千一夜第3章第253夜 最近の読書27

2020-11-27 18:37:34 | 読書

2020.11.27(金)

7月30日に漸く梅雨明け宣言、平年より10日以上遅い。梅雨が開けたと同時に気温も33.5度に急上昇、戸外で煙草を吸うのも命がけとなったが、9月に入ると台風が秋を運んできた。9月のシルバーウイークには早朝は震えるくらいだった。10月にはインフルエンザの予防接種をしたが、これが頗る痛かったし数日間痒くて仕方がなかった。11月に入ると8日に秋篠宮さまの立皇嗣の礼の儀式が行われ、当局からの要請もあり国旗掲揚した。また新型コロナウイルス感染症の感染スピードが上がり、11日には東京、大阪、北海道などが多く、全国で1.645人の感染者の記録更新をしその後も連日の記録更新となっている。クラスターの発生場所が歓楽街から一般の職場など多様化してきた。オリンピックも危うい感が増す。アメリカではワクチンの開発が進んでおり、来年末までにはコロナ終息の見通しを立てている。この時季、雪が降っている地域もあるが、下松市では18日に25℃越えの夏日で、11年振りに観測史上最も遅い夏日の記録更新となった。

最近読んだ本。記載するのは今回で27回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。ここ5か月余りで8冊しか読了できなかったが、私にはちょっと重くて苦手な本を読んだこと、夏場は暑くて読書する気にならなかったこと、孫の守りで疲れ切ったことなどが挙げられる。釣行も同じような状況下、体力の低下で回数は激減した。今週末は予定があり釣行出来ないが、12月1日(火)に船釣りでハマチ狙いの予定が入っている。


Wooo  WANTED!
ヒョウモンダコに注意!とのことだが、私は恐らく未だ見たことがないように思う。フグと同じ猛毒のテトロドトキシンを持っているとのこと。噛まれると死に至ることもあると書いてある。見つけたら漁協を通じて知らせることになっている。

『日本人の常識133のウソ』 話題の達人倶楽部編 青春出版社 評価☆☆☆ ’20年7月6日読了 IM文庫
 寸評:日本人が「常識」と信じている知識には、一見科学的でもっともらしい話も多いが、その中には無数のウソが混ざり込んでいるということが改めて解かった。根も葉もない、全く根拠のない迷信が大昔から現代まで堂々とはびこっているのだ。例えば、「手先を使うとボケない」「毛は剃ると濃くなる」「新車に乗る時は慣らし運転が必要」「目薬は眠り薬に使える」などがそれに当たる。また「酒をちゃんぽんで飲むと悪酔いしやすい」わけでもないし、「恐ろしい体験をすると髪の毛が真っ白になる」「辛い物を食べると痔になる」わけでもない。この本では「それ、ジョーシキね」と思い込んでいる133話についてメスが入れられている。

『渋沢栄一 人生意気に感ず』 童門冬二著 PHP文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年7月10日読了 再読 IM文庫
寸評:「士魂商才」を貫いた明治経済界の巨人で日本の資本主義の父と言われる渋沢栄一の伝記である。’24年度から刷新される新紙幣の1万円札の表の図柄が渋沢栄一である。因みに5千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎になる。読み進めるに連れ、何か読んだ事があるように思ったが、よくよく本棚を調べてみるとやはり同じ本があった。それは兎も角、この本では栄一が徳川慶喜に仕えた頃から、約1千社近い会社の役員や社会事業団体の責任者を務めた頃までを描く。大蔵省の官僚から東京府立養育院、第一国立銀行、商法講習所、東京会議所 などの設立の頃、明治9年頃までを詳細に書いている。その多くの会社や団体は今日も名称は変われどその殆どが存続している。再読ではあるが面白く読んだ。

 
8月6日に柳井市の船釣りメンバーが釣行。岩谷氏は生餌を付けて高級魚アコウを釣ったようだ(左)。もみじ屋敷の主、引退宣言された井向氏もご老体に鞭打っての釣行か(右)、たまには良いですよね。全体の釣果がよく解からないが、暑い時だし大して釣れてないだろうと想像する。

『零戦燃ゆ』 柳田邦男著 文芸春秋 評価☆☆☆ ’20年8月27日読了  IM文庫
寸評:私は近代の戦記物は苦手である。読書自体が苦行になる。大日本帝国が負け戦ということも大いにある。従って、盆時期の新聞紙面などもあまり見たくない方である。かと言って、敗戦の歴史を忘れ闇に葬り去っていいと言うことではない。寧ろ私はこうした詳細な敗戦の記録を読むことを若い人達に薦めたい。何処かの国のようにご都合主義で歴史を歪曲してはならない。目下、私は昭和天皇実録全18巻、別巻19冊を読み進めている(誤植を数か所発見)が、遅々として進まない。面白い本ではないが、昭和天皇を知る上では最上の史料である。まだ大東亜戦争の頃まで読み進めていない。

本書は日米航空戦史を追う「零戦燃ゆ」の第2編にあたる。昭和18年4月の山本五十六連合艦隊司令長官の戦死直後から、19年6月のマリアナ沖海戦までの記録である。それは、ニューギニア、ソロモン方面から中部太平洋に至る太平洋の島々で、激烈な陸海空戦が展開された時期の記録である。また、日本空母部隊終焉の戦史でもある。

この本の最終章にマリアナ沖海戦のことが書いてあるが、私の祖父もこのマリアナ海戦時に戦艦榛名に乗船しており、負傷後帰還し昭和50年8月26日まで戦後30年を70歳まで生きた。祖父からは戦争の話は殆ど聞いていないが、祖父の部屋には戦艦榛名の艦上にずらりと並んだ、乗船全員(千人以上だろうか)の集合写真が飾ってあったのを想い出す。

この本も私の苦手意識を払拭すべく読破に挑戦したが、読了までに1か月半も掛った。この本を井向氏から頂かなければ絶対に読むことは無かったと思う。しかし読了感は充分にあった。


8月23日(日)孫等と下松市栽培漁業センターに行った。ヒラメの養殖をしている所でもある。大きな円形のプールが8つくらいあっただろうか。中にはヒラメがうようよ居る。餌を投げ入れると、我先にと群がってくる。ヒラメの生態を知る上ではこの上なく良い所だ。

『玉砕の島々』 平塚柾緒著 洋泉社 評価☆☆☆ ’20年9月23日読了 IM文庫
寸評:前読「零戦燃ゆ」と大半が被るため復習の意味において本作を読み始めた。近代戦記物が苦手な私はやはり、読了まで1か月近くを要した。大東亜戦争のターニングポイントは海上ではミッドウエー海戦だったが、陸上ではガダルカナルの戦いだったと言われる。前読の「零戦燃ゆ」は空母を主体とした空戦、海戦の記録だったが、本書は陸上での敗戦記録である。

タラワ島・マキン島・クェゼリン島(米軍の本格抗戦との戦い)、サイパン島・テニアン島(絶対国防圏最前線の戦い)、グアム島(緒戦で玉砕した島での戦い)、ペリリュー島(34人の終わらなかった戦い)、硫黄島(初めから全滅を強いられた戦い)、沖縄戦と本土決戦準備(1億玉砕への帰結)という流れで書かれている。防衛庁に保存されている資料を始めとして膨大な戦史叢書、文献に基づいて書かれているドキュメンタリーである。ガダルカナル島などでは戦闘での死者よりも餓死の方が3倍も多く、硫黄島などでは壕に投げ込まれた爆薬で殺傷され、火炎放射器、手榴弾によって壕の中で焼かれた者が多かったようだ。沖縄然りである。降伏することが許されなかった故の惨劇である。

徴兵は17歳から40歳までだったようだが、死んでいったのは殆どが二十歳前後の若者である。私は現代での徴兵制度には賛成の方だったが、本書などを読むとどうも考えを改めるべきかとも思う。この本も井向氏から頂かなければ生涯読むことが無かった本である。

『半沢直樹 アルルカンと道化師』 池井戸潤著 講談社 評価☆☆☆☆☆ ’20年9月29日読了
寸評:お馴染みの半沢直樹シリーズ最新版である。先週日曜日に半沢直樹のTVドラマが終了したが、視聴率は32%越えだったとか。ご多分に漏れず私も面白く視聴した。役者の演技はとても良かったと思うが、大臣や自民党幹事長まで巻き込むと、ちょっと話が大きくなり過ぎたかなと思う。さて今回の本だが、今度は一転、一支店の融資課長での活躍だ。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社「仙波工芸社」を買収したいというM&Aの案件から、大阪本部による強引な買収工作に抵抗する半沢を描く。有名な絵に隠された謎を解いていき、やがてその背後に潜む秘密の存在に気付く。ミステリー仕立てになっていて面白い。読み進めるにしたがって私も推理するが、やはり私の推理通りに進展することなどあり得なかった。


8月26日(水)仕事帰りに第2埠頭南端東側に寄ってみた。海面に木切れが浮かんでいるが、その周りには産まれたばかりと思われるアオリイカの赤ちゃんが一杯居た。アオリイカは成長が早く、1か月も経てば10㎝くらいにはなる。9月に入ってから光市室積の西の浜漁港辺りでアオリイカを狙ってみたが餌木を恐れて逃げて行った。

『天皇謚号が語る古代史の真相』 関裕二監修 祥伝社新書 評価☆☆☆☆☆ ’20年10月2日読了
寸評:古代史のジャンル、私は特に古事記が好きである。逆説の井沢、並木、由良、梅原、戸部、家村氏などの著書も多く読んでいるが、私は著者の書籍が好きだ。と言ってもまだ10冊程度だが、本屋や古本屋で見かければ購入するが、あまり多くは置いてない。本書は天皇謚合を読み解く。そもそも著者は「聖徳太子は蘇我入鹿である」でデビューしているが、本書においてもその説を貫いている。従って、古代における一般的な系図などというものとは違った系図が出来上がるところが面白い。と言っても出鱈目の推理ではなく、しっかりと裏付け史料も提示している。古事記は神代から推古天皇までが書かれているが、正史である日本書紀は持統天皇までが書かれている。記紀の成立は僅か8年差であるのにこの差は何だろう。また、両書とも女帝で終わっているところも気になるところだが、本書は単に両書を解説するのではなく、全編、著者の推理によって書かれているため、所謂通説とは違うのである。記紀の登場人物で少ない記述の人ほど裏読みが必要だという著者の考え方は好きである。まあ、こういった史書というものは、時の権力者に都合よく書かれたものだろうから、こうした裏読みも必要だろう。本書もまる3年掛けて面白く読んだ。

『新説「古事記」「日本書紀」でわかった大和統一』家村和幸著 宝島社新書 評価☆☆☆☆☆ ’20年10月29日再読了
寸評:凡そ3年前に初版を購入し文字を追う程度の読み方をした。今回は再読となるがしっかり読み込んだ。「古事記」「日本書紀」の成立については書面の関係上省く。本書では記紀どちらにも記述があるが内容が全く異なるもの、また古事記にだけ記述があるものを中心に読み解いていく。日本書紀では正史として取り上げず、或いは削除した話が古事記には残っており、そちらが真実だと思われるケースも多い。それは上古の日本人が神代文字で書いた「帝紀」や「旧辞」により近い内容が古事記だからである。また、孝霊天皇御代における徐福の来日や、仲哀天皇が戦場で崩御されたことはどちらにも記述が無い。故意に消されたと思われる。 

本書では記紀両書を重ね合わせて読み、パズルを解くように再整理してあり、更に、古文書や漢土、朝鮮半島などで編纂された史書などから同じ年次の重要事項を併記し、記紀で欠落している当時の国内外の事情も補足されている。補完史料として主なものは「竹内文書」「後漢書」「三国志」「晋書」「梁書」「宋史」「百済記」「宋書倭国伝」などであるが、著者は「三国志の魏志倭人伝」及び「宋書倭国伝」は偽書、偽史だと断定している。これらを無視すると古代史が実に単純明快となるのだ。

本書では、西暦200年にタブラツヒメ(後漢の帰化人公孫氏)こと卑弥呼が福岡で神功皇后に成敗されたと断定されており、卑弥呼論争などあり得ない。これにより魏志倭人伝が偽書・偽史とされる。倭の五王についても、吉備下道臣サキツヤが賛・珍・済・興などといった漢風の名を詐称して漢土の皇帝に使者を遣わして貢物を送り、安東将軍、倭国王に認めてもらったものであり、西暦462年に雄略天皇が物部の兵士30人を吉備に遣わしサキツヤと同族70人を皆殺しにしている。これにより宋書倭国伝は歴史を無視したお粗末な本だということになる。私にはどうも本書が日本の古代史の真実を突いているような気がしてならない。非常に面白く読み込んだ。

 
11月3日、久し振りに獺祭の本社に行ってみた。今は立派なビルが建ち、昔のひなびた情緒ある社屋の面影は全くない。昔が懐かしい。


本社の前の小川を挟んで売店がある。この建物も建て替わっている。この日は獺祭のお菓子を買い、獺祭のアイスを買って食べた。アイスは酒の風味が強く酔いそうだった。

『笹まくら』 丸谷才一著 河出書房新社 評価☆☆☆☆ ’20年11月11日読了 IM文庫
寸評:徴兵忌避をした青年のその後の四半世紀を描いた作品である。著者は芥川賞作家ではあるが、私の中では文芸評論家という位置付けである。本書は、東京で官立高等工業を卒業し、父は医者、女中も雇う所謂両家の子息が20歳の時に徴兵忌避を行い、香具師や時計、ラジオの修理で糊口を繋ぎ終戦まで忌避を成し遂げる。終戦後は大学の庶務課に就職し、20年経って管理職(課長)に昇格しようかという時に、ライバル同僚が妨害し徴兵忌避のことを赤新聞に密告される。そのために大学の付属高校への左遷人事の憂き目に会うが、小説中では結末は無いが恐らく依願退職したであろうことは想像できる。しかし、戦時中に国家、社会、体制に反抗したが、昭和40年代、学生運動盛んな頃に徴兵忌避が社会問題になったかどうか私には疑問である。終戦と同時に逃げ回り身を隠す生活は終わったはずである。主人公の心の中には最後まで反抗を貫き通す覚悟が出来ており、終生危険な、不安な旅人、笹まくらであるしかないとの思いがある。小説では忌避時代の恋愛事情や終戦後の結婚に対しても暗い影が落ちる。

【11月27日過去の釣行記録】
・2004年上関港防波堤、17:30~19:30、大潮、釣果=アジ50
・2010年洲鼻港防波堤、06:10~11:20、小潮、釣果=メバル4・タナゴ2・ギザミ5

【この日の釣り情報】
・2005年新日鉄波止場、06:00~15:00、若潮、釣果=カレイ1
・2018年上荷内島沖、06:30~14:00、中潮、船釣り、釣果=9.5kgハマチ1・ヤズ1

【旧暦10月13日釣行記録】
・2005年11月14日、柳井池の浦港、昼間、中潮、釣果=アオリイカ1・コウイカ1
・2013年11月15日、徳山築港、16:00~18:30、中潮、釣果=25㎝級アジ大漁
・2016年11月12日、徳山築港、06:00~09:20、中潮、釣果=キス5・小ダイ1

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千一夜第3章第230夜 最近の読書26

2020-07-05 08:34:27 | 読書

2020.07.05(日)

5月26日に会社のOBで私の元上司のIM氏のお宅にお邪魔した。氏は最近怪我や病気で体調を崩しておられたようで、趣味の釣りや読書を止めざるを得ない状況になったらしく、釣り仲間のMちゃんに釣り道具一式、私に蔵書の一部を下さるということだった。

氏のお宅は柳井市内の少し山手にあるが、私は10年前に一度お伺いしただけで今回が2度目の訪問、凡その場所は覚えてたが路地を入ると全く分からなくなるという始末で、大通りまで出迎えていただいた。IM氏宅の北側に川が流れIM川という名称、少し上流にIM橋もあるという。川や橋の名称に自分の名字(珍しい苗字)が付いているのだから名家には違いない。屋敷も100年以上のもので、今どきの住宅に比べれば風情も情緒も貫禄も申し分ない。屋敷の東側と南側が広い庭になっており、手入れも良くされていた。屋敷の裏手には立派なモミジの老木が数本あり、秋には紅葉が楽しめそうだ(今後もみじ屋敷と呼ぼう)。また、南側の庭の一隅で畑を作っておられ、季節ごとの野菜を栽培されている。多少の身体の不自由はあっても、畑作りや庭の手入れだけでも十分にやることはありそうである。奥様に美味しいコーヒーを出して頂いた。奥様も私のブログをご存じのようで、赤顔の至りだった。氏から頂いた書籍は今後、IM文庫と付記することにする。


5月4日みどりの日、西の庭の片隅に植えてあるさくらんぼの木に毎年沢山の実がなる。殆ど鳥の餌となるが、手が届く範囲で少し捥ぐ。


さくらんぼを焼酎に漬けてみた。上手くいったかなあ。

最近読んだ本。記載するのは今回で26回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『イギリス怖くて不思議なお話』 桐生操著 PHP文庫 評価☆☆☆☆ ’20年4月27日読了
寸評:日本人なら殺人があった家やお化けが出る家など、住民は必死に隠そうとするが、イギリスでは真逆だという。ロンドンの人々は、幽霊や殺人事件の話になると眼をらんらんと輝かせ、得意げに話して留まるところを知らないらしい。幽霊屋敷や殺人現場の地図が付いたガイドブックが駅のインフォーメーションなどに山積みに置いてあるとのこと。国民性の違いが如実である。イギリスと言えば怪奇の国のイメージがある。巨石文明の遺跡が残るイングランド、森と古城のウェールズ、更に北海の荒波が打ち寄せるスコットランドまで深い霧と白夜の風景は神秘なロマンを育む。イギリス人がミステリーを好むのはこんな風土のせいだろう。本書は英国王室スキャンダルから、歴史に秘められた謎、怪奇話、猟奇事件などイギリスの古い歴史に纏わる様々なエピソードを紹介している。面白く興味深い本である。

『丸谷才一と22人の千年紀ジャーナリズム大合評』 丸谷才一著 都市出版 評価☆☆☆☆ ’20年5月1日読了
寸評:著者は吉行淳之介が好きである。また吉行氏も著者を天才であると認めている。その関連で著者の本を読みだしたのが45年前だが、少々難しいのでまだ20冊程度である。本書は所謂対談集であるが、本書の帯に「ジャーナリズム志望者や関係者に批評の原点を示す必読の書」とある。14年に渡るジャーナリズム論の6冊目で、かなり広い範囲のジャーナリストやその志望者に愛読されているとのこと。著者及び2人の専門家をそれぞれ加え、多岐にわたって論評を繰り広げているが、文学論についてはちょっと難しすぎた。彼らの読書量には敬服するが、プルースト的?、サント・ブーヴ的?、さっぱりである。文学論は幅広く展開しているのでちょっと抽象的概論の感があった。まあ、批評家等の座談会だからしょうがない。12対談中10は面白く読んだ。

『レボリューション』 斎藤純著 はるき文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年5月13日読了
寸評:本書はロック小説である。著者の本は初めて読んだが、アメリカのカントリー、ブルース、R&Bなどがイギリス人によってロックになる。そして、1960年代から70年代はロックが最も輝いていた時代でもあった。実年齢からすると団塊世代がそれにあたる。ロックを規定することは意味がない。それはロックが生き物であるあり、時代と共に成長を続け変化も見せるからだ。ロックを聴いた年代(私の場合70年代)、場所、或いは本人が熱心に耳を傾けた時の年齢も、ロックの何たるかを決めるには重要な意味を持つ。日本のロック史についても考察される。本書は国会議事堂前のコンサート、ミステリー的要素の入った小説であり、結末が幻に終わったことで小説も完結している。著者は私と2つ違いの同年代であり、小説の主人公も同年代、主人公の死亡した兄とは10歳違いであるから団塊世代であろう。ロックのスター達は実名で登場し、その時代の世相や思想なども詳細に書かれている。著者は元FM局のディレクターだけあって、この分野は非常に詳しい。著者はバイク乗りでもあり、小説の中にはロックとバイクが宝石のように輝いている。久し振りに良い本に出合った。


5月14日、レターパックにて特別定額給付金(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策支援金)の申請書が来た。

『ニューヨークの天使たち。』 渡辺葉著 集英社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年5月14日読了
寸評:ニューヨーク、幾千幾億の夢を持ち寄る街、夢でできたこの街では本当の自分を演じることも、虚構や幻想の自分を演じることも思いのまま。ニューヨークで演劇、舞台、ダンス、演出をしている著者のこぎみの良いエッセイ集である。1996年から2006年までに出会った人々や出来事、風景を綴ったもの。結婚は3年で破局したが、一人暮らしのせいかとても器用である。読み易くショートストーリーのような鮮やかさとキレを秘めた静かなエッセイである。ニューヨーク9.11は現場に居た著者ならではのエッセイである。他にバルカン半島(アルメニア、ブルガリア、マケドニア、ギリシャ等)の音楽のことも出て来るが、7/8拍子、9/8拍子、15/16拍子など変則的な拍子、リズムはちょっと想像できない。この本も味わい深い。

『異聞!暗殺の日本史』 別冊宝島編集部著 宝島社文庫 評価☆☆☆☆ ’20年5月18日読了
寸評:暗殺者に仕立てられたヤマトタケル、天智天皇の不自然な死、第47代淳仁天皇から誕生した「怨霊」、アジアと欧米列強の友好を掲げながら、反日の標的にされる伊藤博文、などなど歴史は常に勝者によって綴られ、敗れ死んでいった者たちの言い分は闇に葬られてきた。しかし歴史をよくよく見ていけば、必ずどこかに真相に繋がるカギが隠されている。神話の時代から近代国家成立の伊藤博文まで、教科書では語られない闇の歴史、35編の暗殺事件の謎に迫る。


5月23日、釣友Tが笠戸島沖の下コーズという岩山に渡船で渡り、通しでメバル釣行。23cm前後の良型メバルを50尾程度釣る。翌日、私がクーラーごと持ち帰り、あちこち配る。(この1週間後、もう一度行くが私も同行した)

『「日本の神様」がよくわかる本』 戸部民夫著 PHP文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年5月25日読了
寸評:本書は数年前に購入し、今や座右の書のような存在である。現在同類の本を4冊読み進めているが、解釈の相違、古史伝や古事記伝、神名考等により同じ神様でも性格や呼び方も違ってくるし、違う神様が同一神となることもある。そのため拾い読みや同じ所を何度も読んだりで、どの本もなかなか読了には至らない。取り敢えずこの本は読了した。一般に神社に祀られている神様は、「古事記」「日本書紀」の神話・伝説に登場する神々と、偉大な業績を残した武人・文人を神格化した神々である。本書では本源となる神様を祀る神社や分霊等を祀る主要な系列社の紹介、個々の祭神の鎮座の由来や祀られ方、性格(荒魂、和魂)、霊力(ご利益)、神徳などそれぞれの特徴を紹介している。付録として神社、祈願のミニ知識として30頁余りあり、神々の簡略化した系譜(記紀より)も付いている。

 
6月3日、やっと来ました。ちょっと時期を逸した感がありますが、厚生労働省から「アベノマスク」。到達した日現在はマスクの品不足は解消されており、販売価格もバブル崩壊を迎えています。もう1か月も早く届いていれば有難味も倍増していたのですが、この日時点ではマスクも大量に確保済み、それにこのマスク、百均のマスクに非常に似ている。取り敢えずこのマスクは保存版にするか寄付するかします。

