エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

#セロトニンレベルを正確に上げる薬はない?

2018-11-19 06:38:54 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 
#お母さんに聴く耳と時間がない と #子どもは死にますから #ホッタラカシ #生きてる気がしない
 インターメッツォ: エリクソンの叡智 : 受け取る の条件   社会の仕組みからふるい落とされ続ける ニッポン   人を大事にすることに社会的な可能性を信頼す......
 

 

 ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『大切にされなかったら、意識できなくても、身体はその傷を覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』
 第2章。「心と身体を理解する,革命」,p.34の,第2パラグラフ,4行目途中から。その前もご一緒に。

 


脳を落ち着かせること


 1985年のアメリカ精神薬理学会の総会は,可能ならば,それ以前の会よりも,はるかに知的刺激に満ち満ちたものになりましたね。キングスカレッジの教授,ジェフリー・グレーは,扁桃体の話をしました。扁桃体は,音,イメージ,体感が,脅威を感じるかを判断する脳の塊です。グレーが教えてくれたことは,扁桃体の感受性は,少なくとも一部は,脳の部分にセロトニンという神経伝達物質の量による,ということでした。セロトニンが低レベルの動物は,ストレス刺激に過剰に反応しましたが(大きな音を立てる),セロトニンが高レベルの動物は,警戒システムを弱めましたから,脅威になるかもしれないことに対して,攻撃的にならず,凍り付くこともありません。

 1985年のアメリカ精神薬理学会の総会は,私にとって,大切な発見となりました。私の患者さんは,小さなことがきっかけで,怒りを爆発させますし,ちょっと断られたくらいで,ひどく落ち込みます。私はPTSDにおいてセロトニンが果たす役割について,強い関心を持ちました。他の研究者の報告によれば,男のボス猿は,低い地位のサルに比べて,セロトニンレベルが極めて高い,ということでしたが,かつてエバっていたサルにアイコンタクトを続けると,セロトニンレベルが下がる,ということでした。反対に,低い地位のサルが,セロトニンのサプリメントをもらうと,ボスになろうとして,群れから離れる,というわけです。人という環境は,脳内の化学物質と呼応しているんです。一匹のサルを操作して,上下関係の中で低い位置にすると,その猿のセロトニンレベルが下がりましたし,化学的にセロトニンを増やすと,以前は下にいた者たちのランクが上がりました。

 トラウマを負わされた人に対する意味は明らかでした。グレーのセロトニンレベルが低いサルと同様に,トラウマを負わされた人は,多動でしたし,人の言いなりになりやすい場合が多かったんです。セロトニンレベルを上げる方法を見つけたなら,トラウマを負わされた人が,多動であることと,人の言いなりになりやすいことを解消することができたのかもしれません。同じ1985年の学会で私が知ったのは,いくつかの製薬会社が,セロトニンレベルを正確に上げるために,二つの新製品を開発中だということでしたね。その新製品は,まだできていませんでしたが,健康食品のお店で手に入れられるサプリメント,L・トリプトファンを,少しの間試しましたことがありました。このL・トリプトファンは,身体の中でセロトニンの化学的前駆体になる物質です(いずれの結果は,ダメでした)。



 セロトニンレベルを正確に上げる薬は,見つからなかったらしい。

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