風を紡いで

旅の記録と料理、暮らしの中で感じた事などを綴っています。自然の恵みに感謝しながら…。

レモン哀歌

2006年06月08日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
   
そんなにもあなたはレモンを待っていた
かなしく白くあかるい死の床で
わたしの手からとった一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トハアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱっとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの手の力の健康さよ
あなたの咽喉に嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた

それからひと時
昔山(さん)てんでしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関はそれなり止まった
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光るレモンを今日も置かう

-高村光太郎の詩集から-


光太郎の詩のなかでも
この「レモン哀歌」は
とくに好きでした。
よく暗誦したものです。
昔は、深く意味を考えることもなく
読んでいましたが…。

身近な大切なひとたちが
次々と旅立っていくと
言葉のひとつひとつが
じんわりと深く
胸にしみてきます。

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かもめ食堂が懐かしく

2006年05月31日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
スーパーの店頭に、今年も青梅が並び始めました。
梅干を手作りしたいけれど、時間的余裕がありません。
言い訳になってしまうけれども…。
フルタイムで働いていると難しい、とあきらめています。

子どもたちが小さい頃は、仕事の量も控えめでしたから、
そのようなことに手間暇かけることができました。

魚の一夜干しも作りました。
以前は、マンション住まいでしたから、
秋刀魚や鰯を開いてはベランダに干したものです。
次の日の食卓に上る一夜干しの美味しかった事…。
梅干も格別な味でした。


店頭の青梅を見ていたら、いろいろ思い出しました。
「かもめ食堂」でサチエさんやみどりさんやマサコさんたちが、
愛情込めて握っていたおにぎりたち。
ご飯は炊きたてですから、手が熱くなりますが、握ります。
鮭、おかか、梅干の3種類!

「かもめ食堂」の温かい空気が、今とても懐かしく思い出されます。
あんな食堂があったら、毎日でも通いたくなってしまいそう。
おにぎりを食べに…。ちなみに、私は梅干のおにぎりが好きです。
輸入梅使用のものでなく、紫蘇と紀州の梅入りです。

せめて、映画館に出向き、画面の彼女たちに会いに行こうかな~。




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心にひびく歌…

2006年05月14日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
チグエソ 地球の空の下で 今日は、テレビから流れてきた歌に引き込まれてしまった。
どこかで聞いたことのある、懐かしさを感じて耳を傾けていた。
途中、ふと画面に目をやると、「みんなのうた」だった。女の子が鳥に乗って空を飛んでいるアニメーション…。

心に響いてきた。じ~んと胸に迫り、涙ぐんでいる自分に気づいた。自分でも驚いた。音楽を聴いて涙を流すなんて…。


気になり、さっそく調べてみた。作曲・うたはユ・ヘジュン
あの冬ソナの主題歌を作曲した、韓国の人気シンガーソング・ライターだったのだ。
冬ソナは、テレビで一度見ただけだったので、彼のことはよく知らなかった。

日本デビューだそうだ。作詞家(もりちよこ)が、彼のインストゥルメンタルの名曲に惚れ込み、承諾を得て作詞。編曲は馬飼野康二。
映像は、椎名林檎の「りんごのうた」の映像を手がけた円人(Enjin Productions)と、アニメーター(一色あづる)とのコラボレーション。
日韓の写真家、土門拳とキム・ギチャンの写真を織り交ぜながら、時代を超えて命の輝きが引き継がれていくストーリーを表現。









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「母の私書箱」

2006年05月08日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
内海隆一郎著「人びとの旅路」(新潮文庫)から

21の短編を集めていますが、なかでも「母の私書箱」は、何度読んでも胸に迫り涙がこぼれてしまいます。いつ読んでもそうなのです。息子夫婦と母親の話なのですが。息子は母親の真意に気付かず、長い間誤解しているのですが、母の入院を機に真実を知ることになります。私書箱の秘密と母の本当の気持を…。

「(略)相手のために尽くすということを前提にしていただきたいのです。尽くされることだけを望んで、幸せ……」-便箋に書かれた母親の手紙の一部ですが、心に響く言葉です。これ以上書いてしまうとまだ読んでいない方の興味が失せてしまうと思いますので…この辺で止めておきます。

私の母は、大正生まれでしたが芯の強い人でした。経済的には恵まれたほうでしたが、嫁ぎ先(私の実家)ではいろいろあり、精神的な苦労は並大抵ではありませんでした。私は親になり、初めて母親の気持ちが理解できたものです。誤解していた部分が多く、寂しい思いをさせたのではないかと悔やまれます。