『ケネディの道』 シオドア・C・ソレンセン著 弘文堂 評価☆☆☆☆☆ ’20年6月17日読了 IM文庫所蔵(IM氏より頂いた書籍)
寸評:JFK、私にはライブ感がある。1963年11月22日、極右の中心地ダラスで遊説旅行中、人々に微笑みかけ手を振りながらのパレード中に狙撃され、ジャクリーン夫人が飛び散った夫の脳の一部を拾い集めている様子は何度も何度も繰り返しTVの映像で見た。当時小学低学年だった私は、ショックと共に未だに記憶に残っている。本書はJFKの側近中の側近と言われたソレンセンによるJFKとの11年間の回想録である。これほど米国大統領を完璧に書き上げたものはなく、今後もこれ以上のものは出てこないだろうと言われた著書である。ケネディが精力的に対決した現代史の諸事件と人間ケネディを描き、新たな感動を呼んだ歴史的証言である。ホワイトハウス入りしてからの外交は、常に共産主義陣営と自由主義陣営との紛争だった。イデオロギーや利害関係は続くが、強いアメリカが世界平和をリードするという信念の元に政治に取り組む。何だかトランプ大統領にも似ているかな。オリーブの木というのもJFKによって作られたものだった。1966年の初版本だが、字が小さくて分厚い本だったので読了に時間を要した。

『HIROHITO』 レナード・モズレー著 高田市太郎訳 毎日新聞社 評価☆☆☆☆☆ ’20年7月3日読了 IM文庫所蔵
寸評:昭和天皇の物語。ケネディの本と同じ54年前の本である。1945年8月15日、全く予期しなかったこの歴史的瞬間に導くまでの様々な事件やいきさつを描いた物語で、戦争と制服に熱中していた国の天皇の地位におかれながら、実は優しく、内省的で、学究的で、しかも平和を愛した一人の文化人の物語である。また、狂信的軍人と宮廷の陰謀をものともせず、天皇が如何に勇気をふるい、機略を用いて陰謀者どもの裏をかき、戦争を終結させたかという物語でもある。ワシントンの国立記録保管所の秘蔵文書や日本に滞在して皇室関係者、戦争に関与し天皇に関わりを持った生き残りの重要人物、極東国際軍事裁判の生き残りなど、実に大量の資料や取材により書かれている。その点、物語以上といえる。読み進める内、天皇も側近の木戸内府も重大な判断ミスを犯している場面が度々出て来る。天皇への情報が著しく欠如しており、軍部の独走、無能な内閣など、もしこれが無かったら或いは戦争が避けられたかも知れないとの思いが増大する。しかし、幸運なのは敗戦で自由主義国家となったことだろうか。
実はこの本も私が若い頃、書店で何度か手にしたことがある1冊である。嘱託を経て完全リタイアをする直前、40数年を経て遂に読了に至った。

【7月5日過去の釣行記録】
・1998年大井港より萩沖、18:00~00:00、船釣り、小潮、釣果=イカ、8人で200杯以上
・2014年徳山フェリー乗り場南端、05:40~12:30、小潮、釣果=キス6・キビレ1
・2015年櫛ヶ浜港防波堤、19:40~21:40、中潮、釣果=ボウズ

【この日の釣り情報】
・2014年上関鼻繰島、通し、小潮、釣果=メバル20(最大27㎝)・20~30㎝アジ入れ食い

【旧暦5月15日釣行記録】
・2006年06月10日、切戸川河口、18:10~21:10、大潮、釣果=キス12

 

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千一夜第3章第220夜 最近の読書25

2020-04-29 12:27:54 | 読書

2020.04.29(水)

我が社も協賛企業となっている関係上、初回から参加していた「上関真鯛釣り大会」が今年9回目となるが、新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を鑑み、4月20日、正式に中止と決まった。東京オリンピックの延期、又、全国に緊急事態宣言が発せられた時点で予想されたことだった。文書でも知らせて来たが、実行委員会の委員長からも直に電話を貰った。今年は6月7日開催予定だったが、準備に携わってこられた方々にはご苦労さまでした。来年は開催されることを祈っています。

最近読んだ本。記載するのは今回で25回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。


4歳の孫娘がドラムの練習。

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 村上春樹著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年3月3日読了
寸評:多崎つくるは名古屋での高校時代、4人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、理由も告げられずに4人から絶縁を申し渡される。理由も解らずそれを受け入れたつくるは、その時期死の淵を彷徨い漂うように生きて来た。つくるは趣味の延長で鉄道の駅を作る大学に入り、卒業して鉄道の駅を作る会社に就職した。社会人になって10年も経った頃、新しい恋人沙羅に促され、あの時に何が起きたのかを探り始める。5人は完璧な調和を成す関係だったはずだが・・・、青春時代のはかない、取り戻すことの出来ない無念の真実に向き合う。つくると恋人沙羅のその後も気になるが、小説では明かされていない。恐らく別れたであろうと想像する。

『村上海賊の娘』1~4巻 和田竜著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’20年3月19日読了
寸評:本屋大賞、吉川英治文学新人賞受賞作。木津川合戦の史実に基づく壮大な歴史巨編である。戦国乱世にその名を轟かせた海賊衆、瀬戸内海の島々に根を張り勢力を誇る当主の村上武吉、彼の豪勇と荒々しさを受け継いだのは娘の景(きょう)だった。主人公の能島村上の姫、景は地元では捍婦で醜女と言われ(色黒で彫が深い現代では美人か)縁談も儘ならぬが、安芸の百姓の一行宗徒に大坂の堺に行けばもてるはずだとおだてられ、ついその気になり百姓等を船で大坂本願寺まで送る。その実、真鍋氏を始めとする泉州の海賊等には絶世の美女と大もてだったが、彼らは信長の配下となり本願寺攻めの先鋒を務める。一向宗門徒の大坂本願寺側に劣勢だった織田方だが、信長の急襲により反転、封鎖された難波海へ遂に姿を現す毛利家と村上家の大船団、村上海賊には毛利も知らない秘策(鬼手)があった。2巻以降は戦の解説付き実況中継の様相である。

『小沢一郎はどのように自民党をぶっ壊したか?』 大下英治著 徳間文庫 評価☆☆☆☆ ’20年3月25日読了
寸評:史上空前の圧勝で民主党を勝利に導き、自民党を完膚なきまでに叩きのめした小沢一郎を描く。民主党政権で軸となるのは小沢一郎である。小沢抜きで民主党は語れない。小沢のくノ一刺客術、小沢の天下獲り、自民逆襲のシナリオの3部構成である。小泉改革は保守本流を受け継ごうとする潜在意識の表れだった。結果、自民党の票田、古い支持母体と最も繋がっていた経世会を潰した。これにより自民党が弱体化し民主党に利する。政権交代はその結果と言われるが、小泉改革の歪みと後継総理たちの失態、支持急落した宿敵にどのようにとどめを刺したか。平成19年7月の参院選挙で60議席獲得し第1党となり与野党逆転のねじれ国会となり、小沢ガールズが誕生した平成21年8月の総選挙では民主党308議席を取り第1党となり政権交代を達成した。民主党は国家を導くための体制作りにかかるが・・・。本書は平成21年11月で終わっている。


4月6日、光市の河川敷の満開の桜、コロナウイルスの影響か、お弁当を開いている花見客は全部で2組だった。

『地銀支店長』 清水一行著 徳間文庫 評価☆☆☆☆ ’20年3月31日読了
寸評:短篇6編が収められている。表題作の「地銀支店長」では過酷な支店経営のため、支店長が預金流用、浮き貸しなどにより利益を確保していくが、抜打ちの特別検査により発覚、支店長は1銭の金も着服していないが、業務上横領犯人として地検に告発される。次期頭取候補の常務に身を任せるが・・・。「部長の女」麻雀の六本木ルールで若く美しいコンパニオンと一夜を共にする中堅企業の部長、初老の主人公の煩悩に揺れる心理を描く。「歯止めの十字架」は1968年に起こった日通事件を素材にしたクライムストーリーである。「女の再生」は美容整形や処女膜再生の世界を、美貌の女医をヒロインに据えて描くが、私にしてみれば吉行淳之介作品の2番煎じに映り不可作品である。「棒の交差」は赤線出身の女と電話局に努める男との、離婚、再婚、再離婚、再再婚・・・と繰り返す2人の男女を描く。兎に角不思議な面白さを内包している。「脅しの筋立」は大手企業の宣伝担当者が巻き込まれていく蟻地獄のような罠に嵌る当惑と憤りがひしひしと伝わる1編である。

『羅生門・鼻・芋粥』 芥川龍之介著 角川文庫 評価☆☆☆☆ ’20年4月2日読了 再読
寸評:再読であるが40年振りくらいである。嘗て読んだ時には旧仮名遣いの難解な文章で、全部読み切ったかどうかすら覚えない。この本は著者の初期の短篇18作品の作品集である。表題の「羅生門」「鼻」「芋粥」は時代小説であり現代小説でもあると言われる。人間の本質としての悪、人間関係の織り成す社会の悪の認識という、芥川文学のもっとも本質的な主題の所在を告げる作品である。「鼻」は師匠の漱石に激賞されたとのことだが、成程、人間描写など漱石の手法に似ている。他の短文は今日でいうエッセイのようである。またメモや覚書のようなものもあり、落語、講談調のものもあり、多様である。「日光小品」という覚書のような作品があるが、芥川賞作家の吉行理恵の受賞作「靖国通り」を思い出した。他には「大川の水」に感銘を受けた。

『風の忍び小太郎』 柳蒼二郎著 コスミック文庫 評価☆☆☆☆ ’20年4月6日読了
寸評:著者の本は初めてである。風間の小太郎は半世紀以上も前の小学生の頃、漫画で読んだ。この小太郎伊織は6代目である。風間一族を率い、家康との約束にて江戸の鎮護を任されるが、実情は無役の小普請組である。仕事と言えば一族の2人の甚内(吉原の総元締めと江戸一円の古手商いの元締めの2人甚内)や用人孫兵衛の報告を淡々と聞くのみの日々。伊織は天守の上で何をすることも無く眼下に広がる江戸の街並みを見下ろすのが常である。そこには必ず柳生十兵衛も付き合う。将軍家光も天守の屋根の上の2人を認めてもとがめだてはしない。特別な2人である。しかしその安穏が突如打ち破られた。「時渡り」の異名を持つ弦左が現れる。江戸に危害を加えると風間を挑発する。運命の死闘が始まる。面白いがもう少し長編でも良かった。


4月11日、従兄弟からタケノコを沢山貰う。非常に美味だった。

『何もかも憂鬱な夜に』 中村文則著 集英社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年4月7日読了
寸評:重い小説だった。死刑囚の刑執行の様子が詳細に書かれている。死刑判決もマスコミや世間が騒ぐか騒がないかで影響される。遺族感情にも格差がある。要は死刑判決の基準が曖昧であることが問題である。死刑は人間が決められるものではない。冤罪や矛盾が多く出るからだ。殺人は云わば伝統的な人間の傾向の一つである。小説では若い死刑囚の心の葛藤の告白が重く響く。思春期に彼女でもできれば殺人というような重大犯罪は減少するだろうと思う。また、刑執行人の苦悩も描く。控訴しない死刑囚には控訴を勧める。自殺した友人の記憶、大切な恩師とのやりとり、刑務官の自分の中の混沌が描き出される。重大犯罪と死刑制度、生と死、そして希望と真摯に向き合った小説である。

『ポケット 親鸞の教え』 山崎龍明著 中経の文庫 評価☆☆☆☆ ’20年4月13日読了
寸評:亡くなった義父が親鸞の信奉者だった。我が家も義父家も同じ浄土真宗である。昔は一向宗として迫害された歴史もあるが、 今日ではかなり隆盛のようだ。その義父とも時には親鸞の教えについて語り合ったこともある。ところが、どこか話が微妙に食い違ってくる。嘗て親鸞のものは数冊読破しているのだが・・。この本でその謎が解けたように思う。親鸞の思想は、親鸞以降、だいぶ親鸞以前の浄土宗に戻ってしまったかの観があるという。現生に念仏とともに生き抜く道から、来世主義としての浄土往生一辺倒になってしまったらしい。義父はそこら辺の所を理解していたようで、私が間違った解釈をしていたことに気付いた。なかなか難しい本だったが熟読した。

『夢幻花』 東野圭吾著 PHP文芸文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年4月16日読了
寸評:第26回柴田錬三郎賞受賞作。花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。第一発見者の孫娘の梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と事件の真相解明に乗り出す。一方、刑事の早瀬も別の思いを胸に秘め事件を追う。祖父の死の数か月前にはバンドマンの従兄弟が自殺する。それらの死は全て夢幻花という黄色の花の咲くアサガオに纏わる。江戸時代からの同じ宿命を負った蒲生家と伊庭家の子供、蒼太と孝美が偶然にも絡み、また蒼太の年の離れた兄・要介も重要人物。宿命を背負った者たちの人間ドラマが展開していく。著者の真骨頂のミステリーである。


昨年食べたビワの種と巨砲の種をプランターに捨てていたら芽がでたので、鉢に移し替えてみた。

『日本史の謎がおもしろいほどわかる本』 「歴史ミステリー」倶楽部著 王様文庫 評価☆☆☆ ’20年4月21日読了
寸評:定説となっている事象なのど裏を読む。歴史を変えた一大事の意外な首謀者、決して表沙汰にならなかった歴史、今、明らかになる封印されてきた過去、その死に不審な点あり!、大胆な仮説から真実が見えてくる、死んでもいえなかった?意外な事実の6章から構成されている。全体的には古代、戦国時代、江戸時代の人物、事故、事件、争いが大半を占める。歴史書などは勝者により書かれたものが多く、勝者に都合よく改ざんされたものも多いだろう。記紀などもその部類に入るかも知れない。本書では日本史上に起こった事件、活躍した人物の、表舞台には決して現れない謎の数々を探る。

『走ることについて語るときに僕の語ること』 村上春樹著 王様文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年4月23日読了
寸評:熱心な読者ではなかった私は、著者が長距離ランナーだとは知らなかった。本書では2006年のニューヨーク・シティー・マラソンやボストンマラソンまでの25回のフルマラソン、ウルトラ・マラソンを完走した後のスランプからトライアスロンへの挑戦などを綴る。と同時に著者の自発的で求心的な、自然な前向きな活力のある文学論を、走ると言う行為を媒介として展開していく。著者はこの本を前半生のメモワールのようだという。小説を書くことはフル・マラソンを走るのに似ている。小説家にとって最も重要な資質とは、1に才能、2に集中力、3に持続力だという。文学的才能がなければどんなに努力しても小説家にはなれないという。興味の尽きない一冊だった。

【4月29日過去の釣行記録】
・1997年粭島岩島、船釣り、09:30~14:30、小潮、釣果=チヌ2
・1999年奈切大気暴露試験場前、09:00~12:0、大潮、釣果=カレイ2
・2005年笠戸本浦港堤防、09:30~17:00、中潮、釣果=グチ1・アジ20・メバル1
・2006年第2埠頭東側、06:30~15:40、大潮、釣果=カレイ12・アイナメ1・タナゴ3
・2007年寺崎・本浦港堤防、06:00~16:30、中潮、釣果=カレイ6・アイナメ2・キス4・タコ1
・2009年第1埠頭西側、06:20~12:40、小潮、釣果=カレイ3・キス1・キビレ1
・2010年中電西側、07:20~12:20、大潮、釣果=ソイ1・アイナメ4
・2012年櫛ヶ浜新港防波堤、19:20~22:20、小潮、釣果=メバル13
・2013年徳山築港、05:40~10:40、中潮、釣果=カレイ5・キス7・ハゼ2
・2014年櫛ヶ浜新港防波堤、19:10~21:50、大潮、釣果=メバル12・セイゴ1
・2015年徳山築港、05:20~14:00、若潮、釣果=37、33cmカレイ・木っ端ガレイ5
・2016年徳山築港フェリー乗り場南端、05:50~14:00、小潮、釣果=カレイ6・キス5・ハゼ2・ナマコ1
・2017年徳山築港フェリー乗り場南端、05:10~10:40、中潮、釣果=30cmカレイ1・木っ端ガレイ3・マダイ1・ベラ3・ナマコ2
・2018年今津川河口東側、05:40~11:40、大潮、釣果=23cmカレイ1、S=46.5cm国民栄誉賞的マコガレイ

【この日の釣り情報】
・2006年第2埠頭東側、19:30~21:30、大潮、釣果=キビレ2・アナゴ16・キス2
・2006年庄の浦港防波堤、朝~夕方、大潮、釣果=カレイ12・キス4・ハゼ4・ナマコ1
・2006年笠戸寺崎、夜、大潮、釣果=メバル爆釣
・2007年切戸川河口、19:00~21:00、中潮、釣果=キス2
・2007年笠戸大城下、19:00~22:00、中潮、釣果=メバル24・アジ2・タナゴ2

【旧暦4月7日釣行記録】
・2005年05月14日、第2埠頭中電前、05:30~13:00、小潮、釣果=ハゼ3・キス2
・2005年05月14日、第2埠頭東側、13:00~19:20、小潮、釣果=カレイ1・アジ20・アイナメ2
・2005年05月14日、第2埠頭西側、朝方、小潮、釣果=サビキでアジ20
・2005年05月14日、市境グランド傍テトラ、昼間、小潮、釣果=25cm級キスが釣れる
・2006年05月04日、笠戸寺崎、夜、小潮、釣果=18cmメバル3
・2008年05月11日、粭島小瀬戸、19:10~23:40、小潮、釣果=メバル13(18cm前後)・アジ6(22cm)
・2012年05月27日、第2埠頭東側、09:20~12:20、小潮、釣果=キス3・アイナメ1
・2019年05月11日、徳山築港、05:20~10:40、小潮、釣果=木っ端ガレイ10・キス2・ナマコ1

 

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千一夜第3章第208夜 最近の読書24

2020-02-27 19:57:40 | 読書

2020.02.27(木)


笠戸島の河津桜が満開を迎えている。淡い紅色の花が咲き誇る。既に散り始めた樹も多い。恐竜も花見か?

正月が明けてから30年振りのメニエルに2か月程度悩まされている。持病だと決め込み病院にも行かないので長引くが、友人は30年前よりは確実に良い薬が出ているから病院に行けという。30年前には自力(船釣りを日常的に開始)で治したという自負があるためなかなか病院に足が向かない。

最近読んだ本。記載するのは今回で24回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『アメリカの戦争責任』 竹田恒泰著 PHP新書 評価☆☆☆☆ ’19年12月9日読了
寸評:副題に「原爆投下の正当性を問わずに、日本の戦後は絶対に終わらない」とあるとおり、アメリカの原爆投下について論じる。戦後最大のタブーともいわれる「アメリカの戦争責任」について、原爆投下の目的が戦争終結を早めるためだったという言葉はどこまで正しいのか、ポツダム宣言を巡る米ソの攻防、削除された天皇条項など当時の資料を渉猟しながら、日本を降伏させないことをアメリカが考えるようになった驚愕の経緯を著者が解明していく。そうした問題を両国が直視し、互いの過ちを知ってこそ、真の日米友好の礎が築けるはずという。日本における戦後最大のタブー、原爆投下を正当化するアメリカの教科書、無条件降伏論が早期の終戦を妨げた、トルーマンの手中にあった4つの選択肢、なぜポツダム宣言から天皇条項は削除されたか、原爆投下前の対日参戦を目論んだソ連、原爆でもソ連参戦でもなかった降伏の真相、アメリカの行為は疑いなく戦争犯罪である、日米が真の友好関係を構築するために、これらの各章で詳しく検証していき、アメリカの、いやトルーマン大統領とバーンズ国務長官の戦争犯罪を暴く。

『応仁の乱』 呉座雄一著 中公新書 評価☆☆☆☆☆ ’19年12月26日読了
寸評:2~3年前にベストセラーになった本である。応仁の乱と言えば副題にある通り戦国時代を生んだ大乱であり、この乱によって室町幕府は衰えやがて滅亡する、この大乱の東西の総大将は東軍が細川勝元で西軍が山名宗全であるが、この2人は元々仲が悪くは無かったらしい。この大乱のそもそもの始まりは畠山氏の家督争いにある。それに将軍後継問題(2人の将軍時代)や畠山、斯波氏の家督争いが絡み、11年にも渡って繰り広げられた争乱となったのである。両軍の総帥が死んで和議が成立した後も大乱は続く。最終的に誰が勝ったのかも良く解からない。また大名等も何のために戦ったのかも良く解からない。本書ではその良く解からないことを詳細に読み解いている。私も時間を掛けじっくり読み込んだ。


光市冠梅園の白梅。

『祈りの幕が下りる時』 東野圭吾著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年1月8日読了
寸評:2020年最初の読書が本書となった。東野圭吾に外れは無い。第48回吉川英治文学賞受賞作。加賀シリーズ第10の事件簿である。明治座に幼馴染の演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮刑事は近くで発見された焼死体との関連を疑う。その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに、日本橋署の刑事、加賀が激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていたからだ。本書で加賀自身の最大の謎が決着する。一気に読み終えた。

『騎士団長殺し』 第1部(上)(下) 第2部(上)(下)計4冊 村上春樹著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年1月27日読了
寸評:「海辺のカフカ」「ダンス・ダンス・ダンス」と同類の小説である。村上春樹の小説は丁寧である。「結」の部分で急いで終わらせる作家が多いが、著者の作品は最後まできちんと書かれている。カズオ・イシグロに通ずる。今回は4冊にも及ぶ長編だったが、それでも幾つかの不明な部分も存在する。これは著者の意図する所かも知れないが、まず、主人公とまりえの3日間と4日間の共通点が不明に終わっている。共通点が無いのであれば、主人公は何故イデアである騎士団長を殺してまで異次元の世界に入り込まなくてはならなかったか。また、その世界で主人公が川の渡し守に差し出したまりえのイルカのフィギュアを、何時か返すと言ったが返却されていない。主人公は画家であるが、友人の父親の有名な日本画家の「騎士団長殺し」の絵の通りのことが進行する。その中で、主人公も事件に触発されてか、或いは必然か、「免色の肖像画」「白いスバル・フォレスターの男」「秋川まりえの肖像」「雑木林の中の穴」を書く。そしてその絵はこの怪奇じみた話の重要な証言者を代理する。読了後、多くの何故?が付き纏う小説だった。

『ルーズベルト・ゲーム』 池井戸潤著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年1月29日読了
寸評:直木賞受賞後の第1作である。著者の作品は最後は痛快に、ハッピーエンドで締め括る所が好まれるところだろう。但しその後の様々な余韻は残る。それは企業も人も生き続けていくからである。本書は野球好きのフランクリン・ルーズベルト大統領が、野球で一番面白いと言った8対7の試合を指す言葉を題名にしただけに、野球の物語が大きな柱となっている。そして野球と会社、2つの闘いが絶妙のバランスで配合されている。野球で言えば公式戦、会社で言えばライバル企業との戦い、そしてそれらに纏わる人間模様が幾重にも積み重ねられている。野球部のドラマと会社のドラマが不可分であり、奇跡の大逆転が生まれるべらぼうに面白い一冊である。

 
1月28日、東京オリンピック2020 100円のオリンピック記念硬貨が5種類発行された。これで累計13種類となる。最後の第4回発行は7月の見込みで、500円2種類を含めて9種類発行予定だ。

