五日の土曜日は、終日、
雨降りでした。
室内から庭に目をやると、新緑が雨にぬれてしっとり生き生きと輝いていました。
淹れたてのコーヒーを飲みながら、じっと庭を眺めていると高校生の頃が思い出されました。
当時、
自転車で一時間ほどの高校へ通っていました。
近所の女の子五人が、帰りはいつも一緒でした
同級生でした。全員が部活は運動部に席を置いていたのです。
三人がバレーボール、一人はバスケット、そして私は軟式テニス部でした。
部活の帰り道でのことです。
いつものように、自転車を漕いでいたのです。
ゴロゴロ! ゴロゴロ! ピカッ!
雨が降り出しました。次第に大降りになってきました。
田んぼ道になり、
一軒の雑貨屋の前を通った時でした。
誰ともなしに自転車を止めたのです。
この店は 帰宅途中によく寄ることの多い店だったのです。
店のおばさんに鍋を借りて、インスタントラーメンを作って食べたこともあるのです。
私達は店に入り、パンやお菓子を買っていました。
「
雷も鳴り出したし、上に上がって休んでいきなさい」
おばさんがそう声を掛けてくれたのです。
おばさんの好意に甘えて、あとをついて店の横から庭に出たのです。
すると、
茅葺屋根の農家がありました。
「さあ~さあ~。上がんなさい」
私たちは少し高めの縁側に上がり、横一列に並びました。
「さあ、これを使いなさい」
そう言って洗顔タオルを貸してくれました。
ぬれた顔や制服を拭いて、やっとほっとすることができたのでした。
縁側で雨空を眺めながらの
雨宿り…。
おしゃべりをしながら、雷がおさまるのを待ちました。
雨が止むまでしばらくの間
縁側を占領することになったのでした。