その母が脳血栓で半身不随になりました。入院中は付き添い、退院後、休日には見舞いに行っていました。お盆や正月には、夫の理解もあったので私たちの家に呼んで一緒に過ごしたものです。仕事をしながら、できる限りの介護はしたものの、母が亡くなった今では、「もっと親孝行をしていれば良かった」と母の日が近づくと思うのです。


内海氏を知ったのは、10年以上も前になります。会社の先輩にいただいて読んだのが始まりでした。どこにでもあるような、身近な話なのですが、とても温かいのです。普通の人々の日常を淡々と切り取っているのですが、なんともいえず爽やかな気持ちになる作品ばかりです。

「人びとの旅路」の中の「彼女の初恋」もまた、涙なくして読めません。切ない恋心がじっとくるのです。ほかにも好きな作品がたくさんあるのですが、またの機会に紹介したいと思います。

(写真はロベリア)
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国家の品格

2006年04月23日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
国家の品格の著者、藤原正成さんが数日前テレビに出演され、同書について解説されていらっしゃいました。共感することばかりでした。

紅葉やサクラの、はかなさの美が分かる日本人の繊細な美的感受性。火事場泥棒などの卑怯を憎む武士道精神。英語などの外国語より日本語を学ぶことの重要性。そんな日本人の思考、情緒、誇り、自信などについて語られました。

日本の進むべき道を説いたのが「国家の品格」(新潮新書)のようです。読んでみようかなあ、と思っています。





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いま、会いにゆきます

2006年04月21日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
「いま、会いにゆきます」(市川拓司原作)
先日、テレビで放映されていたのを見ました。実のところ、あまり期待していませんでした。映画化された時、たっくん役が中村獅童?澪が竹内結子?そう思っていました。ちょっと違和感があったのです。映画化される、本が話題に上る前に原作を読んでいたから、よけいにそう思ったのです。

原作本「いま、会いにゆきます」は、娘が古本屋で買ってきて家にあったので、何気なく手にとってみたのです。どんな本に興味があるのかな~、そんな気持ちから呼んでみました。軽く読める本でしたが、作者の温かい気持ちが心地よく胸に響いてくる、そんな本でした。

本を読んでイメージができていましたから、映画はあまり期待しなかったのです。ところが、共演の中村獅童 と竹内結子の息が合っていて…。結構引き込まれました。子役の子も自然な演技で、可愛いかった!脇をかためる医師や保育士、会社の人たちがまた良かったのです。いい味出してました。役者はすごい!そう思いました。(共演した中村獅童 と竹内結子は、結婚しましたね。お似合いだと思います。プライベートでも素敵なファミリーなのでしょうね!)


雨の降る季節、亡くなったはずの澪が現れ、奇跡の時間が始まります…。
三人で一緒に暮らせる貴重な時間が、たんたんと静かに過ぎていきます。そして、別れが近かい事に気づいた澪は、一人では生きられないたっくんを小学生の息子に頼みます。目玉焼きの作り方や洗濯物の干し方などを教えていくのです。そして、たっくんには息子を託します。切ない場面です。謎が次第に解き明かされて…。

森からマイナスイオンが流れてくるようでした…。澪の切ない思いが伝わり、胸が痛みます。生きること、家族や仲間や知人とのかかわりなど、普段あまり気にしないことですが、その大切さを再認識させられる映画でした。


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かもめ食堂

2006年04月18日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
じんわりと、心に温かさが伝わる、そんなハートフルな映画でした。ちょっと疲れ気味の人や目標が揺らぎだした人、心寂しい人などに、おすすめの作品です。きっと元気になりますよ!群ようこ原作、荻上直子監督、全てフィンランドロケだったそうです。時間の流れがゆったりしていて、優しい気持ちになること請け合いです。

ヘルシンキに日本レストランをオープンさせた、主人公のサチエ(小林聡美)を中心にストーリーが展開します。ガッチャマンの歌を最後まで歌えるミドリ(片桐はいり)と、不思議な存在感のマサコ(もたいまさこ)がいつしかサチエの店を手伝うようになります。でも、なかなかお客が来ないのですが…。

