関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

全国一斉学力テストは大問題

2007年04月06日 | 子育て・教育

 今月2日、文部科学省が計画している「全国一斉学力テスト」について、テストの中止を求めるとともに、内容を見直すように求めるアピールが発表されました。 
 これは、佐藤学日本教育学会会長、堀尾輝久元日本教育学会会長、小森陽一東大教授、津田玄児弁護士、村田智子弁護士、全日本教職員組合米浦正委員業、新日本婦人の会高田公子会長、元小学校長高橋昭一の8氏によるもので、署名を呼びかけるものになっています。

 アピールは、テストが子どもと学校の序列化を進め、学力向上に役立たないものであるということとともに、個人情報保護上も問題があることを指摘しています。
 これは、私が3月市議会でおこなった質問と趣旨が合致するものです。この機会に、質問の内容をお知らせします。(何とも遅くなりました)

日枝神社獅子舞~縁起物です。(先日、運転中に見かけて、撮影させてもらいました)~

関質問

 来月24日に、全国のすべての小学6年生、中学3年生を対象に、「全国学力・学習状況調査」以下、学力テストと略しますけども、これが実施されます。
 日本共産党は、子どもと学校の序列化をすすめ競争を一層激しくさせるこのテストにはもとより反対であり、本市としても参加すべきではないと考えています。
 この競争は、子どもらの間の自然な健全な競い合いとは無縁のものであります。昨年一年間に警察の摘発に至ったいじめ事件は、前年比4割増となりました。
 3年程前のものになりますが読売新聞東京本社がおこなった、アンケート調査(2003年)によると、小学生で「キレたりキレそうになったこと」が「よくある」とする子が17.6%、「ときどきある」という子が43.2%と、あわせて6割の子どもが「むかつく」子どもになっていると言われます。
 またベネッセの調査では、「自分のことをあまり好きでない」又は「全然好きでない」と感じる小学生が3割もいて、そういう子では、「今日1日が楽しかった」と思えるのは4人に1人、「明日はきっといいことがある」と思えるのは6人に1人しかいないという結果でありました。
 こうした子どもの苦しみの根本に、限られた範囲の学力によって、子どもを競争させ、序列化しようとする政府・文科省の教育思想があります。
 それは、国連子どもの権利委員会が日本政府に出して「過度の競争主義的教育制度が子どもにストレスを与えている」と、2度に渡って教育制度の改善を勧告したことにも示されています。
 こういう中で、今回の学力テストがおこなわれる訳でありますが、東京都など全国のいくつかの自治体が、既に自治体独自の一斉学力テストを実施しており、テストがどのような弊害をもたらすかということはここに示されていると思います。
 例えば、小学校で『学力向上』ということで、夏休みを短縮してまで学習時間を増やしたり、中学校では、テスト前に過去の問題をやらせる事前対策をおこなったり、学校の『予備校化』と言われるような事態が進んでいるそうであります。
 また、1960年代におこなわれた全国学力テストが多大な弊害をもたらしたために、4年で中止となったということは、この鶴岡でも体験した歴史の事実であります。
 そこで伺います、 
 第一に、学力テストへの参加で、児童・生徒の比較、学校間の比較がおこなわれ、先行する他自治体に見られるような、学力競争が加熱をもたらす恐れが大であり、本市としては参加すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。また、これ以上の学力による競争は本市の教育目標の達成にも決してプラスにはならないと考えますが教育委員会ではどうお考えでしょうか伺います。
  第二に、競争拡大の弊害とともにもう一つの大きな問題が明らかになっています。
 このテストが、民間企業に丸投げされており、子どもと家庭の個人情報の漏洩、プライバシーの侵害が懸念されるという問題であります。
 学力テストは、小学校がベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータという民間企業に委託をされます。学力テストに先立って行われた「予備調査」では、児童・生徒質問紙調査で「朝食を毎日食べているか」「家にコンピュータはあるか」「家の人は学校の行事によく来るか」というようなプライバシーにかかわる質問がありましたが、学校名、男女、組、出席番号、名前も書かせることになっていました。
 委託企業は、問題用紙、教科の解答用紙、児童生徒質問・回答用紙の送付、回収、採点、分析のすべてから、教育委員会や学校からの問い合わせに対する対応まで行うことになっているといいます。
 これでは、子どもたちの教科の点数、また多くのプライバシー情報が、すべて民間企業の手に渡ってしまうことになります。
 こういうやり方で個人情報の保護が可能でしょうか。この観点からも学力テストへの参加は見送るべきと考えますがいかがでしょう。 