『雲霧仁左衛門』(前)(後) 池波正太郎著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年2月5日読了
寸評:池波正太郎と言えば「鬼平犯科帳」だが、この物語は鬼平より更に半世紀遡った火付盗賊改方長官安倍式部とその部下たちの活躍を描いたものである。現代のような化学的捜査方法が何も無かった時代に、己の義務に命を賭けて悔いなかった人間たちと、稀代の大盗賊雲霧仁左衛門一派(人を殺めず犯さずの正統派)の壮絶な戦いを描く。この小説では両者がヒーローであるように思う。盗賊たちにも喝采し共感を呼ぶし、火盗改にも盗賊らに煮え湯を飲まされた苦渋や口惜しさに憤慨し、足の捜査には感心させられる。また二重三重のどんでん返しがあり非常に面白い。

『真夏の方程式』 東野圭吾著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年2月14日読了
寸評:物理学者の湯川が主人公。夏の玻璃ヶ浦の旅館で起きた死体遺棄事件に巻き込まれ事件解決へと活躍する。湯川は海底金属鉱物資源機構の会議に出席のため東京から玻璃ヶ浦に来た。来るときに電車の中で知り合った小学生恭平がこの旅館の親戚で、夏休みの数日を過ごすために東京から1人で来た。恭平も知らず知らずの内に事件に巻き込まれていく。当初、この旅館に宿泊していた死亡客は、単なる崖からの転落事故と見られていたが、死亡したのが警視庁の元刑事だったことから、当時の部下(現在は偉い人)が死体を見に来る。そこでこれは単なる転落事故では無いと直ぐに見破る。一方、警視庁の偉いさんと湯川は旧知の仲で、これまでにも幾多の難事件を解決に導いている。今回も偶然ではあったが、捜査の手助けを依頼される。死亡した元刑事は、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがある。そこから事件は意外な展開を見せる。湯川が事件を解決に導いたと書いたが、本当の所は、半分未解決に終わらせているのが人間らしくてとても良い。事故か、殺人か、湯川は気付いてしまったが・・・。何故かほっとする結末だった。

『「黄金のバンタム」を破った男』 百田尚樹著 PHP文芸文庫 評価☆☆☆☆ ’20年2月18日読了
寸評:ファイティング原田の生涯を追うことによって日本ボクシング史だけでなく、さらに昭和史そのものまで追体験させてくれる。まるであの時代を生きた彼らと一緒に同じ空気を吸いながら生きているような錯覚を覚える。史上最強と言われた「黄金のバンタム」エデル・ジョフレを破り、日本人初の2階級制覇(誤審により本当は3階級制覇)をした。著者は当時のボクシングのステイタスは、世界でも日本でも今では考えられないほど高かったということを繰り返し書いている。何故なら、当時の世界チャンピオンは世界に僅か8人しかいなかったからである。つまり8階級しか無かったからで、現在は17階級、4団体、総計70人程度のチャンピオンがいる。当時のチャンピオンを賭けて闘った上位選手は、現代では全員何等かのチャンピオンになったことだろう。1960年代、日本人を熱狂させた男の闘いを描く。

 
昨年末の歳末大売り出しの日帰り旅行が当選した。招待旅行の当選は「クレヨンしんちゃん」の世界でしか知らなかったが・・・。

『熱海湯けむり 鎌倉河岸捕物控18巻』 佐伯泰英著 ハルキ文庫 評価☆☆☆☆ ’20年2月21日読了
寸評: 金座裏9代目宗五郎、江戸開闢以来の御用聞きで、2代目の宗五郎が幕府の金子を守った功績により、時の将軍家光から金流しの十手を賜った。金流しの十手の親分として江戸八百八町は言うに及ばず、江戸を出て御用を務めてきたから全国的に有名な親分である。宗五郎たち一行は熱海に湯治旅に出るが、熱海でも事件を解決する。一方、留守を守る金座裏10代目政次も難事件を解決に導く。2代の金座裏が再会する時、鎌倉河岸に新たな風が吹く。シリーズ、読破しようかなあ。

『春の珍事 鎌倉河岸捕物控21の巻』 佐伯泰英著 ハルキ文庫 評価☆☆☆☆ ’20年2月25日読了
寸評:シリーズ物の2作目を読む。本来なら1の巻から読むのが理想だが、たまたま手に取ったのがこの2冊だったので致し方なし。江戸の金座裏の親分の捕物控である。宗五郎一家の飼い猫菊小僧が姿をくらます騒ぎと同時に、同心寺坂穀一郎の従兄弟が行方不明となり金座裏が動く。捕物帳は推理小説、サスペンス小説両方の要素を含んでいるので、気軽に気楽に読めるのが良い。それに詳細な時代考証もしっかりなされており、江戸時代初期の民衆の暮らしぶりや文化も満喫できる。

【2月27日過去の釣行記録】
・2010年櫛ヶ浜港防波堤、18:30~20:10、大潮、釣果=メバル3
・2016年櫛ヶ浜港防波堤、19:05~21:30、中潮、釣果=メバル6

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません

【旧暦2月4日釣行記録】
・1999年03月21日、末武川河口、昼干潮時、中潮、釣果=アサリ大漁
・2006年03月04日、第2埠頭東側、07:00~15:00、中潮、釣果=カレイ2
・2006年03月04日、笠戸寺崎、19:40~02:00、中潮、釣果=2人でメバル8・カサゴ2
・2006年03月04日、笠戸寺崎入口コーナー、昼間、中潮、釣果=57cmカレイ
・2006年03月04日、上関四代、15:00~21:00、中潮、釣果=メバル15
・2007年03月22日、第2埠頭東側、06:30~13:00、中潮、釣果=カレイ2(36cm)
・2009年02月28日、華西防波堤、18:50~22:40、中潮、釣果=メバル9
・2009年02月28日、笠戸日振沖、昼間、中潮、船釣り、釣果=カレイ14
・2010年03月19日、第2埠頭東側、09:00~11:00、中潮、釣果=ボウズ
・2012年02月25日、櫛ヶ浜港新防波堤、19:10~22:10、中潮、釣果=メバル6・セイゴ1
・2016年03月12日、第2埠頭東側、12:10~17:40、中潮、釣果=カレイ3・アイナメ2・ハゼ1・キビレ1・イイダコ1・ワカメ3束

 

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千一夜第3章第195夜 最近の読書23

2019-12-04 21:29:39 | 読書

2019.12.04(水)

10月下旬に義父が死去したため喪中は釣行を断っている。12月12日には喪が明けるため、恐らくシーズン入りしているであろうカレイ釣りをその週末には再開したい。忘年会も3つ入っているので、体調を万全に整え望む。2か月近くも釣行しないでいると、行くのが面倒になる反面、やる気もみなぎる。まあ、楽しみは後に取っておくのも良いだろう。

プール通いの方も10月中旬からバルブの修理で1か月程度休みだったが、先週より再開した。1か月半程度中断したお蔭で体重の方も3㎏程度リバウンドしてしまった。減量目標がまた10㎏からになってしまった。それでも妊婦状態の頃に比べれば10㎏減量している。

最近読んだ本。記載するのは今回で23回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。


令和元年10月18日発行の令和天皇御即位記念硬貨の表裏 

『日本会議の研究』 菅野完著 扶桑社新書 評価☆☆☆☆☆ ’19年10月10日読了
寸評:日本会議関連の本を読むのはこれで3冊目である。「日本会議戦前回帰への情念」山崎雅弘著、「日本会議の正体」青木理著、そしてこの本である。何れの本も安倍政権の諸政策と日本会議の主張や運動、思想や価値観、目指す方向の一致などを指摘している。本書は日本会議の歴史、生い立ち、日本会議の事務局である日本青年協議会の活動、歴史、思想を解説する。また日本会議を取り巻く一部の人々ぼ位置付けを浮き彫りにしていく。安倍政権との関係も解明していくが、日本会議、日本青年協議会の生い立ちから、カルト集団という人もいるように大体に於いて批判的に書かれている。安倍自民の支持母体に問題ありと言っても、民間保守団体は全国に草の根ネットワークを持ち、安倍政権以降の総選挙は自民党の連戦連勝ということからしても、国民の大半は安倍自民を支持しているということになる。政権を担える野党不在ということもあるが、与党に対して何でも反対という野党のスタンスは改め、実現可能な政策と根拠を明確に示す必要があろうかと思う。ちょっと本の寸評から逸れてしまった。

『国境で読み解く日本史』 古川浩司監修 造事務所編 光文社知恵の森文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年10月18日読了
寸評:いきなり、「どこまで知っている?日本の国境」という問いから始まる。日本地図が書いてあり、国境の線を引けというのだ。2013年に名古屋で実施されたが正解率は3.6%だっとのこと。これは北方四島、竹島、尖閣諸島、南鳥島、沖の鳥島などの正確な位置を知っていなければ答えられない。かくいう私も不正解、日本人としては恥ずべきことだろう。本書は国際法から見る国境の解説から始まり、ヤマト王権の成立と支配地域の拡大、大陸国家と古代から中世日本、鎖国の完成と接近する欧米列強、近代国家樹立からの領土拡大、特に明治時代から第2次世界大戦による勢力圏の拡大まで詳細に、時系列に書かれており解かり易い。最終章は現代日本の国境と題して、戦後から今日までのことが書かれている。私がこの本で初めて知ったことは、大東亜戦争降伏後、ドイツのように日本の分割統治が検討されていたということだ。北海道・東北地方をソ連、関東・中部地方と三重県はアメリカ、四国は中華民国、中国・九州地方はイギリスがそれぞれ単独で占領し、東京市は4か国の共同管理、近畿地方と福井県は米中の共同管理という案である。もし日本がこの分割占領を受け入れていたらと思うと肌寒くなる。

『韓国という病』 月刊HANADA著 飛鳥新社 評価☆☆☆☆☆ ’19年10月30日読了
寸評:’17年5月から文在寅政権になってから反日が著しく盛り上がった。慰安婦問題、元徴用工問題の蒸し返しに始まり、’18年10月新日鐵住金、同11月には三菱重工業への損害賠償命令、12月にはレーダー照射(宣戦布告と同意)問題、’19年2月には韓国国会議長・文喜相が慰安婦問題で天皇の謝罪を要求、同7月には和解・癒し財団の解散(日本に返金無し)、日本も同7月に韓国への輸出管理強化、ホワイト国除外を発表し9月から実施したが、対して韓国は8月にGSOMIA破棄を通告してきた。まだ他にも、戦略物資の横流し、福島の処理水に対するイチャモン、オリンピックメダルのデザイン、同旭日旗持込禁止、同ボイコット(来ない方が良いかも)等々、よくもまあこれだけ次から次へと出てくるもんだと感心する。一種のストーカーだな。新日鐵住金・三菱重工の資産差し押さえは’20年2月に先送りしたようだが、三権分立を主張するのだから遠慮なくやれば良いのに。日本の次の対抗措置が見たかった。そもそも、明治30年に福沢諭吉氏が、「朝鮮人を相手の約束ならば最初より無効のものと覚悟して、事実上に自ら実を収むるの外なきのみ」と120年も前に書いている。未だに変わっていないのだ。ドタキャン、協定違反、ウソ、裏切り、言い掛かり、ゆすり、たかり、物乞い、捏造、自己正当化、感情で動くなど韓国が抱える病理は凄まじい。まあこのようなことが300頁くらい書いてある。見過ごせないのは、韓国の戦争犯罪「ライダイハン」問題である。ベトナム戦争に出兵した約32万の韓国軍兵士たちが、12歳の少女を含む数千人のベトナム人女性を強姦し3万人の混血人が生まれた。この子供らをライダイハンと呼ぶが迫害され続けている。韓国はベトナムにおける戦争犯罪を一切認めず40年間、公式謝罪も賠償も行っていない。日本には従軍慰安婦に対して謝罪や賠償を要求し続けている。これもダブルスタンダードの韓国という病か。文喜相国会議長は天皇陛下(現上皇陛下)に謝罪要求したが、どの面下げて来日するのだろうか。日本は入国拒否すれば良いのにと思う。韓国には恥ずかしいという感情は皆無である。

 
令和元年10月18日発行の天皇陛下御即位記念切手と説明文

『独りだけの役員会』 広瀬仁紀著 光文社文庫 評価☆☆☆☆ ’19年11月5日読了
寸評:昭和62年の長編企業小説だが今でも面白く読んだ。著者の本はまだ数冊しか読んでいないが解説によると、経済起業・社会派サスペンス小説の作家で、この小説もそうだが証券会社を舞台に描き出す欲望の人間ドラマが得意で面白い。現実の事件をヒントに、或いは作家の想像力の所産であれ、常にビジネス、企業社会に身を置く人たちの関心事にストレートに訴求する題材が前面に押し出されている。現場主義で知られる著者は旺盛な取材精神を重ねる。高杉良に通じるが私の評価では高杉の方が上である。本書では証券会社を食い物にする総会屋、事件屋、政治家のドス黒い癒着や裏切りを描き、ラストのヤマ場では推理小説のドンデン返しのような逆転劇が控えている。少し読み難い感じもあった。

『夏草の賊』(上)(下) 司馬遼太郎著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年11月11日読了
寸評:戦国武将長曾我部元親の大河ドラマである。長曾我部物を読んだのは初めてだ。青年期から戦死までを描くが、前半では妻の菜々が、後半では長男の弥三郎信親が元親に絡んで描かれる。四国土佐の片田舎の僅か一群の領主でしかなかった若者が野望に燃え、武力調略を駆使し遂には土佐一国を制す。そして近隣諸国へなだれ込み四国全土を征服、あわよくば京へとなるが、そこへ立ちはだかるのが織田信長、豊臣秀吉だった。信長の死後、秀吉が四国に侵略の手を伸ばして来たことで、営々と築き上げてきた四国全土から土佐一国に押し込められる。その後は秀吉に従うが信親は戦死、元親も関ケ原の前年に死ぬ。幼少の4男の盛親が後を継ぐが石田三成に組したため土佐一国も取り上げられてしまう。読了後感じたのは、長男の信親は若いが世代交代が遅すぎたように感じた。戦国時代において隠居は難しいが、元親は天下の情勢を掴むのが遅く、また長男を土佐の片田舎に留め置いたのが敗因となった感がある。

『義経幻殺録』 井沢元彦著 講談社 評価☆☆☆☆☆ ’19年11月13日読了
寸評:井沢元彦と言えば日本史研究家で鋭い洞察力と想像力で逆説物を書くのが得意。私も多くの著書を読んでいる。が、この本は主人公が芥川龍之介と明智小五郎で、サスペンス、推理小説である。実在の小説家と江戸川乱歩の小説のキャラが主人公である。龍之介の使命は、清王室の出自に関する文書、禁闕文庫という秦皇帝が所蔵し宮廷の秘庫に収められた門外不出の「玉牒天瀇世系」という本の解読、真贋鑑定、及び世界への真実の公表にある。源義経の不死伝説、義経が清朝の祖となったことをである。物語のキーワードは「避諱」(ひき)である。中国文学に詳しい人なら恐らくピンと来るかも知れない。避諱とは先祖や皇帝の諱(忌み名)に使われている文字は、書物は勿論、私的な文章にも使うことが許されないというもの。どうしても使わなければならない時は、同じ発音で意味の近い文字に差し替えるか、欠画(最後の一画を省く)という方法を使った。日本では中国とは真逆で、編諱や継名という習慣がある。中国と日本、ロシアまで加わって物語は展開する。黒幕は明治の元帥山縣有朋。面白い本だった。


令和元年10月18日発行の下松市市制80年記念フレーム切手

『幻夜』 東野圭吾著 集英社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年11月21日読了
寸評:直木賞を始めとして各賞総なめの感がある著者、東野圭吾の著書に外れは無い。同僚の女性は殆ど読んでいると言っていたが、私もたまに読みたくなるのだ。この本は「白夜行」の続編となる。と言っても、続編ということは巧妙に隠されていて全くの別作品だといっても良い。読み進めて行く内に”アレッ”と気付いた。半信半疑だったが後で解説にも書いてあったので、”やっぱり”と納得した。物語は、新海冬美と名乗る女の魔性に捕えられ、操られ、自らの人生を犠牲にしてしまった男を描く。ミステリーのみならず人間の生き様を重層的に描く。

『教団X』 中村文則著 集英社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年11月28日読了
寸評:大作である。突然姿を消した女性を探し、奇妙な老人を中心とした宗教団体に辿り着く。そして彼らと対立する性の解放を謳う分派のカルト教団X(オウム真理教が下地にあると思う)。2人のカリスマの間で蠢く悦楽と革命への誘惑、4人の男女の運命が絡み合う。カルト教団はやがて暴走し、国の根幹を揺さぶり始める。神とは、運命とは、個人の存在とは、絶対的な闇とは、光とは何か。奇妙な老人の話は哲学的でまともである。宇宙のこと、量子力学のこと、万物の運命のこと、仏教のこと、釈迦のこと、脳の神経細胞のこと、私が最も感銘を受けたのは、意識を司る脳の特定の部位は存在しない、脳の大局的な働きによって意識が生まれる、脳が無ければ意識は発生しない、脳の活動が意識に反映される、意識によって脳に何らかの因果作用を働きかけることは出来ない。つまり私が「閃いた」と感じた時、その0.何秒か前に実は脳が「閃いて」いるということ。これまで発想だにしなかった。結末はカルト教団の、教祖の破滅にある。カルト教団の信者となる者は、何処かで挫折した者、社会から弾かれた者、自分を優秀と信じて疑わない者と相場はほぼ決まっている。恐らく誰も指摘していないと思うが、本書は三島由紀夫の豊饒の海第3部暁の寺を相当意識していると思う。

『可児才蔵』 志木沢郁著 学研M文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年12月3日読了
寸評:可児(かに)才蔵という戦国時代の武将を描く。歴史本にたまに名前が出るので名前は知っていたが、人物像は全く不明だった。類まれな槍の使い手で若き頃より武名が轟く。修業時代の総仕上げとして、雑賀の宝蔵院流に挑みこれを打ち負かす。戦場では笹の枝を旗指物とし、討った首にその葉を咥えさせたことから「笹の才蔵」として知られる。無骨なまでの正直さゆえに上司や主君と衝突し6度も主君を替えている。それまでに仕えた大名は皆滅んでいるため、才蔵を召し抱えた大名は滅ぶと評判が立つが、最後の主君、福島正則とは気が合った。関ケ原では大活躍をして家康からも激賞された。指揮力に欠けたため一軍の将にはなれなかったが、信念を貫き理想の働き場所を得た男の生涯を描く。 

【12月4日過去の釣行記録】
・2010年中電西側岸壁、06:20~11:30、大潮、釣果=カレイ3・キス1・アイナメ1・イイダコ1・メゴチ2
・2011年第2埠頭東側、06:20~13:00、長潮、釣果=カレイ2・キス1・チダイ1・コウイカ2

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。

【旧暦11月8日釣行記録】
・2000年12月03日、今津川河口、13:00~16:00、小潮、釣果=イシガレイ2
・2009年12月23日、粭島小瀬戸橋、19:00~20:40、小潮、釣果=メバル1

 

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千一夜第3章第190夜 最近の読書22 iPhone11Proを購入したが・・・

2019-10-19 23:46:54 | 読書

2019.06.17(金)


9月16日、孫がトランポリンで遊ぶ。

私は汗かきである、と自負している。体重も標準だった頃は、今ほど汗かきだったとは思わない。50半ば頃から腹が出始め、10年後の現在では標準より12㎏オーバーである。一時は20㎏超オーバーだった。その頃は妊婦状態で腹の皮がピリピリと痛かった。そこで一念発起して週一のプール通いを始め、今では10~12㎏オーバーを何とか維持している。週一の水泳では効果は無いと言われていたが、自分では効果を認めている。真面目に1時間びっしり泳ぐのである。最初は25mプールを10往復程度しか泳げなかったが、今ではペース配分も習得し、最高で36往復泳げるようになった。ピーク時よりも10㎏程度痩せたが、やはり汗は湯水の如く流れ出る。同じ場所に居て、他の人は汗が流れ出ないのに私だけは汗だくとなるのである。上の写真、孫のトランポリンを見ているだけで顔から汗が噴き出る。新陳代謝が良いと言われればそれまでだが、私としてはどうも納得しかねる。

一説には、我々が若い頃の夏の気温と現在の気温は全く違うという説がある。確かにそれは肌で何となくは感じるが、実際、自分が若かった頃の暑さはもう忘れ去っている。ただ自分が納得出来ないのは他人と比べてのことだけなのである。一例として、我が社では社内での喫煙は禁止されている。喫煙場所は戸外のカーポートの傍に一つだけぽつんと灰皿が置いてあるその場所だけである。私は夏の暑い日に外で煙草を吸うだけで汗だくとなるが、他の社員は暑いとは言うが汗は大して掻いていない。こんな日は一刻も早くプールに飛び込みたくなる。因みに、我が支社の数百メートル南方は海であり、虹ケ浜海水浴場でもある。昼休み時間にでも海に浸かりに行こうと思ったことは何度もあるが、未だに実行出来ないでいる。何れにしてもこの汗かき、何とかならないものかと思案中である。脂肪を吸い取る手術もあるようだが、それに頼ろうとは思っていない。


今年も恒例の梨・ぶどう狩りに行った('19.09.16)

最近読んだ本。記載するのは今回で22回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

 『火天の城』 山本兼一著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年9月4日読了
寸評:直木賞作家。信長物だが、嘗て読んだどの本とも違っていた。主人公は岡部又右衛門という番匠(大工)の棟梁である。信長は安土城築城を天下一の棟梁父子に託す。又右衛門は岡部一統150人を筆頭に、延べ100万人の各種技術者や労働者を集め築城に取り掛かる。その築城の過程を順を追って丁寧に書く。史実として解かっていない事、例えば材木を何処から集めたかは全く記録が残っておらず不明である。又、落城は誰が火を放ったかなど史実不明であるが、著者は実に上手く、詳しく、丁寧に書き上げている。この当時、5重7階の天主(天守ではない)は存在せず初めての築城となる。まずは築城の場所選定、設計(イエスズ会のオルガンティーノも登場)、粘土で安土山の詳細模型を作ってそれを押しつぶして城郭等を作る、材木選び、石積み(石垣)、大石の運搬(史実であり数百人の死亡事故が起こる)、基礎工事、躯体工事、瓦職人による瓦製造、天主の棟上げ、瓦葺き、粗壁塗り(仕上げまで20回塗る)、飾り金物、畳、障壁画、襖絵、建具等々の過程であるが、その間に武田、六角の忍びによる工事妨害もある。完成した後には明智光秀謀反による信長の死、光秀入城、六角氏入城、織田信雄入城など築城開始から落城までを描く。

『マリー・アントワネットと悲運の王子』 川島ルミ子著 講談社+α文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年9月5日読了
寸評:フランス革命に散った悲劇の一家、ルイ16世と王妃マリー・アントワネット、そして2人の子供たちの真実の姿と王子の死に関する疑問を、フランス在住の著者が解き明かす。王は紆余曲折を経て1票差で死刑が確定し処刑され、その後王妃も処刑される。2人の子供たちはタンプル塔に幽閉される。姉のマリー・テレーズと弟のルイ・シャルル王子(ルイ17世)である。姉は後に釈放されるが、弟のシャルル王子は獄中死する。この死に関して様々な疑問や憶測が生まれた。仮に王子が塔で死亡したとしたら、1794年1月上旬と1795年6月8日という2つの説が一番有力で、また王子は塔で死亡したのではなく、救出されていた(替玉説)という説も根強く残っていた。これらの説はフランスの歴史上最大のミステリーとして2世紀に渡って歴史家の間で論議されていた。その謎が遂に、DNA鑑定により2000年4月19日に明らかにされたのである。気になる方は是非読んでみてください。

