「植物に感謝しなさい。植物がなければ人間は生きられません。植物を愛すれば、世界中から争いがなくなるでしょう」
牧野富太郎博士からのメッセージ…心に響きます。
東京都練馬区東大泉の練馬区立牧野記念庭園で企画展「 MAKINO植物の肖像 菅原一剛が写した牧野富太郎の標本」が開かれています。植物図の美しさに定評のある牧野博士が採取した標本を超高画素数カメラで撮影、世界最高峰の写真現像技術を用いて、アートの視点で捉えた写真作品が展示されています。6月30日まで。入場無料。
牧野博士は文久2年(1862年)高知の佐川村(現 高岡郡佐川町)に生まれました。幼少期より植物を愛し…その生涯を植物研究に捧げ、詳細で緻密、そして美しい植物図を描いたことで知られます。また全国各地に出掛けて採集した標本の多さにも定評があります。
発見・ 収集した標本は約40万枚、命名した植物1500種以上、研究の為に収集した書籍約4万5000冊。渋谷から練馬に移り住み、94歳で亡くなるまでの約30年をこの地で過ごしました。
生涯を植物の研究に捧げた牧野博士
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出展者の菅原氏は1960年生まれ。幼い頃から図鑑に親しみ、その縁で牧野博士を知り、高知を訪れた際に高知県立牧野植物園で牧野博士の蔵書と植物図に魅了されました。標本庫に収蔵される博士自身が作った標本に感動。生きているような生命感に心動かされ、撮影したいと希んだそうです。
彼には植物学の研究に欠かせない資料として保管される「牧野標本」の美しさを、人を撮るような眼差しで蘇らせたいという強い思いがありました。世界最高水準の超高画素数カメラを使用。さらに高度な写真現像技術を用いて生まれたのが、植物の微細な陰影までもが立体感で質感のある写真作品なのです。
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ピンクプラチナプリントで仕上げたセンダイヨシノ…春の息吹が伝わってくるよう
牧野博士が自宅の庭で採取したセンダイヨシノ(サクラ)の標本をピンクプラチナプリントという特別な技法で仕上げています。粒子が細かいプラチナを使用し、その上に金調色を施すことで特別に気品のあるピンクを生み出しました。
プラチナプリントは、写真表現への追求が生んだ世界最高峰の写真現像技術。安定性の高い金属プラチナを使用し、そのプリントは500年以上 美しい状態で保たれると実証済みの希少なプリントです。
一般的なゼラチンシルバープリント(銀塩写真)では黒のベタにしか見えない部分にも、プラチナプリントでは質感や立体感が表現できるといわれています。
同企画展のリーフレットの表紙に使用
質感と立体感が伝わってくるビロードムラサキ
妻の名前を冠したスエコザサ(寿衛子笹)
ヤマザクラ
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※「MAKINO植物の肖像」のリーフリットから抜粋。展示作品の撮影はフラッシュ不使用でOKでした。