「幸いをもたらす12月1日」より
落葉する直前の一瞬の煌めきだと知っているせいか、晩秋の紅葉には物悲しさも漂うが、師走を迎えると、忙しなさのなかにも来るべき年への期待も膨らみ、目に映る景色に温かさが感じられる。
たわわに実った南天の実、平素は藤の花のように自身の重みで垂れ下がることが多いのだが、この南天は真っ直ぐに天に挑むように伸びている。
その様は、まさに「難を転ずる」のようで心強い。
南天と云えば、お正月のために御大が毎年 福寿草とともに寄せ植えするのだが、手術から間もないので、今年はどうなるのか分からない。そんな事を思いながら南天から目を転じると、たわわに実った柚子が目に入る。
毎年、柚子味噌に柚子ジャムそして柚子湯と、「幸福」という花言葉に違わず多くの楽しみを与えてくれる我が庭の柚子だが、柚子にはもう一つ、その効能と香りにふさわしい花言葉がある。
「汚れなき人」
先日ここで、心ならずも「素敵な日本人」(東野圭吾)ついて皮肉を書いてしまったことを少しばかり反省し、本書のなかの数少ない「汚れなき人」 ’’素敵な日本人’' を主人公とした短編を紹介しておこうと思う。
第7編<サファイアの奇跡>
母と二人で倹しく暮らしている主人公の少女は、お金のかかる遊びは出来ず、放課後も一人神社で過すことが多かった。
神社に参拝しては、「お母さんに楽をさせてあげたいからお金持ちになりたい」と願う少女は、そこで一匹の猫と友達になる。
稲荷鮨に似た毛色である事と お稲荷さんと縁がある神社であった事から、その猫にイナリと名付け、マシュマロを与え首輪をつけ可愛がっていたのだが、イナリは事故で亡くなってしまう。
イナリが亡くなった動物病院を訪ねた少女は、そこに確かにイナリの気配を感じるのだが・・・・・
・・・並行して、青い毛色が珍しい猫・サファイアの繁殖に精を出す人々の話がすすむ。
サファイアの奇跡と云われる青い毛色をもつ猫は、強欲な目的で繁殖を試みる者に死を招く「サファイアの呪い」という伝承も併せもっていた。
ある時、これ以上青い猫の繁殖に拘れば、呪いで殺されると観念したブリーダーが、猫を避妊させるために訪れた動物病院で不思議な経験をする。
青い猫は概して神経質で、決して他人に触れさせず、無理に触ろうものなら噛みつこうとするものなのだが、その病院のトリマーである女性には、甘えて膝で寛いでいる。
そのうえ、その女性がマシュマロを猫に与えると、決して人の手から餌を食べない その猫が、女性の手からマシュマロをもらい食べさえする。
幸せそうな女性と猫を見たブリーダーは、猫を女性に譲るのだが・・・・・
・・・ある日、次々と青い猫が生まれているというニュースが流れる。
あの女性のもと、あの青い猫が青い仔猫を産み、彼女はかなりの額を手にしたという。
彼女こそ、かつてイナリを可愛がった、あの少女だった。
本書はミステリーなので、イナリと青い猫の同一性についてや、なぜトリマーである女性は青い猫を誕生させることができたのかは記さないが、命や種や血統に偏見を持たない「汚れなき人」に、神様が微笑んだという「素敵な日本人」の物語だと思う。
この、命や種や血統に偏見を持たない「汚れなき、素敵な日本人」少女と聞いて、真っ先に思い起こす少女がいる。
敬宮愛子内親王殿下、そのお人だ。
ご自身は誕生された直後から、女児という理由で様々な悪意に襲われながら、全ての命を慈しむ心を育まれ、初等科卒業文集では、動物の殺処分がなくなる世の中を願う作文を書かれている。
また何度も湧き起る女性天皇待望論を打ち消さんとばかりに巻き起こされる官民あげての大バッシングに、面窶れするほど体調を崩されながらも、空を見上げて世界の平和を祈る作文を、中等科卒業文集に記されている。
この世はすっかり狂って悪ばかり蔓延っているので、勧善懲悪・因果応報など期待してはいない。
もとより あまりに分かりやすい善因善果・悪因悪果では凡人は生きにくいのも確かだが、せめて物語の世界だけでも「汚れなき人」に幸いが訪れてほしいし、いと高い処におわす「汚れなきお姫様」にもお幸せになって頂きたい。
敬宮様のお幸せを心から祈る 師走の始まりである。
参照、
「受け継がれる命を育む御心」 「神聖な御力とともに」
