水甕・・・・・北米花(1)

2012年06月26日 | 日記
初めてこの花に出会ったのは、2005年の夏。蓼科にある
「バラクラ イングリッシュガーデン」でした。

そして翌年、お花屋さんで見つけたときは、とても嬉しかったことを
今でも覚えています。

純白に輝く、その花の名は、「アナベル」です。
        

「アナベル」は、アメリカの東部から北東部原産のアジサイ属です。
アナベルとは、園芸品種名で、「アメリカノリノキ」のこと。

日本の「ノリノキ」は、日当たりのよい山地に生える落葉低木で、
「ノリウツギ(糊空木)」のこと。幹の内皮から和紙を漉くときの糊を
とることから。また、幹が中空だからウツギとのこと。

幹といっても アナベルの幹は、細く、一番大きな花の茎でも、
外径で3.5mmくらい。西洋アジサイのほうは、7~8mmはあるので、
これで、大きな花をよく支えていると思います。

下から覗いてみると、


よく見ると、このアナベルにも「真花」があります。6月20日は、まだ蕾でした。
      

24日、咲いてました。
 

ピカピカ・・・これこそ、‘真花”発揮ですね。

でも、ほんの一か月前は、まだこんな様子でした。5月29日、31日装飾花の蕾です。
    

6月3日にお隣さんの百合とタチアオイ 赤いバラは、なごりの「ポンポネッラ」一緒に。
   

8日それらしい花姿に、でもまだ、きみどり色の花びらで、12日になると、
なんとなく それらしく・・・・・


15日、ようやく白くなりました。ご近所もいっしょに。
  

20日、美しい花玉になりました。


花びらの数は、3枚・4枚・5枚のものがありました。
 


アジサイの学名は、ハイドランジア(hydrangea)ですが、
水甕・・・水入れ、水の器という意味です。


最初に発見されたアメリカ産のアジサイの果皮が、コップの形だったから
だそうです。・・・・・・『花の西洋史事典』より

アジサイが沢山、水を欲しがることからではないようです。

今日の西洋アジサイ・日本のてまりアジサイ・アメリカのアナベルです。
西洋アジサイは日本のアジサイが改良されたようですが、アナベルもそうかとおもいきや
アメリカ原産の植物でした。日本の花の欧米化ならぬ、北米花だったのです。(笑)

  




並ぶ立ち姿

2012年06月20日 | 日記
5月9日 私たちは、お隣さん同士です。
    


5月29日 蕾が、随分膨らんできました。お隣さんは、少し背が伸びてきました。
    

お互いの蕾です。
    


6月8日 下の方から、一足早く咲きかけてきました。
 

11日 レモンイエローの八重咲きの花が咲きました。右の写真は12日
私の名前は、八重咲きの「タチアオイ」です。
    

16日 
気が付いたら、沢山咲き始めたので、陽のよくあたる表舞台にお引越ししました。
背丈も追いつきました。
    

お隣さんも、もうはちきれんばかりの蕾です。
    

18日ドアを開けて、気が付かずに通り過ぎると、何やらいい香り。
振り向けば咲いてました。「カサブランカ」です。

  

20日、3本中、2本咲きました。今日の姿です。
  


咲きたてのユリは、何とも言えない神々しささえ感じられます。
おしべ、めしべが美しく、花も元はこんな感じになってます。
    
    

タチアオイの方は、下の方の花は順番に咲き終わったので、別の背の低い、
沢山咲いている小さい方の鉢を前に一緒に置いて、今日のお隣さん同士の美しい立ち姿を
撮りました。
   
        

美しい人の喩えに、「立てば、芍薬。座れば、牡丹。歩く姿は百合のよう。」
という言葉が、あります。この庭には、牡丹はありませんが、どの花の姿も本当に美しいと
感じる今日このごろです。
     




