先ごろは映画『八甲田山』を観てきたところですが,内容が非常に良かったので,原作本を読んでみることにしました。新田次郎『八甲田山死の彷徨』。映画を見た直後ということもあって,一気に読んでしまいました。
日露戦争を想定した八甲田山での雪中行軍。199人が落命(隊としてはほぼ全滅)した壮絶な行程の様相を,史実をもとに書きあげており,映画よりも精緻な内容になっております。
地吹雪のなか,昼も夜もなく飲まず食わずで深い雪を泳ぐようにして行進を続ける軍人たち。視界を失い,道に迷い,遂には行軍の責任者である大尉自身が「天は我々を見離した」と云って自死する姿。耐え難い寒さと凍傷から消耗し動けなくなり,次々と力尽きて雪の上に倒れて行く者や発狂する者たち。
僕は書店で買い求めたのですが,amazonを見ると59人もの人がレビューしていました。これは間違いなくお勧め本です。