電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

茂木健一郎『「赤毛のアン」に学ぶ幸福になる方法』を読む

2009年08月26日 06時36分01秒 | 読書
モンゴメリ『赤毛のアン』シリーズを読み始め、子供時代とは異なる読後感を持っていたころ、たまたま書店の新刊コーナーで、中年世代の一人である著者・茂木健一郎氏と『赤毛のアン』との組み合わせへの野次馬的関心から、本書を手にしました。
「まえがき」で、著者はこんなふうに告白しています。

それだけ『赤毛のアン』に夢中になっているということを、友人には言わなかった。何しろ、世間ではあまり男の子が読むべき本だとは思われていない。何となく恥ずかしいことだと思っていたのだろう。『赤毛のアン』が自分の愛読書だということを公言するようになったのは、ごく最近のことである。

そりゃそうでしょう。少女小説が好きな大学教授=ヘンタイ中年オヤジという連想が、即刻イメージとして駆けめぐり、一歩も二歩も引いてしまうんじゃなかろうかと思います。
しかし、『赤毛のアン』はたしかに面白い。住む家とあたたかい家族を得た孤児が、友情と努力のすえにパートナーとなるべき人を見つけるが、保護者の老いと死によって運命が一変し、田舎で暮らしつづけることを余儀なくされ、それを受け入れる物語です。成長期の少女ではなくても、思わず共感してしまう要素がたくさん詰まっています。

本書の構成は、次のとおり。
序章 「赤毛のアン」から始まった魂の旅
第1章 想像の余地のある人生
第2章 帰るべき家があるということ
第3章 運命の相手に出会うということ
第4章 大人になるということ
第5章 運命を受け入れるということ
第6章 幸福の花を見つけるということ
終章 旅の終着点
表題のとおり、「幸福になる方法」を見つけられるかどうかは読者次第じゃなかろうかと思いますが、高校生のころから愛読してきた読者による「赤毛のアン』シリーズの魅力の案内として読むならば、少女たちの感想とはまた違った発見の面白さがあるだろうと思います。当方、第三作『アンの愛情』を読んでおりますが、茂木氏の言うとおり『赤毛のアン」一作だけで完結しても良かったのかどうか、判断はシリーズをもう少し読んでからにしたいと思います。
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