(渦巻銀河M77)

① ""渦巻銀河M77の中心部""
天体写真・2016年5月17日
アルマ望遠鏡で観測した渦巻銀河M77の中心部を、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された可視光画像に重ね合わせています。シアノアセチレン(HC3N)の分布を黄色、硫化炭素(CS)の分布を赤、一酸化炭素の分布を青で示しています。 アルマ望遠鏡による観測によって初めて、M77の中心部に存在する巨大ブラックホールのまわりに有機分子が集中して存在することが明らかになりました。
② ブラックホール周辺はマイルドな環境?
※A 有機分子はブラックホール周囲では強烈なエックス線や紫外線放射によって壊されると考えられていますが、有機分子が豊富に存在する、意外にもマイルドな環境があることが今回の観測から示唆されます。またハッブル宇宙望遠鏡による画像との重ね合わせから、可視光画像では暗い2本の腕に沿って、分子ガスが明るく電波で輝いている様子がわかります。 詳しくは、プレスリリース「アルマ望遠鏡、巨大ブラックホール周囲に驚くほどマイルドな環境を発見」をご覧ください。
③ 渦巻銀河M77 (wikipedia)
M77 (NGC 1068) はくじら座にある渦巻銀河である。

(1) 概要[編集]
6000万光年も離れているのに、みかけの直径は大きく明るい。実際の広がりが17万光年と大きな渦状銀河で、中心部が明るく輝く ※B セイファート銀河である。中心部には1500万太陽質量を持ったブラックホールが存在し、そこへ落ち込む物質が加熱され、強い光の源となっている[4]。
M77は銀河系の最も近くにあるセイファート銀河で活発な研究の対象となっている。この銀河を対象とした研究論文の数は、他の銀河を対象とした論文の総数より多いほどである[4]。
口径5cmの望遠鏡で小さな光芒として見える。口径8cmの望遠鏡では球状星団をぼかしたようにみえる。口径10cm程度の望遠鏡ではやや明るい中心部と周りが薄れた丸い形が見える。倍率を上げてもあまり暗くならない。微かに腕の部分が見えてくるようになる。口径20cmの望遠鏡では、ほぼ円形の光芒として見えてくる。口径50cmでは腕の構造や暗黒帯が見えてくる。
(2)観測史[編集]
1780年ピエール・メシャンによって発見された[2]。同年12月17日シャルル・メシエが観測し「小さな星からなり、やや星雲状物質を交え、くじら座δと平行する…」と記した[3]。ウィリアム・ハーシェルは1814年よい機械では星状に見えると記した[3]。ジョン・ハーシェルは「きれいで大きく不正円形。中心部が明るく核があり一部分かれる」とした[3]。ロス卿は3回の観測で「青い星雲」「中心部の後続部分は平坦」「中心部は渦状だと思う」と記している。1862年、ラッセルは口径48インチ望遠鏡で渦状であることを確認した[3]。
④ ※A 有機分子 (wikipedia)

(1) 有機化合物(ゆうきかごうぶつ、英: organic compound)は、炭素を含む化合物の大部分をさす[1][2]。炭素原子が共有結合で結びついた骨格を持ち、分子間力によって集まることで液体や固体となっているため、沸点・融点が低いものが多い。
下記の歴史的背景から、炭素を含む化合物であっても、一酸化炭素、二酸化炭素、炭酸塩、青酸、シアン酸塩、チオシアン酸塩等の単純なものは例外的に無機化合物と分類し、有機化合物には含めない。[1][3]例外は慣習的に決められたものであり[注 1]、現代では単なる「便宜上の区分」である[4]。有機物質(ゆうきぶっしつ、英: organic substance[5])あるいは有機物(ゆうきぶつ、英: organic matter[6][5])とも呼ばれる[1][注 2]。
(2) 歴史[編集]
18世紀には、生物すなわち有機体 (organisms) に由来する化合物には生命力が宿っているため特別な性質を持つとみなされており[7][注 3]、イェンス・ベルセリウスは物質を生物から得られるものと鉱物から得られるものとに分け、それぞれ「有機化合物」「無機化合物」と定義した[8]。その後、フリードリヒ・ヴェーラーが無機物から有機物を人工的に作り出すことに成功すると、この定義は意義を失ったが[9]、以降有機化合物を扱う有機化学は飛躍的な発展を遂げることになった[10]。
背景[編集]
初めて「有機物」という名称を提唱したのは、19世紀はじめの化学者イェンス・ベルセリウスである[11]。ベルセリウスによる有機物との名称は、17世紀から18世紀の化学者ゲオルク・エルンスト・シュタールが主張した有機体(生物)の体内でしか製造できない化合物という生気論の概念を言語化したものであった。 近代科学の黎明期から有機化合物と生物とは互いに密接な関係にあった。それらに関する歴史的な経緯は生物学と有機化学の年表にも詳しい。とりわけ、18世紀までは今日でいう有機化合物がある意味で生物の付属物と考えられていた。
ところが、1828年にフリードリヒ・ヴェーラーはシアン酸アンモニウムを加熱中に尿素の結晶が生成しているのを発見した。この尿素の合成に端を発し、有機物は生物に必ずしも付属したものに限定されないと考えられるようになった。ちなみに、無機物から有機物の尿素を初めて合成したヴェーラーは「有機物」の提唱者ベルセリウスの弟子であった。この発見以降、複数種類の有機化合物が生物の関与なしに化学的に合成されるにいたり、生気論に対する打撃となった。
有機物という語は現在でも用いられている。しかし、「生物由来」という概念を内包していたベルセリウスによる有機物の名称とは意味が変化してきており、上述した有機化合物の区分と(ベルセリウスによる)有機物の区分は厳密にいうならば完全には一致していない。そして実際にも、生物を介さず化学的に合成された多数の化合物が有機化合物の物質群に含まれている。現在では、「生物由来の有機化合物」という意味で、「天然物」あるいは「天然化合物」という用語が使用されることもある。
⑤ ※B セイファート銀河 (wikipedia)

セイファート銀河の一つESO 97-G13。セイファート2型銀河に分類されている。画像でピンク色に着色されているのは中心領域から銀河の外に放出されている高温ガス。
(1) セイファート銀河[1](セイファートぎんが、Seyfert galaxy[1])は活動銀河の一種である。カール・セイファートが1940年代に初めて分類したことからこの名が付けられている。銀河の形態は渦巻銀河または不規則銀河で、極端に明るい中心核を持つのが特徴である。中心核の輝度は銀河本体よりも明るい場合もある。この中心核の活動性は中心に存在する大質量ブラックホールによるものと考えられている。中心核から放射される光は1年以下の時間尺度で変光することから、この光を放出している領域は直径1光年以下の非常に小さな範囲であることが示唆されている