フロイトは、フロムによれば、放縦を是認するようなことは一言も言っていない。
p93の3行目から。
もう1つのウソの「大事にする気持ち」は、いわゆる「おセンチな、好きという気持ち」です。その本質は、その大事にする気持ちが空想の中にしかなくて、現実に存在する眼の前の人との関係ではないんですね。もっともありふれた、この手の好きは、映画やら、雑誌の恋愛物語やら、ラブソングを消費することで経験する、偽の満足です。本当に人を大事にする気持ちや、人と人の繋がりや親しみを、十分に満足させたいという願すべてが、映画などを消費する際の満足にあるでしょ。男でも、女でも、パートナーとの関係で、離れ離れの壁を貫き通すことができない場合、感動して涙するのは、せいぜい、スクリーンの物語に出てくるカップルの恋物語に、ハッピーなものでも、ハッピーでないものであっても、のめり込む時だけなんですね。たくさんのカップルにとって、スクリーン上の物語を見ることは、本当に人を大事にすることを経験する唯一の機会になっちゃってんですね。そこでは、お互いのためじゃぁなくて、一緒に、御他人様の「大事にする気持ち」を、別々に経験するんです。人を大事にする気持ちは白昼夢である以上、映画などに出てくる物語に、のめり込むんですね。人を大事にする気持ちは、結局現実の2人の関係の現実に行き着くや否や、2人はよそよそしい関係になっちゃいます。
偽物が氾濫する現代ならではですね。本当に人を大事にする気持ちや、連帯だとか親しみだとかを実感をもって体験することが、ほとんど希少価値になってしまった現在の日本。本物が表から逃げ出している日本、大量の偽物が裏口から入ってきて、本物のような顔をしてんですね。
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