関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

療養病床削減してもいいんですか?!~ダイジェスト~

2006年06月27日 | 医療・介護・福祉など社会保障

昨日の投稿をダイジェストにしました。文字色など、私です。

 <意見書案> 割愛 

<佐藤博幸議員反対討論要旨>
  ☆平成12年に始まった介護保険制度は、介護の受け皿を整備することによっ   
   て、医療費を抑制することが目的の一つだったが、当時はまだ介護基盤の整 
   備が十分でなかった。  
   ○そのため、療養病床の一部で、
    「入院して治療を続ける必要が無くなったのに退院しない」
    「介護する人手がいない」などいわゆる社会的入院や、
    「冬の間だけ入院する」ー越冬入院の受け皿となってきた。 

  ☆一人当たり一ヶ月にかかる費用は、  
   有料老人ホーム25万円前後、  
   特別養護老人ホーム32万円、  
   老健施設33万円  
   介護型療養病床は44万円、最も高い医療型療養病床は49万円 

  ☆中央社会保障医療協議会の調査では、
   「医療がほとんど必要ない人と、週1回程度でよい人」で8割近く  
   ○こうした人たちは、必要に応じて医師の診察を受けた上で、看護師が対応す
    れば十分であり、入院する必要性が無い。  
   ○本当に必要なのは、生活を助ける介護や機能回復訓練なのに、病院では薬
    漬け・検査漬け
、身体拘束・床ずれも多い例がある。  

  ☆医療費高騰の要因として、欧米に較べて病床数が3倍、入院期間が3倍、医
   療従事者が3分の1と言われる。 

  ☆療養病床廃止というが、実際は病院から介護施設への衣替え。  

  ☆この改革が避けて通れない理由は   
   一、社会的入院を無くさなければならないこと、   
   二、高齢者は介護施設などで生活し、専門の職員にお世話をしてもらう方が、
     質が高く快適に過ごせる可能性が広がるし、使える部屋も介護施設の方が
     病院より広く、生活の場に相応しいこと、   
   三、給料の高い医師や看護師の配置が、介護施設の方が少なく、コストが低く
     て済む
こと。   

  ☆本市には、療養病床192床あり、内介護型病床は5施設81人定員。   
   ○現在療養病床にいる高齢者にとっては、病院が介護施設になったり、病院か
    ら介護施設に移されたりすれば、医療やサービスの負担がどうなるのかという
    不安もある。受け入れてくれる代わりの介護施設があるのかという不安も残
    る。   
   ○政府は、丁寧な説明をし、十分な受け入れ施設を準備した上で進めていくこ
    と、合併症などにより全身の医療管理が必要な人には、医療の必要度に応じ
    た評価区分を、実態を十分反映したものになるようにすることを要望する。

<関徹賛成討論>  
 ☆療養病床削減計画は、現実の医療の状況、療養型病床の状況を考えれば、決
  して実施されるべきではないし、実施することのできるはずのない、極めて危険な
  計画。
1)第一の問題は、「社会的入院が半分もいる」などという主張自体が誤りであること。    
 ☆7月1日から実施される診療報酬の改訂で、入院患者をADL区分で三段階、医  
  療区分で三段階に分け、一番低い区分の診療報酬を、とても病院が経営してい
  けないほどの低い水準に引き下げた(「追い出せ」ということ!)。   
  ○日本療養病床協会がおこなった調査では、最も低い医療区分Ⅰに該当する患
   者が49.9%
山形県保険医協会の調査では45.8%。この区分の患者の状
   態を見ることで、政府の言う「社会的入院」なるものの実態を知ることができる。  
  ○療養病床協会は、5930人の患者から250にのぼる症例を報告。 
    「末期癌で転移があるが癌性疼痛はない」 
    「四肢麻痺であるが頭部外傷による」
    「胃ろうがほどこされているが、発熱は無い」などなど、
    区分Ⅱ、Ⅲの19疾病及び状態から外れる人はすべてⅠに分類される。 

