不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Il Caffe con la tazza mangiabile

2004-07-28 23:28:15 | Squisito!
エスプレッソコーヒーひとつとっても
イタリア人にかかれば色んなバリエーションでお目見え。
以前のエントリで紹介した
イタリア人とヨーロッパ人を比較して
皮肉ったフラッシュでもイタリア人のコーヒーに対する
執着というか愛着を垣間見ることができます。

で、この前、
街外れの、とあるバールで発見したのは
カップごと食べてしまえるエスプレッソコーヒー。

caffe_01.jpg

その日もかなり暑くて
元々コーヒーを常飲しない私は
いつものようにアイスティーを注文したにもかかわらず、
カウンターの脇に、ある広告を発見して動揺。
9年間住んでいてこれを初めて見たので
あまりの衝撃についついアイスコーヒーの他に
この「食べちゃうカップのエスプレッソコーヒー」を
頼んでしまいました。
普通のエスプレッソコーヒーよりちょっと高めですが、
まぁ、ものは試しということで。
(普通エスプレッソは0,80ユーロ前後、
このエスプレッソは1,80ユーロだったと思う。
…うつろな記憶。)

なんてことはない
ジェラートのコーンと同じ素材、
つまり固めのワッフル生地でできたカップに
普通のエスプレッソが入っているのです。
カップの内側にはうっすらとチョコレートが塗ってあるので
ほんのりチョコのほろ苦味も口に広がります。
そこのバールのコーヒーはいい味だったので
文句なしなのですが、
カップは決して食べて美味しいものではありませんでした…。
というかたぶん、
これを注文する人が少ないからでしょうね、
なんとなくカップ用ワッフルが固くなり過ぎている気が…。
湿気ているというより乾燥しすぎてガリゴリという感じ。

caffe_02.jpg


今回はカップに少しヒビが入っていたこともあって
あわてて飲まないと、
どこかからコーヒー漏れを起して
大変なことになりそうでしたが
かといって、ヒビのないカップで出されても
のんびり飲んでいたりすると、
やがてワッフルがコーヒーを吸いこんでしまうので
それも大惨事ではあります。

これはあまりはやらないであろうなぁという実感。
これを考え出したのは果たしてイタリア人なんだろうか??

日本にも似たようなものがあるような気がしてきました。
はっきり覚えてませんが、
固い八橋煎餅のカップにお抹茶入れて飲んだりという…。
ありませんでしたっけ?そういうもの。


Le telefonate

2004-07-26 16:59:19 | 日記・エッセイ・コラム
4月からお手伝いしてきた友人のイタリア移住計画も
ようやく最終段階。
不動さんやさんから土曜日に電話があって
最終登記の手続きをするために
公証人と連絡を取って日時を決めるようにと。
先方(公証人)は夏休み前に済ませてしまいたい意向なので、
8月第一週までに手続きできるように、
すぐアポイントとってねぇ、と。

8月二週目からは夏休みってことですか。
当然ですよね、ここはイタリアですから。
そして9月後半まで仕事再開しないわけですよね。
ならば手続きは
早く済ませてしまった方がいいに決まっているのです。
ここはイタリアですから。

土曜日はもちろん
そのような事務所で働いている人は皆無。
なので、土日をやり過ごして
月曜日の朝から電話をかけつづけることに。

10:00
Dott.Montapertiはまだ出勤していません。
一時間後にかけなおしてください。

11:00
Dott.Montapertiは接客中です。
30分後にかけなおしてください。

11:30
Dott.Montapertiは電話中です。
15分後にかけなおしてください。

11:45
Dott.Montapertiは接客中です。
30分後にかけなおしてください。

12:15
Dott.Montapertiは昼休みです。
15時過ぎにかけなおしてください。

15:00
だれも電話に出ない。

15:15
だれも電話に出ない。

15:30
Dott.Montapertiはまだ戻ってきていません。
30分後にかけなおしてください。

16:00
Dott.Montapertiはまだ戻ってきていません。
17:30以降にかけてください。

長い昼休みだな…。
それとももう夏休みか!!

もう、公証人なんてきちっとした仕事なのに、
アポイント取るのさえこの始末…。
さすがイタリア人、恐るべし。

さて今日中にDott.Montapertiとお話することはできるのか?
そして8月第一週までに
アポイントを取りつけることはできるのか?!



Il micio chiamato "Fortunello"

2004-07-25 23:38:01 | 日記・エッセイ・コラム
野良猫をローマや海辺の街ほど
街中で見かけないフィレンツェ。
かつてはうちの中庭にも数匹暮らしていたけれど、
向かいの家の改装に伴って庭が整備されると
保健所の人がやってきて
おもむろに黒いゴミ袋に入れて連れ去ってしまった…。
近隣の人の抗議も虚しくという感じだったなぁ。

フィレンツェの街にも野良猫さんは結構いるようです。
先日は中央駅から目と鼻の先、
安ホテルと3つ星ホテルの混在するVia Nazionaleでの事件。

数日来、昼と夜とを問わず
猫の鳴き声が響き渡って住民の休息・安眠を妨害。
建物の屋上から雨どいに向かって鳴きつづけるメス猫。
その猫の横には生まれて間もない2匹の子猫。
そして、階下のどこからともなく聞こえてくるのは
弱弱しい子猫の鳴き声。
声はすれども姿は見えずで
住民もどうしていいのか手を焼いていた5日間。
5日目にとうとう、消防署に連絡。