『おらおらでひとりいぐも』 若竹千佐子著 河出書房新社 評価☆☆☆☆ ’19年9月6日読了
寸評:第158回芥川賞受賞作。全文が東北地方の方言で書かれているので非常に読みにくかった。とは言え、東北弁のヒアリングは出来ないにしても、活字になると何とか読めて意味も通じる。24歳で故郷を飛び出した桃子さん、身ひとつで上野駅に立ってから50年、結婚し2児の子育てと成長、そして夫の突然死、疎遠な子供たち、この先どうやって暮らすか。捨てた故郷、亡き夫への愛、震えるような悲しみ、ゆれる心の葛藤。やがて目的のある一日が新鮮な日であることに気付き、夫の墓参りに行く。文中で、開発から取り残されたような、両側に草が生い茂るような細道、この道を歩く描写が上手い。桃子さんは自分が一番輝いていたのは何時だったか自問する。様々な情景が浮かぶが、夫の死亡後からだったと気付く。夫の死後、日々を重ねて初めて手に入れられる感情がある。それが何より尊いのだと気付く。しかしそれは孤独の旅路でもある。最後に孫が登場し母のことを語る場面があるが、これが実に効果的だった。この歳になると些か心に突き刺さることも多かった。

 
孫の百日のお祝い御膳('19.09.23)

『流星の絆』 東野圭吾著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年9月17日読了
寸評:直木賞を始めとして各賞総なめの感がある著者、東野圭吾の著書に外れは無い。たまに読みたくなるのだ。物語は何者かに両親を殺された3兄妹は流星にかたき討ちを誓う。時効直前の14年後、世間を敵視し反社的な行為を繰り返しながら生きる彼らの前に、犯人を突き止める最初で最後の機会が訪れる。3人で完璧に仕掛けたはずの復讐計画、その最大の誤算は妹の恋心だった。終盤で大どんでん返しを得意とする著者であるが、今回は犯人捜しの予想が大きく外れた。読者に推理され犯人を当てられるようじゃ失敗作となるのだろうが、何時も思うことだが最後のどんでん返しが性急過ぎるように思う。もう少し間があっても良いかなと思う。

『百田尚樹「日本国記」の真実』 別冊宝島編集部編 宝島社 評価☆☆☆☆☆ ’19年9月18日読了
寸評:この本は百田尚樹の批判本である。百田ファンは読まない人が多いのだろうが、私はファンでも読んだ。まず、「日本国記」('18.11幻冬舎刊)であるが、刊行直後から事実関係の誤りや「ウイキペディア」を主体に他文献からの剽窃、無断引用が指摘され、その是非を巡って著者や編集者が弁明、反論する状況が生じていた。私は本書を読んでいないが、それは内容に凡その見当は付いていたからである。その誤りについては9刷目で大きく(50箇所以上)修正してあり、初版との対比が延々と書かれている。はっきり言って著者は既に開き直っている。修正箇所については正誤表くらい付けたら良いだろうし、ネットの丸写しならその出典を付記しておけば盗用・パクリには当たらないのではなかろうか。まあ、本書は歴史書ではなくエンタメの分類であるから、本格の歴史家からは殆ど批判は出ていない。と云うよりも、読まれていないのだろう。

また「純愛」(既読)についても、ノンフィクションと名打っているが、その取材方法の甘さから、或いは主人公(たかじんの妻)への偏った思い入れからか裁判では誹謗中傷、名誉棄損などで惨敗している。こうなるとあの感動物だったストーリーは真に受けることは困難になる。しかしここでも著者は強気を通し続けている。

著者はガチガチの右翼ではない。ガチ右翼は決してブレない。このことは「朝まで生テレビ」で露呈しているが、まあ右傾思想者といったところだろう。私を含め現在の日本人の大半がこの右傾化に属しているのだろう。それは、安倍首相率いる自民党が選挙に於いて連戦連勝をしていることでも明らかであり、対韓国政策に於いても国民から支持を得ているし、野党の大御所等もこれを支持している。本来、国益という観念からすれば右も左も無いはずである。

まあ、百田尚樹という人物、「浪速のおもろいおっちゃん」ということで良いのでは。

『フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎著 新潮社 評価☆☆☆☆☆ ’19年9月20日読了
寸評:全4編の短編、中編集である。著者の小説を書く手法と言えば、バラバラに進んでいた人物たちの幾つかの物語が、終盤になって綺麗に解体され鮮やかに再構築されるといったものが多い。しかしこの4編ではそういった手法は使われていない。「動物園のエンジン」「サクリファイス」「フィッシュストーリー」「ポテチ」の4編である。この中で「サクリファイス」と「ポテチ」では主人公、準主人公として本業空き巣、副業探偵である黒澤なる人物が登場する。黒澤は、著者の別の小説「ラッシュライフ」や「重力ピエロ」にも登場するが、特にシリーズ物という訳ではない。ニヒルで目立たない性格だが、このキャラは私はお気に入りである。「動物・・」はオオカミの檻の前で寝る男、この男が居ると夜の動物園は活気がみなぎる。オオカミ脱走事件、市長殺害事件、マンション建設反対運動に関わるこの男のことを、別の3人の男たちが様々に推理する物語。「サクリ・・」の主人公は黒澤、小暮村に昔から伝わる風習、村長とその友人が風習を利用して村の存続を図る。「フィッシュ・・」は一つの曲が世界を救った物語、輪廻転生、言霊、めぐり逢いなどを想起する。「ポテチ」は空き巣仲間の後輩の物語、赤ちゃんの取り違えを巡る物語である。何れも現実離れした秀作である。


孫の七五三と百日のお祝いの記念写真('19.09.27)

『百万都市 江戸の生活』 北原進著 角川ソフィア文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年9月25日読了
寸評:世界でも稀な巨大都市・江戸。事件や人物、生活、風俗、経済事情を通して江戸らしさとその性格を見つめれば、現代の大都市東京の原形がくっきりと浮かび上がってくる。熱い銭湯でのやせ我慢、盛り上がる初物の売り出し日、贈答品のリサイクル、等々市井の様々な噂話をはじめとする豊富な史料を使いながら、江戸の暮らしとその性格を明らかにする。今も息づく江戸の精神を説く江戸庶民史である。この中で度量衡に関することも書かれているが、石高の「石」については米を始め酒や木材にまでも使われややこしい。またお金の価値体系も知らないことが多々あった。金、銀、銭、3種類の価値体系がありこれもややこしい。1文銭は九六銭勘定と言い、96枚が100文となり、97枚あると101文となるのである。そう言えば、二八蕎麦は16文、明治4年の日本初の竜門切手は48銭であり、何れも96の公約数である。48銭は50銭の価値となるのだ。面白い本だった。

『ダンス・ダンス・ダンス』(上)(下) 村上春樹著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年10月1日読了
寸評:物語の全ては札幌の古い「いるかホテル」から始まりそこで終わる。大企業の買収により古いホテルは取り壊され、近代的な巨大ホテルが開業、名前は「ドルフィンホテル」と改名されたが、何故「いるか」なのか。主人公は古い「いるかホテル」に初めて宿泊したにも関わらず、再びここを訪れなければならない強制観念に捕らわれる。再び新しいホテルを訪れ様々な運命の糸が絡み合い物語は展開していく。ホテル従業員のユミヨシさんとの出会い、いるかホテルの何処かにある小さな時空の歪みの中に存在する羊男との出会い、そこは死後の世界ではなく違う世界、違う現実の世界だった。羊男こそが主人公の運命の糸の結び目を作り、主人公の人生を推進していく。最初はこの結び目が上手く機能せず主人公は混乱する。13歳の少女ユキとの出会い、中学同級生の人気俳優五反田君との接触、ユキの両親との出会い、ハワイホノルルのダウンタウンの6体の死体を集めた部屋、超高級売春組織からの娼婦斡旋、そして関係者が次々と死んでいく。非現実的な物語だが、このような思考形態から作家は自殺していくのかなと感じた。

『ダイイング・アイ』 東野圭吾著 光文社 評価☆☆☆☆☆ ’19年10月3日読了
寸評:主人公のバーテンダーの慎介が、ある日初めての客に待ち伏せされ、スパナで頭を殴打され部分的な記憶喪失となる。部分的記憶喪失というところの解明に向けて物語は進行する。サスペンスであり同時にオカルト的でもある。著者はこういう設定が好きな部分もある。従って物語の詳細を記す訳にはいかないが、欠落した記憶とは交通事故、加害者は2台の車で被害者の女性は死亡している。2台目の加害者は被害者の女性が死亡していく様を終始見つめていた。そして2人の目と目がしっかり絡み合う。殴打事件から事件解決を見るまで多くの人物が死んでいく。物語は予想外の展開を見せるが、霊的、催眠的なところが多く、ちょっと飛躍し過ぎかなとも思った。


「令和天皇陛下御即位」記念硬貨発売のポスター

『むらさきのスカートの女』 今村夏子著 朝日新聞出版 評価☆☆☆☆☆ ’19年10月4日読了
寸評:第161回芥川賞受賞作、著者はデビュー作で三島賞受賞、2作目で芥川賞候補となり河合隼雄物語賞受賞、以後、野間文芸新人賞、太宰治賞受賞と書く作品の多くが賞に絡む。著者の作品を読むのは今回が初めてであるが、これらの賞を見るだけでも才能の程は察せられる。最近の芥川賞受賞作の多くを読んでいるが、久し振りの秀作である。物語はごく平凡な変わり得ぬ日常を描く。近所に住むその日暮らしの様に見えるむらさきのスカートの女が気なって仕方のない私は、彼女と友達になりたかったため自分と同じ職場で働きだすように誘導しその生活を観察し続ける。彼女は会社で頭角を現しやがて所長と不倫関係になる。ある日、会社の備品盗難事件があり彼女が疑われる。所長は彼女のAP.を訪ねるが、彼女と揉み合いになり2Fの手摺から落ち死亡?その様子を盗み見ていた私が駆け付け、所長の死亡を彼女に告げる。日頃の生活苦から何時でも逃亡できるように準備していた私は、準備していたものを彼女のために与え逃がす。が、所長は脳震盪と骨折だけで命に別状は無かった。ここから女(私)の恐ろしさ、悪女の大どんでん返しがある。最後は呆気に捉われる。

『ももこのトンデモ大冒険』 さくらももこ著 徳間書店 評価☆☆☆☆☆ ’19年10月8日読了
寸評:徳間書店の石井氏、彼の作った本は数年間に渡りトンデモ本ランキング上位総なめという快挙?を成し遂げ、社員からもバカにされ徳間書店の恥と言われていたが、氏の編集本「アミ 小さな宇宙人」にももこ氏が感動を受け、別の雑誌でその本を絶賛して紹介したことから、さあ大変、ももこ氏に認められたことから氏の評価は180度変わり、取材費天井知らず?の大冒険取材旅行記を作ることになった。思い付きの取材旅行記の感はある。さくらももこがどんなにとんでもない目に合おうが、最終的には心温まるエッセイに仕上がっている。全旅行に帯同した石井氏のキャラも見逃せない。ドタバタ感はあるもののそこもまた面白い。

明日は釣行予定だったが取り止めた。今日iPhone11Proを購入したが、写真がPCに入らない。それにappleパスワードも不明で、あるアプリにログイン出来ず、明日もう一度AUショップを訪問することにした。

【10月19日過去の釣行記録】
・1996年笠戸島周辺、06:00~16:00、大潮、船釣り、釣果=マダイ3・アジ多数
・2005年上関漁港防波堤、17:50~19:35、大潮、釣果=アオリイカ1
・2014年徳山築港、06:00~11:00、若潮、釣果=カレイ1・キス14・ハゼ4

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。

【旧暦9月21日釣行記録】
・2006年11月11日、華西防波堤、19:45~22:30、中潮、釣果=太刀魚ボウズ
・2009年11月07日、櫛ヶ浜港旧防波堤、20:00~23:10、中潮、釣果=ソイ1・メバル8・アジ2・シマイサキ1・タナゴ5R
・2011年10月17日、日石前防波堤、19:00~21:20、中潮、釣果=マダコ1
・2012年11月04日、落港防波堤、07:00~11:00、中潮、釣果=キス3
・2018年10月28日、徳山築港、06:20~10:50、中潮、釣果=カレイ3・キス3・イイダコ1・カサゴ1・ベラ1

 

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千一夜第3章第183夜 最近の読書21

2019-08-31 23:59:37 | 読書

2019.08.31(土)

6月以降、私のメインである投げ釣りは、1回しか行っていない。天候の不具合もあるが、何かと行事も入る。それに若い時とは違い、暑いのはもうお手上げである。ここ最近、秋雨前線も停滞し雨が多く、暑さは一頃よりは凌げるようになってきた。9月からはそろそろ始動開始といきたい。

最近読んだ本。記載するのは今回で21回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。


光市市民夏季大学のチケット購入。著名人3人の講義が何と2.500円、格安のチケットです。

『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』 関裕二著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年7月9日読了
寸評:丁度この本を読んでいる時に、大阪の百舌鳥・古市古墳群が世界文化遺産に登録が決定(7/5)された。偶然とは恐ろしいもので、ずばりこの本の内容そのものである。以前にも同じような体験があったが何だか忘れてしまった。著者の本は10冊程度読んでいるが、古代史研究に於いて考察の正否は別として、非常に面白く読めるし、その現場を訪れてみたくもなる。本書は大阪に於ける古代史の考察である。国生み神話から何故淡路が最初の島だったか、早良親王との関係、泉州と行基さまの関係、百舌鳥古墳群や古市古墳群を中心とした巨大古墳の謎に迫り、大阪とはいったいなんぞね?と編集者と共に淡路・大坂を巡り歩く。私も同じルートで旅がしたくなった。

 『サワコの和』 阿川佐和子著 幻冬舎文庫 評価☆☆☆☆ ’19年7月11日読了
寸評:私にとっては毎度お馴染みの阿川佐和子である。この作品は2004年3月刊行だが、最近は良く重複して本を購入したりするし、著者の本も40冊弱(大半がエッセイ集と対談集)読んでいるので、手に取った時は重複が少々不安にもなるが、幸いというか今回は重複していなかった。文体はごく自然体で読み易い。著者は私よりも2歳年上であり、言うなればほぼ同年のようなもの(厳密に言えば昭和20年代生まれと30年代生まれでは大きく違うが)であるから、エッセイに書かれている内容も、ああ昔はそうだったなとか、うち(家)でもそんなことをしていたなとか共感できる話題や新たに思い出させてくれることも多い。厳格で自己中で瞬間湯沸かし器、しかも吉行淳之介氏のおもちゃのような父、弘之氏も好きであり、何よりも娘の佐和子氏が父親の血をしっかり引いておられるところが素晴らしく好ましい。

『楊家将』(上)・(下) 北方謙三著 PHP文庫 評価☆☆☆☆ ’19年7月18日読了
寸評:本書は第38回吉川英治文学賞を受賞。「楊家将」は、中国で「三国志」を越える壮大な歴史ロマンとして人気があるそうだ。「三国志」や「水滸伝」は漢民族同士の内戦の物語だが、この「楊家将」は異民族との熾烈な戦争を描く。舞台は10世紀末の中国、北韓から宋に帰順した軍閥・楊家が主人公である。楊家一族で北韓を滅ぼし国を建てることも可能だったが、旧主に反旗を翻すことは避け宋に帰順する。宋では北から領土を脅かす遼と対峙するため、北辺の守備についていた。遼の耶律休哥軍との戦いが主戦となるが、宋の皇帝が遼の間者王欽の策略に嵌り楊家が危機を迎える。伝説の英雄、楊業と7人の息子たちの熱き戦いを描く。


オリンピック記念硬貨第2次分100円6種が7月24日に発行されるというポスター(写真は7月17日から銀行に掲示してあったポスター)。

『ピラミッド』 河江肖剰著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年7月24日読了
寸評:著者自身が立っているエジプト学研究の最前線へと我々を誘うために、本書では約4500年前に築かれたピラミッドを、「どのように作ったのか」「なぜ作ったのか」「誰が作ったのか」という3つの大きな視点からピラミッドのリアリティが描かれ、最新発掘調査と先端技術のデータを用いて解説する。ピラミッド・タウンの発見、発掘調査により、「人間」に焦点を当てて考察する。黄金に輝く宝物とは無縁の現場で蓄積された「情報」を基に、ギザ台地で生きた人々の日々の営みと建設中のピラミッドが佇む風景に宿るリアリティは悪漢である。本書は2015年に刊行後、エジプト学の領域にもたらされた新たな発見(2017年11月にギザの大ピラミッドに謎の空間発見)や知見が書き加えられている。著者は現在ではドローンを用いた三次元測量プロジェクトに関わっている。尚、遺跡の詳細について書かれたものは、日本語では本書が初めてのこととのこと。

『山霧 毛利元就の妻』(上)・(下) 永井路子著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年7月日読了
寸評:1985年6月の作品。16世紀初頭、土豪たちがひしめく中国山地の小領主だった毛利元就の元へ鬼と言われる吉川國経の娘が輿入れした。元就と妻おかたとの27年間を描き出した物語である。乱世の梟雄毛利元就の物語ではなく、中国山脈の山裾の霧の中を這いずり回りつつ、16世紀を生きた若い男と女の話であるという書き出しで始まる。毛利も吉川も安芸の国人層で地元勢の小領主である。元就の所領は300貫でその居城猿掛城もちっぽけな城、その支配も脆弱であり徹底してはいなかった。大内氏と尼子氏という2大勢力の狭間で翻弄されながら、どう生きのびるか何かと気苦労が絶えない。育ちも性格も対照的な2人だが、二人三脚で夫婦の夢を紡いでいく。物語の後半は、尼子軍との合戦を通して元就が戦国大名としての基礎を確立していくプロセスを描く。そして妻おかたの終焉までを描く。ヒロインおかたの生きざまを見据えることで、戦国期の政略結婚に対する常識と元就のイメージを覆す新境地の戦国ものである。

『白夜行』 東野圭吾著 集英社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年8月9日読了
寸評:860頁もの文庫本は久し振りに読んだ。しかし実際にはそんなに分量を感じさせなかった。読み終わってみればあっという間だった。複雑巧緻なトリックを駆使した本格ミステリー、サスペンスである。著者は様々なジャンルの小説を書き分けるが、本編はノワール的な小説だと言われる。ノワールとは聞き慣れない言葉だが、暗くてダークな小説をいう。人間の心の暗い側面、邪な断面を描く、或いは暗く邪な人間がそうならざるを得なかった人生、世界を描こうとするものらしい。物語は20年にも及ぶ二人の男女の物語で、幼い時に落ちた落とし穴から這い出ようともがく二人には決して明るい昼の光は当たらない。白夜のように曖昧な薄暗い光が二人の行く手をただ照らすだけ。その道行は暗く、おぞましく、利己的で、だがそれ故に哀切を帯びている。この物語で著者は二人の内面を一切描かない。二人の主人公は、彼らを取り巻く人間たちの視点を通してだけ描写される。つまり二人の行動のみが描写されているのだ。こういう手法はハードボイルド小説に多く見られるが、成功例は稀である。しかし本編ではそれに成功している。


7月24日、第2次東京オリンピック記念硬貨100円6種が発行された。次は来年1月、7月の予定だ。

『無言殺剣 正倉院の闇』 鈴木英治著 徳間時代小説文庫 評価☆☆ ’19年8月20日読了
寸評:著者の本は初めて読んだ。来年辺り奈良方面に行ってみようかと思っていた矢先に、この本の表題が目に入って来たので、特に何も考えずに手に取った1冊である。箇条書きのような文体で、文字を削れば良いというものでも無かろうと思いながら読み進めた。物語の主人公は音無黙兵衛、正倉院宝物流出の濡れ衣を着せられて自害に追い込まれた父・菅郷左衛門の事件の真相を突き止めることを誓ったが、鍵を握る人物の死や失踪により真犯人探しは遅々として進まない。そんな折、黙兵衛を狙う新たな刺客が送り込まれてくる。この無言殺剣という本もシリーズものだったからかどうか解らないが、終わり方もしっくりこない。続きを読もうという意欲が全く沸いてこなかった。

『外国人が見た日『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』 内田宗治著 中公新書 評価☆☆☆ ’19年8月27日読了
寸評:明治期から現在の観光旅行案内の対比や外国人の国内旅行の変遷(明治32年の条約改正により外国人は自由に国内旅行ができるようになる)、或いは明治期からの日本のホテル事情、訪日外国人のランキング推移などを時系列に紹介していく。そして現代の観光立国事情へと移る。
日本国政府は2020年訪日外国人客の目標4000万人と発表。中でも中国人の訪日客は増加の一途を辿り全体の1/4を占め、外貨獲得に於いては4割を占めるという。現在の韓国との政治状況からして観光客は激減し、国交断絶へと向かいつつあるが、中国にしても現在は増加し続けている観光客だが先行きは不透明、諸刃の剣であろう。政治状況によっては中国の対韓国、対台湾のように旅行禁止令が出るケースもある。それでも現状では増加し続けている。反面、戦争・テロ・伝染病・などのリスク、世界経済不況・為替相場・天災等々多くのリスクも抱えており、他国では観光公害(違法駐車・ゴミ・騒音・交通渋滞・個人のプライバシー侵害・路上独占・ホテル満室・マナー問題(マナーは教えないと解らないからモラル問題かな)等)による観光客のボイコット運動もある。観光業界はこうしたリスク・ヘッジに晒されているが、それらを踏まえての将来設計が必要となってくる。

『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ著 ハヤカワ文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年8月30日読了
寸評:ノーベル賞作家、ブッカー賞作家である。回想から始まる静かで端正な語り口調の文章は、直ぐに物語の主人公の置かれている状況は察知し難い。著者の常套手段である。いきなり「提供者」 という言葉が出て来るが何のことか解らない。徐々にゆっくりとその状況に馴染み理解していく。この作品の場合、私は物語の内容について具体的に述べることは避けたい。読了後直ぐにそのことを思った。なぜならこの小説は物凄く変わった小説であり、作品世界を構成している要素の一つひとつを、読者が自分で発見すべきだと思ったからだ。予備知識が少なければ少ないほどよい作品だと思う。一つ言えることは、今後の世界に於いて十分起こり得ることだということである。


8月26日に発行されたオリンピック・パラリンピックの第2弾小型切手シート。

【8月31日過去の釣行記録】
・2014年平群島沖、06:00~12:30、小潮、船釣り、釣果=オコゼ1・カサゴ1・カワハギ1・アジ多数

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。

【旧暦8月2日釣行記録】
・2006年09月23日、華西防波堤、17:00~01:50、大潮、釣果=メバル10・クロ1・アジ10・タナゴ2
・2010年09月09日、粭島小瀬戸、18:45~20:45、大潮、釣果=アオリイカ2・アジ2

 

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千一夜第3章第174夜 最近の読書20

2019-07-07 10:21:54 | 読書

2019.06.17(金)

梅雨の時季だから釣行も思うに任せられず、先月生まれた孫の守りに専念する。これがなかなか面倒だが娘の睡眠不足などを補っているのだ。自分の分野の投げ釣りも5月25日以降行っていないが、今の時季はカレイの食いも悪いしキスの釣果も近年良くない。娘と孫2人が家に帰る今月下旬までは、私の予定も立たない状況である。

