(巨大赤ちゃん星が作りだした宇宙花火 天体写真・2018年1月 9日)

① オリオン大星雲の中で、赤外線でひときわ明るく輝く「オリオンKL天体」をアルマ望遠鏡が観測し、四方八方に飛び散るガスを鮮明に捉えました。ここでは、巨大な赤ちゃん星たちが500年ほど前に衝突したか、衝突しそうになるほど近づいたため、星の周囲にあったガスや塵(ちり)が花火のように飛び散ったと考えられています。画像は、アルマ望遠鏡とジェミニ南望遠鏡で撮影したオリオンKL天体を合成したものです。天体の中心近くで広がっているのがアルマ望遠鏡で捉えた一酸化炭素ガスで、その動きを色で表現しています。私たちに近づく方向に動くガスを青、遠ざかる方向に動くガスを赤で表しています。
文:平松正顕(チリ観測所)
② オリオン大星雲で起こった500年前の大爆発
最初にこれを見たのは論文著者の1人とオリオンKL天体の未発表データを互いに紹介し合っている時で、第一印象は「いがぐり?うに?」という驚きでした。赤と青で示された1本1本の高速ジェットがまるで無数の針のようにシャープに分解された画質には「さすがアルマ望遠鏡!」としか言えません。その時の議論を元に、私たちはアルマ望遠鏡を用いた国際共同研究を始めました。実は今回提案された「花火」の中心にある赤ちゃん星についての解釈と、私自身のアルマ望遠鏡による別の観測結果を統一的に説明するシナリオがまだ確立していないためです。「さらに高くなるアルマ望遠鏡の能力をもってすれば、この赤ちゃん星の謎も近い将来解明されるだろう」と予感させた画像です。
文:廣田朋也(水沢VLBI観測所)
※ やはり宇宙は最高!こせこせした世界とは別次元です。