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「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

7.24大阪府教委傍聴記~入試ミス問題~

2013-07-25 22:05:45 | 中原教育長下の大阪の教育

大阪市教委会議傍聴に引き続き、7月24日は大阪府教委会議を傍聴しました。この日の議事はたった一つ、例の入試ミスにかかわる分析と採点等改善方法についてでした。2時間の侃々諤々の論議の後、結論は次の8月会議に持ち越されることになりました。

しかし、当ブログでも紹介しました教科書排斥問題についてはまったく報告はありませんでした。7月9日、府教委事務方から府立学校校長・准校長宛てに送られた実教出版日本史教科書排斥メールについて、6月定例会議でも今回の会議でも一片の報告すらないということは考えられないことです。あの前代未聞の、法にも触れる疑いのあるメールは事務方が独断で勝手にやったことなのでしょうか?それとも公開の会議以外のところで教育委員も了承していることなのでしょうか?これでは全くわかりません。今後追及を続けていきたいと考えています。

ここではその問題をひとまずおき、「入学者選抜における選抜事務に関する分析及び改善の検討状況」の議論について報告します。まず事務方が提示したレジュメ6枚を掲載します。

 

 

事務方からレジュメに基づく説明後2時間にわたる侃々諤々の議論が始まりました。

◆陰山委員長「ミスについて極めて初歩的なものばかりだという気がする。」

◇中原教育長「分析と改善方法について、1解答用紙の問題があった。配点の問題、小計・集計の問題など。これは事務局として工夫をする。2一部マスメディアが報道した採点機関が短かったか。資料1を見てもらえばわかるが、大阪が特に短いというわけではない。3マークシートの導入についてはどうか。」

◆木村委員「模試業者は、シンプルな配点にするなど工夫している。採点しやすいような工夫が必要。論述問題は採点ミスが多くなる。」

◆中尾委員「二系統で採点するのは賛成。採点期間については長いからミスが起こらないというものではない。雑談や飲食をしながら採点しているという話も聞く。科目担当以外の教員が採点しているが、英語の採点は英語の教員が採点するのがベストだと思う。」

◆木村委員「模試業者から色んな資料を借りて対策を考えては?既にやられているかもしれないが。」

◇中原教育長「今いただいた意見を参考にしたいが、事務局と考えの違うところもある、論述が多いからミスが多いということはなかった。(大阪の)論述問題は評価されている。論述問題(を変えること)は考えていない。採点期間は資料を見てもらえばわかるように日数的に考えて大阪府だけが(教員に)過度な労を強いているわけではない。論述が多いから二(採点)日数を多くということは考えていない。雑談・飲食については基本的に校長のマネジメントに任せたい。他教科の教員の採点については、たとえば記号などと限定しているので問題はない。」

◆木村委員「学校ごとにボーダーゾーンの設定が違うなど複雑すぎるのではないか。」

◇中原教育長「学校の特色を出すため各学校は工夫している。来年度からは学校全廃をするので、もっと多様化してもよいと考えている。私が校長をしていた和泉高校でも英語教育が目立っていたが、(ボーダーゾーンの合否判定に)数学を入れたことで、近隣の塾も(和泉高校は)数学にも力を入れていると理解された。」

◆木村委員「一概に統一とまでは言わないが、そのメリットデメリットを考えては?」

◆小河委員「ここで、あまり具体的、個別的な議論をしてもどうか。それより私の理解が十分でないのかもしないが、採点の技術的な分析ではなく、(入試採点の)全体の構造をどう整備していけばいいと考えておられるのか教えていただきたい。全体的な(入試採点の)見方を変えた対応をどう整理するのか聞かせてほしい。」

