映画「めがね」は心癒される作品です。
「かもめ食堂」のスタッフが再結集してできたそうです。
荻上直子監督・脚本作品。
出演者は、携帯の通じない南の島を訪れるタエコに小林聡美さん。
学校教諭ハルナに市川実日子さん。
タエコを先生と呼ぶヨモギ加瀬 亮さん。
旅館ハマダの主人ユージに光石 研さん。
毎年、手提げ袋一つで島にやってくるサクラにもたいまさこさん。
特別なストーリーがあるわけではありません。
淡々と過ぎていく南の島の日常(それとも非日常?)を描写しています。
この南の島では、うまく「黄昏る」ことがとても重要なのです。
映画を見る人たちも一緒に「黄昏る」ことができて、はじめて完結するのかな?
見終わって、そう思いました。
でも…旅はある意味非日常です。
旅のあとに煩雑な日常が待っています。
「めがね」は自由の意味を伝えています。
旅の最中であろうと、途中であろうと、旅のあとであろうと…
いつどんな状況でも、自由な心を持つことができるかどうかが大事なんですよね。
「黄昏る」コツを身につけられたら、生きるのが楽になるかも知れません。
ある南の島に、めがねをかけたひとりの女性・サクラが手提げ袋を手にやってきます。
時を同じくして、もう一人タエコが同じ島に降りたちます。
彼女もまためがねをかけて、大きなボストンバックをガラガラと引きずりながらやって来ました。
タエコは、携帯の通じない静かな場所でのんびりと過ごしたいと思っているのですが…。
「黄昏る」ことがなかなかできずにいるのです。
美しい白い砂浜と澄んだ海。この南の島がどこなのか…最後まで分かりません。
タエコの職業もはっきりしません。
どこで何をしているのか、どこから来たのか、この島では肩書きは重要ではないのです。
サクラさんも謎が多い人です。
彼女が作る小豆のかき氷がとても美味しそう。
特別な味のようです。
そして、支払いがユニーク。
農家のおばさんは野菜で払います。
氷屋さんは氷で、女の子は折り紙で、ハルナさんとユウジさんはフルート演奏で…。
その人ができることでお礼をするなんてなんかいいですよね~。
また、サクラさんが考えたラジオ体操もユニークでとっても楽しそう…。
毎朝、ラジオに合わせて島の人たちがサクラさんを中心に海岸で体操をするのです。
それから忘れてならないのは、食事のシーン。
かもめ食堂でもそうでしたが、焼き魚や梅干などなんでもない朝ご飯が美味しそうなのです。
とにかく、南の島では黄昏上手が大切なことなのです。
エンディングロールに、与論島の小学生の名前が出てきました。
体操をしていた子どもたちは地元の子だったんです。
美しい浜辺は与論島で撮影されたのでしょうね。