舞台裏

2012年06月16日 | 日記
       

昨日見た天気予報では、ここしばらくは雨ということだったので、あれから
壁の内側にうなだれて咲いていた3輪を、カットして部屋で楽しむことにしました。

このアジサイの花びらの数は4枚だとばかり思っていたのに、
今朝、見ていると、5枚のものもあるではありませんか・・・・・・
 

4枚と5枚、半分ずつくらいあります。
 

花瓶を回すと別の景色です。これは・・・・・花の舞台裏。一本だけにしてみました。
          

大きな茎に支えられ、5本に分かれ、傘の骨のようですが、複雑になります。
   
 

枝分かれしている先に、花が付いています。数えてみると、
枝分かれは、5本→3本→2本→花2つか3つ付きます。その根元に
よく見ると何か小さな玉のようなものが、あちらこちらの見られます。

  

これこそ!本当の花の蕾です。

咲いているものはないな~と思っていると・・・ありました!
 

なんと小さな花なんでしょう。5枚の花弁で、花径は7ミリ、花のわりには
大きく飛び出たおしべが8本もあり、写真ではわかりませんが、虫めがねで見ると
先は三つに割れた黄色いめしべらしいものがあります。

これが、アジサイの本当の花で、調べると「真花」と呼ぶようです。
おしべ、めしべがあるので、こちらが、両性花。

ピンク色の大きな花びらは実は、ガクで、「装飾花」とよびます。
その装飾花の中心にも、玉のようなものがあり、それも花ですが、
こちらは、咲かぬ間に終わることがほとんどで、実を結ばない花のようです。

もう一つ、気づいたことは、4枚の装飾花の中心の花の蕾の切れ込みは
4つであり、5枚の装飾花の中心の蕾は5つありました。


花を元に戻して、全体に目を向けます。


葉っぱがきれいです!この切れ込みを絵に描こうとしても、なかなかうまく描けません。
微妙な角度がついているのです。
 


そして、葉のつき方は、茎の一か所から、2枚が180度に開いて付き、
次の葉は、90度回転して付くのです。ここでは、4枚しかなく、見えているのは
3枚だけですが、花の向こうにもう一枚あります。

これは外で撮ったものです。2枚づつ、真上からみたら、十字に見えるような
葉のつき方です。
         


アジサイのこんなとこ、あんなとこ。外では気づかなかった花のしくみ。
それにしても、目にも楽しい、とても美しい、驚きの自然のデザイン。

思いがけない、わくわくする舞台裏を見た気持ちになりました。





梅雨は、紫陽花・・・雨舞台

2012年06月15日 | 日記
  
このピンクのアジサイは、咲きたての西洋アジサイです。(6月5日)
西洋アジサイは、日本から、中国に渡り、さらにヨーロッパで改良されました。

これは、蕾の状態です。
  

咲き始めは、一枚の花びらが大きくなり、そして4枚が同じ大きさになります。
  

この紫陽花は、今から20年前ぐらいに、小さな鉢で買ったものです。庭の
小さな地面の隅に植わっている数少ないもののひとつで、一昨年時期外れに
剪定したので、去年は2輪しか咲きませんでしたが、今年は、12輪以上も
花をつけてくれました。
     


アジサイは、日本古来の植物で、万葉集に2首あります。万葉集の編者である
大伴家持(718-785)が詠んだ歌に、
         
 「言問わぬ 木すら味狭藍(あぢさゐ) 諸弟らが 練りのむらとにあざむかれけり」(773)   
    (物言わぬ木でさえ、 紫陽花のような移ろいやすいものがあります。諸弟らの巧みな占の言葉に
     私は、騙されましたよ。)・・・・(1)

橘諸兄(684-757)が詠んだ歌には、

 「安治佐為能(あぢさいゐの) 八重咲くごとく 弥つ代に いませ わが背子 見つつ偲はむ」(4448)
    (紫陽花の八重に咲くように、幾重にも栄えておいで下さい。わが君よ。私はその立派さを仰いで
     讃嘆しましょう)(2)があります。

このあとには、「右の一首は、左大臣、味狭藍の花に寄せて詠めり」とあります。
その後、平安時代には、ほとんど詠われていないようです。

また日本在来のアジサイとは、ヤマアジサイやガクアジサイのような、
中心部分に玉のような小さな花があり、ガクが花のように見えるアジサイと思われます。
これは、去年6月22日の庭のガクアジサイです。
    

