じじい日記

日々の雑感と戯言を綴っております

ポカラの街で その1

2014-01-28 11:48:00 | ネパール旅日記 2013
 
 11月29日 金曜日 快晴

 ビレタンティーからタクシーに乗り1時間程でポカラに着いた。
既にトレッキングシーズンが終わりつつあるポカラの街は思った程観光客の姿も見えず落ち着いていた。

 ATMを探して歩いた街の通りで日本食屋を見つけたのでドルジと二人で入った。
メニューに列ぶ懐かしい日本食の写真を見て迷わずカツ丼を頼んだ。
ドルジは写真に見入って決めかねていたので,片言だが丁寧な日本語を話す店員がお茶とメニューを持って来た時にネパール人好みの物を訊ねた。
彼のお勧めはタンメンだった。
餃子をつまみにエベレストビールを飲み,日本のモモ(ネパール餃子はモモと言う)はどうだと聞くと、肉が入っていて美味いと唸った。
ネパールのトレッキングロードのモモは肉は入っていなかった。
カツ丼は文句無く美味かった。
小皿のタクアン漬けととうふの味噌汁も日本の定食屋の物と遜色無く、ポカラになら長期滞在でも食に困らないと思った。

 ドルジはタンメンを食べながらしきりに小さく唸っていた。
「どうだ美味いか」と問うと,こんな美味い物は始めて食べたと言った。
ドルジとはこの店に三度通って毎回違う麺を食べたのだが,その度にこれが一番美味いと言うのだった。
ドルジの麺の食べ方にネパール人の気質を見たような気がした。
南の方の国の人、特にフィリピン人は顕著なのだが美味い物を味わって食べるのが苦手で,美味いと分るとガツガツとかき込んで食べてしまうのだ。
しかしドルジは野菜の小片一つでも噛み締めて食べ、そしてスープも試すように味わうのだった。

 ドルジの食べ方なんか日本人的だよなぁ,あの癖さえ無かったら最高に良い奴なんだがなぁ・・・クライミングの腕は超一級で申し分無いんだから小銭をくすねる癖さえ止めてくれればと残念でならなかった。

 昼飯の後はドルジと別れ土産物屋を冷やかして歩いた。
カトマンズで売っている物と殆ど同じで取り立ててポカラ名物は見つからなかった。
トレッキング用品の店が多く偽物のマムートやノースフェイスが大量に売られていた。
着替えのズボンが無かったのでマムートのズボンを1000ルピーで買った。
試着した時にバックを床に置きそのまま店を出てしまい宿に戻ってから気付いた。
大したものは入っていなかったが、それでも二台のデジカメと200ドルくらいは入っていたので大慌てで店に取って返した。
店に駆け込むと人の良さそうな店主が「これか?」とバックを渡してくれた。
初老の店主は「慌てて出て行くからこう言う事になる。紅茶を一杯飲んで行け」と、レモンティーを入れてくれた。
世間話をしていると,煩い中国人が増えたと言い,もの静かで値切らない日本人が多かった頃が懐かしいと語った。
紅茶の礼を言って立ち上がると,暇だったら何時でも茶飲みに来いと言ってくれた。

 缶ビールとツマミを買おうと小さな店に入ったが缶は高くビンのデポジットの方が安かったのでビンビールを二本買って部屋に戻った。

 たっぷりと出る熱い湯を大きめのバスタブに貯め,23日ぶりに湯船に浸ると身体が湯に溶けていくのじゃないかと思う錯覚に捕われた。
湯船に身体を伸ばし横になり今日までのアレコレを思い出しつつビールを飲んだ。
酔いが回り緊張の糸が完全に解けたからかいつの間にか湯に浸かったまま寝てしまっていた。
湯が冷め,寒くなって起きた時には既に日が暮れていた。

 晩飯は食べたくも無かったのだが夜の街を歩いてみようと昼間と同じ通りを逆向きに歩いてみた。
1キロ程も歩いたら道は暗くなって土産物屋も途切れた。
その間にはピザレストランやネパールカレーの店、中華料理店などのレストランがたくさん有ったがどこも中途半端に白人が席を占めていて入り難かった。
彼奴ら,どうして何時も入り口から座って行くのかな? 奥が空いていても入り難いだろう,と声にならない文句を言いながら結局は昼飯を食べた日本食屋の前に来ていた。

 日本食屋に昼間の彼は居なかった。
片言以下の日本語の店員がお茶とメニューを持って来た。
取り敢えずビールを頼み,メニューを熟読するべく隅から隅まで眺めた。
結局頼んだのはトンカツ定食だった。
二本目のビールをどうしようか迷っていると「ご来店ありがとうございます」と挨拶にやって来た。
「美味しいですか?また来てくれて嬉しいです」などと愛想を振りまかれ反射的にビールをもう一本と言ってしまった。
自分の予想ではメニューの半分は材料が無くて出来ないだろうと思い,訊ねると,殆どの物は出来ると言う。
サバ味噌があったので問うと,レトルトだがあると言う。
じゃぁ明日はサバ味噌を喰いに来るからなどと冗談を言って彼との会話で暇つぶしをしつつ呑んだ。

 店の中には白人の女性が一人居て昼間と同じように本を読みながらうどんを食べていた。
日本語が分るのか,時折顔を上げて小さく笑っていた。
しかしすぐに目線を落とす様子から話しに加わりたい雰囲気は無さそうだったので声は掛けなかった。

 明日,ドルジが5時に迎えに来てサランコットと言う観光名所に案内すると言っていたのを思い出した。
ホテルに戻りフロントで4時半に起こしてくれと頼み,8時過ぎに就寝。








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする