
本日ムネ~カタ。
キラキラ太陽に暖かな風。
ビーチに上がると見晴台で女がウエーブ男と話していた。
話が風に乗って聞こえてきた。
「あとひとつだけ聞いておきたいことがあるの。さっきふと思ったの。
私はこれまでの人生の中でずっと君のことを求めてきたような気がするんだ。
そしてこれまでいろんな場所で君の影を見てきたような気がする。
君がいろんな形をとってそこにいたように思えるのよ。
その姿はすごくぼんやりとしていた。あるいは君のほんの一部に過ぎなかった。
でも今になって思い返してみると、それは全部君だったように思えるんだ。
私はそう感じるんだ。」
ウエーブ男は両手でブームを握る形を作った。
「そうだよ、あんたの言うとおりだよ。あんたの思っている通りだよ。
おいらはいつもそこにいた。おいらは影として、断片として、そこにいた」
「でもわからないな」と彼女は言った。
「今私はこうしてはっきりと君の顔や形を見ることができるようになった。
昔見えなかったものが、こうして今見えるようになった。どうしてだろう?」
「それはあんたが既に多くの物を失ったからだよ」と彼は静かに言った。
「そして行くべき場所が少なくなってきたからだよ。
だから今あんたにはおいらの姿が見えるんだよ」