エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

ルターが見つけた、秘密の場所

2015-06-20 10:24:10 | アイデンティティの根源

 

 夢中になることから、信頼は生まれます。

 Young Man Luther 『青年ルター』p207の第2パラグラフ下から7行目から。

 

 

 

 

 

Fides est "locus" animae 、すなわち、信頼とは、魂の中心ですし、魂の座です。これは以前から言われてきていることは確かでしょ。でもね、ルターが強調したのは、アウグスティヌスの「魂の注入」でもなければ、唯名論者たちの「服従」でも、ありませんでした。ルターが強調したのは、真実にルネッサンス的なやり方で、神が下さる心の「仕組み」において、自分の値打ちを価値ある存在と認めることでした。このlocus、すなわち、「仕組み」には、それ自体が探し求めるやり方がありまして、自分自身が受け身であることを育てている限り、その「仕組み」は続く、というものですよ。

 

 

 

 

 

 ルターは、自分が宝物だと確信する、その秘密の場所、仕組みを見つけました。それは、「自分が自分が」と、積極的に動くことじゃぁ、ありませんでした。真逆ですね。受け身を大事にすること、恵みを戴くことでした。果報は寝て待て、とはちょっとニュアンスが異なるものですね。積極的に動いてもいい。でも、それがベストではない、2番目に良いことではあるかもしれない、と知っている。一番良いのは受け身であること、恵みとして与えられる、と知っていることです。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ハンナ・アーレントと「やり... | トップ | 勇気の出所 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