Now+here Man's Blog

Surf, Run and Trails / Endurance For Fun

Chapter6  Two Of Us

2006-03-21 00:04:35 | story


「あの娘には足がなかったよ。」
僕はLet It Beのジャケットを眺めながらウエーブ男に告げた。
「違うね。君の言い方を変えるなら、足がないように見えた、だよ。」
「意味がわからない」
月曜の夜はバーボンを飲む。1週間の憂鬱を考えるとバーボンになる。

「あんたには、たまたま足がないように見えたんだ。ないのは腕かもしれないし、顔半分かもしれない。」
「本当に意味がわからない。」
僕はバーボンを飲むおかげで1週間の憂鬱に拍車をかけてしまう。
「あんたは彼女が完璧ではないことを求めているんだよ。あんたは不完全さが好きだね。」
「僕が好きなものはなんだろう。
夏の太陽や、みんなで飲むビールや、彼女の弱いところ、そういうものが好きなんだ。
夏の太陽やビールは懐かしい感じがするだろ。懐かしくてどこかしら切なくなる感じがしない?
彼女の弱いところは、きっと彼女の優しさや純粋さの結果なんだよ。」
「人を好きになるということは、その全てを寛容する、自己の責任において。そういうことだね。」
「たぶんね。」
僕はここ最近とても穏やかな気持ちで過ごしている。
きっと僕が何を求めているかわかったからだ。
そしてもう無くすものがないとわかったからだ。

「人は欠点ばかり。完璧な人間などいない。完璧な絶望がないようにね。」
僕は少々酔って憂鬱感が消えた。
「完璧な幸せはきっとあるよ。完璧な波があるようにね。」
ウエーブ男がそう言いながら僕の手からLet It Beを取り、店の女の子にプレーヤーにかけてもらうように頼んだ。

「僕は明日は会社休んでウエーブするよ。波があったらいいね。」