エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

見通す力=信頼する力

2015-03-05 07:25:00 | エリクソンの発達臨床心理

 

 三浦雄一郎さん。昨年の5月に80才でエベレスト登頂に成功して、話題になりましたね。当ブログ目標・指針・目的、そして、ヴィジョンでも、「三浦雄一郎さんのことを研究している老化予防の専門家は、老化予防に最も効果があるのは、筋トレでも、脳トレでもなくて、ハッキリとした目的、夢を持つことだと言います。」と書いた覚えがあります。夢、ハッキリとした目的を持つことは、老化予防でも要になります。

 でも、夢、はっきりした目的を持つことは、高齢者の老化予防にだけ、有効なわけじゃぁない。

 私は、毎日毎日、小学生を相手に心理相談をしてますでしょ。ハッキリとした目的を示すことを、一番大事にしてんですね。その一つが「≪約束≫に基づいた遊び」セラピーです。それを家庭で、学校で毎日やってもらってます。それは、時間、場所、遊びを、子どもとそのお母さんが約束して、毎日おんなじ遊びを繰り返してもらう、プレイセラピーの宿題です。学校でも、最近では、子どもとのその担任の先生が、「≪約束≫に基づいた遊び」セラピーをやってくださる学校もあります。

 そうすると、それまでは、何かと母親に付きまとっていた子どもが、母親から離れることができるようになる場合があります。たとえば19時になったら、自分のために、いとうひろしさんの『だいじょうぶ だいじょうぶ』を読んでもらえる、との見通しがあるから、いつでも母親に付きまとう必要がなくなるからでしょうね。また、不眠で困っていた子どもが、そのセラピーを始めるとその日から、あるいは、10日くらい経つと、不眠が解消した場合があります。あるいは、表情が乏しかったり、気持ちを言葉にしにくい子どもが、「≪約束≫に基づいた遊び」セラピーを毎日繰り返すうちに、笑顔が増えてきますし、自分の気持ちや意見を口にすることができる場合もあるんです。今回は、より正確に「〇〇場合もある」と言う表現を採用していますが、「〇〇です」と言うことも可能だと考えています。たとえば、“「≪約束≫に基づいた遊び」セラピーを繰り返すうちに、笑顔が増えてきますし、自分の気持ちや意見を植えるようになります”、とね。

 

 あるいは、私が担当する心理面接、実際は、箱庭だったり、コラージュだったり、描画だったりと、いろいろですが、時間と場所と面接の中身が≪約束≫に基づいた遊び」セラピーになってますから、これも同様な効果が期待できます。私は、エリクソンに倣って、子どもの笑顔が増えてくることをセラピーの効果の目印にしているのですが、ほとんどすべての子どもの笑顔が増えてきますから、ありがたいことですね。手応えをビンビンに感じます。エヘン。

 いずれの場合も、「≪約束≫に基づいた遊び」セラピーでは、子どもの目的がハッキリとした目的になるためには、その目的を、誰か一人共有してくれる大人が必要です。

 そして、その目的は、いずれも小さいヴィジョンです。

 見通す力はヴィジョンを持つ力になります。自分と世界を信頼する力になります。

 そして、

 今の日本ほど、ヴィジョンの再生が必要な時代は、ない。

 

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