◇中原教育長「抽象論や精神論では(入試改善に)対応できない。具体的な改善方法を示した。二系統の採点、解答欄の工夫など。」

◆中尾委員「自分には公立私立の校長体験があるが、私立は自分たちで問題を作る。今回の入試ミスの問題は企業における品質管理安全管理の問題だと考える。ミスは許されないはずだ。仕組みがマニュアル化され校長が周知徹底していたか?みんなでやるというのは一番まずい。責任者をはっきりさせる必要がある。校長が来年度に向けてミスがどうやったら起こらないか、教員に意見を求めているのか?現場だ。自分の責任でやっているという自覚があるのか?府教委が考えて上からこれをやりなさいというだけではなく、学校としてこんな問題があり、こうやっていかなければならないという話ができているのかという問題だ。」

◇事務局「各学校で入試委員会を設定してやっている。」

◇中原教育長「抽象論や精神論ではなく具体的に、科学的に考えていかなければならない。品質管理で考えるとマークシートということになるが。」

◆陰山委員長「私はとにかく多いと思った。府教委のマネジメント、学校のマネンメント、それぞれに考えていかなければならない。それと同じ人間がミスをしていないか?しているなら、あの先生やばいよね、危険だよねという人(がいるのでは)、精神論ではないが、高い能力の人もいれば困った人もいるわけだし。校内におけるマネジメントが不十分であったことは否めない。たるんでいたという数字だ。学校現場にちゃんとフィードバックできていなかったのでは。アバウトなところでさえできていなかったということだ。それでお聞きしたいが、全体の三分の一の学校でミスがあった。ではミスがなかった三分の二がどうであったか知りたい」

◇中原教育長「フィードバックについてぶっちゃけて言うと、アリバイ作りになってしまっている。そういう風潮が教育委員会にあった。」

◇事務局「ミスがなかった学校の校長の話だが、1回目の採点ミスが発見された時点で全部見直した。採点の点検をメンバーを変えてやったとのこと。」

◇中原教育長「恥ずかしい話だが、私が校長をしていた和泉高校でもそれはやっていた。ボーダーゾーンの確認もすでに午後8時をまわっていたが全部見直した。それでもミスがあった。」

◆陰山委員長「やはり(ミスの数は)多いんじゃないのと思ってしまう。ゆるみたるみがあるんじゃないかと。ちゃんと抑えて結果を出したい。1回でもミスしたら(処分する)、これは効果的な予防になると思う。」

◆立川委員「兵庫県が122校1407人にわたって過去5年間にさかのぼって詳細な分析を出している。再発防止に取り組んでいる。」

◇中原教育長「兵庫県のどの部分が参考になるか、具体的に言ってほしい」

◆立川委員「答案用紙など。(府教委事務局の入試ミスについての)分析は足りない。情報が足りない。委員としてちゃんと説明を受けたい。」

◇中原教育長「それならやりますか?時間もかかるがこちらとしてはやっていただけるのであれば嬉しい。膨大な資料だが、説明させてもらう。ここでそれだけでも(やる・やらないを)決めてほしい。」

◆小河委員「事務局としてやっているのだから、そこは信頼して任せる。」

◆陰山委員長「教育委員会と事務局の関係として、委員会が基本的な方針を決定し、事務局で進めてもらう、それが法の精神。委員会で入試事務のミスがないようにと確認はしなかったが、それはあたりまえのことだと思っていたからだ。実施上の問題だが、事務局が言ったことは現実的にできるのか。シミュレーションしてやってみる必要がある。二系統でやる。ならコピー代はどうなのか?情報管理の問題は?」

◆中尾委員「(ミスのあった教員?)全員集めてどういう問題があったのか各教員から聞く。PDCAサイクルが毎年必要だ。」

◆木村委員「(二系統で採点するための)答案コピー代は?時間は?コピーのペーパーの色を考える。しかし、それにしても逆に変なミスを誘発しないか。複雑にすればかえってミスは増えるとも考えられる。」

◆陰山委員長「再点検方法について外部機関を活用するというのは、個人的に反対だ。A高校の再点検をB高校に、というような工夫はできないか。外部機関の活用は市民感情として賛同は得られない。」

◇中原教育長「むしろ、内部でやるすなわち同業者でやることの方が市民の賛同は得られないのではないか。原発の問題にしても外部機関がお墨付きを与えるというような遣り方がいるのでは。」

