今日は1日引きこもって練習。
読了しました。
「幻影からの脱出」
原発危機と東大話法
安富 歩 明石書店 2012年
世界の嘘と幻影は、ベルサイユ条約から始まったのではないか?
払えるはずの無い巨額な賠償金をドイツに押しつけた戦勝国、それによって追い詰められたドイツによって起こされた第二次世界大戦はそれまでの戦争とは全く違ったものになっていました。
戦争末期には核兵器が使われ世界は核兵器による平和という欺瞞と幻影に支配されるようになってしまいました。
直接因果関係や確執のある世代は、なぜこういう関係になったのかを知っているけれど、第二世代、第三世代になると訳がわからないままに世界を支配する空気につかっています。
幻影の中で生きながら、幻影だとは気づかない。
核兵器は、平和ではなく、それを持つ国同士の直接の対決を避け、ゲリラ戦、テロ、代理戦争という混乱と真実の原因を隠蔽することをもたらしました。
どんなに絶望的でも、幻影を見抜き、真実を受けとめることからしか解決は見いだせない。
孔子のいう「名を正す」
例文をあげながら欺瞞を暴いて行く技法は見事で、すっきりすると同時に絶望でもあります。
現実がそれほど絶望的であるということ。
けれど、その中から希望をひろって行くことが今、大人で生きる私たちの責任であり、次世代を生きる子どもたちのためにも諦めるわけにはいかないという気持ちになりました。