メニューのメインはなんとおにぎり!鮭、おかか、もうひとつあるのですが、思い出せません、すみません(ちなみに私は梅干が好きです)。サチエにとって思い出深い「おにぎり」はジャパニーズ・ソール・フードなんです。お客が来るようにと、ミドリがフィンランド人に好まれるおにぎりの具を考えますが、なかなか上手くはいきません。

何日もお客が来ない日が続きます。何人か、店の中をのぞくのですが、なかなか入って来ないのです。年配の三人の女性、いつも怒りの表情の女性など。そしてお客様第一号の青年をはじめ、「かもめ食堂」に少しずつお客が集まるようになります。サチエとミドリとマサコは、つかず離れずのいい関係を保つことで、プライバシーを尊重し合っています。

許容量の広いサチエ役の小林がいいのです。ミドリの独特なキャラクターを強烈な個性の片桐が演じ、もたいがまたいい味を出していて、絶妙のコンビネーションなのです。(小林ともたいは、テレビ「やっぱり猫がすき」で共演してました)

そんな三人の「いらっしゃいませ!」はなかなか興味深いものがあります。ミドリはラフ過ぎて、マサコは丁寧過ぎ、サチエは…?

そして、「おにぎり」にまつわる思い出はやっぱり温かいんですね!だから日本食は素晴らしい!と再認識させられました。まさしく、ジャパニーズ・ソール・フード!心に響く映画で、しばらく余韻を楽しみました。


(最近、日本でロハスな生き方が話題に上りますが、「かもめ食堂」にはそのヒントが詰まっていました)




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ブレハッチさんの演奏に涙

2006年02月15日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
2005年ワルシャワで行われた第15回ショパン国際ピアノコンクールで、ポーランドの新星ブレハッチさんが優勝。その入賞者ガラ・コンサート ジョイント・リサイタルを聴きに行きました。サントリーホールで1月30日開催。1位ラファウ・ブレハッチさん、2位は該当者がなく、3位はイム・ドンへ イム・ドンミン兄弟(韓国)、4位が関本昌平さん(大阪)、山本貴志さん(長野)でした。日本の2人とブレハッチさんを招いてのリサイタルでした。もちろん2人の日本人も良かったのですが…。

1部は関本さんのあと、山本さんが個性的な演奏を披露。休憩のあと、2部はブレハッチさんでした。彼の演奏に、演奏会では生まれて初めて涙しました…。自然に涙があふれてきたのです。これまで、著名な演奏会のコンサートに出かけ、生演奏を聞き感動したことは何度かありましたが…。映画やドラマ、歌ではよく涙することはありますが…。自分でも驚いています。会場のあちこちで、涙をぬぐう姿が見られました。娘と私はS席の1階5列でしたから、表情もよく見えました。横顔がとてもいいんですね~。彼が弾くショパンは、詩情にあふれ、ロマンがあるのです。最もショパンに近い感じがしました。ショパンの再来と言われているのもうなずけます。

ブレハッチさんは、20歳の音大生。あの若さで、あれほどの音楽性を表現できるなんて、驚嘆に値します。演奏後、拍手の嵐が鳴り止みませんでした。アンコールでは4曲披露しました。それでもなお、割れんばかりの拍手が…。立ち上がる人もいました。何度もステージに出てきては、深いお辞儀をするブレハッチさん。誠実な人柄が伝わってきました。

終演後、私は予定にない行動を起こしていました。出口でパンフレットを購入したのです。娘は娘で、CDを求めていました。「同じものを買わなくてよかったね!」「買うつもりはなかったけど、演奏聴いてファンになってしまったよ~」二人が同じ気持ちでした。「ブレハッチさんのリサイタルが実現したら、絶対聴きに来ようね!」

ブレハッチさんは、ご両親、妹さんの4人家族。敬虔なクリスチャンで、教会でもよく演奏したそうです。謙虚な好青年です。小さな田舎町の普通の家庭に育ち、普通のピアノで練習をしていたため、コンクールに出場する彼のために、町(だったと思います)が、彼のためにグランドピアノをを貸してくれたというのです。家族の支えがありました。今回の優勝で、グランドピアノを購入したそうです。

ショパン国際ピアノコンクールは、5年に一度ポーランドのワルシャワで開催され、世界の精鋭が集まることでも有名。
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プルーフ・オブ・マイ・ライフ

2006年02月09日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
感動しました!!「恋におちたシェイクスピア」のジョン・マッデン監督、主演女優グウィネス・パルトロウ、「羊たちの沈黙」のアンソニー・ポプキンス、若手演技派俳優ジェイク・ギレンホールの競演による「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」。舞台で絶賛されたグウィネスらによる初映画化だそうです。

