「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

けんちん汁再考@鎌倉七里ガ浜

2023-12-13 13:13:18 | 食べ物・飲み物
開山忌(建長寺開山の蘭渓道隆様の命日のあたりで行われる)の時の建長寺三門の画像。

真夏だ。空が美しかったな。


精進料理の代表格で、けんちん汁。

建長寺が発祥と言う。

諸説あるけどね。建長汁とも書く。


御詠歌って、ご存じですか?

10月の御詠歌 建長寺由来御詠歌

桜の建長寺もいいね。


ご存じ雲竜図。法堂の天井にあるよ。



精進だしでつくる、けんちん汁。

精進だしは動物性のかつお節なんて使わない。

豚骨なんて絶対使わない(笑)。

干しシイタケと昆布からつくるのだ。


いい眺め(↓)(笑)


渋いわ。

北鎌倉の日本料理店鉢の木監修の建長寺レシピによれば、具材はいろいろ。


日本の汁もの具材の代表格であるニンジンなんてのも入る。

しかし鎌倉時代の鎌倉にはニンジンなんて絶対存在しない。建長寺が出来た時、ニンジンは日本にはないのだ。以前にもこのブログで書いたけれど、ニンジンはアジア系とヨーロッパ系があり、最初に日本に来たのはアジア系で、それは江戸時代のこと。

ヨーロッパ系のニンジンは北米経由で江戸時代末期か明治時代になってから日本に初めて来る。「少年よ大志を抱け」のクラーク博士は米国人。札幌農学校でニンジンやタマネギがたくさん生産されて、彼らはそれで日本的カレーライスを作ったとカレーの歴史本に書いてある。

ということで、鎌倉時代に日本に存在しないニンジンを入れてけんちん汁を作るなら、動物の肉以外、どんな変わった野菜を入れても構わないということになる。

ブロッコリーやパプリカやサツマイモやズッキーニを入れてもけんちん汁は成立する。


中南米原産でコロンブス以降欧州やアジア経由で生産地を拡大し、江戸時代以降琉球にやって来たサツマイモなんてのも入れちゃう。よく誤解されるが、サツマイモの原種って薩摩藩原産じゃないよ。ジャガイモや唐辛子と同じく中南米原産だ。

そうそう、建長寺レシピに「ピリ辛」なんて味付けが出てきて、ごま油と唐辛子で炒めるレシピがよくあるが、唐辛子も中南米原産であり、これもまたヨーロッパに伝わったのはコロンブス以降のこと。日本に来るのは江戸時代だ。鎌倉時代の日本に唐辛子は存在しない。

これもまた以前書いたが、鎌倉時代に鎌倉に昆布があったかどうかはかなり疑わしい。

関東南部の鎌倉って、最も昆布文化から遠いところだ。北前船が北から日本海沿いに持ち込む昆布は日本海側の地域と西日本を中心に普及する。その航路から非常に遠い鎌倉って、昆布を使う典雅な出汁文化とは無縁なはず。それは現代でも続き、東西日本のうどんやそばの出汁における昆布の使い方の差がそれを示す。

ところが平安時代にすでに京都では高貴な人々により昆布は使われていたから、鎌倉時代になると京都と鎌倉に人的交流はあったわけで、当時鎌倉の一部の人には昆布は知られていたかもしれない。でも昆布の陸送は少なくとも鎌倉時代の前半まではかなり厳しいはずだ。だから昆布を多用する精進だしが建長寺創建の頃(1253年)に建長寺で使われたかどうかはかなり怪しい。

宇宙人のようなブロッコリー。


この茎の部分も食べちゃおうね。


薄く切れば大丈夫。


こんにゃくはスプーンで掘りだしましょう。


豆腐は手で崩すのが流儀だ。


開山蘭渓道隆様の「もったいない」の教えに従うのだ。

豆腐は蘭渓道隆様に従い手で崩すが、それ以外の材料はもはや蘭渓道隆様の時代とは無関係なくらい、現代のけんちん汁にはいろいろなものが入っている。

だったら何を入れたってええだろ。

江戸時代に琉球に到着した中南米原産のサツマイモはレンチン。


こんにゃく、大根、パプリカとニンジン、ブロッコリーの茎の部分とゴボウ、ブロッコリーの緑の部分、ネギ。


ごま油でこんにゃくを炒める。


ゴボウとブロッコリーの茎を加えて炒める。


パプリカとニンジンを加えて炒める


これで炒め作業は終わりだ。


干しシイタケと昆布はしっかり戻して精進だしをとった。


昆布はあとで佃煮にする(妻が)。


シイタケは切ってから、鍋に入れてしまう。


精進だしを入れて、煮ましょう。


しばらく蓋して弱火で。



柔らかくなって来た。



水を足した。

ここで味噌と醤油を入れる。



ちなみに建長寺レシピのけんちん汁は味噌は使わない。精進だしと醤油だけだ。

しかし土井善晴先生ならけんちん汁にも味噌を使うだろう。

「味噌はどんな食材も受け入れてくれるんです」が土井先生の口癖だ。

私はここで味噌と醤油を入れた。



あとは大根、ブロッコリー、豆腐。


そしてレンチンしたサツマイモ。


豆腐以外を入れて煮る。


キムチも食べようねー。


「増量」の文字に惹かれて買ってしまった。

おいしいよね、キムチ。


最後に豆腐。崩れるからね。ゆっくりと気を付けて。


豆腐に味が染みればそれで十分。

はい、できあがり。


しっかりと精進だしを使う。

そして多くの種類の野菜・根菜が入ったけんちん汁。

味噌入り、豆腐入り、醤油入り。

肉はないけど、タンパク質もとれるしね。

これで十分よ。食べ物の宇宙のようなけんちん汁。


大きなお椀でしっかり頂きましょう。

お代わりもいっぱいあるよ。


サツマイモ、ブロッコリー、パプリカ(笑)。

けんちん汁界のニューウェーブだね。


鎌倉時代にあって今も我々の周りにある野菜って、いったい何でしょう?

ブロッコリーは地中海地域から来た。

なんでもけんちん汁にしてしまいましょう。
コメント (19)
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