福島市土湯こけしの、阿部国敏作「ほほえみがえし」は新風を吹き込む作品である。ハイ!みんぽう2月号より。
部屋の中に飾れば目にするたびに気分が和みそうな、首をかしげるかわいらしいこけし。
宮城の遠刈田、鳴子と並び三大こけしの発祥地として知られる土湯こけしに新風を吹き込む作品は今までの伝統こけしを受け継ぐ六代目の阿部国敏さんが、15年ほど前に生み出した。
当時購入される方は、年齢の高い愛好者が多く、それも年々減少し、このままでは土湯こけしが廃れてしまうという危機感から、
もっと多くの人たちに土湯こけしを知って欲しいと、これまでにない新しいこけしを届けることで、もう一度伝統こけしに興味を持ってもらうきっかけになると考えた。
重い頭でも倒れないように胴を三角錐に、そして頭部の前髪や鬢(びん)を大きく描く土湯こけしの伝統を守り、髪飾りや胴の模様は先祖の作ったこけしは竹久夢二が海外旅行に携えたほどの作品を胸に伝統を踏襲して、新しいこけし造りに打ち込んだ。
伝統こけしの顔をそのまま描くと、少しきつい顔になり、笑顔が一番しっくりくるという。
今では、若い女性が購入するようになった。
この情熱を支える、新たな伝統を生み出す努力は先人への尊敬の念と土湯こけしへの愛情、そしてこけしへの飽くなき探求心だった。
私も、土湯こけし等は飾っていたが、震災ですべて廃棄、今一本あるだけです。ほほえみがえし欲しいと思う。