エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

人と社会を方向付ける、陽気で楽しい力

2013-09-08 06:32:08 | エリクソンの発達臨床心理

 

 人間の不思議、1つの全人類を認める意識に向かう傾向がある。

 

 

 

 

 

 現在進行形で発展している「アメリカの夢」の最も際立った側面は、最大規模で、最大に多様な人々を招き入れ、最大の相異なる理由から、この国にやってこようとする動機を持ち、多くの信念体系のもろもろの要素から、いっそう包括的なヴィジョンを創りだそうとする検証済みの度量です。しかも、これを1、ないしは、2世代で行ったのです。これには、今も国の内外に存在する「人間を上下2つに分けるウソ」でバラバラになった人類を、いっそう統合するための、1つの預言者的な可能性があるかもしれません。これは、私が信じていることですが、私がこの本の最初に引用した絶望的な嘆きによってさえ、証明されます。このような真面目なニュース解説者たちは、このような「アメリカの夢」が、いかにして悪夢と化すのか、をトラウマになるほど、繰り返し記述することに身を任すことにはならなかったでしょう。それは、もしも、彼ら自身が、人々や国々にとって、「アメリカの夢」が元々もっていた機能が今もあり、「アメリカの夢」が潜在的に生き残る価値があると、信じていれば、の話です。しかしながら、1つの夢は、完成しなくてはなりません夢の途中で目覚めること、これは、1つの悪夢になるのです。これが歴史上どのように働くのかは、1つの質問領域が答えを出せると主張できる問いではないのです。しかし、私は、私どもの夢のいつくかの側面について、自我の時空の様々な次元に従って振り返ってみることができます。その自我の時空の様々な次元とは、子どもの1つの遊びや、若者の1つの夢や、他の想像力のいくつもの側面で働いていることを私どもは認めました。人々や地域に当てはまる、共有された1つの世界観にとってならば、この自我の時空の様々な次元は、個人が自分を方向付けること内的な見当識【inner orientation】)、を自我によって作り出す手段を、集団が自分たちを方向付けること(a collective orientation)表す方法と想像力に、結び付けることを認めなくてはならないでしょう。集団が自分たちを方向付けることこそ、私どもが、言葉で、あるいは、イメージで、「国家」や「教会」や「革命」のような、個を超えた存在を人格として表現する、1つの強力な理由なのです。

 

 

 

 

 

 人と社会を方向付けるものは、私どもひとりびとりの自我が、自分を方向付ける見当識なのです。そのことに日々自覚的でありたいと思います。そのためには、日々自覚的な儀式化を、陽気で楽しく行っていかなくてはならないでしょう。

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