さて今回は最近読んだ本、記載するのは今回で20回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。


6月1日、母の実家のビワを捥ぎに行く。木が大きくて下の方しか取れない。上の方は次週辺り、脚立持参でもう一度行こうと思う。 

『万葉集で解く古代史の真相』 小林惠子著 祥伝社新書 評価☆☆☆☆☆ ’19年5月24日読了
寸評:まず著者は、自身の歴史観、特に古代史観は常識とは大いに異なっているので、初めてこの本に接する人には理解不能な個所が多々あるのは当然と断っている。万葉集は史実の告発本であり、恐ろしい側面を秘めた歌集であり、記紀の記述を補う史書としてぼ役割を果たしている事実があると説く。著者の主な主張として①662年に始まる白村江の戦いで半島出兵した中大兄皇子(天智天皇)は百済の亡命皇子であり、大海人皇子(天武天皇)は高句麗の将軍であった。戦いに敗れた両者は倭国内で対立し、以後天智系皇子と天武系皇子の対立が続く。②新羅の文武王(文武天皇)は大海人の子であり、唐国に抵抗した父と共闘して反唐国の態度を終生堅持した。従って、唐国は天武系皇子の倭王即位を認めようとしなかった。③壬申の乱で天武朝が外国勢をバックに成立し、大津朝を経て、やがて持統朝の成立を見るが、持統天皇として即位したのは天智天皇の子、高市皇子である。以上のことを主張しつつ古代史を解明していくのだから堪らない。要するに、雄略天皇から敏達・欽明・舒明・孝徳・天智・天武天皇は三韓人だとし、もっと言えば倭国、三韓国両国の王を兼任しているという。他にも藤原鎌足、柿本人麻呂、高市皇子、聖徳太子、曽我満致、間人皇女らを朝鮮系1世とし、他に多くの2世をあげる。ここからの出発であるから、違和感、理解不能に陥る。しかし発想の転換、五行思想、古代朝鮮語読みなどで解く万葉集は、否定したいが、あながち大ぼらとも言えないかも知れない。

『我が闘争』 堀江貴文著 幻冬舎文庫 評価☆☆☆☆ ’19年6月3日読了
寸評:著者の半生記、自叙伝である。11章からなり、子供時代からライブドア事件までを振り返る。子供時代から優等生、小学生頃までは百科事典の虜になる。ここら辺りからして我々凡人とは違う。運動は苦手、天才であるが故に友人等と上手く付き合えない、協調性無し。中学生の頃からPCに夢中になりプログラミングもする。PC購入のため親から借金し、新聞配達のバイトで返済する。この経験が著者にとって大きな教訓となる。良い借金は進んでするべきだという考えである。ギャンブル漬けの東大生、やがて衝撃的なインターネットとの出会いがあり、ホームページの作成、個人での請負、起業、上場、M&A、六本木ヒルズ、プロ野球界参入、村上ファンド、TV局買収へと進む。ライブドア事件で一気に著名人となり連日TV、新聞を賑わす。私の印象は、当時TVで見たままの、高慢ちきで人に嫌われても媚びず我を通す性格だと今でも思う。天才であるが故に、また嫌われる性格であるが故に、無実の罪(著者は今でもそう思っている)を着せられる。知らず知らずの内に多くの敵を作ってしまったのだろう。出る杭は打たれるの法則である。しかし本書では赤裸々に自分を曝け出している。人物的には好きになれないタイプだが、宇宙事業を始めとしてやりたいことが沢山あるようだ。今後の著者の活躍を見守りたい。

『花世の立春 新・御宿かわせみ3』 平岩弓枝著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’19年6月7日読了
寸評:新・御宿かわせみシリーズ3弾である。維新後の江戸の御宿を中心に様々な怪事件が起こる。御宿のメンバーと町医者麻太郎、元岡っ引きの源太郎を中心に展開する推理物かな。6編の短編集である。私は気分転換にこの類の本を読む。


6月13日、第1回ツクヨミ杯優勝トロフィーである。夜の船釣り大会、メバル釣行で大荒れの笠戸湾でゲットした26.5cmのメバルで見事優勝した。

『アーク殲滅』 井沢元彦著 ハルキ文庫 評価☆☆☆☆ ’19年6月11日読了
寸評:著者の本は多く読んでいるが、何れも歴史検証本である。アドベンチャー物を書くことは知っていたが、読むのは初めてである。本書は伊賀忍者の末裔、大和零が主人公である。シリーズの第4弾であるが、007のジェームス・ボンド、探偵ファイロ・ヴァンス、怪盗アルセーヌ・ルパンなどの特質を一身に集めたスーパー・ヒーローである。キャプテン・エルと名乗る男に、無差別の原爆テロを中止することを交換条件に、ある任務を強要された零、遺伝子操作による恐るべき計画を知り真相の解明に乗り出す。日本アルプスの麓からスタートする物語は世界中を目まぐるしく巡り舞台が変わる。神の領域とされてきた技を人間が手に入れた時の危機を描く。人類への警鐘を鳴らしている。

『アタクシ絵日記 某月某日』 山藤章二著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年6月14日読了
寸評:著者とは一度だけ会っている。と言ってもサイン会のようなものであるが・・・。四角いタイルにブラックの人物が描いてあり、人物の口の部分に吹き出しが付いていて、タイルを購入した人がその吹き出しに言葉を入れるのだが、その言葉を山藤氏がその場で書いてくださるというイベントである。私は「ハピネス・イズ・ア・ワーム・ガン」と入れて貰ったが、氏はちょっと考える風であったのを良く覚えている。当時、著者の似顔絵が好きで、ブラック・アングル、世相あぶり出し等5冊程度読んでいる。何れも45年近く前のことだ。若い頃は著者の絵、漫画が好きで当時は良く読んでいた。さて本書も1987年の文庫本であるから、もう32年前の本である。絵日記エッセイであり、登場人物もその当時の第一級の人たちである。似顔絵の哲理は、観察は冷静に、表現は大胆にということらしい。兎も角、著者の絵も文章も上等に面白い。但し、自筆で書いてあり、字も小さいので最近では非常に読み辛くなっている。

『アタクシ絵日記 某月某日Ⅲ』 山藤章二著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年6月17日読了
寸評:「オール読物」の巻頭を飾る名物カラーページの文庫化第3弾である。著者は現代の浮世絵師ともいわれるが、即応力が求められる時事ネタ専門の風刺画、つまり政事風刺を得意分野としている。この本は平成元年から平成2年の2年間の出来事が書かれているが、年数を経て読むのもまた楽しい。ああ、あの頃はこんなことがあったなあと想い出す。とは言え政事のことばかりでは無く、娘の結婚式のこと、阪神タイガース(熱心なファン)のこと、句会のこと等々非常に面白い。世相を独自の視点から斬るタッチは快調そのものである。Ⅱが無いのが残念だ。


6月17日の深夜に2人目の孫が誕生しました。

『定年待合室』 江波戸哲夫著 潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年6月20日読了
寸評:上司の逆鱗に触れ定年待合室に追いやられた大手百貨店の敏腕営業マン大和田は、妻のガン宣告を受け早期退職をする。しかし妻は2年後に亡くなる。彼は虚脱感にさいなまれるが、行きつけのスナックでママから仕事で困っている人の手助けを頼まれることから物語は展開する。自分に合った仕事が与えられず満たされない気持ちを抱えるメンバーと協力しながら、営業先とのトラブルや販売不振を解決していく。それを通して大和田も、活躍するメンバーも元気を取り戻すというストーリーである。この定年待合室にいる会社員は、その道のプロであるのに、会社からの評価や処遇で鬱屈を抱えている。殆どが中高年社員であり、会社員の誰もが抱える課題が随所に描かれている。そこがまたこの物語の幅を広げていると言えよう。

『世界地図から歴史を読む方法』 武光誠著 KAWADE夢新書 評価☆☆ ’19年6月25日読了
寸評:世界史を地図を手掛かりに見ていくと、これまで多くの民族の興亡があり、いくつかの大国が興り、滅んでいった有様が解る。そして19世紀末から民族問題に基づく多くの紛争が生じ、それが現在でも続いている。世界史を形作ってきたのは、民族の大移動や抗争の歴史である。各地域、各時代の民族たちはなにゆえにその土地で、激しい興亡を繰り返してきたのか。本書は「地図」という新たな視点を用いて、より空間的に民族の歴史像を捉え、世界史を読み直す本である。4月に「世界紛争地図」という本を読んでいるのでかなりの部分重複していた。はっきり言って眠くなる本である。良く読了できたと自分に感心した。

『斬りて候 ぜえろく武士道覚書』(上)(下) 門田泰明著 光文社時代小説新書 評価☆☆☆☆☆ ’19年6月27日読了
寸評:著者の本は今回初めて手に取ったが、かなり面白い。”ぜえろく”は江戸者が上方者を嫌って言ったあざけり言葉とされているが、その裏には間近に朝廷を尊び仰げる上方者の圧倒的な商才、政治力に対する江戸者のどうしようもない苛立ちがあったようだ。主人公松平政宗、その正体は後水尾法皇の御落胤で、後の嵯峨宮武将親王である(上巻最後で法皇と対面し御名を頂く)。同心の源さんや料亭「胡蝶」の女将早苗らと親しくするが、それは様々な難解な事件を通して親密になるが、終盤には大どんでん返しもある。主人公と幕府との絡みで生死を掛けた戦いをしていく。映画化したら最高に面白そうである。著者は取材調査型の作家とのことだが、東京に住んでいて江戸初期の京都を書くのだから、小説に登場する地や建物など全てを足で歩いての取材と聞くが大変な労力だったろうと思う。


6月20日に当選したオリンピック観戦通知。

『親鸞 救いの言葉』 山崎龍明監修 宮下誠著 ナガオカ文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年7月1日読了
寸評:善と言われるものが果たして本当に善ばぼか、正義とされるものがその名の下で多くの人々を傷つけていることをどう考えたらいいのか。このような混迷の中で親鸞のことばと思想は我々に多くの示唆を与えてくれる。本書は、親鸞の著述である「教行信証」「歎異抄」(唯円編)「三帖和讃」「消息集」などから魅力的な教えや文言を取り上げ、集めた珠玉のことば集である。親鸞の根本思想である「他力」「念仏」といった教えの持つ今日的意味をやさしく、かつ鋭く解明している。我が家も浄土真宗であり、この本は親鸞入門書でもある。

『悪魔転生』 井沢元彦著 ハルキ文庫 評価☆☆☆☆ ’19年7月3日読了
寸評:この本はレイ・ヤマトシリーズの第2作である。最初に読んだのが第4作の「アーク殲滅」だった。読む順番がバラバラになったが、どこからでも読める。このシリーズの大きな特徴は、複製技術(クローン人間作製)を駆使して世界を支配しようとする幻の大富豪ハワード・ジェンキンスの悪魔的な野望に対して、それを阻止しようと戦う最後の伊賀忍者レイ・ヤマトの死闘を描く。このシリーズは’82年8月に始まったが、当時としてはこういうテーマを取り上げることは斬新的で時代を先取りした要素があった。また、SFアクション小説とも銘打たれているだけに、このシリーズの最大の魅力はスーパー・ヒーローであるレイ・ヤマトの不死身の大活躍である。

『迷宮決戦』 井沢元彦著 ハルキ文庫 評価☆☆☆☆ ’19年7月4日読了
寸評:著者のSF活劇アドベンチャー、忍者レイ・ヤマト・シリーズ第3作である。読む順番がバラバラになったが、それでも十分に楽しめる。このシリーズはSF小説であり、アクション小説、冒険小説でもある欲張ったエンタメ作品である。SF小説といっても30年も前に書かれたものだが、クローン人間再生は今や現実のものとなりつつある。非常に面白い。第1作以外全部読んだことになる。

【7月7日過去の釣行記録】
・2007年櫛ヶ浜港防波堤、20:00~00:20、小潮、釣果=チヌ5・ワタリガニ1

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。

【旧暦6月5日釣行記録】
 ・この日の釣行記録はありません。

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千一夜第3章第165夜 最近の読書19

2019-05-18 23:20:00 | 読書

2019.05.18(土)

今週は東京オリンピックのチケット予約などで忙しかった。チケット予約は随分時間が掛かると聞いていたが、僅か3秒くらい待っただけで手続き開始ができた。IDを先に取得していたことも幸いしたのかも知れない。後は運を天に任せるのみである。チケットが当たれば行くが、上手くホテルが取れるかが問題である。

最近読んだ本。記載するのは今回で19回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。


4月4日、岩国市錦帯橋上から見た河川敷の満開の桜。

『夜の国のクーパー』 伊坂幸太郎著 創元推理文庫 評価☆☆☆☆ ’19年4月2日読了 寸評:本書は水先案内人が語り部の猫のトムと私である。占領軍と町の人間が対峙する現在進行中のドラマを実況中継する。妻に浮気された私は仙台の港から海釣りに出て船が難破、意識を取り戻したら見知らぬ土地で猫に話し掛けられる。謎の生き物クーパーの登場、猫と鼠の団体交渉、隣国の兵士達が自国に入り国王を殺害、など大きく4つの物語が同時進行する。最終的にはそれぞれが複雑に絡み合うという著者の作風通りの展開となる。最後はガリバー旅行記のような結末となる。
猫が人間と話す展開は村上春樹などあるが、本書は村上氏同様、ノーベル賞作家イシグロ氏の文体に似ているなあと率直に思った。また作品の冒頭から死者との会話のような感じがあり、作品が出来たのが東日本大震災の後だったので、いとうせいこう氏同様の本かと思ったが、本著の方が先に書かれており内容も全く違っていた。本書は北朝鮮の人工衛星打ち上げ実験と称して長距離ミサイルが発射されたことをきっかけに書かれたようだ。

『見知らぬ国へ』 北杜夫著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’19年4月5日読了
寸評:本書は書棚の記憶、父斎藤茂吉からトーマス・マン、遠藤周作、辻邦夫、埴谷雄高、手塚治虫、谷内六郎などもう会えぬ友への切ない思いを語る。因みに本書は著者の死後翌年の2012年に刊行されている。青春の日々から作家となるまでの過程、また自著の詳細な自己解説、84年の人生で出会った喜びと輝きを描く、45編の名エッセイ集である。吉行淳之介のことも書かれているかと思って読み進めたが、1行も出てこなかったのは寂しい限りであった。

『無趣味のすすめ』 村上龍著 幻冬舎文庫 評価☆☆☆☆ ’19年4月9日読了
寸評:「GOETHE」という”24時間仕事バカ”というワーカホリック礼賛とも受け取れるキャッチコピーのビジネスマン向けの雑誌に、「働き者」の読者層を意識して連載したエッセイ61編を、2011年4月に本にまとめたもの。社会、政治、経済、仕事などのカテゴリーで物事を鵜呑みにしないで鋭く批判的に書いている。


4月10日、光市内の桜、既に散り始めていた。

『日輪の遺産』 浅田次郎著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年4月12日読了
寸評:1993年(26年前)の作品。帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価200兆円の財宝。老人が残した手帳に隠された驚くべき真実が、50年後の今、明かされようとしている。財宝を隠す極秘命令を発した5人の将軍の内、4人までが終戦前後に死亡、残る1人である梅津参謀総長を戦犯として捕え、命令を遂行した者をはかせようとするが上手くいかない。一方、主人公である遂行者たちの人生を描く魂の記録でもある。ただ単に宝探しの冒険・謀略小説では無い。著者の作品は今回初めて読んだがもっと早く読むべきだった。

『ももこのいきもの図鑑』 さくらももこ著 集英社文庫 評価☆☆☆☆ ’19年4月15日読了
寸評:著者は「ちびまる子ちゃん」の原作者として著名である。子供の頃から生き物に興味をもち、大人になってからも変わらずカメや小鳥や魚を飼っていたそうだ。私が子供の頃も、父親が好きで家で沢山の動物を飼っていた。犬、猫は勿論、小鳥、キジ、ウサギ、鯉などを飼っていた。私は大人になってからも、ザリガニやメダカを飼った。本書は「アンアン」で連載したエッセイである。著者はこれまでに出会ったいろんな生き物たちとの思い出を、やさしく鋭く愉快に描いている。最後に「いきもの図鑑」を書いていたつもりが、自分の現実の生活では次々と生き物が死に、「死にもの図鑑」になってしまったと書いているが、それは生き物を飼う者の宿命である。

『世界紛争地図』 「世界情勢」探究会著 角川SSC新書 評価☆☆☆☆☆ ’19年4月16日読了
寸評:著者は紛争から世界史を見ることを目的とした研究会とのことで、2009年までの世界紛争の詳細が書かれている。会は歴史の流れの中にある「現在の紛争」を、民族、宗教といった歴史的背景から大国との利害関係といった現代情勢まで整理、収集し情報発信しているそうだ。紛争というのは、複数の民族同士、異なる宗教同志、貧富の差、埋蔵資源の確保に見られる大国のエゴ等、これらの火種により独立運動や反政府運動、民族運動が勃発する。本書ではこうした紛争地帯を31箇所取り上げ、その原因、最新情報、解決に至らない理由などを詳しく紹介している。


平成31年4月27日 平成最後の釣行 カレイダブル 

『今こそ、韓国に謝ろう そして、「さらば」と言おう』 百田尚樹著 飛鳥新社 評価☆☆☆☆☆ ’19年4月18日読了
寸評:韓国という国と国民性について、1910年の日韓併合時から35年間の日本の統治について自虐的にへりくだって書く。併合前の朝鮮と比較して、国民皆教育という悪夢、文字を与えたこと、灌漑事業などによる自然の破壊、農業の先進技術の投入の暴挙、身分制度の破壊、前時代的刑罰の破壊、伝統的医療の禁止、主権・王政・人命・言葉・名前・土地・資源を奪ったという勘違い、ウリジナル(日本はおろか世界の全ては韓国発祥)病、旭日旗問題(朝日新聞社旗も良く似ているが非難しない不思議)、慰安婦問題、レーダー照射等々、現在の韓国の基礎を作った日本が全て悪いと説く。だが日本が最も悪いのは、朝鮮人にモラルということを教えなかったことであると結ぶ。自国の真の歴史を知らない、或いは知ろうとしない国民性、難癖、言い掛かりを国是とし、外貨獲得手段は恫喝やおねだりである。まるで国家の体を成していない国家、何れ国際社会から抹殺される運命にあるが、日本ももうこれ以上は付き合えないということだ。

『蝶の戦記』(上)・(下)  池波正太郎著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年4月25日読了
寸評:忍者小説である。甲賀には忍びの者を配下に抱える豪族、武士が53家、或いは21家あると言われるが、その中でも杉谷家のような24名の忍びを抱える小規模の家もある。しかし杉谷家の忍者は甲賀でも知られた家である。この小説は杉谷家の女忍者「於蝶」を主人公とする。川中島の合戦から姉川の合戦に至る年月を甲賀の忍びとして死闘を繰り広げる活躍を描く。大好きな上杉謙信のために働き、一貫して反信長を貫く。観音寺、上杉、武田、織田、浅井、朝倉、徳川、羽柴など下克上時代の有力武将が総出演である。


平成31年4月30日 平成天皇御退位の日 光市虹ケ浜の鯉のぼりを見る 翌日5月1日からは令和元年。


令和元年5月1日 令和天皇御即位の日

『高卒副頭取』 江波戸哲夫著 講談社文庫 評価☆☆☆☆ ’19年5月7日読了
寸評:ヤクザのダミー会社との巨額の取引を、警察が内定との情報に怯え浮足立つ銀行会長。折しも不良債権処理、反社取引、不祥事等で、世間の銀行バッシングも漸く落ち着いた所へ持ってきての新たな大不祥事である。金融機関にとって反社勢力との決別が叫ばれている最中の露見である。この不祥事を契機に一挙に会長一派の追放を仕掛ける頭取派、会長の懐刀で銀行の暗部を担当し実力をつけた高卒専務を主人公に、銀行首脳の抗争を描く。会長が始めた取引なので負けは明白であるが、その手先となった辣腕高卒専務の身の処し方が面白い。

『農協月へ行く』 筒井康隆著 角川文庫 評価☆☆☆☆ ’19年5月10日読了
寸評:この本も40数年来、読もう読もうと思っていて読みそびれていた本の一つである。40数年前の学生時代の友人が著者の本をよく読んでいたので、私も友人に影響され数冊読んだ。脅迫感めいた物はないが、やっと手にした訳である。但し、今の文庫本は字が大きくなっているので読み易いが、手にした文庫本が古いものなので字が小さいのには閉口した。著者の本は悪漢としての”おれ”を通して、お定まりの建前や理想を崩し、元気いっぱいの本能と欲望によって、見るも無残に踏み砕いた文章を書く。勿論、愛情とか人情といった慈愛や情けの世界も無い。それはコミカルであり、ドタバタ劇であり、スラプスティック、はちゃめちゃのユーモアたっぷりのSFが書かれている。本書は7編の秀逸な短編が収録されていて何れも面白い。

『眠れないほどおもしろい「聖書」の謎』 並木伸一郎著 王様文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年5月15日読了
寸評:「聖書」とは「神」と「人間」との契約の書である。古代イスラエルの預言者アブラハムやモーゼなどを仲介とする「イスラエル民族」と「神」との間で結ばれた契約だ。とここから始まり、新約聖書と旧約聖書のあらすじ及び違い、モーゼの十戒、バビロン捕囚、聖母マリアの処女懐胎、イエスの一生、キリストの12弟子、ユダヤ教の派閥、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は同じ神を崇めている、キリスト教の3つの流れ(カトリック・プロテスタント・正教会)、失われたアーク(「十戒が書かれた粘土板」「マンナの壺」「アロンの杖」=「三種の神器」) を巡る様々な歴史、数字の暗号、エクソシストの秘密、また聖書の「外典」「偽典」などの封印されたエピソード、ミステリアスな話を紹介する。非常に面白い書。


5月4日、我が家西隣の畑のサクランボの木、毎年大量の実を付けて枝が撓る。10日には鳥が一斉にやって来て全部綺麗に食べられた。

『国税局査察部 消えた政治献金』 立石勝規著 徳間文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年5月17日読了
寸評:関連会社から査察の手が入り、本丸へと波及していく捜査、国税局査察部と東京地検特捜部が連携して巨大脱税事件を追う。脱税会社の脱税手法や政治家への闇献金を摘発すべく査察部が動くが、この書では脱税する会社側、暴力団が主人公である。査察部だけでなく興信所や5億円強奪犯なども絡みややこしくなる。23年前の本であるが、この文庫本が出る時期に丁度、金丸元副総裁への5億円闇献金、脱税事件が起こっている。著者があとがきで書いているが、これは偶然の一致である。この時期、著者は取材のため度々国税局を訪れているが、金丸事件の捜査には全く気が付かなかったとのことだ。流石国税局である。本書はフィクションであるが、金丸事件のために大幅に書き直しを余儀なくされたようである。文脈に少し難があるが、金融小説は面白い。


サクランボの実を収穫して、ジャム4瓶(これが一番大変、瓶詰してからも弱火で1時間程度煮詰める)、35度の焼酎漬け3瓶(実を洗ってキッチンペーパーで丹念に拭き取る、梅焼酎を作る要領)、残りは冷凍(サクサク感があり美味)してみた。会社にもザル一杯持って行ったが頗る好評だった。


【5月18日過去の釣行記録】
・2008年東海岸通り、18:00~21:50、大潮、釣果=メバル1・アジ1
・2013年徳山築港、04:55~14:20、小潮、釣果=カレイ9・キス5・アイナメ2・ハゼ1