 ☆軽度とされる方も、看護師を始めとする専門職が配置をされている療養病床だ
  からこそ、「軽度」の状態
が保たれている。  
  ○「口腔ケアによる肺炎予防」
   「尿量測定等の観察などをもとにした尿路感染予防」などなど、
   介護施設や、ましてや在宅では、困難なケア。
  ○そうしたケアが失われれば、容易に重症化するというのが、療養病床の大半を
   占める高齢者の特徴。 

2)二つ目に、療養型病床が削減された後に、退院患者が安心して療養できる場所が
 確保される見通しが無い。
  
 ☆今でさえ、特養待機者が全国に34万人、鶴岡でも500人超。介護基盤の整備
  はまだまだこれからの課題。療養型を減らした分、どういう施設整備をするのか
  が無い。 
 ☆「老人保健施設や老人ホームへの転換を支援する」などと言っているが、療養病
  床と一人当たり病床スペースが異なる老健施設などへの転換は、大きな改造を
  必要とし、おこなえる病院は限られる。  
 ☆しかも、医療的処置を要するような人は、老健や特養などでは対応が困難だとし
  て、受け入れが厳しく制約されており、現行の療養病床が仮に介護施設に転換し
  たとしても、受け入れが困難な方々が多く発生
する。 
3)第三に、医療費抑制策の誤り。   
 ☆政府は、「医療費が増大して医療保険制度が破綻する」などと主張するが、そも
  そも日本の医療費は、GDP費に占める医療費の割合が、OECD加盟国中18位
  であることに示されるように、世界的には低い水準にある。   
  医療には一層の財源を投入して、安全・安心、ゆとりの医療を築いていくことこそ
  が国民の願い。  
 ☆「療養型病床削減による医療費削減」には重大な問題が隠されている。   
  ○「療養病床で一ヶ月約49万円かかる」?   
   →一年以上入院している患者は、その約7割(33万円)程度
。   
  ○「特養は32万円、老健が33万円」?→実際には、35~40万円   
   →介護給付に加えて、療養病床の費用計算と同じように、減価償却等資本費
    や医療費・自治体の超過負担を計算すれば、35~40万円程度、  
  ○在宅でも本当に必要な介護をおこなえば療養病床以上にかかる
  (以上、日本福祉大学の二木氏の研究など。)
 ☆つまり、療養病床削減による医療費べらしは、削減される23万床の患者の少な
  くない部分が、施設にもいかず、在宅でも十分なサービスを受けないことによって
  初めて可能となる
。 
 ☆なお、「病院では薬漬け・検査漬け」などと言ったが、療養型は「包括払い」であ
  り、いくら投薬をしたり検査をしても収入は増えない。
  どこにそういう事例があるのか?  
4)山形県・庄内の特殊性を見なければならない。 
 ☆山形県の65才以上人口10万人比療養病床数は 648床で47位。最も多いの
  は、高知県の 3980床。  
 ☆一方で、特養・老健・軽費老人ホームの三つ合計は、全国平均超=山形県で
  は、社会的入院なるものの割合が全国で最も少ないと考えられる。  
 ☆高齢化率、高齢者のみ世帯数、所得水準の低さなどの条件も考えれば、療養病
  床が削減された時に、最も深刻な問題が発生すると考えられる地域。  
 ☆市長が「お医者さんの治療が必要無い方が半分ぐらい、病床が消えてなくなる訳
  でない」と言ったが、その主張が誤りであるだけでなく、この地域の実情は、どこ
  にも増して深刻。  
 ☆鶴岡には、医療型、介護型合わせて388の療養病床。この間、医師、看護師、
  事務管理者のお話を聞き、鶴岡の療養病床の多くの患者さんが「社会的入院」な
  どとして追い出しのターゲットにされている
、大変な事態だと痛感。 

 ☆主に以上の4つの点から、鶴岡市議会としては今次意見書を是非とも採択し、
  法が改悪されたもとでも、その具体化を許さないために全力を尽くしていくべきで
  あると強く訴える。