廊下を走っているゆうたくんを見かけました。
瞬間的に,先生は「ゆうたくん!走っちゃダメです!」
と注意するところです。
この「走っちゃダメです!」の言葉が
「歩きなさい!」
「こっちに来なさい!」
「50数えて,歩き直しなさい!」
「・・・・・!(無言でにらむ)」
注意の仕方は,先生によって様々でしょう。
どんな言葉がよく効くんでしょうね。
その子どもによっても変わってくるでしょう。
しかし,今回は,ゆうたくんが廊下を走っているだけでなく,もう一つシチュエーションを加えます。
その隣で,ひろとくんが歩いています。
ちゃんと,廊下を歩いています。
さて,こうなった場合は,ゆうたくんへの指導の仕方も,違った方法が考えられます。
Aくんを注意するより,Bくんをほめる!
そんな方法も使えるといいですね。
ゆうたくんが走っている横で,歩いているひろとくんに,明るく声をかけます。
「ひろとくん,廊下をちゃんと歩いていけるからえらいね!」
もちろん,ゆうたくんに聞こえる大きな声で。
ひろとくんは,当り前に歩いていただけなのにほめてもらって,ちょっとびっくりもしていますが,うれしそうな顔をしました。
一方のゆうたくん。
(…おっ,やべっ)
的な表情をして,あわてて歩き出しました。
そして先生を見ます。
(走ってるとこ,見られてたのかな…)
先生は,歩きだしたゆうたくんと目を合わせます。
そして,少しだけ微笑みました。
その微笑みの中に(見てましたよ。でもちゃんと歩けますね。次は注意しますよ。)
というメッセージを含ませます。
結果,大声で注意することなく,別の子をほめることで,注意されるべき子を指導することができました。
…と,うまくいけば,そういうことになりますね。
「Aくんがいけないことをしているとき,それがちゃんとできているBくんの方をほめる。そのことで,Aくんに気付かせる。」
こんなやり方が使える場面は,結構普段の学校生活の中で見受けられるものです。
もちろん,その子を直接注意しなくてはいけなほど重大なことであれば話は別ですが,廊下歩行や忘れ物,姿勢,服装などでしょうか。
細々と注意しなくてはいけないこと,ありますよね。
そんなとき,ちょっと見方を変えると,違うやり方があることに気付きます。
これが習慣化されると,クラス全体にも,「叱る役目の先生」という立場から「ほめる役目の先生」へと変わっていき,クラス全体の雰囲気というか,文化というか,ガラッと変わってくるものです。