【この日の釣り情報】
・2006年洲鼻港、夜、中潮、釣果=25cm級アジ
・2011年東海岸通り、20:00~22:00、大潮、釣果=メバル7・アジ1

【旧暦4月14日釣行記録】
・2005年05月21日、第2埠頭東側、05:30~19:20、大潮、釣果=カレイ1・タナゴ1・ハゼ15・アジ5・アイナメ1
・2005年05月21日、祝島周辺、07:00~14:00、船釣り、大潮、釣果=マダイ・アジ大漁
・2006年05月11日、室積普賢寺前堤防、18:10~20:45、大潮、釣果=キス3・マダコ1
・2007年05月30日、日石前堤防、19:40~20:50、大潮、釣果=アオリイカボウズ
・2008年05月18日、東海岸通り、18:00~21:50、大潮、釣果=メバル1・アジ1
・2009年05月08日、華西防波堤、19:00~21:00、大潮、釣果=メバル15
・2012年06月03日、櫛ヶ浜港防波堤、19:30~21:30、大潮、釣果= メバル3

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千一夜第3章第156夜 最近の読書18

2019-03-31 11:34:19 | 読書

2019.03.31(日)

今日は釣友Sと釣行予定だったが、昨夜から台風並みの風が吹いており、今朝もまだ強風だったため早々と中止にした。今朝と言っても未明の4時28分のことである。この時間に電話で叩き起こされる訳であるが、もう少し状況経過を見守って決定しても良かった気がする。お蔭で今日は1日暇になったので、メダカの箱池の掃除に集中することにした。4月中旬頃からメダカも産卵するので丁度良い。

明日は11時30分に、5月1日の新天皇即位に伴う政府による新元号の発表もある。今日現在、新元号は解らないので、実質今日が平成最後のブログ記事アップということになろう。

今日は最近読んだ本の寸評、記載するのは今回で18回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

 

2月24日の光市の冠梅園、梅も満開、人出も凄かった。駐車場が一杯で入れなかった人も多かったようだ。

『マスカレード・ホテル』 東野圭吾著 集英社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年2月14日読了
寸評:直木賞を始めとして各賞総なめの感がある著者、東野圭吾の著書に外れは無い。本書は、都内で起きた不可解な連続殺人事件を追って、主人公格の若き刑事がホテルマンに化けて潜入捜査に就く。容疑者もターゲットも不明であるが、次の犯行場所が都内の一流ホテルで行われるということのみ判明しているからだ。主人公の女性フロントクラークの教育を受け、次から次へと怪しげな客たちが訪れるのに対応していく。やがて2人は事件の真相に辿り着くが、私は大まかにではあるが、いち早く事件のトリックに気付いた。それは、容疑者が複数人居るということだ。容疑者たちは連続殺人に見られるよう工夫しているが、決して連続殺人では無かったということだ。著者の作品では最後のどんでん返しが魅力だが、今回は私の予想がほぼ当たった。

『御宿かわせみ』 平岩弓枝著 文春文庫 評価☆☆☆ ’19年2月19日読了
寸評:古本屋で購入したのだからあまり文句も言えないが、本のカバーと中身が違っていた。と言っても”かわせみ”の「新」シリーズを買ったつもりが中身は「旧」のものだった。初めて読むのだから「新」も「旧」も解らなかったが、現在2冊目を読み始めて気付いた次第。2冊目は間違いなく「新」シリーズのものである。本屋もいい加減なものである。こうなったら旧シリーズから読もうかと思い直す。最初に読んだ「獅子の座」が面白かったので、続いて他の著書を読もうと思ったのだが、本書は私には今一だった。内容は町奉行所与力の次男坊神林東吾が、幼馴染の宿屋かわせみの女将るいと深い仲になり、宿で起こる様々な事件に絡み真相を明かしていくというもの。

『新・御宿かわせみ2 華族夫人の忘れもの』 平岩弓枝著 文春文庫 評価☆☆☆ ’19年2月21日読了
寸評:前回読んだ本は旧シリーズの最初の本だったが、今回は新シリーズの2話目である。登場人物も世代交代し、時代背景も江戸から明治へと移っていた。主人公も神林東吾の息子麻太郎に代わり、取り巻きたちの顔ぶれも半数くらい変わった。麻太郎は医者であり、身辺で起こる様々な事件に巻き込まれ、絡み、かわせみでも前編同様に様々な事件が勃発し解決へと導く。麻太郎の父東吾は、幕末は軍艦操練所に勤め、幕府の洋式帆船などに乗船していた。その父は榎本武揚の要請を受け幕府艦隊を函館に向け、官軍幕軍との戦いの中、行方不明となっている。本シリーズはひょっとすると父親探しの面もあるのかと思う。う~ん、このシリーズ、何処から読んでいくか、それとももうお終いにするか。

冠梅園で梅まつりの期間中のみ発売される、梅大福「梅の里」、期間中1日平均4000個売れるとのことだ。大福の中に梅がまるまる1個入っていて美味であるが、出来れば梅の種を除いて欲しいという意見もある。私は種がある方が味わい深いと思う。年寄りは餅を喉に詰まらせないようにしなければならない。

『こんなに面白かった「百人一首」』 吉海直人監修 PHP文庫 評価☆☆☆☆ ’19年2月26日読了
寸評:百人一首というと高校の頃だったか、全部覚えろというのがあったけど覚えられなかった。と言うより、端から覚える気が無かった。同僚の女性に聞いてみると、1人は高校(私と同じ高校)時代に全部覚えたというが、還暦近い今では殆ど忘れている。もう一人は、小学校の時に覚えろと言われて全部覚えたという。こちらはまだ二十歳なので、我々よりは記憶が新しい。百人一首は天智天皇の時代から鎌倉初期までの歌人百人の秀歌が収められた歌集で、今から800年くらい前に藤原定家によって編纂された。百人一首の最大のテーマは恋である。恋愛には今も昔も変わらぬ人間の機微があり、それが時代を越えて現代人の心に共鳴するのであろう。親子3代で選ばれている歌もあるし、圧倒的に多いのが秋の歌である。解説を読むと圧倒的に多い技巧が、枕詞を用いるものと1つの言葉に2つ以上の意味を持たせる掛詞を用いる技法である。他には本歌取り、倒置法、体言止め、句切れなど多くの技法がある。

『華麗なる一族』(上)・(中)・(下) 山崎豊子著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年3月15日読了
寸評:寸評:神戸の地方財閥である名門万俵家が日本の財閥にのし上がろうとする大河ドラマである。1970年3月~72年10月まで週刊新潮に連載されたものであり、映画化、TVドラマ化もされている。万俵家の総帥である大介は都銀である阪神BK頭取、関連企業に阪神特殊鋼などの企業グループがあり一大コンチェルン、今日で言うところのファイナンシャル・グループを築いている。その傘下企業の阪神特殊鋼は大介の長男鉄平が実質経営しているが、祖父似の鉄平(父は長男の出生に懐疑的である)は事業意欲旺盛で高炉建設という大設備事業に取り組む。しかし父が経営するメインの阪神BKは融資に消極的で策を弄し、トリックに引っ掛け大同BKにメインを移行する。特殊鋼不況と設備の爆発事故をきっかけに物語は大きく展開する。万俵大介は子供たちを大蔵大臣や官僚との閨閥作りに利用し、阪神特殊鋼を破綻させ、遂には大介の念願である都銀上位の大同BKを吸収合併(建前は対等合併)する。悪は栄え善は滅ぶの構図である。しかし長男は自殺しそこから華麗なる一族の崩壊が急速に始まるが、物語では予兆を示しているがその最終顛末はない。
ここで現実に話を戻すと、実際の都銀の最初の合併は、私の手元の資料によると1973年の神戸BKと太陽BKが合併し太陽神戸BK設立である。金融自由化が進み海外の大手BKに対抗するにはBKのメガ化は必須であり、恐らく水面下では各都銀の首脳による駆け引きがあったであろうが、この小説はその大合併成立の3年前から執筆されているところに注目したい。著者は当時の三菱BKの頭取に度々取材したようだが、それは的確な取材であったことが窺われる。この小説はBKの聖域に切り込む挑戦的な金融小説のはしりでもあろう。

『歴史の意外な結末』 日本博学倶楽部著 PHP文庫 評価☆☆☆ ’19年3月19日読了
寸評:教科書や歴史書などで読んで誰もが知っている歴史的事件の数々、しかしそれはそれに関わった人物の断片的な経歴に過ぎないことが多く、本書はその事件や人物の「その後」を辿っている。そこには意外な展開、意外な人生ドラマが隠されていることが少なくない。知っているようで知らない意外なその後、波乱万丈の人生を送った人物のその後、歴史を動かした女性たちのその後、世の中を賑わせたその後、作家・芸術家・あの天才たちのその後、何とも信じがたい驚きのその後、世界史の裏に隠された知られざるその後、などへえ~と驚きのその後が書かれている。

2月21日に発行された平成天皇御在位30年の記念硬貨。24日には記念式典もあり、自宅には国旗掲揚(新調しました)もした。

『解体新書たあへるあなとみあ』 群ようこ著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’19年3月20日読了
寸評:著者の初対談集か。小説新潮に連載された10人分の対談が文庫化されている。但し20年も前の対談集で、20年前には私が知らない対談相手が殆どである。勿論、20年後の今日では皆著名人である。恋愛、老い、お金、男、恐怖、創作、からだ、趣味、子供、仕事などをテーマにしている。著者の本はあまり読んでないので良く解からないが、もっともっと対談してテーマ別に対談集が出るといいなと思う。吉行、阿川を目指せ。著者は性格的には作家に向いているようだ。

『ハレー彗星の科学』 的川泰宣著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年3月25日読了
寸評:この本は1986年2月5日の近日点、地球へのハレー彗星大接近を前に、世界的な観測や宇宙開発のスペシャリスト達の国際連携プレーの過程を描いた実録である。本書は1984年発行なので、その体制が整ったところまでが記載されている。私が小学生の頃は宇宙や星、そしてSF物の雑誌を読むと心躍ったものだ。それはあくまで夢物語に類するものだったが、今や宇宙ステーションまでが現実となっている。今から15年くらい前に私は大きな天体望遠鏡を譲り受けた(当時数十万円の代物)が、実際に星を見るまでにはかなりの準備を要するものだった。望遠鏡を外気温に慣らすだけでも相当な時間を要した。そのため実際に覗いて観たのは数えるほどしか無い。私には宝の持ち腐れなので、その後学校へ寄付した。話が逸れたが、本書はアリストテレス、プトレマイオスの天動説から16世紀中頃のコペルニクスの地動説、更にはティコ、ケプラー、ガリレオ、ニュートン、そしてハレー、ヘベリウスと続く天体やハレー彗星観測の過程も詳述されており非常に面白い。

『銀行裏総務』(上)・(下) 山田智彦著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年3月28日読了
寸評:本書は金融小説ではあるものの推理小説の面白みもある。銀行の総務部の中で、表面切って処理できない各種の事件、事故を裏で上手に処理するポストの人を描く。銀行の特殊な部分の仕事をしている有能な人物の記録である。こうした人物は各銀行、証券会社その他に必ず1~2名居て、不幸にも毎日仕事に忙殺されているのだ。銀行内部ではまともな金融マンでも銀行員でもないが、相当な資金も自由に出来るし、頭取以下の役員の恥部まで握っていることも多く、待遇面では処理屋として優遇されている。しなやかでありしたたかな人物でなければ務まらない。これらの巨大組織の内部は良く解からないものだが、著者は永年大銀行の役員も務めていたので詳しい。この当時、著者は銀行員と作家の二足のわらじを上手くこなし、数回も芥川賞候補にあがっている。約22年前の小説だが今も決して色褪せていない。著者の本は今回初めて読んだ。


3月12日に発行された’20年東京オリンピックの記念切手(左はリーフレット、右上が記念切手、右下は台紙)。

【3月31日過去の釣行記録】
・2007年第2埠頭東側、06:15~13:15、中潮、釣果=カレイ7
・2012年櫛ヶ浜港旧防波堤、19:00~22:00、長潮、釣果=メバル15
・2013年櫛ヶ浜港新防波堤、18:40~19:40、中潮、釣果=メバル2・タナゴ1
・2018年今津川河口東側、06:10~12:10、大潮、釣果=カレイ2・ハゼ2

【この日の釣り情報】
・2006年第1埠頭東側、21:30~23:30、中潮、釣果=メバル1

【旧暦2月25日釣行記録】
・1999年04月11日、奈切大気暴露試験場前、11:00~15:00、長潮、釣果=カレイ2・キス1
・2007年04月12日、第2埠頭東側、05:10~09:00、長潮、釣果=カレイ3・キス1・アイナメ1
・2009年03月21日、第2埠頭東側、06:50~13:00、長潮、釣果=カレイ4・アイナメ1・ナマコ1
・2012年03月17日、日石前岸壁、13:40~15:20、長潮、釣果=ボウズ
・2012年03月17日、あさごくら湾岸壁、15:50~16:50、長潮、釣果=ボウズ

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千一夜第3章第150夜 最近の読書17

2019-02-20 20:26:42 | 読書

2019.02.20(水)

最近読んだ本。記載するのは今回で17回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。


1月25日の光市の冠梅園、広大な公園だがとても綺麗に整備されている。もう直ぐ梅も満開だ(2月16日から梅まつり開始)。

『面白いけど笑えない中国の話』 竹田恒泰著 ビジネス社 評価☆☆☆☆☆ ’19年1月7日読了
寸評:本書は著者が毎週木曜日の20時から放送のニコニコ動画の無料番組「竹田恒泰チャンネル」をもとに書き下ろしたもの。先ず中国の一般的負のイメージ、中国製品はすぐ壊れる(原発など「冥途・イン・チャイナ」)、中国人は手癖が悪い(ホテルのTVを持ち帰るのは当たり前・泥棒猫のような偉大な中華民族)、人の迷惑は顧みない(自分さえ良ければ良い)、環境汚染(公害、PM2.5、川に豚の死骸18千匹)、GDP世界2位だが貧富の格差大(共産党大富豪資産950億円以上83人、爆買い)、言論の自由・報道の自由なし(ネットの閲覧制限あり)、少数民族の弾圧(チベット、新彊ウイグル)、中国戸籍制度(都市・農民)などなど揚げればきりがない。しかも中華人民も8割が共産党に否定的である。対外的には反日の政治利用(鬱積した体制への批判をかわそうとして)、人権抑圧国家のイメージが広がり国際社会から孤立、アジアの海に中華圏を築こうとする(領海・領空侵犯)、日本では尖閣問題、日本は領土問題はないとする(民王朝も1671年に日本領土と認めているし、1895年には日本も正式に領土として編入、公文書により明らか)、射撃レーダー照射など各国とも中国と付き合おうとは思っていない。中国4千年の歴史と自国の伝統・文化を誇るが、中国の歴史は王朝交代の歴史であり現中国は未だ半世紀程度のものでありチャンチャラ可笑しい。日本は1万年である。日本は近所付き合い程度の付き合いで十分と著者は結ぶ。

『5万両の茶器 新九郎外道剣(1)』 小杉健治著 光文社時代小説文庫 評価☆☆☆☆ ’19年1月8日読了
寸評:小普請組(200~3000石の無役の旗本が所属するが、失態等で降格してきた者も多い)の独身柴新九郎は、役に付こうともせず気ままな生活を送る。御蔵前の札差平戸屋の美人娘おきよが攫われたが、偶然におきよを救った新九郎は、茶器を巡る壮絶な争いに巻き込まれていく。人を斬るに躊躇なく、女を抱くに見境ない。まさに外道の剣客新九郎だが、痛快な物語である。一気読みした。シリーズ化されているようで、見かけたら続編を読みたい。

『日本がもっと好きになる神道と仏教の話』 竹田恒泰・塩沼亮潤著 PHP文庫 評価☆☆☆☆ ’19年1月10日読了
寸評:神道、仏教の第一人者による対談である。古事記を中心に語られていくが、神道と仏教を抜きに日本の伝統精神を語ることはできない。本書はその本質に迫るべく垣根を越えて語らったものである。「戦いによらず統一王権を築いた天皇の独特さ」「統治を考える欧米人、調和を考える日本人」「日本人の心や生活を育んだ四季の変化」「豊かな山、豊かな海に恵まれるありがたさ」「日本人の生活の方が欧米人より宗教的」「八百万の神と様々な仏様」「仏教と神道の死後の世界」「神棚と仏壇が同居している日本の家庭」「子どもの人権というとんでもない話」「東日本大震災で若者が目覚めた」「日本が幸せになることが世界の幸せに繋がる」などなど61のエピソードでこの国の見方が変わる。神道と仏教を知ることは日本を知ることに繋がる。


1月25日は蝋梅が満開である。梅はバラ科で蝋梅は蝋梅科であるそうな。蝋梅はあまり綺麗だとは思わないが香りが良い。

『異類婚姻譚』 本谷有希子著 講談社文庫 評価☆☆☆☆ ’19年1月11日読了
寸評:表題作は芥川賞受賞作、歴代受賞作からすれば「異類」かなと思った。嘗て専業主婦の孤独が浮上した時期があった。誰もが経験しうる夫婦の平凡な風景を、虚実の境界をいく物語に落とし込んでいる。表題作はある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いたという印象的な書き出しで始まる。夫婦はよく似て来ると言われるが、ここでは夫婦の在り方について、家族が他人に見える瞬間の恐怖、不穏な雰囲気を描く。そもそも「異類婚姻」とは、人間と人間以外の存在(動物など)が結婚するという昔話の類型を指す民俗学の用語である。「鶴女房」や「猿婿入り」などがそれにあたり、コントローラーは妻の手にあり、妻の賢さと夫のまぬけさが際立つ。本書に同時収録されている短篇、「トモ子のバウムクーヘン」「犬たち」「藁の夫」も類似しており、姥捨て伝説であったり、女房はこじらせ女であり、夫は身勝手な半面花や藁だったりどこか哀れで危ない。家族の末路を描いた作品かも知れないが、現代の民話という概念で読めば良いかも。

『コンビニ人間』 村田沙耶著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’19年1月21日読了
寸評:芥川賞受賞作。この作品も嘗て読んだことがない「異類」作である。近年の芥川賞は確かに変わってきている。が、著者は新人賞総なめの感さえある。実力派新人である。主人公は「普通の人生」を生きられない、もっと言えばマニュアル化して生きてゆくことができない。コンビニにおける無機質で完全にマニュアル化された、シンプル且つ合理的な世界の中でのみ働き生きて行けるのだ。コンビニという世界の中では圧倒的に輝いている主人公だが、普通に生きることを要求される社会ではカタワモノでしかない。社会は多様性に向かっていると言われるが、この小説では完全に内向きである。インフル罹患後の1冊である。

『管理職の本分』 高杉良著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年1月23日読了
寸評:高杉作品に外れは無い。それは自身をアルチザン、職人作家と称し徹底した取材と情報収集に基づいて書かれ、ドキュメンタリーとなっているからだ。実在の経営者から訴えられたり、時には元ヤクザのことを書いたらピアノ線を送りつけられ、マル暴から守る対象の「マルタイ」になったこともある。著者は「僕は反体制ではないけれど、反権力なんです。権力を笠に着る人は許せない」と言っている。さて、本作は、名門生保の「東都生命」の経営危機に、企画部副参事の友部陽平が苦闘する物語である。役員を無能呼ばわりするワンマン会長が会社を支配していたが、自主再建はもうできないと解るや、友部はそのワンマンの首を担保に主力銀行から3千億円の資金支援を引き出そうと画策したりする。しかし会社破綻は免れ無くなり、外資系生保との提携を前提とした更生計画が作られると、友部は保全管理人の下で働く管財人室長に任ぜられる。もう30年近く前になろうか、私はこの実話版を身近に体験し良く覚えているが、改めてその真相に迫れた訳だ。


1月25日現在、紅梅も満開に近い。梅まつりは2月中旬から。

『獅子の座』 平岩弓枝著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年1月29日読了
寸評:著者はS34年に直木賞を受賞して以来、半世紀以にも及び創作を続けている。私の年代だと「平岩弓枝」というと、TVドラマや芝居の脚本家というイメージが強い。特にS40年代には「旅路」「女と味噌汁」「肝っ玉かあさん」「ありがとう」「新平家物語」などのTVドラマがヒットした。小説でも現代物、時代物、歴史物、推理物など多種多様に何でもこなす万能作家である。本書は著者の円熟期の作品で、室町幕府の全盛期を築いた将軍足利義満の生涯を描いた作品である。著者は生家が神社ということも影響していると思うが、日舞、揺、仕舞、長唄、三味線、鼓、短歌など和風趣味で一貫しており、本作もやはり室町時代に観阿弥・世阿弥により大成された能に接したということもあり書いたものと思われる。この小説を読んでみて、膨大な資料を読みこなしたということは直ぐに解かる。歴史小説は創作し易いと柴練氏が言っていたが、この作品も断片的な史実を基に壮大な大河ドラマに仕上がっている。読み応えのある作品である。

『ようこそ、我が家へ』 池井戸潤著 小学館文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年1月31日読了
寸評:「半沢直樹シリーズ」や「下町ロケット」 がTVドラマ化もされ、著名な著者である。江戸川乱歩賞、直木賞、吉川英治文学新人賞など受賞している。本作は企業小説、金融小説、家族小説、更にサスペンス小説でもある贅沢な物語である。真面目なだけが取り柄の会社員・倉田は、ある夏の日、駅のホームで割込み男を注意した。するとその日から倉田家に対する嫌がらせが始まる。花壇は踏み荒らされ、瀕死の猫がポストに投げ込まれ、車は傷つけられ、部屋からは盗聴器まで見つかる。執拗に続く攻撃から一家はストーカーとの対決を決意する。一方、銀行から出向先のナカノ電子部品でも、倉田は営業部長に不正の疑惑を抱いたことから窮地へと追い込まれる。身辺に潜む恐怖を描いた長編である。何にしても表題が奮っている。

『東京奇譚集』 村上春樹著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’19年2月4日読了
寸評:世にも奇妙な物語というTVドラマがあったが、不思議な出来事、奇妙奇天烈摩訶不思議な出来事、偶然の一致などという話は時々聞くが、そういった種類の出来事が著者の身辺で度々起こった。あるものは人生の在り方に多少なりとも変更をもたらす。またあるものは取るに足らない些細な出来事である。本編は、恐らく他人には信じてもらえないだろうが、取るに足らない些細な出来事の方だけを取り上げる5編の短編集である。偶然の旅人、ハナレイ・ベイ、どこであれそれが見つかりそうな場所で、日々移動する腎臓のかたちをした石、の見慣れた世界の一瞬の盲点に掻き消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語である。


1月25日現在、白梅も一部満開。

『江戸学講座』 講師山本博文・聞き手逢坂剛・宮部みゆき 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年2月5日読了
寸評:TVドラマで時代物が制作されなくなって久しいが、私は時代劇で育った世代である。特に今は亡き祖父が時代劇が好きだったので、映画やTVを私と二人一緒に観ていたということが大きい。しかし今や再放送で昔の時代劇が僅かに観られる程度で寂しいものである。そんな環境も影響してか、今でも時代物の小説はよく読む。そして本書のような時代考証的な著書も好きである。本書は東大史料編纂所教授の山本博文氏を講師に、直木賞作家の逢坂剛氏と山本周五郎賞・吉川英治賞作家の宮部みゆき氏が聞き手となる対談集のようなもの。武士と奥女中のサバイバル・ゲーム、治安維持と災害対策、旅と海外貿易をテーマとして語られる。知らないことが多く発見も多くあった。

