(「助けて〜!」ペンギン)
① ""「助けて〜!」ペンギンの逆さ吊り ウミワシが空から誘拐 豪州""
2017年08月18日 16時18分
② 古来より日本には「神隠し」といって、幼い子供が忽然といなくなったり、訪れてはいけない地に迷い込んで、二度と帰ってこなかったという言い伝えがある。なかでも恐ろしいのが、オオワシやオオタカなどの猛禽類が上空から赤ん坊をさらう話だ。オーストラリア・シドニー近郊では、巨大なウミワシがペンギンを逆さ吊りにして連れ去る瞬間がとらえられた!
シドニーから南へ50キロ下った港町の沖合にある小島の「ファイブ・アイランズ」には、野生動物の保護区があってペンギンの群れが生息している。
ここで撮影していた写真家のジョン・プラッツさんが、この光景に出くわしたのは2015年4月。大きな鳥がサッと視界に飛び込んできたかと思うと、地面から何かをつかんで、そのまま飛び去ったという。
「頭上を横切っていくタカの仲間のシロハラウミワシを見たとき、鮭みたいな大きな魚をつかんでいるのだと思いました。思わず撮った写真をデジタルカメラの画面で拡大して見て初めて、ペンギンだとわかったのです」とプラッツさん。
海岸や湖などの水辺に生息するシロハラウミワシは、木や崖の上で待ち伏せして、魚やウミヘビが水面近くに姿を現したところを素早く飛来して仕留める習性がある。獲物の獲得成功率は九割近い名ハンターだというが、プラッツさんもこんな場面に遭遇したのは初めてだという。
このペンギンは、オーストラリア南部からニュージーランドに生息し、地元では「フェアリー(妖精)ペンギン」と呼ばれている種類。成長しても体長35センチ程度、体重は1.5キロ余りと世界一小さく、地元の人に愛されている。
シドニー近郊では最近、海岸近くの民家の縁の下に住みつく個体が増えているというが、それというのも、イネ科のキクユ芝が広がりすぎて、ペンギンの生息地まで侵蝕しつつあるからだという。
「ゴルフコースにも使われるキクユ芝は、海岸近くの潮風にも負けず、ペンギンの巣穴に入り込んでひな鳥の柔らかい羽毛を傷つけるおそれもある強い芝で、ウミワシより手ごわい相手です」とプラッツさん。ペンギンにとっては、空より陸の闖入者の方がよっぽどおそろしい存在だと話している。
③ ウミワシ うみわし / 海鷲 sea-eagle
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
(オジロワシ)
(シロハラウミワシ)
(ハクトウワシ)
鳥綱タカ目タカ科に属する鳥のなかで、海岸や水辺にすみ、魚を主食としているワシ類の総称。全長60~90センチメートル、翼は広大で尾は短い。水面の上を飛びながら魚をねらい、水面近くにきた魚を足を伸ばしてとらえるのが普通であるが、弱った水鳥や海獣を襲うことや、打ち上げられたサケを好んで食べる場合もある。
また、魚をつかんだミサゴを追って、その獲物を落とさせて奪う習性もある。北半球北部にはオジロワシが広く分布し、北アメリカにはアメリカ合衆国の国鳥のハクトウワシが、アジア北部にはオオワシが分布している。アフリカのサンショクウミワシやアジア南部のシロハラウミワシは美しい種である。[高野伸二]