(しきさいとつばめ)
① ""「しきさい」「つばめ」のクリティカル運用期間が無事終了!初期機能確認へ!""
2017年12月24日 更新
12月23日(土)に種子島宇宙センターから打ち上げられた「しきさい」(GCOM-C)と「つばめ」(SLATS)は、姿勢制御系が定常状態に移行し安定していることを確認しました。軌道に投入後、太陽電池パドルの展開が正常に行われ、そのほか重要なイベントを正常に終え、クリティカル運用期間を終了しました。
今後、初期機能確認運用期間へ移行し、約3ヶ月半かけて衛星搭載機器が宇宙空間で正しく動作するかを確認します。
地球観測衛星特設サイトでは、H-IIAロケット37号機の打ち上げ写真を募集しています。また、Twitterからも「#h2a打ち上げ写真」をつけてツイートをお願いします。みなさんからのH-IIAロケット37号機の写真をお待ちしております!
(つばめ)
② ""超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)とは""
新たな軌道開拓により衛星利用の新たな可能性を拓く
軌道高度にして300kmより低い軌道は「超低高度軌道」と呼ばれ、これまでの人工衛星にとって未開拓の軌道領域です。この超低高度軌道を利用する最初の地球観測衛星が超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS:Super Low Altitude Test Satellite)です。
超低高度での飛行を可能にすることで、地上により近くなるため、光学画像の高分解能化、観測センサ送信電力の低減、衛星の製造・打ち上げコストの低減などが期待されています。 「つばめ」が飛行する超低高度軌道では、多くの地球観測衛星が周回する高度600~800㎞の軌道に比べ1000倍もの大気の抵抗を受けるため、従来に比べ大量の燃料が必要となります。 JAXAはこの課題を解決するために、ガスジェットに比べ燃料の使用効率が10倍良いイオンエンジンを採用し、また、大気の抵抗が小さくて済む小型の衛星を開発し、超低高度でも長期間にわたって軌道を維持するための技術を実証します。「つばめ」を用いて超低高度での軌道上技術実証を行い、超低高度衛星の実用化に向けた一歩を踏み出します。
平成29年12月23日10時26分22秒(日本標準時)
(つばめ)
③ 超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)の特徴
「つばめ」はJAXA が培ってきたイオンエンジン技術を利用して超低高度における軌道維持・軌道変換技術を実証します。
また、大気に関する技術データを取得して、将来の衛星設計に役立てます。さらに衛星から地球の撮影を行い、将来の地球観測に向けた技術評価を行います。
ジェット推進研究所(JPL)のキセノンイオンエンジン
🌸A イオンエンジン
超低高度軌道では大気抵抗が増大しますが、大きな推力は必要なく、1円玉2枚の重さ程度の推力が必要になります。
そのため、推力が小さくても、燃料の使用効率が優れているエンジンが必要となり、またとても長い時間動作することが求められます。このため、数ある宇宙用のエンジンの中で、イオンエンジンが最も適しています。「つばめ」のイオンエンジンの推進薬は、最も大きな推力が発揮できるという観点から「はやぶさ」と同じくキセノンガスを使います。また、「はやぶさ」に比べて推力の大きい「きく8号」にて開発した技術を採用しています。
➡ wikipedia
イオンエンジン (Ion engine) は、電気推進とよばれる方式を採用したロケットエンジンの一種で、マイクロ波を使って生成したプラズマ状イオンを静電場で加速・噴射することで推力を得る。イオン推進、イオンロケット、イオンスラスタなどともいう。最大推力は小さいが、比較的少ない燃料で長時間動作させられる特徴をもち、打ち上げられた後の人工衛星や宇宙探査機の軌道制御に用いられることが多い。
以前は実証試験として搭載される例が多かったが、近年では、従来のヒドラジン系推進器に替わる標準装備となりつつある。比推力が化学ロケットよりも格段に高いため、静止衛星の長寿命化に貢献している。
🌸 原子状酸素モニタシステム
地表に近いほど大気が濃くなりますが、超低高度域では「原子状酸素」と呼ばれる物質が増加し、人工衛星に用いられている金色の熱制御材(多層インシュレーション:Multi Layer Insulation)等を損傷させてしまう事象が知られています。
「つばめ」では、多層インシュレーションの外側に原子状酸素に強いコーティングを施すなどして対策を行っています。また、原子状酸素モニタシステムを搭載し、原子状酸素の濃度や各種材料が原子状酸素との反応でどのように劣化していくのかを計測します。取得したデータは、将来の超低高度衛星の設計に反映していきます。