何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

山に向かう足あと、山より聞こえる足音③

2017-12-24 22:00:00 | 
「ディストピアに向かう国①」 「岐路に立つ、国②」より

「岐路に立つ、国」で、お伊勢さんと おかげ犬の清浄な空気に触れたおかげかな 
それとも、このところ元気がなかった私を、励まそうと思ってくれたのかな
ワンコが天上界の住犬になって初めて、ワンコの足音を聞いたよ ワンコ
どういうわけか、ワンコは桜材の廊下を歩く時に独特の足音を立てたろう?
あの足音を久しぶりに耳にし、
嬉しくって懐かしくって、涙がでたよ ワンコ

蝶が岳にて朝日を待つ

今月のワンコお告げの本「海に向かう足あと」(朽木祥)の表紙は、
海と犬(ラブラドール)とヨットが描かれているのだけれど、
ワンコは水が苦手で海で遊んだことがないし、
そもそもワンコの名前は、お山から頂いているので海には縁がないから、
ワンコを想いながら拝んだ、日の出を待つ雲海の写真を掲載することにしたんだよ

本書「海に向かう足おと」はね、
日々おかしな方向に向かっていると漠然と感じながら、手を拱いているうちに、
どうしようもない事態が起こってしまうという話で、
それは まるで、今の我が国と・・・私のようだよ ワンコ

「岐路に立つ、国」で、「ユートピア」(W・シンボルスカ)と題していながら恐ろしい詩を紹介したけれど、
本書には もう一つ、同じくW・シンボルスカの詩も紹介されていて、
これも又ちがう恐さを教えてくれるんだよ

「恐ろしいほどの幸せ」
(W・シンボルスカ)

恐ろしいほどの幸せ
我々がどんな世界に生きているのか
はっきりと知らないでいられるのは


難しいんだけどさ ワンコ
本書に、取り返しのつかない事態や、嘆き右往左往する人々や、恐ろしい詩が書かれているからといって、
どうにも、希望がないわけではないと思うんだよ ワンコ
難しんだけどさ ワンコ

ただただ落ち込んでいる若者に、
オールドソルト(老練な水夫)が ボンバールの言葉をひいて発破を掛けるんだよ

『人間は希望を失ったら三日で死ぬんだよ』
『・・・・・’’いかなる物理的素因よりも、いっそう有効で、またすみやかに作用する恐怖心に対して、どう戦えばいいのか?’’』
『望みさえ捨てなきゃあ、どう戦ったっていいんだよ』

希望、望み
・・・・・
この言葉を胸に、クルーは海に漕ぎ出すんだよ ワンコ
まだ取り返しのつかない恐ろしい事態が及んでいない、ユートピアのような島から、
おそらく、この世のものとは思えないほど破壊され尽くした東京へ向け、
海に漕ぎ出すんだよ

この物語が難しく恐いのはね ワンコ
希望をもって出航する最終章の行方が、読めないことにもあるんだよ
『望みがあるっていうのは、~略~どんな日でも、とてもいいことだからだ』
という言葉がある一方で、
ヨットが向かう海と空の不気味さが書かれているんだよ
いつもなら、美しい朝焼けが終われば澄んだ空が広がるはずなのに、
その日 ヨットが出航した海と空は、赤いままだったんだよ 
それは、まるで原爆が投下され火の海になった広島を思い出させるようなものだったんだよ

何も知らないってことはね ワンコ
おそらく、とっても幸せなことなんだよ ワンコ
何も知らないから、希望や望みをもって、舟を漕ぎ出し戦うことができるんだよ ワンコ
その結果、希望の残骸が死屍累々と積み上げられようとも、
やっぱり、希望を胸に戦わなければいけないんだな ワンコ

何も知らないってことは、とっても幸せで、恐ろしく残酷なことだね ワンコ
でも、そうしたところに、国と個人の明日が見えてくるんだろうな ワンコ
難しいさ ワンコ
 
蝶が岳より、ワンコのお山を拝する

本書はね、船上のクルーが一度だけ島を振り返り、
そこに、犬の姿を認めた場面で、物語が終わるんだよ ワンコ
「海に出ていく船には、見送る人が必要だ」というセリフが本書にはあるけれど、
戦いに旅立つ人を、最後まで見守るのが、犬だということに、じ~んときたよ ワンコ

ワンコ、君は海の向こうからではないけれど、
お山のてっぺんから、ずっと私達を見守ってくれているよね ワンコ

そして、すぐに立ち向かうことを諦めようとする私に、
時に発破をかけ、そして優しく励まし、見守ってくれているよね ワンコ

あと一月で、ワンコが天上界の住犬となって2年になってしまうけれど、
こうしてお告げの本を通じてワンコとお話しできることを幸せだと思うよ ワンコ

来年は戌年だから、さらにパワーアップして、しっかり見守っておくれよ ワンコ