エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

辺境にて

2014-03-25 06:22:09 | エリクソンの発達臨床心理

 

 宗教改革のリーダーと疑心とは、矛盾する感じがしますが、現実は両者が共存していたことになります。

 

 

 

 

 

  かなり晩年になってから、ルターは次のようにいうことができるまでになりました。「多くの宗教は、悪魔たちの巣窟だ。プロシアも悪魔で満杯だ」と。これは、ルターが民族の気質研究に対してなした数少ない貢献の一つです。実際は、ルターは当時の子どもたちすべてと同様に、魂が具体的な形で普遍的に存在するという考えで、心底満ちていました。ルターが育った社会的な辺境では、魂が張り合うという混乱があるように思われがちです。すなわち、泥と土と肥沃さに夢中になっている農家から、岩と塵と儲けの好機に夢中の鉱山主へと移行する社会的辺境、それ以上に、キラキラしていて、「薄汚い」、富と金をため込むという商目的、新たな大胆で限りない貪欲さに従うすべては、キリスト教会があらゆる力を使ってぶっ壊そうとしたものであると同時に、あらゆる力を使って独り占めにしようとしてきたものなのです。

 

 

 

 

 

 商業経済、貨幣経済によって、物々交換が主流で、貧富の差がそれほどない(教会や領主以外のほとんどの人が貧乏な)社会から、お金がものを言い、貧富の差が目立ってくる、したがって、不公平と不平等を感じる人が増える社会へと、プロシアも変化しつつあったのでしょう。富を独占していたキリスト教会は、やはり、「悪魔の巣窟」だったのです。

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