
こういう仲間がいる。
そいつは女で平水面で乗っていて、いずれ海に出ようと思ってた。
道具の問題や仲間環境もあってなかなか機会がなかったけど、なんとか海に連れ出した。
当然ながらウオーターが出来ず、ジャイブは100%失敗し、顔面蒼白でビーチに戻ってくる。
それでも吹けば必ず海へ連れ出した。
きっと嫌だったときもあっただろうね。泣きたいときもあったろう。
ショアブレークに翻弄され、出ては下へ漂着し、
アウトですれ違っても笑顔も作れない。
ビーチへ座り込んでしまい眉間にシワを寄せ怒涛のスランプに入る。
それでも通う。吹けば必ずいる奴として顔も知られてきた。
やがて御前崎へも行くようになり、少しずつウインド力がアップしてきた。
アウトではセイルがスムースに返る率が高まり、
少し波に乗れるようになってきた。
波に乗れるということは、巻かれる覚悟ができたということだ。
そのやり方がよかったかどうかわからないけど、
三浦のヒザ波でパニックになって3年たち、今は頭に巻かれても笑って戻ってくる。
ウインドは非常に男っぽいスポーツだけど、
御前崎に通うレディースウエーバーも同じ思いをしてるはずだ。
そうしないとたどり着けない世界だと痛切に思う。
決して趣味道楽でできるものではないのだ。
男ですら泣きの入るときでも、アウトでプレーニングする姿を見ると誇らしく思う。
果敢にアタックする姿は空気を通してまわりにやる気を与える。
一緒に乗る者同士、相乗効果が生まれる。
ウインドは難しい。難しいから面白い。
簡単に出来るものは飽きるし面白くない。
海に出て行く姿は、人の生き様だ。
彼女のゲッティングの後姿を見るとそんな感じがする。
これからもきっと乗り続けるだろう。
ウエーブを通して海の恐さや優しさ全部まとめて素晴らしさを知っているからね。