エッセイスト大石邦子は「堀辰雄の「風立ちぬ」軽井沢の結核療養所が舞台の助からない恋人に付き添う堀辰雄の哀しくも清々しい小説を思い、父が戦死、母は実家に私より6才年上の娘を連れて戻り、姉妹のようにして育った従姉妹が亡くなり、コロナ過で面会も許されない彼女だった。
彼女は高校も優秀でも経済的に大学には行けず、代用教員になりへき地勤務、目を患う実母が案じられ、翌年県職員の試験を受け、県職員として会津に戻り、合唱団で知り合った夫と小さな会社を立ち上げ、母を迎え二人の子に恵まれ和やかな家庭を築いた。
私は、彼女にどれだけ助けてもらったかわからない。音楽美術を愛し、読書家で実の姉のように何でも相談した。昨日の葬儀には、大勢の孫など一族が揃い、祖父祖母を愛する大人になっており、私には描けない幸せの原点を見るような生きることは、こういうことなのだと思った。素直にうれしく、新たな家族との面会を果たした。・・・。
家族そして生きることとは、結果だけを見るのでなく、そのプロセスをみて、苦しいとき哀しいとき、嬉しいときなど沢山つまり、日一日を過ごすものである。