関とおるの鶴岡・山形県政通信

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「福祉用具貸し剥がし」問題を取り上げました

2006年10月08日 | 医療・介護・福祉など社会保障

またしてもご無沙汰してしまいました。申し訳ありません。
またこの間、コメントの投稿を頂いておりましたのに気付かず、大変失礼なことをしてしまいました。重ね重ね申し訳ありません。
先月末までおこなわれておりました9月定例議会に、「死力を振り絞って取り組んでいた」と思って頂ければ幸です。これから毎週更新致すべく頑張ります。

さてそれで、9月議会ですが、H17年度決算、補正予算、条例改正などの当局提案、市民からの請願などで、私はそれぞれについて調査し発言しました。
 一般質問では次の二つの問題を取り上げました。
①介護保険制度改悪によって、福祉用具貸与の対象が狭められ、これまで貸与を受けていた人が「貸し剥がし」にあっているという問題
②国の増税の影響で国保税が一層重くなったことと、保険証取り上げが強化された問題

 まず、福祉用具貸与の問題についての質問の要旨をお知らせします。

○関 昨年10月の介護施設の利用料大幅引き上げに続き、ことし4月から実施された介護保険制度改悪のさまざまな矛盾が利用者に降りかかっている。 
自立支援をうたった新たな予防給付が開始された。全国的には約1割の市町村が導入を見送ったが、鶴岡市では開始を選択をした。開始した市町村では、要介護認定が一部変更され、これまで軽度の要介護と認定されてきた方の多くが要支援1または2という新しい区分に移された。
 要支援では、アセスメントが厳しくなる、介護報酬に制限を設けられるなど、さまざまな仕組みでサービス利用を抑制する仕組みがつくられている。 

 その中で、福祉用具対応制度の改悪の問題、特に特殊寝台=いわゆる介護用ベッドの貸与の対象から外されてしまう軽度者に対する救済措置の問題について伺う。 介護保険で貸与される用具は9品目だが、このうち介護用ベッドなど5品目が、要支援1、2、要介護1の方は4月から借りられなくなった。それまで貸与を受けていた人は、経過措置があったが今月いっぱいで打ち切られ、10月から文字どおり福祉用具を取り上げられることになった。
 用具を使ってやっと生活することができている、そういう方々から用具が取り上げられてしまうという今回の制度改正について、市がどのように認識しているか、見解を伺う。

 第一に、電動車いすについて。 7月の段階では、「軽度の方がそのまま貸与を続けるのは困難」という説明だったが、その後、8月3日に介護保険事業者連絡協議会の福祉用具部会から要望書が出される、18日と25日には「介護保険をよくする市民の会」から要望書が出され(私も同席)、新聞各紙にも取り上げられ、そういう中で「厚生労働省の通達を適用できる人には継続貸与していく」という回答が(当局から)示された。軽度の方で70人余りの利用者がいるが、10月以降どうなる見通しか。 

 第二に、介護用ベッドの影響人数、貸与打ち切りの対象となる軽度者の人数、及びその方々が10月1日以降どうなるか、その見込みを伺う。 
 第三に、市は今回の制度改正をどう認識しているのか。
 厚生労働省は、「要介護1、要支援1、2でも例外的に貸す人もいる。『日常的に起き上がりが困難』か、『日常的に寝返りが困難』な人」という内容の通達を出した。つまりそういう人だけが「本当に必要な人」ということだが、多くの利用者、家族の方はそうではないと言っている。厚生労働省が言う以外にも必要な人がいるがその人たちが貸与を打ち切られる事態となっている。

 一例を示す。ひとり暮らしの70代の女性で経過的要介護。10月の審査では要支援となり、つかまれば何とか起き上がることもできるので、「例外的に借りられる人」にも該当せず、10月からベッドがなくなってしまうという方だ。
 起きられなくはないが腰痛がある。ベッドなら、柵につかまりながら足を下におろして起き上がり、そのままつたい歩きをすることができるが、布団生活になれば起き上がりは大変な重労働。腰に負担もかかるので介護度が悪化するという可能性も増大。布団にひっかかって転倒する恐れも出てくる。


