ります。
①名古屋市内の市立高校の校内採択は、ほぼ終了しています。
②しかし、この間、名古屋市内の市立高校で、6月下旬に、複数の市立高校で、普通科高校校長を通して、教育委員用に、日本史B教科書6セット(教育委員6人)を社会科担当教員に準備させています。
③また、7月12日には、名古屋市教育委員会が、「聴取会」の名目で、日本史Bの教科書出版社を呼びつけて「聴取」を行っていたことが、7月の教育委員会会議で分かりました。
④なお、以下は、2011年以来の名古屋市、名古屋市教委の現状報告です。
名古屋市での河村市長と「つくる会」とのあぶない「緊密な連携」
(1)2011年7月12日、名古屋市市役所内で、自民党・民主党議員などによる「歴史教科書を考える名古屋市会議員の会」(藤沢忠将代表)主催で、自由社から藤岡信勝「つくる会」会長、「育鵬社」石井昌浩日本教育再生機構副理事長が報告した「中学校歴史・公民教科書の公開討論会」が開かれた。河村市長、名古屋市教育長、教育委員長、教育委員が参加した。
150名が参加した「公開討論会」は、教科書会社が自社の教科書の長所をはじめ編集方針や工夫などをプレゼンテーション。名古屋市教育長、教育委員長、教育委員計3名が参加し、自由社からは、藤岡信勝「つくる会」会長。「つくる会」自由社版歴史教科書は、「教育基本法の改正及び学習指導要領の改訂を真正面から受け止めて、日本の歴史の特色を分かりやすく記述し、南京事件では初めて存在しなかったという立場で執筆を試みた」とし、公民教科書では、「初めて国家の役割を記述した教科書である」と強調した。「育鵬社」は、石井昌浩日本教育再生機構副理事長が報告した。河村市長は、「国民の知る権利に応えるのは民主主義の絶対的基本」と最初に挨拶し、最後にも、「公開討論会は静謐な環境に基づくもの」としめくくった。その後、河村名古屋市長は、9月市議会で、公開討論会に欠席した社から教科書が選ばれて、とんでもないショック」「教科書選定を市教委の聖域にしてはいかん」「一方的な自虐史観に基づいて何でも謝ってきゃええという国家観に対して、今こそ立ち上がらんといかん」と力説した。河村市長は、2007年6月、民主党議員時代に、自民党議員らと連名で、「ワシントンポスト」に、「従軍慰安婦は、公娼であり、強制の証拠はなく、性奴隷ではない」と主張する意見広告を出したこともある。
現在、名古屋市教育委員会の現状は、極めて厳しい状況である。河村たかし現市長や藤沢忠将市長候補によって教育委員が選任がなされるならば、2011年の横浜市と同様に、2015年に名古屋市で、「育鵬社」の歴史・公民教科書が採択される可能性が大きくなっている。
名古屋市教育委員(6名)は、河村市長の意向を受けた「つくる会」系教科書支持の教育委員が多数派になり、市立中学の教科書採択への「学校表」の中に「育鵬社」等の「つくる会」系教科書を評価する学校が出てきたり、中学校の現場教員の中に「つくる会」系、育鵬社教科書支持が深く静かに浸透していたり、社会科教育の現場教員の歴史認識に大きな変化が生まれていることは危険である。名古屋市では、育鵬社・自由社に◎を付けた学校が10校前後に増加している。
その後、河村市長は、教科書採択決定後の市議会で、「公開討論会に欠席した社から教科書が選ばれて、とんでもないショック」「教科書選定を市教委の聖域にしてはいかん」「一方的な自虐史観に基づいて何でも謝ってきゃええという国家観に対して、今こそ立ち上がらんといかん」と力説した。河村市長は、2007年6月、民主党議員時代に、自民党議員らと連名で、『ワシントンポスト』紙に、「従軍慰安婦は、公娼であり、強制の証拠はなく、性奴隷ではない」と主張する意見広告を出した。
(2)河村市長「南京発言撤回しない」発言を応援し、南京事件否定説を主導する「つくる会」
『南京の真実国民運動』副代表の藤岡信勝は、河村たかし名古屋市長の「南京虐殺」否定発言を全面的に応援している。「つくる会」は、「歴史教科書の現状克服を課題として発足し、自虐史観の最大のテーマが南京事件。会は、南京事件はなかったとする「南京事件否定説」を会の立場とし、自由社の教科書は、否定説の立場から書かれた唯一の教科書」とした。
(3)「教科書討論会」以来の市議グループとの連携
河村発言のあと、昨年7月に名古屋市で中学校歴史・公民教科書の公開討論会を主催した市議グループ(藤沢ら)から「つくる会」に、東京でも河村発言を支持する声を上げてくれないかという要請があったとする。市議グループは、南京事件についての立場が、河村市長の発言と一致することを知っていて連絡したとして、「つくる会」は、3月6日に、東京で緊急国民集会を主催し、この集会の後援団体を主体として、『南京の真実民運動』(渡辺昇一代表)という組織を結成し、事務局を、「つくる会」に置き、南京虐殺否定キャンペーンを行っている。