ブログ仙岩

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みんぽう12月号大石邦子「雨の音」を読んで

2019-12-09 05:34:29 | エッセイ
四季の豊かな国日本に、自然環境が大きく変わり、それが地球温暖化のせいとも言われ、台風19号が各地に言語に絶する爪跡を残して去った。

福島県だけでも20人超の犠牲者、大雨、土砂崩れ、断水。大雨特別警報のことばの威力に怯えた。悲しみの中にある方々の一日も早い静かな日々に戻れるように祈らずにはいられなかった。

私は雨の音が怖い。私は弟が生まれると、祖父母と一緒に寝るようになり高校1年まで続いた。食事中足を崩せば祖父の咳払いが飛び、冗談一つ言わない祖父が、伊勢湾台風の時、夜中、突然祖父が起き上がり「雨が漏る」といった。額に雨が落ちたという。二階に寝ている父母が何事かと起きてきた。

翌朝、祖父の可愛がっていた妹一家4人が、家ごと流されたという知らせが入った。あの時間帯で、遺体はなかなか見つからず、2,3日後、新潟で上がった。外地生活が長くきれいな叔母さんで、上流の川で倒木が重なり、決壊した流れが叔母さんの家を飲み込んだという。祖父の涙を見たのは初めてで私も泣いた。あの祖父の「額の雨漏り」は何だったのだろう。