関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

多重債務対策について(要約)

2007年03月16日 | 医療・介護・福祉など社会保障

9日(金)の本会議一般質問でおこなった、多重債務者救済の取り組みについて、要約しましたのでお知らせします。
 15日(木)の厚生文教常任委員会の準備でなかなか手が回りませんでした。申し訳ありません。
 他に、全国いっせい学力テストの問題、学校図書館への職員配置の問題も質問していますが、後日お知らせします。


関質問
 昨年、貸金業法改正がおこなわれ、その後、政府に多重債務対策会議と有識者会議が設置され、国と自治体の取り組みが検討されている。
 今、サラ金利用者は1400万人、多重債務者は230万人。本市にも2万人近い利用者と、3千人にものぼる多重債務者がいると推測される。

市民生活が脅かされている

 多重債務問題とは、何よりも市民生活の安定が損なわれているという問題である。
 毎日が苦痛で、明日の希望も無い、精神的に追いつめられ、家族関係、職場や地域での社会的関係も破綻する、そういう状態にまで陥っている市民が沢山いる。私も何人かから「助けてもらいたい」と相談を受けた。
 最悪の結果が自殺。庄内地区の年間の自殺者は120人超、三割が生活経済問題を理由とするものとみられる。サラ金が利用者に生命保険をかけ、自殺死の保険金によって融資の回収を図っているということも社会問題となった。
 児童虐待が起こった家庭の状況としても、「経済的困難」が3割。
 追いつめられた債務者が犯罪に走るという事例さえも本市においても発生している。

構造的な社会問題

 二つ目に、多重債務は、自己責任で片づけられる問題では無い
 改正貸金業法第66条で多重債務問題について、「貸金業の貸付に起因して、借り手が累積的に借金を重ね、社会的経済的生活に著しい損失を生じている、国民生活上及び国民経済の運営上の諸問題」としている。
 市民部長答弁で、「普通の市民はちゃんと税金を納めているので、自分で解決すべき問題」という趣旨のことを言っていたが、そういう位置づけで十分な対策をとらないなら問題。
 高利息の返済能力を超えた貸付をおこなうことは、貸金業法の趣旨にも反する、反社会的行為であり、その落とし穴に引きずりこまれる方の多くは、高齢者や低賃金労働者、失業者、傷病者など、社会的弱者。危険性についての説明も抜きのCMが垂れ流され、借り入れの垣根を低くする無人ATMも野放しに設置される、そういう制度がサラ金業界と政治家の癒着のもとでつくりだされているという社会のあり方が問われている。多重債務は、今日の社会が構造的に生み出す問題。
 三つ目、サラ金等の返済に追われ、国保税などの税金や、各種の公共料金などの滞納が起こっており、市財政と地域経済の損失
 サラ金に不当に吸い上げられているお金は、本市の人口や経済から推計すれば、恐らく数億から数十億、これは本来市と地域経済に還元されるべきお金。
 今税金などの滞納が20数億円、この相当の部分が多重債務者であろうと考えられる。
 「払いすぎ」を取り戻すだけで、滞納を億単位で改善できる可能性も大きい。

