(中国元)
① コラム: ""金融健全化進める中国、「おなじみの政策」復活か""
コラム 2018年8月25日 / 15:43 / 5時間前更新
② [香港 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国当局は、利益相反の疑いで大手格付け会社「大公国際資信評価」に異例の厳しい処分を実施した。しかし政府は現在、景気テコ入れを目指し銀行にインフラ支援を呼びかけてもいる。
貸し出しの増加とリスキーな慣行の取り締まりを両立させるのは難しい。今回の処分は政府のジレンマを浮き彫りにした。
中国証券監督管理委員会は17日、大公国際資信評価に対して1年間の新規業務停止を命じた。同社が高額なコンサルティング・サービスを提供した企業に格付けも付与し、利益相反の恐れがあるというのが理由だ。
中国では格付け会社と企業の癒着がリスク評価を歪ませており、不正一掃は確かに長年の課題だった。データ会社ウィンドによると、中国の既発債券の60%(金額ベース)は「トリプルA」格付けの発行体のもので、これは驚くべき数字だ。
当局は現在、金融システムの健全化に幅広く取り組んでいる。昨年は債務拡大の抑制に熱を入れ、リスクの高い簿外借り入れを減らす措置に乗り出した。これが実を結び、ムーディーズによるとシャドーバンキング(影の銀行) ※1 の資産は6月末時点で国内総生産(GDP)比約73%と、ピークだった2016年末の87%から縮小した。
しかしこうした取り組みが今、最大の試練に直面している。第2・四半期の中国の成長率は6.7%と、前期の6.8%から減速。6.5%前後という政府目標は余裕で上回っているが、当局者らは神経を尖らせ始めている。
国務院(内閣に相当)は先月、「より積極的な」財政政策を呼び掛けた。以来、省庁が発表する経済見通しは財政・金融政策の緩和を織り込んで微修正されている。中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)は前週末、金融機関にインフラ向け融資を拡大するよう要請した。
これら一連の動きは、中国政府が古い政策を引っ張り出しつつあることを示している。借金を原資としたインフラ投資による経済テコ入れだ。まだ2016年の再現までには至っていない様子で、政府は公にはデレバレッジ(債務縮小)の継続を呼びかけているし、高官らの姿勢は慎重だ。
しかしここ数週間の様子を見る限り、景気が一段と減速すれば抑制的な姿勢も緩みかねない。政府指導部と大公国際資信評価が承知している通り、信用拡大という土台はぐらつきやすく、長期的な成長には向かないとしてもだ。
③ 背景となるニュース
・中国証券監督管理委員会は17日、大手格付け会社「大公国際資信評価」に対して1年間の新規業務停止を命じた。格付けを付与していた企業にコンサルタント業務も提供していたと批判している。
・中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)は18日、金融機関に対し、インフラ向けの融資を拡大し、輸出入業者へのサービスを改善するよう通告した。1カ月足らず前には、国務院が「より積極的な」財政政策を呼び掛けていた。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
※ 中国経済を考えると、その巨大さと複雑さ、そして不透明さなどがあり、まさに
諺で言う""群盲、象をなでる""という状態になりがちです。
ここでは、次の二つのポイントに絞り込んで問題を整理していきたいと考えます。
まず、第一はシャドウバンキングの内容とどのような働きをしているかについて
です。概要を把握するのに次のリポートが判りやすいと思います。
※1 ""中国のシャドーバンキング問題対策に横たわる難関=大和総研
2018-02-28 11:34
中国にはシャドーバンキング問題がある。銀行が融資ができないような案件に対し、地方政府等が設立した投資会社など銀行以外の金融機関が融資しする行為で、投資会社等は「理財商品」という高い利回りを付けた商品で投資家から資金を集めていた。シャドーバンキングの融資先は不良化しやすく、多くの個人投資家が購入した「理財商品」にデフォルト(債務不履行)が多く発生すると懸念されている。大和総研経済調査部の研究員、中田理惠氏は2月27日、「一筋縄にはいかないシャドーバンキング問題-金融機関のリスク抑制に向けた取り組み-」と題したレポート(全1ページ)を発表し、同問題の現状への見方を示した。レポートの要旨は、以下の通り。
2017年は中国政府が本格的にシャドーバンキング(影の銀行)問題の改善を試みた一年であった。理財商品、レポ取引といったシャドーバンキングやレバレッジ拡大のテコに使われている金融取引に対する規制が相次いで実施(または実施を予告)された。
理財商品とは銀行が販売する金融商品の一つで、個人投資家、他の銀行を含めた金融機関、機関投資家等が購入しており、集められた資金を運用した利益が購入者に分配される。中国政府がシャドーバンキング問題において重視した課題の一つは、銀行等を中心とした金融機関向けに販売される理財商品の残高削減であった。複数の金融機関が投資する金融機関向けの理財商品で元本割れが発生した場合、損失は複数の金融機関にまたがることになる。貸出においても同様のことは起き得るが、理財商品は銀行が自行で与信をしたくない、あるいは政府の方針で与信ができない企業やプロジェクトに資金を融通する手段ともなっているため、通常の貸出よりもリスクが高いとみなされる。
このような認識のもと、2017年4月に中国銀行業監督管理委員会は「銀行業のリスクコントロール業務に関する指導意見」を発表し、金融機関同士での融資・投資に関する監督強化を行った。
では、当局の取り組みはどの程度効果があったのだろうか。2018年2月2日に発表された「中国銀行業理財市場報告」によると、理財商品全体の残高は2016年末の29.1兆元(GDP比39%)から2017年末で29.5兆元へと微増したものの増加ペースは大きく減速した。こうした中、金融機関向け理財商品の残高は大きく減少した。銀行が自己のバランスシート内の資金で保有する分に加え、証券会社、保険会社が保有する理財商品の残高は2017年初時点の6.7兆元(GDP比9%)から2017年末時点では3.3兆元に減少した。
こうしたリスク管理の強化によって、昨年来、市場金利は大きく上昇している。今後、景気の減速が明らかになれば、当局はリスク管理と金利の過度な上昇の抑制という難しい舵取りを迫られることになるだろう。(情報提供:大和総研)
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これが、現在、起きている問題を約半年前に予想・分析していたリポートです。
※ 第二の問題は、インフラ投資は数字だけがあればOKで、その質や生産性は
二の次であるという特徴があります。
簡単に言えば、どれだけのセメントと鉄鋼を使って、どれだけの距離の道路を
建設したのか、マンションの戸数はいくらか、公共施設は幾つ建築したかが問題で、
後で橋梁が崩壊しようが、建物が鬼城= ゴーストタウン化しようが関係ないのです。
そして、トップの権力者は、勿論、責任など取りません。
ここだけを見ると「中国経済崩壊論」もあながち間違ってはいないのですが、
そう簡単でないのが中国の不思議なところです。
この謎解きは続きます。