『日本の覚悟』 櫻井よしこ著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年2月12日読了
寸評:権威におもねることも、大勢に身を任せることも、よしとしない。この国の在り方について、言うべきことは穏やかに、しかしピシャリと言う。櫻井よしこさんの「覚悟」はいつも決まっている。と安倍晋三首相が解説してる。昨年、私も光市で著者の講演を聞きに行ったが、全く同感である。第1章が大戦略で日米同盟を建て直せ、第2章が横暴国家・中国に迎合するな、第3章が民主党よ、現実を直視せよ、第4章が確かな言葉で「価値観」を語れ、第5章が国益を守り、国力を維持せよ、第6章が攻めの外交で進路を切り拓けの構成であるが、8年前の本であり民主党政権について語っている部分を除き、現在もなお色褪せていない。特に中韓の国是としての反日、国家戦略については詳しく解説されている。櫻井氏、竹田氏、百田氏のような論客がもっと育って欲しい。H31年2月10日の第86回自民党大会で安倍首相が演説した通り、「悪夢のような旧民主党政権に戻すわけにはいかない」のだ。石破氏のような生ぬるいことを言っているようでは次は無い。私なんぞは安倍首相の終身宰相を望む。亥年の参院選、負のジンクスを打ち破り、与党87議席獲得を目指して欲しい。

【2月20日過去の釣行記録】
・2011年第2埠頭東側、07:40~11:50、中潮、釣果=カレイ1・32cmアイナメ1

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません

・【旧暦1月16日釣行記録】
・2008年02月22日、柳井港防波堤、19:00~22:20、大潮、釣果=メバル14
・1993年02月07日、末武川河口、昼間、大潮、釣果=アサリバケツ一杯

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千一夜第3章第141夜 ’18大晦日 最近の読書16

2018-12-31 17:44:29 | 読書

2018.12.31(月)


今年の締め括りは30cmマコガレイでした。

最近読んだ本。記載するのは今回で16回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『うらおもて人生録』 色川武大著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’18年11月05日読了
寸評:著者の本を初めて読んだのは大学生時代、阿佐田哲也(朝だ!徹夜だ!)のペンネームの「麻雀放浪記」である。高校からの友人であるうっちゃんに勧められて読んだと思う。当時、これほど面白く読んだ本は無かったので大感激したことを覚えている。以来、著者の本は20冊程度読んだが、今回、30年振りくらいに読んだ。劣等生が生きていく上での技術を、著者なりのセオリーとして身体に沁み込ませることが出来るように説いていく人生訓である。

『海辺のカフカ』上・下 村上春樹著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年11月12日読了
寸評:著者の作品は読みにくいと良く言われるが、本書は読み易かった。読み始めはノーベル賞作家のイシグロ氏の文体に似ていると思い、伊坂幸太郎氏らに見られる手法と同じだとも思った。物語は15歳のカフカ少年が四国の図書館に着き、一方、猫と会話が出来る老人ナカタさんもホシノ青年に助けられながら四国へ向かう。そしてその図書館に皆が引き寄せられるように集まる。「入口の石」がキーワードだが、冥界と現世の中間に位置するリンボという場所で大きな展開を見る。中田さんと佐伯さんの死、ミステリアスで幻想的で現実離れした狂気、幻覚、自分の薄い影、近親相姦、幽霊、宇宙人?、漫画チックなど様々な感想であるが、上下巻一気に読んだ。

『安倍総理と日本を変える』 花田紀凱編 飛鳥新社 評価☆☆☆☆☆ ’18年11月14日読了
寸評:2012年首相に返り咲いた安倍だが、戦後のマスコミの主流の体制から見ると安倍総理は秩序の破壊者に見える。左翼にとって戦後の日本の憲法9条を軸とする体制は美しいものであり壊してはならなうもの。戦後レジームからの脱却、憲法改正は護憲メディアは徹底的に嫌った。1度自民党以外に政権を任せて明確に失敗したというのが大きい。現国会でも野党の体たらくを見て彼らに政権を任せようと思う者はいないし、野党もまた政権を取ろうなんて考えもしない。自分らの限られた支持者を囲い込むだけ。朝日や毎日といった左派系メディアが狂乱状態で安倍政権批判をする根本原因は野党に力が無いからである。朝日新聞などは最早捏造報道と言われても可笑しくないほどの曲解と悪意に満ちた偏向報道を繰り返す。国政選挙が結果として安倍政権を選び続けて5度に及ぶということは、国民は野党は要らないと言っているのだ。安倍総理は経済でも外交でも安全保障でも結果を出している。政権が強いリーダーシップを発揮し日本が国力を高めなければ国民の生活を守ることも、国際社会で他国に手を差し伸べることもできない。アベノミクスの成長戦略は地方が主役、人づくり革命、生産性革命は必定である。


11月中旬の朝まずめ時の徳山築港の釣り場。

『架空通貨』 池井戸潤著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年11月16日読了
寸評:信用調査の会社を辞め私立高校の教師となっ辛島、クラスの黒澤麻紀という女生徒の親が1回目の不渡りを出す。麻紀が親の会社を救おうと田神亜鉛という会社を単身訪問しようとしていることから物語は始まる。田神亜鉛から押し付けられた7千万円の社債の期前償還が実現すれば会社は倒産を免れるからだ。田神町は町の経済を左右する事実上の田神亜鉛城下町である。先生と生徒が社債の償還交渉を行うが、そこには国際的なマネロンも介在していた。また架空通貨も流通する街でもあった。終章では城下町の崩壊、地銀の救済的合併までにも発展する。金融ミステリーだけでは括れないジャンルの小説である。

『パラドックス13』 東野東吾著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年11月20日読了
寸評:嘗て読んだ事のないSFストーリーである。3月13日13時13分13秒にP-13現象によって生じることが予想される問題、この時間から13秒間が失われる現象である。この13秒間に数学的不連続、つまり次の瞬間にどうなっているか誰にも予測ができないものは、人間や動物などを含め13秒間が抜け落ちてしまうのだ。時間的には13秒の記憶も何もないまま時間は継続するだけである。逆に13秒間に数学的連続性を持っている者は13秒間の世界に落ち込んでしまう。つまり、人間もこの13秒の間に事故死したものは13秒間の世界に落ち込み生き返るのである。難しくて上手く説明できないが、読んだ方が早いと思う。

『看る力』 阿川佐和子・大塚宣夫共著 文春新書 評価☆☆☆ ’18年11月21日読了
寸評:父阿川弘之氏を看取り、認知症の母の世話をするなど介護経験豊富なアガワと、1万人以上のお年寄りと向き合い6千人以上の最後を看取ってきた高齢者医療の第一人者、大塚医師の対談。親、伴侶の正しい介護法、認知症対策、理想的な老後の生活術、1人暮らしのすすめ、不良長寿のすすめなど2人が語る。しかしこれらのことを本当に自分のこととして考え出したら、そういう話題に、そしてこのような本にも触れたくなくなるかも知れないなあ。負のスパイラルのような感じを受けた。読むのなら若い内の方が好ましい。


東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣(H30年11月27日第1次発行分)100円クラッド貨幣。

『BT’63』上・下 池井戸潤著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年11月28日読了
寸評:二重構造の小説である。主人公は大間木琢磨と父史郎。父はこの物語が始まった時点では既に亡くなっている。琢磨自身は精神の病のため失職し妻とも離婚し破滅を味わっていた。ある日、琢磨は父の遺品である運送会社の制服を発見し何気なく袖を通す。すると突如、S38年の父の勤務先の運送会社における父の意識に同化していくのである。不思議な現象に関心を持った琢磨が、幻視した風景を元に父の生きた1963年の真実を調べる形式で物語は進む。現代と過去の双方に軸足が置かれるが、重心は父史郎の生きる過去の側にある。父の知られざる過去を探るという行為に彼は魅せられていく。全体としては陰鬱な印象を与える小説だが、読み終えてみると陽の印象が残る。

『「日本封じ込め」の時代』 原田武夫著 PHP新書 評価☆☆☆☆ ’18年11月30日読了
寸評:10年前の本だが今でも十分に読める。米国の日本占領は表向きには既に過去のもの。だが、金融やメディアなどの深層部には支配の仕組みが巧妙にのこされているという。「年次改革要望書」によって、郵政民営化などの米国が望む改革が進み、それに対する批判は、思考停止の対米追従論によってかき消される。こうした構造は、戦前の日韓併合(1910~45)と重なり合うと著者は指摘する。日本は嘗て仕掛けたことを、戦後逆に仕掛けられている。日韓と日米の植民地統治のプロセスを比較、再検証し、経済利権をめぐって封じ込まれる日本の現状を明かす。

『アキラとあきら』 池井戸潤著 徳間文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年12月6日読了
寸評:金融小説であり読み応えのある本だった。小学校の頃に一度だけかすかに接した2人のアキラ、彼らの人生の30年を描いた長編小説である。1970年代から2000年代前半にかけて、つまり、オイルショックからバブル期、失われた10年、更には21世紀という時代が彬と瑛の30年の背景となっている。この小説では対等な2人を主人公に据えた2倍のけん引力を備えた小説である。2人の人生が交差する場面のインパクトは特筆に値する。それぞれの立場や視点で問題を捉え、その解決に必死になるだけに、彼らが立ち向かう問題を立体的に把握することになる。従って奮闘や解決案も立体的に浮かび上がり物語が躍動する。銀行員と経営者、目利き力、圧巻にして極上の長編小説である。

『春日局と歴史を変えた女たち』 高野澄著 祥伝社黄金文庫 評価☆☆☆ ’18年12月11日読了
寸評:女が権力を持ったらどうなるか。普通の女で無くなるのか否や、政治はどのようにやるかといった考察である。春日局・・・賢女か、悪女か、江戸城の独裁者(大奥を意のままにした女、父の磔刑におののいた少女、美女と醜女・女同士の熾烈な争い、将軍家光を掌中に)、淀君・・・太閤の威信をかけ家康に対抗した愛妾(妾となった名門・浅井氏の娘、秀吉の子を産んだただ1人の女)、日野富子・・・戦乱を陰で演出した御台所(16歳で将軍の妻の座に、マザコン足利義政とカネの亡者)、北条政子・・・尼将軍にみる武家女性の苦悩(頼朝との激しい愛が運命を変えた、夫や子供を道具に政治の才を磨く)。以上4人の女、実に人間臭い政治をやったという印象である。


12月15日(土)、笠戸大橋下の釣り場、静かで風光明媚な場所である。

『人間椅子』 江戸川乱歩著 角川ホラー文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年12月14日読了
寸評:著者の本は嘗て1冊しか読んでいない。「陰獣」(角川文庫)を昭和52年6月17日に読了しているが内容は全く覚えていない。私は気に入った著者なら間を置かず数冊は読むのだが、40年も前の当時は気に入らなかったのだと思う。しかし今回この短編集を読んで、今日の推理小説の原形がここにあったと確信した。乱歩の一文一文が現代の推理小説1冊が書けるヒント満載なのである。著者は子供向けの少年探検シリーズから大人向けの残酷・猟奇小説まで幅広いが、本作はホラー要素の強い作品群となっている。サイケ、幻魔の光景、所謂幻想文学の優れた短編集である。

『芋虫』 江戸川乱歩著 角川ホラー文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年1月17日読了
寸評:本書は前作「人間椅子」に続きホラー要素の強い短篇作品を選りすぐって収録してある。作家としての乱歩が興味を持つホラーならではの要素とは、人間の異常心理、つまりサイコ・ホラーであると言われる。作家として怪奇的嗜好と資質を有しながらも理知的嗜好、耽美的嗜好に進もうとしている。理知と怪奇の二面性こそが乱歩作品の最大の特徴であろう。それは乱歩が学生時代に、エドガー・アラン・ポーの短篇に出会い、その異様な作風に魅せられる。不可解で奇怪な事件に対してあくまでも理知的な思考を持って取り組み、論理的推理によって意外な真相を暴くという、初めて読むタイプの小説だったからと言われる。やがて乱歩は探偵小説の元祖と言われるポーに倣い、自身も日本の探偵小説の始祖となったのである。ポーの作品も大昔読んだが、また読み返してみようと思う。


12月20日(木)光市民ホールに櫻井よしこ氏の講演会に行った。期待を裏切らない講演だった。

『ノルウェーの森』(上) (下) 村上春樹著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年12月25日読了
寸評:37歳の主人公、ワタナベ君が20歳前後の青春の忘れ得ぬ記憶を振り返る。友人キズキの彼女だった直子が、キズキの自殺によって精神に異常をきたしてしまう。キズキの死後、空白の時間があったが、1969年、精神異常をきたす前に偶然に直子と出会い、やがてデートを重ね恋人となる。しかしその後、直子は療養生活を余儀なくされ京都で療養する。一方、ワタナベは東京で普通の真面目な大学生生活を送るが、そこでは緑という女生徒との出会いも始まる。二股を掛けているようにも見えるが、この年頃の若い男性なら当然の成り行きであろう。また直子の京都の療養所にも見舞いにも行くが、そこでは直子の同室のレイコさんとの出会いもある。やがて直子は自殺を選び、音大出のレイコさんも退院して旭川へと移っていく。「死は生の対極にあるのではなく、我々の生の内に潜んでいるのだ」と気付くワタナベ、限りない喪失と再生を描いた長編である。表題のノルウェーの森はビートルズの曲だが、レイコさんのお気に入りの曲で何度もギターで聞かされたものであり、37歳の主人公がハンブルグ空港のスピーカーから偶然流れだしたこの曲で過去を振り返る。

 
「ノルウェーの森」が収録されている私の秘蔵アルバム、ビートルズの「RUBBER SOUL」オデオン・レコード盤である。

『笑えるほどたちが悪い韓国の話』 竹田恒泰著 ビジネス社 評価☆☆☆☆☆ ’18年12月27日読了
寸評:本書は著者が毎週木曜日の20時からのニコニコ動画の無料番組「竹田恒恒泰チャンネル」をもとに書き下ろされたもの。国を批判しても人を批判してはならない、このテーゼを基に話は展開する。日本は豊かな自然や人材に恵まれたが、近隣諸国にだけは恵まれなかった。今回の主題は韓国である。まずは理性が働かない民族でありどうでも良い国、無視しても良い国、積極的に付き合わなくても良い国、日本の未来に大した影響はなく関係が悪化しようが関係ない。とまあ、こんなところから始まり、朴李病(パクリ病=日本製品を徹底的に模倣、パクっても製品は欠陥だらけ)、ウリジナル病(全ての物が韓国発祥説、特に日本の物は全て、鮨や刺身などは日本書紀にも出るがその頃韓国という国は存在していないのだが・・しかも有史以来韓国は中国の属国であり、朝鮮民族を清朝から独立させた解放者は日本である)、ホラ吹き民族、ゆすりたかりの名人・反日的司法判断(反日は国是であり反日的言動は全て許され無罪、徴用工事件など戦後補償は1965年の日韓請求権並びに経済協力協定により、韓国は日本に対する一切の請求権を既に失っているのだが)などなど笑えてたちが悪い話がてんこ盛りである。安全保障でも韓国は日米安保にぶら下がっている(このことは私は知らなかった)のだが、そんなことは関係ないと言うのなら最終的には国交断絶だろうな。

2019年も宜しくお願い申し上げます。

【12月31日過去の釣行記録】
・1997年笠戸白浜、01:00~05:00、大潮、漁り=サザエ多数、タコ他
・2005年大島庄の浦港防波堤、06:45~11:00、大潮、釣果=キス2・ハゼ2・マダコ1
・2009年第2埠頭東側、14:50~16:50、大潮、釣果=ハゼ1
・2010年中電西岸壁、07:30~10:30、若潮、釣果=キス2・メゴチ1
・2011年洲鼻港防波堤、06:30~12:30、小潮、釣果=カレイ1・アイナメ2・ガンゾウビラメ1
・2012年第2埠頭東側、10:00~12:20、中潮、釣果=ボウズ

【この日の釣り情報】
・2004年第1埠頭南端西側、昼間、中潮、釣果=30cmカレイ2・25cmキス数匹
・2006年第2埠頭西側、朝方、中潮、釣果=38、40cmカレイ2
・2011年第2埠頭東側、昼間、小潮、釣果=カレイ1

【旧暦11月25日釣行記録】
・2007年01月13日、笠戸本浦港、06:30~14:20、長潮、釣果=カレイ4・ガンゾウビラメ1・キス2・ハゼ2
・2007年01月13日、華西防波堤、18:50~19:45、長潮、釣果=メバル3
・2007年01月13日、柳井国病前、06:00~10:00、長潮、釣果=カレイ1・キス5
・2008年01月03日、第2埠頭東側、15:20~17:30、長潮、釣果=カレイ2・キス3・ハゼ1・マダコ1
・2008年01月03日、大島大原、19:25~20:20、長潮、釣果=メバル3
・2008年01月03日、櫛ヶ浜港防波堤、20:50~22:30、長潮、釣果=メバル11
・2013年01月06日、第2埠頭東側、07:40~11:00、長潮、釣果=ハゼ1
・2013年01月06日、今津川河口、夕方、長潮、釣果=45cmイシガレイ1

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千一夜第3章第133夜 最近の読書15

2018-11-15 22:15:10 | 読書

2018.11.15(木)


11月3日、奇祭「狐の嫁入り」の1シーン

最近読んだ本。記載するのは今回で15回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『火星に住むつもりかい?』 伊坂幸太郎著 光文社文庫 評価☆☆☆☆ ’18年9月7日読了
寸評:この小説の起承転結の起の100頁程度は不快感で嘔吐が出そうだった。尤も、サディスティックで猟奇趣味の方なら面白いかも知れないが、私には合わない。そこがまた著者の狙いだが、私などはまんまと嵌められた口かも知れない。物語は、警察庁の平和警察と呼ばれる他部署より一段上の組織が、安全地帯に指定された都市に潜む危険な人間を取り締まる。テロ行為などに関係するという理由で、一般人を危険人物にでっち上げ、公開処刑(広場でギロチン)するのだ。ディストピアへと変わった日本、まるで魔女狩りである。魔女は拷問の末殺される運命にあるが、この平和警察も全く同じ手法を取る。しかしそこへ正義の味方が現れる。後は著者特有の緻密に張り巡らされた伏線を鮮やかに回収していくという展開だ。

『憧れのまほうつかい』 さくらももこ著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’18年9月7日読了
寸評:先日著者が亡くなったが、私はTVまんがの「ちびまる子ちゃん」しか知らなかった。世間並には知っておこうと著書を読むことにしたが、さくらももこを読むのなら最初は「もものかんずめ」だとこれもTVで言っていた。しかし寄った本屋さんにその本が無かったので、違う本を買った次第である。ル・カインに憧れて、彼の死後にイギリスに彼の足跡を辿ったエッセイである。この本でも著者を知るには充分だと思った。3時間程度で一気読み。

『消えた江戸300藩の謎』 八幡和朗著 イースト新書Q 評価☆☆☆☆ ’18年9月14日読了
寸評:関ケ原の戦い直前から幕末明治維新までの270年間を通じて、大名家の興亡を記載している。その間、何と600家もの大名が居たが、明治維新の時点で残った大名家は261家だった。関ケ原の戦いで負けて取り潰された大名、徳川幕府になってから、築城、城の移転で消えた大名、反乱の疑いで取り潰された大名、松平・徳川一族のお家の事情で消えた大名、お家騒動、大人の事情で消えた大名、セクハラ、パワハラ、スキャンダルで消えた大名、後継者が確保できずに消えた大名など様々である。幕末に藩主自ら脱藩して消えた大名もいるのには驚いた。


10月28日、徳山港祭り会場

『星々の舟』 村山由佳著 文春文庫 評価☆☆☆ ’18年9月24日読了
寸評:短編連作小説で第129回直木賞受賞作である。著者の作品は純文学のようにも思えるが、近年の作品はジャンル分けが難しいものが多い。本作はある6人家族とその孫の計7人がそれぞれの短篇の主人公となり、それぞれが見えない線で繋がり絡み合う。先妻の子、後妻の連れ子、後妻の子などと兄弟も色々であるが、禁断の恋に悩む兄弟、他人の恋人ばかりを好きになってしまう末妹、居場所を探す団塊世代の長兄、そして戦争の傷跡を抱える父、愛とは、家族とは何かを問う。しかし正直言って、著者の文章は吐き気を催すものや、気分が悪くなるものが多い。途中で投げ出したくなるが、それでもついつい読み進めてしまう。それは最終的には一筋の光明も見えて来るからであろう。あまりお勧めできない。

『東洋ごろごろ膝栗毛』 群ようこ著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’18年9月26日読了
寸評:新潮文庫の編集者等との旅行記。アジア紀行第3弾で今回は台湾編、北京編の2編である。まあ、食事と買い物が主なテーマになっており、著者は全く役に立たない旅行記と言うが、そんなことはない、多分。経費は出版社持ちだろうから、飛行機はビジネスクラス、ホテルも一流、結構贅沢三昧の旅行記のようだ。羨ましいかぎりである。

『山口県謎解き散歩』 古川薫編著 新人物文庫 評価☆☆☆☆ ’18年9月28日読了
寸評:知れば知るほど興味深い"長州・周防”の歴史と風土。下関在住の直木賞作家古川薫の編著である。第1章は山口県のエリート連鎖型の県民性、有名人、9人の歴代総理、グルメ、ランキング、第2章は源平合戦、幕末・明治維新編、第3章は古代・中世の歴史編、第4章は近世・近代の歴史編、第5章は人物編、第6章は産業・自然・地理編、第7章は文学・民族・その他の謎・ふしぎ編で構成されている。地元でありながら初めて知ったことも多かった。


何時かはカレイ釣行してみたい防府市佐波川河口

『トイレで笑える雑学の本』 プランニングOM(オム)編 講談社+α文庫 評価☆☆☆☆ ’18年10月4日読了
寸評:人間はトイレを持つサルである。人類誕生とともにスタートしたトイレ。食べるから出る。当然トイレが必要となるが、そのトイレ、トイレの歴史は人類の歴史である。クレオパトラもモーツアルトも、西欧諸国の王族も宮殿も、お姫様も将軍もお城も、はたまた江戸の街も、トイレの歴史や凄まじい。トイレの蘊蓄が100話満載。これは笑える!

