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但し,......
「発達トラウマ障害 Enpedia」 をご参照ください。
ヴァン・デ・コーク教授の The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『大切にされなかったら、意識できなくても、身体はその傷を覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』 は,翻訳が終わりましたが,印象的な言葉を適宜拾ってみようと思います。 June 06 ,2019,横浜の心理臨床学会で,Perezさんのお話を聴いた関係です。
p.104から。今日は,第5パラグラフ,5行目から。
本当の自分に繋がると,様々な人とも繋がる
この章を終えるに当たって,自分の身体を失う代価を示す確かな研究をご紹介しましょう。ルース・ラニウスと仲間たちが,アイドリングをしている脳の画像を撮った後,日常生活の中にある別の問いに着目しました。日々トラウマを負わされている人は,顔と顔を見合わせたときに,脳の中で何が起きているんだろうか? という問いです。
私のクリニックに来る患者さんたちは,アイコンタクトができない人が多い。すぐに分かりますのは,アイコンタクトができない患者さんたちは,私の視線を見ることが,嫌だから,ストレスになるんだなぁ,ということです。いつも,なるほどと分かるのは,その患者さんたちは,つらい思いをしているということですし,自分が不甲斐ないと思われることに耐えられないでいる,ということです。一度でも思ってもみないことですが,恥ずかしいと強く感じることがあったら,あなたの脳の働きが異常ですよ,ということなんです。ルース・ラニウスがまた教えてくれたことは,心と脳は不可分だ,ということでした。つまり,心と脳の2つは,いずれか一方に起きたことは,他方にも影響がある,ということです。
ルースは高価な機材を購入して,スキャナーの中に横になっている人に,ヴィデェオの登場人物(この場合は,リチャード・ギア似のマンガでした)を見せました。この漫画の人物が正面から近づく(研究協力者の眼を見ることになる)場合と,斜め45度から視線を逸らせて近づく場合がありました。この実験によって,アイコンタクトが脳に与える影響と,目を逸らすことが脳に与える影響を比較することができます。
普通のコントロール群の実験協力者と,日常生活の中で発達トラウマを負わされた人たちを比較した時,一番の違いは,視線を合わせたときに反応する前頭前野の働きでした。前頭前野(前頭前皮質)(PFC)は,近づいてくる人がどんな人かを見極めるのに役立ちますし,ミラーニューロンが近づいてくる人の意図をくみ取るのに役立ちます。ところが,PTSDの研究協力者は,前頭前野(前頭前皮質)が全く機能しておらず,見知らぬ人に対する関心を呼び覚ますことができません。PTSDの人は,感情脳の深み,すなわち,水道周囲灰白質として知られる古い部分が強く働いて反応しますから,ギョッとしたり,警戒したり,身をすくめたり,他の身を守り行動をしてしまいます。ということは,人と関わる脳の部分が,1つも働いていない,ということです。人に見られると,PTSDの人は,生き残りの生き方しかできなくなります。
人に見られると,逃げるか戦うかの生き残りの生き方しかできないと,人と友達になり,仲良くなることは、どうなるんでしょうか? セラピーはどうなるんでしょうか? PTSDの人って,最深の恐怖心がありながら,セラピストを信頼できるんでしょうか? 真っ当な関係を体験するためには,他の人を,その人ならではの生きがいと思惑がある真っ当な人として実感しなくてはなりません。自分の足で立ち上がることができるようにならないといけないけれども,同時に,他の人にもその人自身の見通しがある,ということにも,気付かなくてはなりません。トラウマは,こういったこと全てを,靄のかかったハッキリとは分からないものにしまいます。
ヴァン・デ・コーク教授,トラウマのことを実に善くご存じです。
トラウマは,全てをあいまいにします。ウソとゴマカシの源。
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