求められる対策

 日本共産党は、70年代後半から80年代前半の第一次サラ金地獄が社会問題になった時期から、被者団体や各種市民団体とも力を合わせながら、多重債務被害者一人ひとりの救済に取り組むとともに、野放しになっている高金利の金融業の規制を提案してきた。昨年12月の法改正は、こうした主張が反映した、画期的なものとして評価する。
 以下提案する対策は、鶴岡市議団として取り組んだ数百件の事例を踏まえ、さらに、実際にこの問題に取り組んでいる弁護士、司法書士、非営利の事業として被害者救済に取り組んでいる鶴岡民主商工会のべにばな道場(=被害者同士が学びあい、励まし合って生活を再建していくという取り組みで、この5~6年の間に2百件あまりの相談を受け付けてきた)、こういう方々の共通した意見。
役に立つ相談体制
 第一に、本当に解決できる実効ある相談体制(専任)・カウンセリング体制をつくるということ。
 市の現在の市民相談、「解決の選択肢のアドバイス」「法律専門家などを自分で選んでもらう」、要するに自己責任で解決を図るというものでは難しい。
 解決するためには、任意整理・特定調停・個人再生・破産等の法的手続きを必要とすることが多く、弁護士・司法書士などの力が必要となることが多いが、これらの専門家の方も大変苦労している。
 特に、最初の段階の実態把握と、継続的な生活再建の援助が大変。
 弁護士の話しでは、「最初に借り入れのリストをつくることが出来ない人が多い。サラ金だけ書いて、住宅ローンなど書かないのはザラで、保証人がいるかいないか、話しはしてあるか、担保の有無など、一人当たり、1時間も2時間もかかり、それでも一回で完成する人は少ない。債務整理しても再建につなげることがまた難しい」ということで、「最初の聞き取り、相談内容の整理、再建計画の、実際に生活を再建していくための援助をやってもらうと非常に有り難い。」ということだ。
市役所の構え
 第二に、市職員一人ひとりが多重債務問題への意識を高め、役所内で連携して当たること。税金や公共料金の収納だけでなく、生活保護や、DVや不登校、保健・介護サービスなど、どの部門・場面でも、市民が多重債務で困っていないかということに心を配る、そうして初めて、多重債務問題をキャッチできる。また、あらゆる機会に、多重債務救済の取り組みを知らせていくこと。
地域の力を活かす
 三つめに、地域の力を生かしていく、地域の連携をつくる。弁護士会や司法書士会は、多重債務問題に対する会としての提案も発表して、救済に取り組む態度を表明。
 本市では、弁護士会の法律相談に場所の提供などの協力はしているが、むしろ行政の方から啓発や相談会や、できるだけお願いするという姿勢が求められる。
 旧温海では社協主催の無料法律相談が年5回、行政もかかわって実施され、多くの町民に喜ばれていた。こういう取り組みは活かしていくべき。
救済・再建資金の充実
  第四に、経済的弱者が多重債務者に陥らないセーフティーネットの拡充、再建のための資金の準備。
不況のもとで生活困窮者が急増、生活保護を受けている世帯の数の4倍の困窮世帯が存在。公的に支援しなければならない人をしっかり支援すること。また、多重債務からの再建を図る場合に、返済しながらの生活は非常に困難。貸与制度の拡充が必要。
  第五に、実態把握と対策の研究。

問題として認識、対策は検討中 市民部長答弁
 市の相談室でも多重債務に関わる相談は相当数あり、深刻な状況も相当数ある。滞納につながっているケースももちろん多い。
 市民相談では、本人が情報を得たり、力をつけたり、気力を取り戻したり、と言うような形で支援をしており、個別にすべての解決を行政が支援することはできないと今のところは考えている。
 弁護士会・司法書士会の無料法律相談は非常に需要が高いが、回数を増やしてもらうことは難しい。
 資金制度も、今の段階で新たな制度をつくるとか、金額を増やすということはまだ検討の段階に入っていない。
 今後の状況把握ということで、先進地の研究は進めたい。


広報と、地域への呼びかけをすぐに
 関再質問
 相談体制の強化ということが、実際にこの問題に当たられている方々、る政府の対策会議の中でも要の問題として挙げられている。これを中心に検討を。
 答弁では「今のところ検討はしていない」という言葉が三回位出てきたので、会議の答申を待っているということかと思うが、その答申の如何に拘わらず、今急いで進めてもらいたいこと、今できるのではないかと思うことを二つ。
 一つは広報の強化について。
 この問題について市として取り組んでいますということをあらゆる機会に知らせていくこと、特に、滞納者の方、「何の反応も無い方が多い」ということだったが、多重債務者の方は、債務の困難から孤立して、納税は勿論あらゆる社会的アプローチを拒否してしまう、そういう状況にあるが方沢山いらっしゃるということから、「こういう困り事相談をやっていますよ」ということを積極的に案内をしたらどうか。
 もう一つは、地域でこの問題に取り組んでいる方々、弁護士会さんがやられることに協力をしますということでなくて、行政の仕事の一部としてお礼もしながら協力を呼びかけていくこと。そして何よりも、状況をよく聞くということ
この二つのことは是非やってもらいたいと思うがどうか。

消極的姿勢に終始 市民部長答弁
 総合相談室などをご存じ無い方へのPRなど、先ほど申し上げたように、確かに色々滞納していられる方は、外部からの接触を怖れているというか、できるだけ電話にも出たくない、呼び鈴がなっても顔を出したくないというような状況はわかっております。
 ただ私共でどの方がどうなのかという状況は、的確に掴んでいる訳ではございませんので、これは広報などはきちんと読んでいただければなあと思うわけですけども、一人ひとりを拾い上げるデータがこちらにはございませんので、一般的な呼びかけの中から読みとって頂くしかないなと思っております。
 弁護士さんたちの無料法律相談などを市の方で謝金を用意して増やすべきかどうか、この辺のところは私今の段階でハイというふうには申し上げられないのですが、とにかく今のところは無料でお願いできないかというようなお願いをしていきたいと存じます。

関 できるだけ積極的に進めて頂きたい。