 他にも例えば、嚥下障害(食べ物をのみ込むことが困難な状態)の人であれば、上半身をちやんと起こすことが求められ、医師からは、「何度の角度で起こす」という詳しい指示もある。上体を起こす機能=背上げ機能というのがついたベッドが必要となる。「何かにつかまって起きれればベッドは要らない」というものではない。
 また、頻尿(おしっこの回数が多い)の方では、1時間に何回もトイレに行くという方もいる。布団では、その都度起き上がって用を足していくというのは困難となっていく。誰かが常時ついて介護するか、できなければ紙おむつということにもなる。
 時間の関係でこの程度にとどめるが、ベッドがあればこそトイレも頑張って自分で行ったりして自立して生活をしている、そういう人たちからベッドを取り上げるということになっている。

 私は、今回の改正は矛盾に満ちた、道理もない大改悪と思っているが、市は先月18日に「介護保険をよくする市民の会」がこの件で交渉を行ったときには、「利用者から特に要望もないため、制度の変更は理解されていると思う。本当に必要な人は借りられる」。そういう認識を示したため、参加者の方々から抗議の声も上がった。「実態を調査する」ということも付言されたので、実態を踏まえてあの時点での認識が変わっていることを期待しつつ見解を伺う。

○健康福祉部長 最初に、制度変更については、介護保険制度は保険料や公費により支えられている制度であり、将来にわたり制度の維持、可能性を高めるためには、よりサービスの必要性の高い中重度の方に対する支援を強化重点化することが必要
 また、用具貸与は、もともと「便利だから利用する」というものではなく、体の状況に応じて必要と判断される方が利用できるサービスであることなどから、利用できる条件が変更される。
 既にサービスを利用される方は、この4月から6カ月問の経過措置が講じられ、この10月から新たな条件が適用になる。
 変更の対象は、議員からもあったが、車いす、特殊寝台(ベッド)、床ずれ防止用具、体位変換器、排回感知機器、移動用リフト。
 車いすは、本市の場合は要介護1までの軽度者の利用は、本年6月利用分で70名・全利用者の13%。10月からの変更は、介護認定調査結果及びサービス担当者会議で判断され、「日常的に歩行が困難な方」「日常生活範囲における移動の支援が特に必要が認められる方」は、引き続き利用が可能。
 2点目の特殊寝台は、同じく295名・全利用者の25%。利用できる条件とその判定は、サービス担当者会議等での判断の余地はなく、介護認定調査の結果で決まる。 「日常的に起き上がりが困難な方」「寝返りが困難な方」のいずれかに該当する方のみ利用可能となることから、軽度の利用者の多くは、今回介護給付から外れることが予想される
 3点目、このたびは大きな改正だが、平成16年6月にこのたびの基準に準じた選定の判断基準が示され、各介護支援専門員がその基準によって福祉用具の貸与を行ってきた。この4月から6カ月の経過措置も講じられたことから、ケアプランを作成している各介護支援専門員が、早い段階から利用者への説明と10月以降の対応を利用者と相談している。従って、現段階では大きな混乱もなく、スムーズな移行ができると考えている

○関 電動車いすについては、「日常的に必要とする」人は使用できるということが、8月14日付の厚生労働省の通達の中で明記されているが、直前になって通達が出されたということは、全国の利用者、家族の怒り、介護関係者の確保の運動の広がりによって引き出された成果。
 いずれにしても、実態としては70名の方の多くが確保されていく見通しであると認識している。このことは確認しておきたい。
 次にベッドの影響は大変な数になっている。これだけ多くの利用者や家族の方が10月からどうしたらいいかと不安に駆られて、ケアマネジャーにすがりついて苦渋の選択をしている。こういう事態になっているのに、10月からこれらの方々がレンタルを受けるのか、購入をするのか、それともあきらめるのか、そういう、どうしていくのかということについて市が具体的に把握していないということは問題
 それから、先ほどの答弁で「中重度に重点を置いていく」「便利だから利用するというものではない」という話があったが、そもそも新予防給付の考え方、「自立支援」でベッドを貸すとは軽度な方に貸すということではないか。重度の寝たきりの方では、自立支援にならない。
 ベッドがあるから頑張って自立している、こういう方からベッドをとってしまって要介護度の悪化すら懸念される事態を引き起こすということがどうして自立支援と言われるのか、私は理解ができない
 ベッド貸与を受けるためには要介護度が2以上にならないといけない、これでは要介護度が重くなることを期待してしまう
 それから、ベッド貸与にかかっている(介護保険財政からの)費用だが、軽度の方だと1人平均で月額12000円弱。これで毎日使っている。ベッドがなくなって、毎日ヘルパーを頼む、家族が仕事をやめる、こんなふうになるよりもずっと効率的でもある。

