(最遠方銀河)
① ""すばる望遠鏡の限界に挑んだ最遠方銀河探査""
天体写真・2016年6月21日
7つのパネルの中心にある赤いシミのような天体は、すばる望遠鏡が発見した131億年前の7つの銀河(※A ライマンα銀河 、以下LAE銀河)です。この中には、すばる望遠鏡が見つけた中で最も遠い天体も含まれます。131億年前のLAE銀河を狙う特別なフィルターNB101をSuprime-Cam(シュプリーム・カム)に装着し、すばる望遠鏡にとって極めて長い合計106時間の観測を行った結果、これまでにない高い感度で超遠方宇宙(131億年前の宇宙)を見渡すことができました。
② 予想外の結果から新たな宇宙像へ
今回の観測で数十個くらいのLAE銀河が見つかるだろうという当初の予想は見事に外れ、検出できたのはこの7個でした。最初はがっかりしましたが、冷静に考えてみると131億年前の時代からほんの1億年の間にLAE銀河が激増したことになります。 この観測結果は新たな宇宙像を示しています。宇宙再電離のプロセスの中で、LAE銀河を覆い隠す中性ガスが131億年前頃から急激になくなったようです。
文:大内正己(東京大学 宇宙線研究所)
③ ※A ライマンα銀河 (wikipedia)
ライマンα輝線天体(ライマン・アルファきせんてんたい、英: ※B Lyman alpha Blob、LABs[1] )、またはライマンαエミッター(英: Lyman alpha emitter、LAEs)は狭帯域フィルターを使ってライマンαの ※C 輝線を捉える方法により同定された高赤方偏移天体。
ライマンブレーク銀河と重複する銀河も含まれている。
(The giant Lyman-alpha blob LAB-1 (left) and an artist's impression of what it might look like if viewed from relatively close (right).)
☆彡 ※B Lyman alpha Blob
④ ※C 輝線 ; *吸収線と輝線*
(1)星は、温度が高いために光を放っており、その光のほとんどを、
温度によって決まる特定の色の光として放っています。
夜空の星を注意深く見ると、それぞれ違う色をしていることがわかります。
星は様々な色の光を、それぞれ違った強さで発しているのです。
星が放つ、これらの光のすべてが私たちに届くわけではありません。
いくらかは星の表面のガス(星の大気といいます)によって吸収されます。
例えば、星の大気中には水素がたくさん含まれていますが、その中を光が通る時、
水素によって赤い光の一部がいくらか吸収されます。
このとき、星のスペクトルには、その赤い光の部分に谷の様に見える暗い部分が現れます。
これが、スペクトルに谷がある理由なのです。
この谷を「吸収線」と呼んでいます。
(2)水素が吸収する強い光をHαと呼びます。
水素はそれ以外にも、青から紫にかけて特定の色(波長)で光を吸収する事が知られています。
水素は、星が特定の温度範囲にあるとき、光を吸収します。
もし星がより熱かったり冷たかったりしたら、水素の光の吸収は弱くなります。
また、水素は、光を吸収するばかりでなく、時には光を放つこともあります。
光を放つときは、吸収するのと全く同じ色の光を放ちます。
もし吸収するよりも多くの光を放っているなら、スペクトルには谷の代わりに山ができることになります。
このような山は、雲が光を放って輝くので「輝線」と呼ばれます。
輝線もまた星の温度に依存します。星がある温度のときにしか現れません。
(3)ここで、水素のスペクトル線が非常に弱い場合には、
熱いか冷たいかをどのようにして見分けるのでしょうか?
水素だけでできている星の場合は、見分けることはできません。
しかし実際の星の場合は、水素のほかに色々な元素の原子を含んでいます。
水素以外の元素の輝線や吸収線を調べて、温度などを知ることができます。
⑤ 連続スペクトルと輝線スペクトルの違い
スペクトルには、連続スペクトルと線スペクトルの二種類があります。
白熱電球や太陽の光は、さまざまな波長の光を含んでいて、その波長が広い範囲で連続的に分布しています。これを、連続スペクトルといいます。 連続スペクトルは、高温のガスの出す熱放射です。
ネオン管や水銀灯の光は、スペクトルのところどころに線が見られます。これを、線スペクトルといいます。
線スペクトルには、明るい線の輝線と、暗い線の吸収線(暗線)があります。
輝線は、原子から発せられる光で、それぞれの元素に固有のものです。
吸収線は、原子が連続光のある特定の波長を吸収するためにあらわれます。このとき吸収される光の波長は、原子から発せられる光と同じ波長のものです。
(連続スペクトルと 輝線スペクトルの違い )