人生につまずいたけれども、深い愛によって一歩を踏み出す、そんな再生物語が心に響きました。2006年アカデミー賞最有力と言われるのもうなずけます。

名優アンソニー演じる天才数学者の父の死で、悲嘆にくれるキャサリン(グウィネス)。精神に異常をきたした父の介護のため、大学を中退したキャサリンだったが…。残された膨大なノートの中から、世紀の数学の証明(プルーフ)が見つかり、父でなく自分が書いたと言うキャサリンを誰も信じてくれない。そんな中、彼女に想いを寄せる父の弟子、ハル(ジェイク)が、一度は疑問をもったものの彼女を信じ始め、それを証明しようと大学の仲間たちと奔走…。

どのような困難にもめげず、真理を求め、立ち向かう。人を愛すること、信頼することの素晴らしさ。そこから湧き出るエネルギー、その先には希望が…。まさに「生きることの証明」が展開されるのです。父の遺伝子(精神の病い)を受け継いでいるかもしれないと
の不安や、闇から抜け出せない苦悩など、心の襞をも感じさせる繊細なグウィネスの演技に打たれました。また、アンソニーの真に迫る表現力には驚嘆させられ、恋人役のジェイクも素敵でした。心地よい余韻が…残る映画です。

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ヴェラ・ドレイク

2005年12月29日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
「お母さん、一緒に映画見る?」
末の娘に誘われ、銀座で落ち合った。銀座テアトルシネマで上映していたマイク・リー監督の「ヴェラ・ドレイク」を見た。深い愛で結ばれた夫婦とその家族の強い絆が浮き彫りにされ、心の奥に響いてくる映画だった。ヴェラの秘密とは?何が善で、何をもって悪とするのか…、家族、人間、愛、道徳、幸福とは…いろいろ考えさせられた。

1950年の英国、凍てつく初秋のロンドン。家政婦の仕事をしながら、一人暮らしの母の面倒を見て、近所の人たちへの心配りを忘れない、明朗で優しい一主婦ヴェラ。夜学に通いながら仕立て屋で働く息子シド、家と工場の往復だけという娘エセル、夫スタンは弟の経営する自動車工場で働く穏やかで愛にあふれた人。家族はつつましく平凡に暮らしていた。一人暮らしのレジーの出現で、エセルは恋に落ち、互いに惹かれ合う。不器用な二人だが同じ未来を見つめるようになり、婚約するのだった。平穏でささやかな日々が続くかと思われたのだが…。

主人公ヴェラが、善意でよかれと思って無償で行っていた堕胎に手を貸すという行為…ある日を境に一転、奈落の底へ。ヴェラは罪人として裁きを受けることになるのだった。
家族の驚き、母の罪を許せない息子、ただ悲嘆にくれる娘、夫スタンは息子に向かい「母さんを信じなさい」と説得する。衝撃に打ちのめされながらもただただ妻を信じ続けるのだ。海のように深くて大きな愛…。次第に息子にも父の心が伝わり、家族は強固な絆でひとつになるのだった。

クリスマスの夜。保釈されたヴェラが戻り、家族が集まるが、なんとなく気まずい雰囲気。食事が始まり、エセルの婚約者のレジーが、「僕の人生で最高のクリスマスをありがとう。ヴェラ」と一言。その言葉で空気が変わり、皆が救われる思いになる。一筋の光が見えるようだった。

ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、主演女優賞はじめ数々の映画賞を受賞し、本年度アカデミー賞主要3部門(監督・主演女優・脚本賞)にノミネートされた。14もの主演女優賞を総なめにしたイメルダ・スタウントン。彼女の自然で表情豊かな演技力に圧倒され、スクリーンに釘付けになった。気になるところがなかった訳ではないが、「すべてを赦す、という真実の愛」―その描写、そこにスポットを当てるということだったのだと思うと、納得する。マイク・リー監督のファンになった。



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勇気がわく“グッドラック”

2005年07月23日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
最初の出会いはカフェでした。数カ月前、何気なく手に取った「Good Luck」。コーヒーがくるまでと、軽い気持ちで読み出しました。ところが、ぐいぐい惹きこまれてしまったのです。コーヒーが運ばれてきて、一時中断。コーヒーを飲みながら続きを読んだのですが…。半分ほど読んだところで、時間オーバー。用事を思いだし、後ろ髪ひかれる思いでカフェを後にしました。