◆陰山委員長「それは、たとえば、間違いを発見した学校へ、間違いを犯した学校が10万を払うとか。市民感情でいうと、これ以上お金を使ってほしくない。採点ミスを避けるためにお金は使わない。現場で今回の入試ミスについて危機感緊張感というのはあるのか?また再点検についてはが第三者機関か外部委託は別だ。」

◆立川委員「やっぱり先生にして欲しいが。教師志望の大学生にさせるとか。」

◆陰山委員長「守秘義務がいるので、やはり、任せるのはプロということになる。」

◇中原教育長「8月末には事務局としてどうするか固めたいので、8月上旬に書面決済か臨時で会議を開いてほしい。」

◆陰山委員長「まずは教員の自浄努力で。次にマークシートの問題は?これは、受験生にとって慣れることが必要だし、全国学テでもセンター入試でもいろいろ問題はあると聞いている。教師の失敗を防ぐために子どもに失敗させてもいいのか?という問題がある。」

◇中原教育長「マークシートにしてもらったら、という意見は現場から出ている。」

◆陰山委員長「軽々にマークシートと言うのは。今日の議論を含めて8月に教育委員会を開き、そこで決定することに。それと開示の問題だが、答案を見せなくてはいけないのか?本人も辛い思いをする。」

◇事務局「個人情報保護条例の観点から必要」だ。

◆陰山委員長「入試の答案まで個人情報に入るのか。現行法令上難しいことはわかったが、そういう問題意識を持っているということは言っておきたい。」

◆小河委員「別件だが、調査書検討チームの指導助言者として馬渕塾が入っているが、教育委員として自分は知らなかった。なぜそのようなことになったのか。本日ではなくていいので明らかにしてほしい。」

◆木村委員「なぜ馬渕さんだけが選ばれのか、私も疑問に思っていた。」

◇中原教育長「過程を報告することにする。」

以上

※当日の聞き書きメモを参考に記載しましたので、実際の発言と異なる箇所もあるかもしれませんがご了承ください。あくまで印象ということでご理解ください。

今回の入試ミスがなぜ起こったか、事務局の分析はあまりにも表層的である。答案用紙の配点の仕方など確かに問題はあろう。しかし、これほどまでの単純ミスが頻発したことの原因は何であろう。私自身その採点現場にいた。

今春の入試から前後期2本立ての実施となり、現場では、3年学年末テスト及び追認テストならびに2度の卒業判定会議、進路指導、進級をかけた1・2年生の学年末テスト、それに向けての補習、卒業式、追認テスト…これだけでも生徒の一生にかかわる重大な行事が目白押しのところに、この上、どうやって2度の入試日程を組み込むことができるのか多々懸念が起こっていた。

ところが、府教委は現場の教員の声を一切聞くことなく上意下達の遣り方で前・後期入試制度を導入した。このことばかりではなく、現場の教員の意見を無視した教育政策が次々と導入されるなかで、教員は教員としての矜持をそれにつれて奪われていった。やる仕事ではなくやらされる仕事に。

今回の入試ミス結果が公表されたとき、私にはやはりと言う思いがあった。一般的に考えても、やらされている仕事のなかで責任感が乏しくなるのは否めない。今回のあまりにも多い採点ミスには、制度的、構造的な問題はもちろんあるが、教員が「歯車」にさせられたとき、仕事の質が変わってくる、そんなことも遠因としてあったのではないかと、現場にいた元教員として考えてしまう。

さて、次に提示にあったその改善方法だが、2系統で採点する方法は、委員からも指摘にあったように、これはかえってミスが増えるのではないかと危惧する。外部委託もマークシートも多々問題がある。教員の仕事が人間にかかわる仕事であることを考えるならば、教員が専門職としての矜持を取り戻し、余裕ある時間設定で、採点に値する問題であれば、畢竟ミスはなくなるはずである。今回の議論を聞き、これまでにも思っていたことであるが、信頼関係が損なわれたところで、対症療法的な改善をするだけでは、この問題の真の解決にはならないのではと考える。

 

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