 そこで、再質問の第1点。市の認識についてさらに伺いたい。
 市長は3月の議会で新予防給付の開始について「自立を促進するという精神は適切なもの。制度の適切な運営を期待する」と述べた。福祉用具の今回の事態についても適切な運営ということになるのか。これからの施策の前提になることなので伺う。  

 それから負担の問題。先ほど紹介した70代の女性は、ベッド、マットレス、柵、これら3点セットで650円で使用しているが、保険の対象外となれば安いレンタルのベッドでも2150円=10カ月で2万円もかかるならもう買ってしまうということで、介護用ではない普通のベッドを購入することになった。「何だ、買えるじゃないか」と思ってはならない。収入は、国民年金だけで、お子さんもいない。それで、手すりもない介護用ではない普通のベッドしか買えなかった。
 今鶴岡では、レンタルで月2500円とか3150円とか、そういう案内が業者の方から出されている。購入となれば、介護用だと安くても15万円から高いものは30万円以上する。
 高齢者の2割近い方が年収100万円以下、4割が200万円以下、国民年金平均額46000円、こういう状況を考えれば、この負担の重さというのは見過ごすことができない
 東京豊島区・北区など、今、全国各地で独自制度を創設したというニュースが伝えられている。これまで市では、例えば国の利用者減免が不十分だと考えれば独自に制度の拡大も行った。紙おむつ支給制度は、保険料にはね返らないように、保険外の一般財源の支出ということも行った。そういう政策が市民にも喜ばれてきたし全国的にも評価をされている。
 また、旧藤島では保険外の福祉施策として用具貸与制度を設けてきた。合併によって廃止するとされているが、こういう精神は生かしていくべき。

 そこで、再質問の第2点、貸与の対象から外される軽度の方々に対して、介護保険外の福祉制度として用具・ベッドを貸与する、購入も補助する、そういう市独白の制度を創設するべきだと考るがどうか。

○健康福祉部長 議員には、いろいろと事例を上げて質問いただいたが、市としても今回の改正について、6月に市内全事業所参加の連絡協議会と、8月には福祉用具貸与部会と意見交換、さらに居宅介護支援事業所・地域包括支援センターの定例会議などでも意見聴取等を行いながら状況把握に努めている。
 今後とも実態の把握に努めながら、福祉用具の安価な貸与やレンタル料金への助成などについて、全国の事例等も調査しながら、その必要性の有無も含めまして研究して参りたい

○関 「事業所連結協議会と意見交換した、用具部会とも協議した」ということだが、用具部会の方からはぜひとも独自制度を設けてもらいたいという意見、用具部会長名での申し入れまでして、強く求めていると聞いた。
 それから、「利用者の方から特に御意見無い」という話があったが、「健康福祉部に電話してください」ということになっていないから来ないのであって、現場のケアマネジャーの方々は利用者から、「何でこういうことになるのか」、「何とか用具貸して頑張らせてもらいたい」と言われていると私は聞いている。
 「まず、必要性の有無も含めて検討する」ということだが、必要性は明白。どう応えるかという姿勢で大急ぎで検討してもらいたい。10月1日に用具を取り上げられる方については、残念ながら今回救済するということにはならなかったが、今からできるだけ早く、切実な御要望におこたえする施策を検討してもらいたい

以上です。
福祉用具貸与制度の問題では、介護保険を良くする市民の会から請願が提出され、その討論も私がおこなっていますので、引き続きお知らせします。