(レーダーアレイ技術でとらえた地中のバイキング船 (NIKU/LBI ArchPro))
① ""道路脇の地中にバイキング船 長さ20m レーダーが発見!ノルウェー(動画)""
2018年10月17日 16時29分
1970年代半ばに人気を博したアニメ『小さなバイキングビッケ』を覚えているだろうか?この作品を契機に世界中で海賊に憧れる少年少女が増え、漫画『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎さんもそのひとりだと発言している。そんなロマンあふれるバイキング船がノルウェーの高速道路のすぐそばの地中に眠っている事実が明らかになった!
バイキングは、西暦800年から1050年にかけての中世バイキング時代に、スカンジナビア半島やバルト海沿岸の西ヨーロッパで活躍した武装船団。近年の研究によって、略奪行為を繰り返す海賊ではなく、そのほとんどは農民や漁民で交易を通じて商業活動を行っていたことが解明されている。
海賊王にも影響を与えたバイキング
(典型的なバイキングのイメージだが、実際には海賊行為をする者はほとんどいなかった(Wikimedia Commons))
ノルウェー文化遺産研究所(NIKU)ルードヴィヒ・ボルツマン考古学研究所の考古学者ヌット・パーシェ博士が率いる調査チームは、今月15日、首都オスロの南東を走る高速道路「Rv41118号線」沿いに、バイキング船が地中に埋まっているのを見つけたと発表した。
スウェーデンとの国境に近いヴェストフォル地方には、鉄器時代の遺跡として知られる巨大な墳丘「ジェル塚」があるが、道路建設や農地開発によって分断され、遺跡の実態は明らかになっていない。
そこで調査チームは地中の埋設物を3次元でとらえるレーダー技術を駆使して、墳丘周辺を探査した。その結果、畑の下に少なくとも8個の遺跡が見つかり、そのうち最も大きいものは、長さ20メートル、高さ9メートルの船の形をしていることがわかった。レーダー画像には、船首から船尾まで連なるキール材と床材がはっきりと映っており、船までの深さはわずか50センチほどだと考えられる。
船が海底ではなく、地中で見つかったのは何故なのか?バイキングには船を副葬にする船葬墓という慣習があり、今回の発見もその可能性が高いという。 ノルウェー国内で見つかったバイキング船のうち、保存状態が良いものはわずか3艘。いずれもオスロのバイキング船博物館に展示されているが、今回の発見によって、さらに古い時代のバイキングの実態解明につながると期待されている。
(のどかな田園風景の地下にバイキング船が埋まっている。トラクターの背景にあるのが、鉄器時代の遺跡として知られる巨大な墳丘「ジェル塚」(NIKU) )
(遺跡を分断する高速道路・周囲には畑が広がる(NIKU))