紫陽花をアジサイと読むのは、源順(みなもとのしたごう)による編纂の辞書
『倭名類聚抄』に 「紫陽花 白氏文集律詩云、 紫陽花、和名阿豆佐為」
とあることからきています。

源順(911-983)は、平安中期の学者で、歌人。梨壺の五人のひとりであり、
三十六歌仙の一人でもあります。

白氏文集の巻第20にある
              何年植向仙壇上
              早晩移栽到楚家
              雖在人間人不識
              与君名作紫陽花
ここから取られているようですが、現在では、白居易が名づけたこの花がアジサイであったかどうかは
不明とされています。

ともあれ、日本では、アジサイを漢字で書くと「紫陽花」ですが、
中国語では、「八仙花」「繍球花」と書くようです。

  
これは「てまりてまり」という名のアジサイの6月5日の様子です。
  
花のひとつひとつがとても繊細なアジサイです。
これを調べてみると、「テマリアジサイ」というようで
日本で改良されていったものです。

花の周りから少しずつ花びらが大きくなり、色づいていきます。
次の3枚は、同じ花の外側から中心部にかけての様子です。
  

そして9日、一番最初の大きな一輪が整い、他の蕾も色づき始めています。
  

12日、大輪は花びらが幾重にも増えていきます。


15日、今日の西洋アジサイは。全体もまるで手品の花のように球形になっていて、、
花びらのピンクと中心の水色の玉がとてもきれいです。
  

「テマリテマリ」のほうは、少し赤味を帯びてきて、
なんだか輝いて見えます。
 

それぞれの、ハレ姿です。





5月のバラが終わると、いっきに花が無くなり、梅雨の雨にうなだれる草花。
でもアジサイは、曇りや雨の日のほうが、かえって生き生きしています。
この花の最高のハレ姿は、雨の日・・・だから梅雨は、アジサイにとって
最高の雨舞台なのです。



(1)『万葉集注釈』第4巻 沢瀉久孝 口譯
(2 『万葉集』四 日本古典文学大系 大意


開けばまるで・・・・・バラ咲きつながり

2012年06月08日 | 日記
      

このサクラ貝のような蕾は、よく見かける小さな「ベゴニア」です。でも

蓋が開くと・・・・・中からは、八重の花びらが覗きます。 
        

一つ一つの花の中心部分は、全体で1~1.5cmで、とても小さな花です。
2枚の花びらの内側にまるで小さな小さなバラの花が2~3輪くっついている
感じです。

南米原産の植物で、スミレ目、シュウカイドウ科 シュウカイドウ属

ベゴニアの名は、カリブ海にあったフランス領アンティル諸島の総督で、
フランス人ミッシェル・ベゴン(Michel Begon 1638-1710)
に由来し、フランス人で、僧侶、のちに植物学者になったシャルル・プリュミエ
(Charles Plumier1646-1704)により、命名されたようです。
シャルル・プリュミエは、フランス王ルイ14世の命で、南米探査を数回行っています。

      

冬場に霜などにあたると 地上部が枯れてしまいますので、玄関の中に取り込むようにして
4年目を迎えました。小さな苗も今では、8号鉢いっぱいに広がっています。また葉の色が
照るような銅葉色や緑色に見えてこれもまた美しいです。

  

バラ咲きといえば、毎年3月の終わりから4月に、購入して植えているのが、八重咲きの
「インパチェンス」です。

アフリカのタンザニアからモザンビークにかけての海抜1800mの高山地帯に分布します。
初夏から秋にかけて咲きつづけます。真夏に弱り気味になりますので半日陰に置きます。
別名 アフリカホウセンカ

まるで白のミニバラのようです。
    

ピンク色の花も、とても愛らしいです。
   

八重のインパチェンスの花色は他にも鮮やかなローズ色やオレンジ、ローズに白の縞入りなど、
沢山出ています。お好みの色を見つけるのも楽しいですね。

インパチェンスの場合、葉の形もバラのような葉型をしているので、八重咲きというより
バラ咲きと呼びたい、バラの花が終わった庭の彩りに欠かせない好きな花です。