声は雨どいの奥から聞こえてくることが確定。
子猫が一匹なにかの間違いで
雨どいを滑り落ちてしまったらしい。

しかし、フィレンツェの家の造りは複雑で
隣りの家との境も曖昧だし、
雨どいもどこをどう繋げてあるのか
皆目見当がつかなかったり。

今回の雨どいは
Via NazionaleにあるホテルHotel Sempioneの壁の向こう。
唯一その雨どいにアクセスするためには
このホテルの一室のバルコニーの壁に穴をあける必要がある。
その部屋はイギリス人ツーリスト3人が宿泊中。
この3人は揃って猫好きだったこともあって
すぐさまホテル側と消防署員の話しに納得して
工事が開始されることに。
2時間の作業ののち、びしょぬれで震える小さな猫を救出。
すぐに獣医さんに運ばれたこの子猫は
真黒でお腹に白い星の模様があったとか。
獣医さんで治療を受けて命に別状がないことがわかると
救出作業を行なった消防員によって
「Fortunello」と名づけられ、
(さしずめ「ラッキー」といったところかしら)
ボランティアで救出作業に加わっていた女性の元に
そのまま引き取られたそう。

これはいい話なんだろうか…。
ちょっとするといい話しなんだけど。
雨どいの向こうに消えてしまった我が子を探して
5日間泣き続けた母猫の気持ちはどうなるの?
フクザツ…。

この救出劇まで
もう何日も雨が降っていなかったフィレンツェ。
なぜ子猫が濡れていたのか?
雨どいとは名ばかりで
時々お風呂の排水とか色々流れているんです…。
とにかく子猫Fortunello無事でよかったね。





Le rumene

2004-07-24 23:45:41 | 日記・エッセイ・コラム
暑い。煮えるように暑い。
こんな日は日中外出などせずに済ませたいものではある。
でも、私はなんとかなるとしても
ビリーさんとチッチーノさんのお食事が
底をついたのでは話にならないので
暑い盛りに、バスに乗ってスーパーまでお出かけ。

スーパーの中は涼しいので快適ですが、
行き帰りのバスはエアコンなし。
(もちろん最近はフィレンツェの市バスにも
エアコンつきのものが登場しています、念のため)
自然の風と
強烈な欧米人の体臭を肌で楽しめるバスの旅。(泣)
あとは停留所でバスを待つ間の暑さを耐えれば
夏の日中のお買いものも、そんなに辛くはない…。

スーパーでしっかりお買い物して
停留所でなかなか来ないバスを待っている間。
最初の数分は停留所に私だけしかいなくて
屋根の下の簡易ベンチに腰掛けて
セミの声などを聞きながらのんびりと夏の風を楽しみ。
土曜日の午後なので、
フィレンツェ人は皆海へ行ったらしく
車の通りもぐっと少なくて排気ガスの臭いもしない。

そんな静かな停留所へ
二人の女性がやってきた。
みるからに「ジプシー」な二人。
物乞いでもされるかなぁとイヤな気分にはなったんだけれど
暑いので移動する気にもなれず、そのままベンチに。
二人のうち一人はおもむろにスカートのまま
地面に座り込んでスカートの裾をパタパタして
自然の風を自分に送りこみ、なにやら大声で叫んでいる。
で、もう一人はベンチの私の横に座り込んで
こちらもおおいにスカートの裾をパタパタ。

私に迷惑かけないなら何やってもいいよと
無関心を装いながら、この人たちはどこ出身なんだろう、
これからどこへ行くのだろうと色々考えていたら
とつぜん私の横に座っていた女性が立ち上がって
「○×△」と
ちょっと公共電波にひっかかりそうな言葉を発して
私の前方に進み出てスカートをたくし上げると…。

あぁぁ。
パンツ履いてない…。

そして、それまでは彼らの国の言葉で話していたのに、
急にイタリア語で私に向かって
「長いこと御無沙汰なのよぉ」という意味のことを言い、
私がきょとんとしていると
もう一人の女性が
「彼女の旦那は10年前に亡くなって、
それから男がいなくてねぇ」と。
だから何なの?私には関係ないぞと思っていると
「あぁ、こんな暑い時にはスカッとしたいわよねぇ。」とか
「もう息子は大きくなってルーマニアにいるんだけどね。」
「そろそろ新しい男見つけないとねぇ」とか
あまり反応を示さない私をよそに
おおいに二人で盛り上がっているようで。

その間にも何度となく彼女はスカートをたくし上げて
「ねぇ、みてみて」とでも言わんばかりに
私の視線の前に立ち塞がり。
まったく困ったものだ…。

そして二人で盛り上がると
その勢いあまってかなんでか
今度は私に向かって二人で弾丸のように話しかけてきた。
「あんたは毎日満足させてもらってるんでしょ?」
「旦那いるの?」「彼いるの?」「子どもいるの?」
仕方なしに質問に答えていると
「えぇ、そんなに放っておいてはいけないわ」
と余計なお世話…。
「あなた何歳なの?」
「そんないい年して、女を捨てちゃいけないわ。」って。

言っておきますが、彼女たちのイタリア語はとても拙く
上記のような上品な言葉のやり取りではございません。
でも彼女たちの言葉そのまま訳したら
とてもここでは書けないので…。

最後は
「あんた両親は元気なの?」という質問。
「うん、両親は日本で元気にしているわ。」というと
「それはいいことだ。」としみじみ頷いちゃったり。
で、最後の最後に
「あのさぁ、こんなに暑いのに、
なにも飲んでいないのよねぇ。
友達になったんだし、
1ユーロでいいからちょうだい。」って。
私友達になったのかぁ??