教育長 最初に全国学力・学習状況調査についてお答えをいたします。この調査は、今年4月24日に文部科学省が実施するものであります。調査の目的としては、全国的な義務教育の機会均等と水準向上のため、全国レベルで児童生徒の学力、学習状況を把握・分析することにより、教育の結果を検証し、指導の改善に役立てていくとともに教育委員会、学校等が全国的な状況との関係において自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握してその改善を図るというふうになっております。
 調査内容としては、小学校6年生と中学校3年生が対象でありまして、国語と算数・数学の調査になります。加えて学習や生活に関するアンケートも実施の予定であります。実施後は国は全国的な状況を把握し、県は県レベル、市は市レベルで結果を分析し、最終的には学校を通じて一人ひとりの児童生徒の学習に活かせるようフィードバックできる仕組みになっています。従って、ただ合計点を競ったり、順位をつけたりするものではありませんし、また学校の序列化や競争につながるような、学校名を明らかにしてのデータを公表するものではありません。
 市としましてもこの調査の目的でもある、児童生徒の実態を適格にとらえながら、今後どのように教育施策に活かしていけるか、客観的なデータとして有効であると捉えると共に、学校に対しても、一人ひとりの児童生徒の学習改善や学習意欲の向上につなげていくという観点でそれらを十分に考慮し、学力の伸びの把握とか、指導の改善など各学校の課題解決につながるよう活用を指導して参りたいと考えております。
 また個人情報を含む調査の委託についてということでありますが、文部科学省では迅速な採点、結果の把握を実施し、学校等への負担を軽減するため、公平かつ透明な方法により選定した民間機関に委託をしているようであります。
 委託先に対しては、契約書で機密の保持や個人情報の取り扱いにおいて遵守すべき事項を明示しており、委託先においてもこれに基づいて、個人情報取り扱いに関する内規の整備、安全確保のための研修、データベースへのアクセス制限等をおこなっているところであると示されております。
 個人情報保護法の下で実施されるため、個人情報の取り扱いに関しての問題は生じないものと考えております。教育委員会といたしましても、調査データを一人ひとりの児童生徒の学習改善や、学習意欲の向上につなげていけるという観点を基本にしながら、個人情報の取り扱いについては特段の配慮を働きかけて参りたいと考えております。

 学力テストについてですけども、先ほどの質問で「競争によって鶴岡の教育目標達成が近づくだろうかということも伺いました。ご答弁なかった訳ですけども、私はそうは思わないので、そのことを避けるために、学力競争の加熱を避けるために、具体的な対処の問題として4つ伺いたい。
 一つは、結果発表を学校ごとにおこなうということになりますと、どうしても圧力がかかって、「うちのも教えろ」ということになりまして、結局全部発表するのと同じようなことになるのだと思いますので、市の方針として学校ごとの発表はしないということが必要でないかと思います。
 二つ目に、教育委員会としまして、先ほどのご答弁にもありましたので、全国で学力競争、序列化に参加するのではないのだと、子どもの指導に活かすのだという趣旨を保護者の方々に十分説明していって頂きたいということ。
 それから三つ目に、さっき私いくつか挙げましたけども、まさに加熱と言われるような状態に陥っている自治体が全国に現れている訳で、そのような自体が発生していくならば、その時には、再来年度以降このテストへの参加も含めて検討していただきたいということ。
 最後に、個人情報保護の保護についてですけども、個人情報保護法におきましても、第3条2項に、「特定された利用の目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を所有してはならない」ということになっている訳でして、学力テストの文科省が言っている目的に照らしましても、子どもの固有名詞をいれる必要は無い訳です。
 先に行われている東京でも固有名詞を書くことは求めていないそうですし、高校入試の答案でもその点に配慮して、受験番号のみの記入をしている、そういう県もあるそうであります。
 希望者は無記名を認めるという方法もある訳ですけども、それは主に親の判断による無記名というものを子どもらがおこなうかどうかという、そんな困難もありますし、また教育長がおっしゃる「一人ひとりの指導に活かせない」ということも出てくるでしょうから、出席番号のような番号でもって記入し、もしそれが外に漏れるようであっても個人情報は漏れないと、こういうことが必要ではないかと思います。
 念のため申し上げておきますけども、さっき私民間企業が悪いなどと一言も申し上げておりませんで、そこに情報が漏れるようになったら、行政として問題だということでありますので、誤解の無いようにお願いします。

教育長
 テストと鶴岡市の教育目標との関わりですが、何もこのテスト、競争と序列化をするテストではありません。それから競争ということと子どもの成長とおいうことと、むしろ適度の競争は子どもの能力を高める、程度問題な訳です。ですから、すべて競い合いというものが悪だという考え方はやっぱり当たらないのではないか。競争が子どもの持ち味、それぞれの個性を引き出してくれるのではないかということは、十分に配慮しなければ教育は成り立たないのであろうと思います。
 次に、色々取り扱いについては、議員さんご指摘の通り、教育委員会としても保護者への取り扱い、学校への教職員への取り扱い、結果の考え方については、十分趣旨を徹底するように努めて参りたいと思います。なお、番号制はということでありますが、これは全国的なシステムで走っている訳でありますので、そういう要望もあるということで承っておきたい

 適度の競い合い、子ども同士の自然な競い合い、これは私も否定するものではありません。ただ申し上げたいのは、先ほども言いましたけども、60年代の学力テストの中でも出たと思いますが、学校ごとに点数を競うという中で、成績の悪い子は休ませてしまうとこんなことまで事実としてあったということで、そういう競争は避けたいということ、これは宜しいかと思います。

~この世の「邪」を払え!~

関連するサイトです。
【アピール】2007/04/02 
『「全国学力・学習状況調査」で子ども全員の個人情報を企業にゆだねることに反対し、個人情報保護法・憲法にもとづく対応を求める賛同アピール』http://www.zenkyo.biz/html/menu4/2007/20070404150434.html

自由法曹団「全国学力・学習状況調査の実施に反対する声明」
http://www.jlaf.jp/jlaf_file/070402gakute.pdf