2013-09-19 02:57:17 | エリクソンの発達臨床心理
人類の歴史上で、最も前途有望な「アメリカ人の夢」でさえ、「人類を上下2つに分けるウソ」から自由ではなかった、というのは、「人類を上下2つに分けるウソ」が、一人一人の無意識に、いかに深く食い込んでいるかを、物語っているものと思われます。
今日も≪約束≫のお話。
≪私≫は単独では、育まれませんよね。必ず、カウンタープレイヤー、相手が必要です。≪我と汝≫の≪汝≫に相当する相方です。
≪私≫、自分の経験を、主として無意識裡にまとめ上げるものですね。その≪私≫は、相手になる人が必ず必要です。それは赤ちゃんが、献身してくれるお母さんがいなければ、現実に一日だって生きていけない、という事実を思い返してい見るだけでも、お分かりいただけるだろうと思います。
繰り返しになって恐縮ですが、お母さんは、別に赤ちゃんと≪約束≫したから、献身をするわじゃぁ、ない。でもね、言ってみれば、≪一方的な約束≫をして、子どもの幸せと利益を実現するんでしょ。それはあたかも、神様が私どもひとりびとりに対して、ヘセド=≪一方的な約束≫をしてくださり、「≪私≫ならではの生き方」を許し、支え、助けて下すっているのと、どこか重なります。
赤ちゃんは、自分の願いや思いを、泣いたり笑ったりすることで、表現します。それを繰り返し繰り返し、お母さんに受け止めてもらいます。受け入れてもらいます。許してもらいます。徹底的に甘えを許されるんですね。それが≪一方的な約束≫の形になります。自分の願いや思いを表現することを許され、それを繰り返し受け止めてもらい、徹底して甘えられると、赤ちゃんに≪根源的信頼感≫を豊かにすることができますね。
そうすると、自ずから、次にオートノミー、a sense of autonomy 自分の感じに従って生きていくことを法則にすることができます。生き方に方向性が出ます。オリエンテーション、東向きの生き方ですね。東の空には必ず光がありますでしょ。その≪光≫目指して生きるんです。迷ったり、困難にぶつかることだって、そりゃぁ、ありますよ。でもね、船が灯台や星を頼りに、オリエンテーションを決めるように、私どももその≪光≫を頼りに、オリエンテーションを定かにすることができますね。ですから、人から教えられずとも、人は本質的に、≪光≫に向かうことを知っています。
大人がよくやる間違いはね、子どもは無知で、「正しい生き方」を知らないと思っていることなんですね。ですから、「あぁやれ」、「こうやれ」、「それはダメ」、「それ禁止」と禁止と命令を連発することになります。でもね、方向性、オリエンテーションを知らないんじゃぁ、ない。足りないのは、その方向性を実際に歩む、心の栄養、心的エネルギーなんです。ガソリンが足りないんです。
そのガソリンは、≪約束≫に基づいたやり取り、そのやり取りをすることによって、子どもに価値アリ、と繰り返し認めることなんですよね。ですから、子どもの思いと願いを表現できるように助け、それを読み取り、その思いや願いが実現するように手助けしていると、自ずから、子どもの≪私≫が育まれて、「善い方向」に生きてきますね。
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