一カ月ほど後でしょうか、読みたい本があり、書店に行ったのです。ほしい本はなく、がっかりして帰ろうとした、その時、目に飛び込んできたのが「Good Luck」だったのです。心にひっかかってはいたのですが、すっかり忘れていた本との二度目の出会いにうれしくなりました。この春、社会に飛び出して行った末娘にも読んでほしいという気持ちもあり、迷わず購入しました。ホームシック気味の彼女にぴったり、そう思ったのです。

ちょうど、昼休みでしたので、さっそく後半を読みました。読み終えて、なぜかほっとしました。さわやかな風を受けたような、幸せな気持ちになりました。普遍性のあるストーリーが心にしみ、元気が出てくるのです。「新しい人生を歩き始める人へ―心に温かな勇気がわいてくる…」―帯に記された言葉です。娘たちにも読んでほしいと再度思いました。

物語は、仕事も財産も全て失った幼友達との54年びりの運命の再会から始まります。祖父から聞かされた「魅惑の森」の話を失意の友に語るのです。二人の騎士の意識と行動が運命を分けていく、魔法のクローバー物語です。その中で「幸運をつかむ」人は、つまり「幸運への下ごしらえをできる」人のこと、と強調しています。共感しました。

この本は、MBA(経営管理学修士)を持つ経済学者のロビラ氏が、5歳の自分の娘に聞かせようとつくった物語だそうです。普遍的な人生哲学をやさしい言葉で説いている、世界的なベストセラーです。企業の社員教育や学校の授業にも多く取り入れられているということです。

「Good Luck」アレックス・ロビラ/フェルナンド・トリアス・デ・ベス共著 田内志文訳(ポプラ社刊/952円)
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人生のスタートに遅過ぎることはない

2005年07月20日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
夫の急逝に続き、初孫を失い、そして父親までも…。4人の子供を育て上げ、これから夫とゆっくり余生を過ごそうと思ったいた矢先、夫を肝臓がんで亡くした50代専業主婦の再起物語です。

ともこさんのブログで知り、さっそく読みました!失意のどん底から抜け出すために、友人の住むスペインの旅を決意。飛行機に乗り込み、その便で日本人女性と出会ったことが縁で、ロンドンに語学留学をすることになるのです。英語はまったく話せない状態からのスタートでしたが、ホームステイ先の老姉妹に支えられ、クラスメートに助けられ、次第に語学を身につけていきます。そして逞しくなっていくのです。

いろいろな人たちとの交流から、視野が広がり、問題意識も持つようになります。二年九カ月の間、老姉妹のもとで暮らすことで家族同様に心を通わせていくところが素敵でした。それはとりもなおさず、彼女の誠実で真摯さがなすことなのでしょう。決してあきらめず地道な努力を続けることで、語学を自分のものにし、さらに素晴らしいものを手にされるのです。悲しみをバネに立ち上がった彼女の体験記です。

ホームステイ先の老姉妹がまた、魅力的なのです。いくつになってもおしゃれ心を失わず、素敵なのです。イギリス人の物の考え方もこの二人から学びます。また、定年後に絵の勉強にパリに移り住み14年という、日本人女性との出会いもありました。言葉を覚えている暇があったら、絵を描いていたい、という屈託の無さと自分の世界を追求する姿も印象に残りました。

古勝さんの本から、たくさんのエネルギーと勇気をもらいました。落ち込んだ時や、心が辛い時、きっと元気を届けてくれると確信します。「女ひとりロンドンを駈ける」は、“人生のスタートに遅すぎることはない”―それを身をもって証明した古勝さんの実体験を著した本ですから…。

光人社刊「女ひとりロンドンを駈ける」(古勝信子著)
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ひかりの花

2005年07月10日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
泥のなかから 
いのちの恵みうけ
崇高なまでに
美しき花ひらく

光のシャワーに
より深きいのち輝かせ

ひとのこころ
清めるように
風に揺れて歌う

いのちを響かせる
光りの花よ

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祈り

2005年07月09日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
泥の上
狂風に揺れ 
大きく緑波打つ

すっと
伸びる茎に
きよらな花開き

緑の波間
初夏の風そよぎ
清浄なる祈り満つ







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天上の花…

2005年07月04日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
天に向かう
いのち

真っ直ぐ
清らに


地上に
ひかり満たし

純化され
澄んで

天使のごとく
昇ってゆく





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