先週の「光る君へ」では、
まひろ(紫式部)の内裏の案内役は、
赤染衛門(あかぞめえもん)がつとめました。
その赤染衛門を主人公にした、
澤田瞳子さんの『月ぞ流る』を読んだのです。
帯には、
日本初の女性による、
女性のための歴史物語『栄花物語』の作者である、
朝児(あさこ:赤染衛門)との紹介があります。
他の説でも、
『栄花物語』は、
40巻あるうち正編30巻は赤染衛門の作だと、
ほぼ断定できるとありますし、
先のNHKの放送でも、
赤染衛門は『栄花物語』の一部を執筆したと、
ナレーションがありました。
元宝塚歌劇団宙組トップスターだった、
凰稀かなめ(おうきかなめ)さんが演じる赤染衛門は、
本の中でもドラマ同様に、
美しく淑やかで聡明な女性に描かれております。
この『月ぞ流る』には一条天皇の後の三条天皇と、
道長や娘の妍子(彰子の妹)との、
確執が描かれているんですが、
終盤には涙があふれ何度も本を閉じました。
三条天皇の歌。
心にも あらでうき世に ながらへば
恋しかるべき 夜半の月かな
望んでいないにもかかわらず、
この辛い世の中に生きながらえていれば、
いずれはきっと恋しく思うであろう。
今夜の夜半の美しい月を
(訳は本より)
それに対する道長の次女、
中宮である妍子の御返歌は、
天の河 雲の水脈(みお)にて はやければ
光りとどめず 月ぞ流る
妍子は、
帝の膝に片手を置き詠ったのです。
ようやく心がつながった、
お二人。
この歌は自作ではなく、
古今和歌集からの歌なのですが、
本の題名『月ぞ流る』はここからなのですね。
放送のほうは、
まだまだ彰子の時代ですが。
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昨夜の放送で最初に思ったこと。
あの藤壺女房軍団に、
まひろは大きなイジメを受けなくて良かった。
ホッ!でした。
少しは、
どこの世界にもあることで。
それにしましても、
まひろは藤式部という名前を拝命しましたが、
地味でつまらぬ女は、
己の才を生かすしかほかありませぬ。
と、
公任に昔の借りを返すとは(笑)
雨夜の品定めのように、
まひろをけなしていた公任に一本でしたね(笑)
斉信は覚えていて、
当の公任は忘れてましたけど(笑)
彰子は空の色が好き。
少しづつ意思を示し始めました。
帝は続きができたら、
お前に会いたいと仰せだ。
なんて、
まひろは道長に言われましても、
几帳(きちょう)で区切られただけの坊(小部屋)では、
物語の続きを書こうにも、
書いていられないですよね。
あのドローンで撮影したような、
映像の撮り方は面白いものでした。
源氏物語絵巻などに見られる、
天井を取ったような、
吹抜屋台(ふきぬきやたい)という描法を、
見ているようでした。
それぞれ女房の寝相が凝ってましたが、
上手く写真が撮れず載せられず。
かがり火?の音が、
パチパチなっている中での、
公卿たちの中宮拝謁(はいえつ)の大饗(だいきょう)も、
華やかな平安時代の趣を醸し出してましたね。
再び参内の藤式部。
庭には藤の花が咲き、
彰子のお部屋の御簾も綺麗でした。
一条天皇が、
まひろの書く物語に興味を持たれ、
藤壺を訪れたことの褒美に、
道長より扇子(せんす)を頂くのですが、
幼き頃の二人の出会いの絵でした。
三郎(道長)とまひろ(紫式部)の出会いの扇子を贈るとは、
粋です。
追記
ブロ友kazuyooさんからお教えいただきましたが、
この扇子は、
「檜扇(ひおうぎ)」というそうです。
宮中で位のある人が用いたもので、
檜(ひのき)の板を重ねて、
作ってあるそうです。
大和の興福寺の別当が道長を訪ねてきました。
強訴(ごうそ)ですね。
すべては些細(ささい)なことから始まるのです。
と、
帝に言う道長の言葉にも心打たれましたが、
朝廷は強訴を押さえるため、
武士の武力を重用していくことにより、
武家も力を持ってくるという、
そういう芽も出始めているのですね。
昨晩は不穏なまま終わりましたが、
また来週。
(映像写真はNHKよりお借りいたしました)