『太閤のレガリア』 川村隆一郎著 文芸社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年10月10日読了
寸評:豊臣秀吉の立志伝については枚挙にいとまないが、秀吉の幼年期については殆ど語られない。また母親である大政所については沢山の情報があるが、実父については殆ど語られない。その訳がこの本で明らかにされる。小田原遠征が終わって大坂への帰路、秀吉は生まれ故郷の尾張の中村郷に立ち寄る。語り部、中村の邑長星野十郎太郎佐(秀吉の従兄弟)によって、秀吉の実父中村弥右衛門や母親なか、養父竹阿弥についての、秀吉も知らない驚愕の事実が語られる。決して他言無用の事実である。

『日本の血脈』 石井妙子著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’18年10月17日読了
寸評:月刊「文芸春秋」に2011年2月号から2012年12月号まで「現代の家系」のタイトルで隔月連載した原稿に若干筆を加えたものの文庫化である。当時の話題の人が題材になったようで、小泉進次郎、香川照之、中島みゆき、堤康次郎、小沢一郎、谷垣禎一、オノ・ヨーコ、小澤征爾、秋篠宮紀子妃、美智子皇后の10家についてである。取り上げられた本人よりもその先祖や家族である無名の人々の人生に深い感銘を受けるものが多い。先祖が立派だからと言って、立派な人物が生まれるとは限らない。しかし、人の思いの集大成が人を作る。人は1代で作られるものではないとの思いを強くした。親子代々の連続性を無視することはできないのである。


投稿写真、生憎の天候だったようだが、一生の内に一度は行っておきたい観光名所の上位にランクする豊北町の角島

『片思い』 東野圭吾著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年10月23日読了
寸評:戸籍も女性で外見も誰が見ても女性にしか見えず、本人の意識も女性なのにセックスチェック(PCR法) によって女性では無いと判断される例がある。検査の基本はY染色体を持っているかどうかを調べるが、現実にはY染色体を持つ女性が存在する。精巣性女性化症と性腺形成異常症という2つのタイプがある。染色体はXYだが体型的には完全に女性となる。また外見は女性だが心は男、或いはその逆(グラデーション、メビウスの帯)、所謂性同一性障害の問題を取り上げる。殺人事件をきっかけに性同一性障害者と更に秘密組織による戸籍交換に迫る。そしてそれは過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描くミステリーである。

『考証 武家奇談』 稲垣史生著 時事通信社 評価☆☆☆☆☆ ’18年10月31日読了
寸評:約40年前の著書、偶然か必然か手にした。雑誌「武道」に連載し、武士道の伝統美と磨かれた国民性の美しさを描こうとしたもの。一切ノンフィクションで史実を主軸にしてある。間違いだらけのTVドラマ(特に公共局のNHK)により武家の実像が歪められていることを指摘。時代考証の第一人者が、将軍綱吉の側近牧野備後守の妻女と娘の悲劇、服部半蔵の家康嫡男信康隠し、御用屋敷と御土居下同心の役割、笠森お仙の実像、暴君足利義教暗殺秘話、日本版王昭君の哀話等々、武家社会に起こった様々な事件の謎について俗説、巷説を質し、資料を渉猟し真相に肉薄する興趣溢れる歴史書である。

【11月15日過去の釣行記録】
・1997年笠戸島周辺、06:30~11:00、船釣り、大潮、釣果=アジ・メバル・メイボ・アコウ・マダイ・クロ等
・2006年華西・居守・大原防波堤、19:00~21:10、長潮、釣果=ボウズ
・2008年徳山築港、06:15~11:30、中潮、釣果=カレイ4・ハゼ3・キス3
・2008年晴海埠頭、18:00~20:00、中潮、釣果=メバル2・アジ10
・2014年徳山築港、06:30~11:00、小潮、釣果=カレイ2・キス5・ハゼ3・キビレ1R

【この日の釣り情報】
・2004年新日鉄波止場、釣果=11月中旬から12月中旬まで30~40cmカレイ
・2013年徳山築港入口、16時~、中潮、釣果=25cm級アジ入れ食い
・2015年徳山築港、05:50~10:00、中潮、釣果=カレイ5・キス1・アナゴ1・キビレ1

 【旧暦10月8日釣行記録】
・2002年11月12日、福川港波止、14:00~15:00、小潮、釣果=30cmサヨリ10
・2004年11月19日、上関港防波堤、昼間、小潮、釣果=35cmカレイ1
・2008年11月05日、大島大原、18:30~20:00、小潮、釣果=
・2014年11月29日、洲鼻港防波堤、06:20~11:20、小潮、釣果=キス3・チダイ1・アナゴ1R
・2014年11月29日、新日鉄波止場、06:00~17:00、小潮、釣果=キス35・小ダイ6
・2017年11月25日、徳山築港、06:20~12:20、小潮、釣果=カレイ4・ハゼ2・イイダコ1・小ダイ1・メゴチ2R

  

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千一夜第3章第120 最近の読書14

2018-09-09 16:48:40 | 読書

2018.9.9(日)

最近行った防府阿弥陀寺

週末になると天気が崩れる。釣行もままならず、晴釣雨読の日々である。

最近読んだ本。記載するのは今回で14回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『海のルアー釣り』 宮本善亘著 つり人社 評価☆☆☆☆ ’18年7月4日読了
寸評:ルアー釣りを本格的に始めようと思いながらついつい引き延ばしてきた。初めてのルアー釣りは、アオリイカのエギングだったが、その後メバルを少し、コウイカを少しやった程度だ。ルアー釣りは生餌が要らないので、何時でも何処でも手軽に出来るのが良い。本書では、海のルアーの対象魚を魚種毎にその生態から釣行適期、攻略法まで詳しく紹介している。夥しいルアーの種類も使い方を説明、またキャスティングの仕方も具体的である。後は実践のみだが・・・。当面、座右の書である。

『世界遺産・秘められた英雄伝説』 平川陽一著 PHP文庫 評価☆☆☆ ’18年7月9日読了
寸評:世界遺産の中で英雄や歴史的に重要な人物に関わりのあるものを取り上げている。ポルトガル・エンリケ航海王子、ヴァスゴダ・ガマ、ナポレオン1世、アレクサンドロス大王、ダレイオス1世、ウイリアム1世、エジプト・ラメセス2世、ローマ・カエサル、カルタゴ・ハンニバル、オーストリア・ハプスブルグ家、ルイ14世、16世等々世界史でも学んだ英雄や偉人たちの物語を紹介している。英雄に纏わる伝説から、改めて世界遺産の面白さが堪能できる。

『真田を云いて、毛利を云わず』上下 仁木英之著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年7月19日読了
寸評:豊臣秀吉最古参の家臣毛利(森)吉成・太郎兵衛勝永親子を中心に描く。毛利と言っても長州の毛利とは直接の関係は無い。秀吉の側近中の側近である黄母衣衆である吉成が、九州平定後、親子共々大名に取り立てられ、小倉にて九州全体の目付となる。秀吉は天下統一後、2度に渡る朝鮮出兵を行い、秀頼を溺愛し甥の秀次一族を処刑、そして秀吉も死ぬ。秀吉の秀頼への遺言で、豊臣家中で最も信頼できる家臣は5大老でも5奉行でも無く、吉成、勝永父子だと告げる。石田三成の薫陶を受けた勝永は豊臣政権の次代を担う器と目されたが、そこに徳川家康が立ちはだかる。関ケ原の戦いを経て勝永は土佐山内家預かりとなるが、出奔し、大坂冬の陣では大阪方の総大将を務め、秀頼を介錯し落城までを描く。毛利勝永を主人公として描く歴史小説は非常に少ないので興味深い。

『戦国武将・闇に消されたミステリー』 三浦竜著 PHP文庫 評価☆☆☆☆ ’18年7月24日読了
寸評:戦国時代の「なぜ?」や異説を取り上げたもの。本能寺の変の謎、関ケ原の戦いの謎、川中島の合戦の謎、下克上の時代の謎、織田信長の時代の謎、豊臣秀吉の時代の謎、徳川家康の時代の謎の7章からなる。歴史に”もしも”は無いとされるが、”なぜ?”と聞きたくなる歴史的事実は結構あるものだ。特に信長が生きていたら日本の歴史は大きく変わっていたかも知れない。そんな信長や幸村、秀頼、又兵衛など多くの有力武将たちには生存説も多い。逆に、家康などは大坂夏の陣等での死亡説も有力である。後は用が終わるまで影武者が務めたというものである。確たる根拠もあり面白い。

最近行った防府護国寺

『吾輩は猫である』 夏目漱石著 新潮文庫 評価☆☆☆ ’18年8月10日読了
寸評:夏真っ盛りなので夏目漱石に挑戦した。著者名、著書名ともに超有名であるが、実際に手に取って読んだ事は無い。正岡子規に捧げられた著書だと言われ、18世紀イギリスの作家ローレンス・スターンの小説の模倣だともいわれる。

明治期の著書なので現代仮名遣いしてあるが、やたら古の西洋文学の著者名や主人公等の名前、哲学、史記、易経、浄瑠璃、謡曲、漢学などからの引用が盛り沢山で読み切るのに時間を要した。今日、こんな文章を書ける人は居ないだろう。笑えたのは希臘(ギリシャ)のイスキラスと云う作家の話のみである。言い回しにしろ、当時の時代背景や生活習慣にしろ、流行りにしろ、現代とはミスマッチしており難しい文章である。所謂、大衆文学であり近年で言うところのエンターテイメントであり滑稽文であるが、相当にしゃれっ気のある文章で今日の我々には難しい。当時としては知的でハイカラな読み物だったかも知れないが、当時の読者でもかなり知的で教養のある人でないと読めなかったのではないか。現在で三島由紀夫、大江健三郎、野坂昭如が難しく感じるのと同じか。50Pくらいから文体に慣れてきた。

物語は、名無しの猫の主人公苦沙弥(くしゃみ)先生の書斎を中心とし、その友人である自称美学者の迷亭、哲人独仙、物理学者の寒月、苦沙弥の書生をしていた三平など努力家の秀才の集まりを主要人物として、知的で軽快なる持論の応酬が展開される。その一群に対立する俗世的人物の金田一家、近所の魚屋、車屋、中学の生徒たち、泥棒などが絡まって進行する。元々、独立した短篇から長編化したので、長編小説としては読み辛い。漱石は世間を笑っているようでありながら、実は世間を痛烈に批判している。当時、大衆受けしたのも理解できる。

『逃げる力』 百田尚樹著 PHP新書 評価☆☆☆☆ ’18年8月15日読了
寸評:猫の後なので非常に読み易かった。逃げることは戦うことと同じくらい積極的行動だと言う。会社などで、責任感を発揮して踏み止まるか我が身を守るべきかの判断は難しい。ここで戦うか逃げるかを決断しなければならない。ブラック企業、パワハラ然り。判断や決断は精神面も考慮してお金に換算して考える。逃げたとしても大したことはないと気付く。大切なのは一度立ち止まって考えること。他人から見れば贅沢な悩みと映ることも多い。但し、いじめ、DVに対しては論外、直ぐに撤退すべきである。戦わなければ家族や自分を守れない時は絶対に逃げてはならない。そこで逃げれば本当の卑怯者であり臆病者になる。

失うことを恐れなければ怖いものは無い。命まで取られることはまず無い。会社が倒産して職を失った多くの人は精神的に強くなった人が多い。余命告知された人、自己破産した人、大きな災害に見舞われた人などでもバイタリティーに溢れて毎日をエンジョイしている人も多い。そのことを思うとそんなこと悩みになるの?ってものも多い。現実は、自分が描いている理想の自分と現実の自分は大きく乖離していることを自覚できず自爆している。夢や目標は適度に持つことが重要である。

また中国、韓国、北朝鮮の国に対して抗議する力を持つことが重要だと括る。

『坊ちゃん』 夏目漱石著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’18年8月17日読了
寸評:「吾輩は猫である」の次だが、本書はストーリーが一貫していて読み易かった。ストーリーは誰もが良く知っている通り、坊ちゃんが中学の数学教師となり四国松山に赴任、そこで生徒との確執もある。また、教頭の赤シャツが気に入らない他の教師を追い出す。一人目は英語のうらなり先生、マドンナの許嫁だが横恋慕してうらなり先生を追い出す。次のターゲットが数学の山嵐先生、巧妙な罠に嵌められ山嵐も辞職する。坊ちゃんはこの山嵐と気が合い、最後には追い出された山嵐と組んで赤シャツとその太鼓持ちの野だ先生をぶん殴って辞職するという展開である。青年教師が社会の不正に対する痛快な反抗精神を描くが、結果的には殴られても赤シャツの思惑通りになったのには不満が残る。

『こころ』 夏目漱石著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’18年8月28日読了
寸評:主人公の「私」と偶然の出会いから親交が始まった「先生」との物語である。幸福に覆いかぶさる黒い影、この幸福が最後に悲しい運命に連れて行く導火線となる。そこには運命の冷罵を感じる。「先生」による自身の妻も知らない過去(恋愛のために親友を裏切り自殺へと追い込んだ罪の意識)を「私」に手紙で告白し命を絶つ。明治の精神(反エゴイズムの精神であるという)に殉ずるということの意味を信じ得て、自己救済の可能性として自殺を選ぶ。心が塞がれる重い内容である。明治天皇の崩御と乃木大将の殉死が背景にあると思われ、作中の「先生」の人情、心情は漱石自身のものであろう。漱石が新時代に生きようとする決意文だと言われる。
夥しい知力と強靭な意思に恵まれ、僅か11年の作家活動で生涯分の仕事を成した。漱石は「生」に怯え自分の存在を恐れていたという。間違いなく近代文学の牽引者である。芥川龍之介や久米正雄、松岡譲、寺田寅彦などはその門弟である。

最近行った周南市須々万飛龍寺

『千年鬼』 西條奈加著 徳間文庫 評価☆☆☆☆☆☆ ’18年8月29日読了
寸評:童話のようだがその裏舞台まで見せる。小鬼たちが鬼の芽を持った人間に、過去見(かこみ=その人の過去を見せること)を見せてその芽を摘んでゆく。鬼の芽は輪廻転生して千年にも及ぶが、小鬼は過去見の術を使っては鬼の芽を摘み続ける。7編の短編で構成され、第6編でその全ての謎が明かされる。この物語は物悲しくもあり感動ものである。著者は天才だと思う。

『大江戸妖怪かわら版①』 香月日輪著 講談社文庫 評価☆☆☆ ’18年8月30日読了
寸評:舞台である魔都「大江戸」、 着物姿で闊歩するものや、賑やかな店が幾つも軒を並べる街並みなど、我々が想像するものと似ている。しかし江戸は江戸でも魔都大江戸であるから、昼は龍が空を飛び、夜空を大蝙蝠が飛び、墨田川には大蛟、飛鳥山には化け狐、大江戸城には巨大な骸骨が棲む妖怪都市である。この大江戸にただ一人の人間「雀」が居る。かわら版屋で雀が見た大江戸を描く。彼が書いた江戸見聞録に何時しか引き込まれていく。シリーズ化されている。

『人物でわかるオモシロ源平合戦』 武光誠著 角川ソフィア文庫 評価☆☆☆☆ ’18年9月4日読了
寸評:元々源氏も平氏も天皇家から出た同族であり仲間だったはずである。天皇家と摂関家の勢力争いを火種に激化していった源平争乱を、保元・平治の乱、一の谷の合戦、壇ノ浦の合戦など代表的な15の合戦を軸に、戦の背景から勝者、敗者のその後までを詳細に解説する。源氏、平氏の系図と睨めっこしながら読み進めた。

【9月9日過去の釣行記録】
・2006年華西防波堤、17:30~19:15、大潮、釣果=2人でメバル15・アジ10・クロ1
・2010年粭島小瀬戸、18:45~20:45、大潮、釣果=アジ2・アオリイカ2
・2013年洲鼻港防波堤、18:30~19:30、中潮、釣果=アオリイカボウズ
・2017年日石前岸壁、05:50~10:00、中潮、釣果=キス6

【この日の釣り情報】
・この日の釣り上はありません

【旧暦7月30日釣行記録】
・2005年1月3日、大島日本精蝋前岸壁、18:00~21:30、大潮、釣果=アジ10
・2005年1月7日、大島大原、21:50~01:30、大潮、釣果=メバル1
・2008年1月7日、徳山築港、07:30~11:30、大潮、釣果=キス29・アジ3・シャコ1
・2015年1月7日、徳山築港、05:50~09:40、大潮、釣果=カレイ1・キス7・ハゼ2
・2015年1月7日、新日鉄波止、06:00~11:00、大潮、釣果=キス5・マダイ1・エソ1

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千一夜第3章第112夜 避難勧告及び最近の読書13

2018-07-07 12:47:00 | 読書

2018.7.7(土)

7日9時19分、末武川の様子を見に行く。岩徳線の下松市和田の鉄橋、水位は1m程度なのでまだ余裕がありそうだ。

7月6日は終日大雨だった。17時30分頃に退社し、光市の海水浴場辺りの海岸線に出ると一部ではあるが路面の陥没も見られ道路が完全に濁流の中に埋まっていた。車高が低いためバンパーで水を掻き分け進んだが、マフラーに浸水して車が停まるんじゃないかと冷や冷やものだった。その後R188に出たが、下松市に入り日立製作所前辺りの道路が長区間に渡り道路が水に浸かっていた。R188から市内線に入ったのを悔やんだが遅かった。中央線寄りを徐行運転で何とか切り抜けたが、この後も雨が降り続いたのでこの後も大変だっただろう。
※その後、光市と下松市の市境辺りの山が崩れ、山陽本線を塞ぎR188にも土砂が溢れ出ているとのことだ。私の通勤路である。

7日9時21分、和田の鉄橋から300m下流だが、濁流は物凄い勢いで流れる。

和田の鉄橋と荒神鉄橋の中間辺り、川の中央に木の根っこが流れる。

帰宅後、下松市では1時間当たりの雨量が観測史上最高だったと知る。24時間で478mm降ったらしい。6日18時50分に末武川、切戸川、平田川が危険水位を越したため避難勧告が出された。19時過ぎに携帯電話がけたたましく鳴り、それを知らせた。我が家も末武川に近いため対象世帯7,303の内に入っていると思うが、川が氾濫、決壊しそうな場所を頭に描き、避難指示が出るまでは様子見と決め込む。しかし日付が替わっても雨の勢いは緩まず、少々不安な一夜を過ごした。8日までは降雨が続くらしいので安心はできない。

7日9時31分、末武川河口付近の山陽本線の荒神鉄橋、河口になるほど水位は増してくる。

和田の鉄橋から上流は見ていないので良く解からない。末武川が氾濫、決壊するとすれば、私の予想では和田の鉄橋より上流である。

最近読んだ本。記載するのは今回で13回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『銀行総務匿名』 池井戸潤著 講談社文庫 評価☆☆☆☆ ’18年6月11日読了
寸評:著者のデビュー4作目の短編集である。主役を務めるのは、帝都銀行総務部の指宿、行内で唯一、不祥事担当の特命を受けている人物である。その彼が銀行内部で起きた不祥事の真相を探るという流れを基本パターンとし、8編の短編が収録されている。私利私欲に保身といった行員たちの負の属性が相変わらず存続する。著者はこれらを最後まで書ききらずに短篇を終え、読者にそれらを主体的に考えさせる手法を取っている。少し物足らなさも感じる。

『小説 創業社長死す』 高杉良著 角川文庫 評価☆☆☆☆ ’18年6月13日読了
寸評:創業者は偉大であればあるほど晩年はカリスマとして祭り上げられる。苦言を呈する幹部をいつしか外へ追いやり、イエスマンで周囲を固めるきらいがある。そのトップが急死、会社に内包された問題が一気に噴出する。良くある話だが企業の存続の難しさを感じさせる。一番大事なのはリーダーであり、リーダーで会社は劇的に変わる。著者は取材が7割で、執筆が3割、取材が終わった段階で7割が出来上がっているという。著者本人が取材するため、小説の内容も現実に促した臨場感あふれたものになる。但し、本作では私の感じとして「結」の部分に不満が大いに残るが、私の読み込み不足だったかも知れない。

『貴族探偵』 麻耶雄嵩著 集英社文庫 評価☆☆☆ ’18年6月15日読了
寸評:貴族探偵は事件に首を突っ込むものの、関係者への聞き込みや証拠集めといった作業は自分の使用人任せ、そして推理さえも使用人に任せ、本人はふんぞり返っているだけ。まるでオーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダンの戯曲のようである。5編の短編が収録されており奇妙な発想と精緻なロジックが同居し推理ゲームを構築している。確かTVでも放映していたように思うが一度観ただけ。大して面白くなかったからだが、映像化に失敗したのかも?

『幸福な生活』 百田尚樹著 祥伝社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年6月18日読了
寸評:若い頃、星新一のショートショートを読んだが、この本もショートショートである。短い文章ながら常に人間の本質を突く本当に怖い短篇である。落とし穴が幾つも仕掛けられているが、その読みは幾つかは当たった。短篇を読んでいて何時も思うことだが、それらの優良なものは長編にもできるということだ。それをあえて最小限の厳選された文章で短くまとめた短篇だから面白くないわけがないのだ。秀逸な短編集である。

『徳川慶喜家の食卓』 徳川慶朝著 文春文庫 評価☆☆ ’18年6月20日読了
寸評:著者は徳川十五代将軍慶喜公直系の曾孫である。著者の食への拘りは凄いと思うが、著書名に結び付けるには相当な無理がある。公は元将軍であり当時の食に関する文献は少ない。著者は今やマンション住まいの庶民であり、食生活も公と結びつけるには立場も違いすぎ、現在の何でもかんでもを慶喜家に直結するのは単にこじつけになってしまう。著者名の食卓なら解るが、それでは本も売れないだろう。私が最も懸念するのは5代目のこと。著者は4代目だが50数歳まで独身と聞いていた。もう70歳近いと思われるが、これほどの誇り高い家系であれば直系卑俗を残す義務もあろうと思うが・・・。

『グダグダの種』 阿川佐和子著 だいわ文庫 評価☆☆☆ ’18年6月21日読了
寸評:幾つかの雑誌に書いたエッセイを集めたもの。食べ物、買い物、思いついたこと、感心したことなど日常のどうでもいいこと、世直しのためには何の役にも立たないことを、ただひたすらグダグダ書いたものと著者は言う。確かに何の役にも立たないエッセイだが、著者とは同年代(私の方が2歳下)であり共感する部分は多い。というよりも、昔のエッセイは庶民的であり共感できたが、近年のエッセイでは海外旅行のことや横文字がやたらと多くて、庶民を脱した感がありありとある。まあ、所得も向上し、それに伴い生活も向上したのだから仕方ない。私のヒガミ根性丸出しである。

『はだか大名』 山手樹一郎著 コスミック文庫 評価☆☆☆☆ ’18年6月26日読了
寸評:著者の時代小説の代表作は『桃太郎侍』だろうが、全く読んだことはない。が、高橋英樹主演のTVの方は毎週のように観たものだ。本書は明石10万石の当主松平直之助が、将軍家斉の子息斎信を押し付けられ、家督を譲らざるを得なくなり、下屋敷で若隠居の身となる。ところがこの新当主が暗寓なのを良いことに藩政を思うままにする藩重役が現れる。直之助は幾度となく暗殺の憂き目に会うが、仲間の町人らとともに明石藩に乗り込み正義の剣をふるうことになるが・・・。四方八方が丸く収まる訳ではないのがまた良い。

『ここまで分かった!世界の七不思議』 インフォペディア編 光文社知恵の森文庫 評価☆☆☆ ’18年6月28日読了
寸評:世界の不思議が網羅してある。科学的に解明されつつあるものもあるが、新説、或いはある特定の説の否定が多い。最新科学が迫るあの超常現象の謎を追え!、新たな解釈が続々登場ここまで解かった聖書と神話の謎、真の姿がいよいよ明らかに?古代文明と謎の建築物の正体、やっぱり迷宮入り?世界を揺るがした未解決事件の真相、謎はどこまで解明された?世界史重要人物の疑惑に迫る、の5章に分類され72話の不思議が紹介されている。全く知らなかったものも数話あった。

『さいえんす?』 東野圭吾著 角川文庫 評価☆☆☆☆ ’18年6月29日読了
寸評:著者の略歴から著者は工学部卒の理系と解る。理系の小説家というのも珍しい。その著者が科学に関するあれこれを綴る(科学とは関係の無いものも多々含まれる)が、理系作家は発想が貧困だと思われそうだが、著者に関しては当て嵌まらない。心理学でいうパーソナルゾーン、MHC(主要組織適合性複合体)のタイプ、数学の7つの難問、毛穴の数、青い薔薇と黄色の朝顔等々殆ど関心が沸かないような話題である。この本の中で著者が最も言いたかったのは、最終章の『本は誰がつくっているのか』だろう。要は図書館や貸本屋でいくら読まれても印税は入らない、本を買ってくれということだ。

【7月7日過去の釣行記録】
・2007年櫛ヶ浜港防波堤、20:00~00:20、小潮、釣果=チヌ5R・ワタリガニ1

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。

【旧暦5月24日釣行記録】
・2007年07月08日、櫛ヶ浜港防波堤、19:00~23:00、小潮、釣果=61cmスズキ1・20cmアジ1・16cmメバル1
・2011年06月25日、笠戸島落港防波堤、07:10~11:30、小潮、釣果=カレイ1・キス3・マダイ1

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