「祝号外 敬宮様ご卒業」 「敬宮様の青い空 15の心」
落葉する直前の一瞬の煌めきだと知っているせいか、晩秋の紅葉には物悲しさも漂うが、師走を迎えると、忙しなさのなかにも来るべき年への期待も膨らみ、目に映る景色に温かさが感じられる。
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その様は、まさに「難を転ずる」のようで心強い。
南天と云えば、お正月のために御大が毎年 福寿草とともに寄せ植えするのだが、手術から間もないので、今年はどうなるのか分からない。そんな事を思いながら南天から目を転じると、たわわに実った柚子が目に入る。
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「汚れなき人」
先日ここで、心ならずも「素敵な日本人」(東野圭吾)ついて皮肉を書いてしまったことを少しばかり反省し、本書のなかの数少ない「汚れなき人」 ’’素敵な日本人’' を主人公とした短編を紹介しておこうと思う。
第7編<サファイアの奇跡>
母と二人で倹しく暮らしている主人公の少女は、お金のかかる遊びは出来ず、放課後も一人神社で過すことが多かった。
神社に参拝しては、「お母さんに楽をさせてあげたいからお金持ちになりたい」と願う少女は、そこで一匹の猫と友達になる。
稲荷鮨に似た毛色である事と お稲荷さんと縁がある神社であった事から、その猫にイナリと名付け、マシュマロを与え首輪をつけ可愛がっていたのだが、イナリは事故で亡くなってしまう。
イナリが亡くなった動物病院を訪ねた少女は、そこに確かにイナリの気配を感じるのだが・・・・・
・・・並行して、青い毛色が珍しい猫・サファイアの繁殖に精を出す人々の話がすすむ。
サファイアの奇跡と云われる青い毛色をもつ猫は、強欲な目的で繁殖を試みる者に死を招く「サファイアの呪い」という伝承も併せもっていた。
ある時、これ以上青い猫の繁殖に拘れば、呪いで殺されると観念したブリーダーが、猫を避妊させるために訪れた動物病院で不思議な経験をする。
青い猫は概して神経質で、決して他人に触れさせず、無理に触ろうものなら噛みつこうとするものなのだが、その病院のトリマーである女性には、甘えて膝で寛いでいる。
そのうえ、その女性がマシュマロを猫に与えると、決して人の手から餌を食べない その猫が、女性の手からマシュマロをもらい食べさえする。
幸せそうな女性と猫を見たブリーダーは、猫を女性に譲るのだが・・・・・
・・・ある日、次々と青い猫が生まれているというニュースが流れる。
あの女性のもと、あの青い猫が青い仔猫を産み、彼女はかなりの額を手にしたという。
彼女こそ、かつてイナリを可愛がった、あの少女だった。
本書はミステリーなので、イナリと青い猫の同一性についてや、なぜトリマーである女性は青い猫を誕生させることができたのかは記さないが、命や種や血統に偏見を持たない「汚れなき人」に、神様が微笑んだという「素敵な日本人」の物語だと思う。
この、命や種や血統に偏見を持たない「汚れなき、素敵な日本人」少女と聞いて、真っ先に思い起こす少女がいる。
敬宮愛子内親王殿下、そのお人だ。
ご自身は誕生された直後から、女児という理由で様々な悪意に襲われながら、全ての命を慈しむ心を育まれ、初等科卒業文集では、動物の殺処分がなくなる世の中を願う作文を書かれている。
また何度も湧き起る女性天皇待望論を打ち消さんとばかりに巻き起こされる官民あげての大バッシングに、面窶れするほど体調を崩されながらも、空を見上げて世界の平和を祈る作文を、中等科卒業文集に記されている。
この世はすっかり狂って悪ばかり蔓延っているので、勧善懲悪・因果応報など期待してはいない。
もとより あまりに分かりやすい善因善果・悪因悪果では凡人は生きにくいのも確かだが、せめて物語の世界だけでも「汚れなき人」に幸いが訪れてほしいし、いと高い処におわす「汚れなきお姫様」にもお幸せになって頂きたい。
敬宮様のお幸せを心から祈る 師走の始まりである。
参照、
「受け継がれる命を育む御心」 「神聖な御力とともに」
「祝号外 敬宮様ご卒業」 「敬宮様の青い空 15の心」